アブソリュート・デュオ~万物の意思~   作:Y・MOOT

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読者の皆様、予定より遅れましたがなんとか出来ました。


それでは、第7話をどうぞ↓



第7話~「ちゃんと反省してね♪」~

 そして《新刃戦》の幕が上がる――

 

 クラスメイト達はそれぞれ予めクジ引きで決まった場所へ待機していた。そして――

 

 

 

   リーンゴーン……リーンゴーン……リーンゴーン……                

 

 

 

 《新刃戦》の開始の合図となる時計塔の鐘が鳴った。

 

 真っ先に動き出す者、周囲の様子を探りながら動く者、周りの景色に紛れて待つ者、各々が色々なスタートをきる――その様子をとある場所から観察する者達がいた。

 

「しかし…便利すぎますわね。その能力……」

 

「あら、褒めてくれてありがとう。朔夜ちゃん」

 

「別に……褒めているわけでは、ありませんですわよ」

 

「しっかし……やっぱり皆まだ戦闘慣れしてないから、動きがぎこちないなー」

 

「……すぅ……すぅ」

 

「おりっちー…かなっち寝ちゃってるよぉー」

 

「寝かしといてやってくれ。それと、くうちゃん寝ている奏に悪戯しようとすんなし……」

 

「ちぇー…いいじゃんか、別に」

 

「動いてるチェーンソー振り回してる無邪気な子供に、追っかけ回されてもいいならドウゾ」

 

「ソレハオコトワリイタシマス」

 

 ここは理事長室内そこには何故か、朔夜・璃兎・刃達四人があった。ちなみに、三國先生はちゃんと見回りをしているためここにはいない。今この六人は何をしているのかというと、結李嘩の《空間[スペース]》の能力で《新刃戦》の進行状況をリアルタイムで見ている。詳しく説明しよう! 今皆が囲んでいるテーブルの上には、《新刃戦》を行っているエリアの立体ホログラム(テーブルサイズ)がありその中をデフォルメした二頭身のクラスメイト達が動いている(イメージとしてはアニメの次回予告に出てくるデフォルメされたユリエ達)。更に《絆双刃》同士の戦闘はlive映像が自動で空中に出現するのである。そしてこれらの制御は、結李嘩の《空間[スペース]》の能力が自動でしているのである。(ふふ、ナレーションさんわざわざ説明ありがとうございますね) いえいえこれも仕事ですから!

 

 そして暫く《新刃戦》の様子を見ていると――

 

「おっ…透流達と巴達が戦い始めたな」

 

「さてと、アタシは仕事しに行きますか」

 

 璃兎がソファーから立ち上がる。

 

「くうちゃん、行く前にひとつ連絡」

 

「んぁ、なんだよ刃」

 

「奏から伝言。くうちゃんの演技が大根だった場合、奏が腹パンするってさ」

 

「ちょっ! おまっ! それアタシ死ぬよな! おい!」

 

「大丈夫、気絶レベルでやるって言ってるから」

 

「気絶はすんじゃねーか!!」

 

「まぁ、ガンバ(笑)」

 

「もう……どうにでもなれってんだ。行ってくる…」

 

 そう言って璃兎は出て行った。そして――

 

「確かに、巴の奇襲作戦はいいんだけど……みやびの事を考えると、もう少し近距離でみやびに出てきてもらえれば良かったかもな」

 

「所で朔夜ちゃん。校舎内を破壊されているけれど、いいのですか?」

 

「ええ、構いませんですわよ。GW中に修復はいくらでもできますのよ」

 

「うわっ! さくっちが露骨に金持ちアピールしてるぅー」

 

「し、してないもん! うー…」

 

「……うぅーん……ふにゃ~」コシコシ

 

 眠そうに目を擦りながらも奏が起きる。そして――

 

「それじゃあ、奏もちょうど起きたし。俺達も行くとしますか」

 

「そうですね、行きましょうか」

 

「かなっちー、行くよー」

 

「まって~」

 

 四人は理事長室を出て行った。

 

 

 

 

 

 

 刃達が理事長室を出て少しした頃。校舎内のとある場所では、透流とユリエが璃兎と戦闘をしていた。そして、苦戦を強いられた透流達は最後の勝機ものにし透流の《雷神の一撃》が璃兎の体――否、《焔牙》へと当たる直前で――

 

「そこまでだ」

 

 ガギィィィン――

 

 突然現れた何者かに止められる。そして、突然現れた人物に透流が――

 

「なっ……! だ、だれd――」

 

 言うよりも先にユリエが気づき。

 

「トール! 刃です!」

 

「じ、刃! どうして…!」

 

 そう、透流の《雷神の一撃》を止めたのは刃の大剣型《解放武装[リベレーション・アームズ]》の側面だったのだ。しかも、無傷でだ。

 

「見回り役以外の、もう一つの役割……ストッパー役だ」

 

「じゃあ、なんで今のタイミングで?」

 

 そう言いながら刃の大剣から右手を離し刃の方へ向く。

 

「正直そこはごめん。一応見回り(理事長室で)はしてたからな、誰からも気づかれなかったけど」

 

「あぁ……わかった。ちゃんと仕事はしてたんだな」

 

「当たり前だ」

 

「というか、月見の奴はトラや俺達の事を仕事だとか言って殺しに来たのはどういうことだ?」

 

「其の事については、少し説明するよ。これは、あの子供理事長が考えた演出だ。曰く、より本当の意味での戦闘に近いほうが、生徒の実力を見ることが出来るからだそうだ。だから、くうちゃんのあの行動は演技なんだけど…殺気とかは本物だよな……あれ。そして、透流やトラが狙われたのは透流に関しては《異能》だからだけど、トラについては《無手模擬戦》の成績優秀者だからだそうだ」

 

「《焔牙》が人を傷つける事が出来るのは本当なんだな?」

 

「ああ、それは事実だ。それとこの事は、トラ達や巴達には言ってもいいが他のクラスメイトには間違っても言うなよ」

 

「わかった」

 

「ところで、トール。先程から先生の様子が変なのですが」

 

 ユリエにそう言われた透流が視線を刃から右の方へずらすと、少し奥の方で両腕と両足を結李嘩と李々嘩に抑えられてこの世の地獄でも見ているかのような怯えた表情をした璃兎がいた。そしてその前には奏がいる。

 

「あれは、何をしてるんだ?」

 

「今何かを、口に詰め込まれましたね」

 

 口をタオル的なもので塞がれる璃兎。そして、助けを求めるかのような視線を此方に向けながらンーンー唸っていたのだが、何やら奏に話し掛けられ直後に何かをすごく拒絶するように怯えている。では、口を塞がれたあたりからの奏達の様子を見よう。

 

「ンーンー! ンンー! ンンンーー!!」

 

「ねえねえ。くうちゃん。大根にならないように、がんばっていたのはうれしいよ♪ だ・け・ど。 奏は、ここまでするなんて聞いてないよ? だから。ちゃんと反省してね♪」

 

「ンッ! ンンン! ンンーン! ン――」

 

 物凄い震えながら璃兎が必死に何か訴えているのだが――

 

「えいっ♪」――ドゴォッ!!

 

 その直後、そんな可愛らしい掛け声とは程遠い威力の右アッパーを璃兎の鳩尾付近に叩き込む奏。

 

「ン゛ッ!」―ガクッ

 

 その様子を少し離れた場所から見ていた刃達は――

 

「お、おい……月見の奴動かなくなったぞ、大丈夫なのかアレ…?」

 

「ヤ…ヤー。何故、奏はあんな事を?」

 

「ああ、それは多分。色々やり過ぎたくうちゃんへの罰って所だなありゃ……」

 

「そ、そうか…」

 

「そ、そうなのですか…」

 

「おっと……連絡すんの忘れてたけど、トラ達については大丈夫だから安心しろよな」

 

「トラやタツは無事なのか!?」

 

「まぁ、GW中は入院生活だろうけどな……」

 

「それは……大丈夫って言わないんじゃ……」

 

「入院ぐらいで済むならまだいい方だ。それに、ここの医療棟の医療設備は相当良いもの使ってるし」

 

「わ、わかった……」

 

 そして透流達と刃が何だかんだ話しているとなかなか戻ってこない透流達の様子を見に来た巴達と結李嘩から連絡をもらった三國が来た。その時に、結李嘩と李々嘩の間で両腕を担がれながら気絶していた璃兎を見て、巴が聞いてきたため刃が答えると巴とみやびはビックリし三國はため息をついていた。そして《新刃戦》は幕を下ろした。

 

 その日刃達四人は巴とみやびだけでの夕食(他四人は医療棟送りのためいない)を済ました後理事長室にいた。

 

「で? 結果的には俺が止めた訳だけど……止めてなかった場合は確実に、透流がくうちゃん(現在進行形で俺の背中に泣きついてる)の《焔牙》を破壊していた訳だけど?」

 

「あの状況であるなら、私も透流くん達の事実上の勝利だと思いますよ」

 

「ええ、映像を見ていた限りでもそのようですわね。それに《彼》に縁のある者ですもの、このぐらい出来てくださらないとですわ」

 

『じゃあ、透流君とユリエちゃんは退けし者ということなのかしら』

 

「そうなりますわ。願わくば、我が道が《絶対双刃》へと至らんことを。私はまだ、外れてはいませんのよね刃?」

 

「あぁ、まだ大丈夫だな当分はな」

 

 朔夜の問いかけに刃は怪しい笑みを浮かべながらそう答える。

 

「ちょ、ちょっと刃! その顔は大丈夫と言う顔では無いじゃない!」

 

「ははは、冗談だよ」

 

「し、心臓に悪い冗談はやめてよねっ! うぅ~…」

 

 若干泣きそうになる朔夜、そんな彼女に笑いを堪えながら謝る刃であった。

 

 《新刃戦》も終わりGW最終日の深夜、刃は隣の部屋から聞こえた透流達の声が気になったため聞いているとラウンジと言う声が聞こえたので、少しタイミングをずらして姿を消しながら透流の後をつける。そして、月の光の当たらないラウンジ正面の廊下で透流の様子を見ているとユリエが来るそして少ししてある事を口にする――

 

 透流は少しでも気分を紛らわせようとラウンジに来たのだが、あとを追って来たユリエに思いがけない告白をされる。

 

「私もトールと同じ――《復讐者》です」

 

 その直後――

 

「二人は《復讐者》だったのか」

 

 突然背後から聞こえた声に透流とユリエは驚く。そして――

 

「じ、刃! 何時からここに?」

 

「透流がここに来たあたりから」

 

「つまり、最初からか……」

 

「全く気がつきませんでした」

 

「まぁ、気配消してたし。ところで、もう一度聞くけど二人は《復讐者》なのか?」

 

「あ、あぁ……知られたくない事だったから隠してたんだけどな」

 

「ヤー、私もトールと同じです」

 

「《復讐者》である事については何も止めはしないよ。ただし、少しだけ警告してやるよ」

 

「止めはしないんだな……それと、警告ってのは?」

 

「確かに、なんでしょうか?」

 

「《復讐者》として復讐する為に、力を付ける事は全然いい。だけど、ただただ復讐を成し遂げた者の末路はわかるか?」

 

「それは……」

 

「ナイ、私にはわかりません」

 

「じゃあ、教えてあげるよ。答えは……虚無からの破滅だ」

 

「そういう事か……」

 

「ヤ…ヤー、破滅……ですか…」

 

「そうだ、だけど俺は二人にはそんな事にはなって欲しいとは絶対に思わない。だから、俺からの警告はそうならない為の方法だ」

 

「それは…何なんだ?」

 

「ヤー、私も知りたいです」

 

「それは……《復讐者》の心に飲まれる事だけは何としてもやってはいけない。幸い二人には《焔牙》っていう、心の写みたいなのがあるだろ? それの示している真の意味を見極めればいい。まぁ、透流に関しては大方誰かを守りたい気持ちがあったんじゃないのか?」

 

「そう…かも知れない。ありがとな、刃」

 

「ヤー、私からもありがとうございます。刃」

 

「いやいや、礼をされる様な事なんかしてないよ。俺としては、二人には破滅なんてして欲しくなかっただけだから」

 

「それでも! 刃の言葉には感謝している」

 

「ヤー」

 

「感謝……か。まぁ、素直にその気持ちは受け取っておくことにするよ。じゃあ、俺は明日からまた学校も始まるし部屋に戻るよ。二人共おやすみ」

 

「ああ、おやすみ」

 

「ヤー、おやすみなさい」

 

 そして、時は進んでいく――

 






いかがでしたか。

今回で原作一巻まで終わりました。読みづらくなかったでしょうか?

後書きもあまり書く事もないのでこれぐらいにします。

次回は予定通り4月10日以降になります。それではまた次回お会いしましょう。
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