白い息が風に乗って東の太陽へと吸い込まれる。青年は約束の場所で今日も待つ。
「今日も来ないのか…」
この場所に来るたび積み重なっていく想いに青年は気づいていた。白い手袋を握りしめて地を蹴った。
…
「おはようございます。」
青年はパートのおばちゃんたちに声をかけタイムカードをきる。
「マサキ君今日はこの間言ってた子に会えた?」
答えを分かってて聞いてくるあたり性悪だ。
「いや〜会えなかったですよ。あの手袋預かったの去年の冬の話ですよ。本人はもう忘れてますよ。」
いつの時代も女性は恋愛話が好きなものだ。パートのおばちゃんのからかいを適当に避けて今日も仕事に入る。マサキにとってはこれが日常だった。
…
仕事が終わり20時を回ろうとしていた。マサキはあの子から借りた手袋をし自転車をまたぐ。自転車のライトが弱くなっている気がした。
(電池切れか?)
住宅街に入っるとライトは消えた。その時十字路から一人の女性がフワッと現れた。
「まずっ⁉︎」
ブレーキをめいいっぱい握りしめた結果マサキはバランスを崩し転んだ。女性はマサキに近づいてくる。
「いってて、」
ワイシャツの肘部分から血が染みている。マサキは近づいてくる女性に違和感を感じ女性を見る。その女性は黒髪でセミロング綺麗系の女性だったが普通の人とは違う何かを感じた。女性は手袋をしており、その手袋の片方から激しく青い光が見える。
(なんだあれ…バチバチ言ってんぞ。)
女性の手のひらに電気が丸くまとまる。
「え、っと、、嫌な予感しかしない…」
女性の手からそれが放たれた。マサキの身体は無意識のうちに動いた。手のひらを女性に向けた瞬間、分厚い氷がマサキを覆うように現れた。電気の玉は氷の半球にぶつかりお互い砕け散る。
「え?なにこれ。」
自分の手をみては我に帰る。女性の両手からさっきより激しい青い電流が流れていた。
「ちょっと、待ってください‼︎」
「なんだ?」
「いや、なんだ?じゃなくて、なんで攻撃してくるんですか‼︎アレですか、チャリでひかれかけて怒ってるんですか?」
「その手袋を渡してくれればそれで済む話。」
「手袋?」
(そうか、この手袋に何かしらあるのか。現に奴の手袋から電流が流れているわけだし。それにさっき俺の手袋からも氷が出てきたし。)
女性は両手の電気の玉をマサキに放つ。マサキはもう一度氷の壁を作ろうとするが、手袋から氷が現れることはなかった。
「ちょ、なんでなんで!」
一つの玉は避けれたがもう一つは手袋で受け止めた。左手は吹き飛ばされ感覚が鈍くなる。手のひらを見ると氷がパラパラとこぼれ落ちた。マサキは全力で走り出した。