「暑い…」
沖縄空港は人が多くて文はそれだけで暑苦しく感じた。
「まあ、沖縄はだいたい5月に梅雨入りするらしいしね〜でも、晴れてて良かったね。」
杏はニッコリした。
「まあね、あれ、、、ヒロと久那衣君の姿が見当たらない。」
「もしかして、アレなんじゃ…」
杏が指差した先にはヒロと久那衣が5〜6人のヤンキーに囲まれていた。
「てめぇ、ぶつかっておいて誤りもなしか?」
ヤンキーのボス的な人がヒロを睨む。
「邪魔なんだけど?」
「ああ?」
お互いが睨み合う。
「あんたたち‼︎」
文が仁王立ちで現れる。
「お互い修学旅行で沖縄に来たんでしょう?こんなところで喧嘩しない‼︎」
「んだ、てめぇ。」
ヤンキーのボスは文の胸ぐらを掴む。
「な、、」
その時ヒロが背後から首に腕を回し締めつけた。残りのヤンキー達の前には久那衣が立ち、今にも乱闘が始まりそうだった。
誰かが連絡したのか先生や警備員が集まってその場を収めた。ヒロと久那衣がこっ酷く説教されたのは言うまでもない。
…
ホテルに着いた文はぶつくさ言いながら荷物を整理していた。
「まあまあ、文ちゃんあんまり大ごとにならなくてよかったじゃない。」
「はあ?よくないっつーの!せっかくの修学旅行が1日目からあんなになるなんてありえない!」
「うう、、で、でも、ヒロくんと久那衣君も反省してると思うし、」
「甘いわね杏は。まさか、あの転校生までヒロと同類の人間だとは思わなかったわ。」
杏は苦笑いしか出来なかった。
「あれ?歯ブラシ忘れちゃったかも…」
文はカバンを乱暴に探す。
「あ、でも、歯ブラシならホテルに常備されてるはず。」
「私ホテルの歯ブラシ嫌いなの。ちょっとそこのコンビニで買ってくるわ。」
文は財布を持ち部屋を出て行った。杏は散らばっている文の服をたたみ始めた。
…
「コンビニの歯ブラシ高いんだよね。」
文はぶつくさ言い歯ブラシを買いコンビニを出た。その時、メガネで小さい男の子にぶつかった。
「すすすす、すみません‼︎」
下を向いたまま誤ってそそくさにコンビニに逃げ込んで行った。
「あの制服、今朝の空港にいたヤンキー達と同じ制服のような…」
文はホテルに向かって歩いていると裏路地からヒロが現れた。
「あ、、あんたこんなとこでなにやってんの?」
文はヒロを睨んだ。服が心なしかボロボロだ。
「な、、なんでもない」
文が怪しみ裏路地を見ようとするとヒロがそれを遮る。
「なにを隠してるの?」
「な、なにも。」
「そこ、どいて。」
「そんなことより、もう、19時だぜ?早くホテルに、」
文がヒロを押しのけた。裏路地には今朝のヤンキー達が倒れていた。
「あちゃー」
文はヒロを睨む。
「待て、少し誤解があるんだ。」
「聴きたくない。」
文はホテルへ歩き出した。それをヒロが追う。
「待てって、」
「話しかけないで!もう、あんたの顔も見たくない!」
ヒロの足が止まった。
「なんでこううまくいかないかなぁ。俺だって楽しい修学旅行にしたいのに。」
ヒロは口の傷口を触りながらそうこぼした。