臨海学校六日目、今日は完全自由行動のため分校の校舎には殆ど人がいない。そんな中、校舎内のある一室では――
「さてと、昼も過ぎたしそろそろ行動開始といきますか。それじゃあ、結李嘩よろしく」
「わかりました。では、三國先生。行きましょうか」
「はい、お願いします。結李嘩さん」
「では、ここに立っていてくださいね」
結李嘩に言われた場所に立つ三國。
「座標固定完了……。それでは、行ってきますね」
「おう、行ってらー」
「行ってらっしゃい。結李嘩ちゃん」
「また後でね、お姉ちゃん」
そして、刃達が声を掛け終わると結李嘩と三國先生がその場から文字通り消えた。
「ところで刃。シャヴィの姿が見当たらないのは、何か理由がありまして?」
結李嘩と三國が消えたのを見届けたところで朔夜がそう口にする。
「あぁ、それは万が一のためにそのへんの森に哨戒しに行ってもらってるからな」
「あら、そうでしたの」
「そりゃなー、事実を言うと臨海学校一日目の夜の時点でこの島内にスパイが入り込んでいたわけだしな」
「そんな事実、初耳ですわよ……」
「だって、今言ったし」
「はぁ……こちらとしては、そういう事はもっと早く教えて欲しいところですわ」
「まぁまぁ、わかったからそんなに拗ねるなって」
「す、拗ねてないもん!!」
とまぁ、こんな感じで刃が朔夜をイジっている。年相応な反応してる朔夜ちゃんお持ち帰りしたいです(あいかわらずだね。作者さん)いえいえそれほどでも(ほめてないよ……)でわでわ、話を戻して。この後、朔夜の機嫌を直し終えた所で結李嘩が戻ってくる。
「皆さん。ただ今戻りました」
「おう、おかえり」
「おかえりー。結李嘩ちゃん」
「お姉ちゃん、おかえりー」
「い、いまだにその突然現れるのなれねーわ……」
「そうですわね……」
「なぁ、結李嘩。三國先生を送るだけにしては少し時間かかってないかい?まさか……」
「あら、やっぱり刃君は気づきますね。刃君の予想通りトラップも設置してきましたから」
「ユ、結李嘩サン……ツカヌコトヲオ聞キシマスガ、ソノトラップノレベル……ハ?」
「Ⅱですよ」
「よ……容赦ないね、お姉ちゃん……」
「結李嘩ちゃん。す、少し笑顔がこわいよ……」
「あら、ごめんなさいね……よし、っと。これでいいでしょうか? 奏ちゃん」
「うん。いつもの結李嘩ちゃんだよ」
「なぁ、刃。トラップってのは……」
「ん? あぁ、そういえばうーちゃん達はまだ知らないんだったな。まぁ、簡単に説明すると……指定範囲内に敵が侵入すると結界で囲んでこう……キュッと」
言いながら刃は右手で何かを握るようなジェスチャーをした。
「う、うわぁ……」
「なかなかエグいことをしますわ……」
璃兎と朔夜が軽く引いていたが――
「さらに付け足すと、結界内部のものは外部には一切漏れずに1cm角の立方体まで縮小すると結界は消滅します。ある意味で、掃除いらずなトラップだな」
そんな事お構いなしに刃が補足する。
「「…………………」」
それを聞いて璃兎と朔夜は無言で顔を青ざめさせていた。
数十分後――
「はぁー、取り敢えず諸々の説明もしてわりと暇つぶしもしたとこで、俺達もそろそろ行動開始と――」
と刃が言いかけたところで部屋の扉が開いた。
「朔夜ーお茶でもどうかし――って…あら、貴方達なにかやらかしでもしたのかしら?」
「いやいや、そういうのではないよ。ただ、招待してないお客さんにどう帰ってもらうか作戦会議してただけさ」
部屋に入ってきたのはリーリスだった。そして、リーリスの言葉に刃が返す。
「……貴方達、一体何者なのよ」
空いていたソファー(朔夜の隣)に座ったリーリスが、冷めた低いトーンの声で聞いてくる。
「まぁまぁ、そんな警戒するなよ。それと、リーリスの場合は俺が直接言うより朔夜が言った方が、信憑性があるんじゃないか?」
「ちょっ……! いきなり私に話を振られても困りますわよ……刃」
「あら、貴女が説明してくれるの? だったら、信用できるわね」
「リーリス……貴女まで……」
「じゃあ、朔夜。よろしく」
「わかりましたわ。リーリス、私は一回しか言いませんですわよ」
「はいはい、わかってるわよ」
「今、目の前にいる四人は異世界から来た神様ですわ」
「………は?」
リーリスがポカンと口を開けたまま何言ってんだコイツ的な顔をしたまま固まる。
「信じていないようですわね。でも、事実ですわよ」
と、朔夜が念を押したところでリーリスが我に返る。
「か……神様って、本当のことなの? それも、異世界のって……」
リーリスが刃達を見ながら恐る恐る聞いてきた。
「まぁ、事実だな。それと、そんなにビクビクしなくても何もしないって」
「ご、ごめんなさいね。とんでもないカミングアウトだったから。ところで、なんでその神様たちがこんなことしているのよ」
「あぁ、それについては簡単に言うと、面白い星……地球を見つけたから有給とって観光しに来たら昊陵学園っていう面白そうなのを見つけたから干渉してみようかと」
「か、神様が有給って……。それと地球のなにが面白いのよ」
半ば呆れたような顔をしながらリーリスは刃にそう聞いた。
「それは、本来なら生物が生まれた星にはその星の守護神としての神様が一人存在するのは異世界でも同じはずなんだけど、地球には何故かいなかったんだ。だから俺達がこうして地球に入れる訳だ。本当なら俺達みたいな観光なんかで生物のいる星に来た場合、その星の守護神に許可取って尚且つ殆どの能力や力を封印しないといけないんだ」
「神様達にそんなルールがあるなんて思ったこともなかったわ。それと、なんで地球には神様が居なかったのよ」
刃の返答に頷きつつ、新たな疑問を質問するリーリス。
「それは、俺達でもわからないな。予想としては特異点なんじゃないかと思ってるけどな」
「特異点……ね」
そうつぶやいたリーリスは何か考えようとしたが、諦めた。
「あぁ、そうだ。リーリスも来たからもう一度作戦について説明しようか」
そして、刃は再度作戦について説明し始めたのだった。
――十分後。
「――それじゃあ、作戦はこんな感じだからよろしく。それと、リーリス」
「なにかしら」
「俺達の正体は他の生徒達には――」
「それぐらい、わかってるわよ」
「悪いな、それじゃあ俺達は外に行ってるわ。そっちは任せるよ」
「じゃあね。リーリスちゃん」
「お先に失礼しますね」
「じゃねー、リリっちー」
「えぇ、言われなくてもちゃんと作戦通りやるわよ」
中編へ続く