「おっと、なかなか難しいな」
「けどしっかり飛べてるよ?」
現在飛行中の涼です。
隣のフェイトちゃんはそう言うが、飛んでいるので精一杯だ。
アルフは闇の欠片なるものと交戦中。
「Be careful 」
バルディッシュが注意を促す、戦闘だ。
「フェイト...あなたなの...?」
「母...さん...」
露出の凄い人が、って
「母さん?」
「うん、プレシア·テスタロッサ。私の母さんだよ」
「フェイト、何故ここに居るの、ここは何処なの?」
何だろうか、あまりフェイトちゃんに優しそうには見えない...?
「母さんは悪い夢を見ているだけなんです」
「悪い夢?そんなのずっとよ」
「ごめんなさい...今助けますから」
言うなりフェイトちゃんは母親に飛び込んだ。
お互いに決定打を打てないまま戦闘は続く、というよりフェイトちゃんがためらっている...?
「邪魔よ」
「ああっ!!」
「フェイトちゃん!!」
遂に母さんなる人の攻撃がフェイトちゃんに当たった。
「消えなさい」
大きな球体をプレシアがフェイトちゃんに向けて放った。
フェイトちゃんはじっとしている。まるで諦めた様に、命令されているかの様に。
「え...?」
「え、じゃない。ボーッとすんな、危険なんだろ?」
何とかお姫様抱っこの要領で抱え、球体から逃れた。ホーミングがついてないのは救いだったか。
フェイトちゃんの顔が赤い気がするが、それより
「そんで、あんたは何なんだよ。邪魔だの、消えろだの娘に言うことじゃ無いだろ」
「娘じゃないわ。ただの人形よ。私の娘わアリシアただ一人」
人形...?こんなに自分の事を思ってくれている子が...?
「涼さん、下がっていてください。...もう、迷わないから」
フェイトちゃんは何か決めたようだった。その小さな背中にとても大きなものを背負っているようで俺は何も言えなかった。そして何も出来ない自分がただ悔しく思った。
「バルディッシュ、フルドライブ!!」
「yes sir」
「ここで、終わりにするから...ジェット、ザンバー!!」
フェイトちゃんは大きな剣を降り下ろした。それに切り裂かれたプレシアは限界の様だった。
「フェイト、あなたは...」
フェイトちゃんに激しい憎悪の表情を見せながら彼女は消えていった。最後まで母親とはとても思えなかった。
すると、力が抜けたのかフェイトちゃんがふらついた。
「おっと」
「すいません...」
「良いよ、無理しない」
俺はフェイトちゃんを抱き止めた。
疲れもあるだろう、だがさっきの母親の事が頭から離れないのだろう。腕のなかでフェイトちゃんは淡い笑みを浮かべた。
「すいません、守る、って言ったのに迷ってしまって...」
「気にしないの。それが普通なんだから」
母親を消せ、と言われて出来る奴はそう居ないだろう、例え偽物と知っていても...
「母さんは本当はもっと優しいんです、ただ悲しい事があっただけで...」
俺に母親を悪く思われたく無いのか、自分の思いを吐き出したいのか、俺に母親の事を語ってくれた。
立派な研究員だったこと。アリシアという娘を事故で亡くしたこと。フェイトちゃんを文字通り"造った"こと。そして最後に死んだこと。
話をしている間、フェイトちゃんは悲しむでもなくただ寂しそうに笑っていた。
アルフと合流して、フェイトちゃん心配したアルフに「大丈夫だよ」と言う姿にこの子はどんなことをしてでも守ろうと、そう思った。