「はぁ…」
職場の食堂でマサキはうなだれる。
「結局なんだったんだよあいつ。うまく逃げ切れたから良かったものの…」
ぶつくさ言ってると上司が話しかけてきた。
「15時から新しいパートさん来るからお前に任せるぞ。」
「は、はい。」
「どうした?疲れてるのか?」
「いや、大丈夫です。ただ、プライベートで色々ありまして…刺激が強すぎたっていうかなんというか。」
「女か?」
「遠からず。」
上司はケラケラ笑う。
「なんですか?」
「俺も若い頃は苦労したからな。まあ、頑張れ。」
「は、はい。」
…
15時マサキは自分の目を疑った。
「この人が新しく入る人だ。えーっと、名前は美山ヒカリさんだ。」
上司の言葉の後にヒカリはお辞儀する。マサキはヒカリと目が合う。
「うそでしょ…昨日の…」
マサキの口から小さくそうこぼれた。ヒカリはニッコリと微笑む。
担当のマサキはヒカリに仕事を教える。彼女は昨日とはまるで別人のように明るくニコニコしている。仕事の覚えも早く即戦力になりそうだ。
(別人なのか?でもそっくりだ。)
マサキの頭の中はこんがらがっていた。パートのおばちゃんたちとも仲良く話している。
「彼女はどうだ?」
上司がそう言う。
「なにがですか?」
「お前の女にだよ。」
マサキは失笑する。
「やめてくださいよ。あー腹いて。」
上司はまたケラケラ笑う。
…
仕事が終わり駐輪場に着くが。
「そうだった、あの女のせいでチャリぶっ壊れて歩いてきたんだった。」
マサキは手袋をつけて歩き出す。
「お疲れ様でーす。」
振り向くとヒカリがいた。
「お、お疲れ様です。」
「ふふふ、そんなに警戒しないでくださいよ。」
両手をフリーにしたマサキは顔が赤くなる。
「お話をしたいな〜って思って待ってたんですよ〜」
「そのキャラやめてくださいよ。」
「ひっどーい!これ素なのに…」
「昨日と表情も声も喋り方も全然違うし。」
「まあまあ〜昨日は悪いと思ってるのよ。私もあせってたし。」
「これは渡す気は無いです。」
マサキはヒカリを睨む。
「わかってるわ、その代わり一つ言っておきます。私はあなたのボディガードだから安心して。」
ヒカリはそう微笑み去っていく。
「ボディガード?何を言ってんだあの女…やはり、、危険だ。」
マサキはこの手袋の重大さをまだ知らなかった。そして、覚悟もなかった。
…
それから数日が経ちマサキは親友とランチを食べていた。
「なるほど、で、それからその女は?」
「何も変わらず。これといって危害を加えることはしてない。」
「謎だなぁ。それより、その手袋から本当に氷や電流が流れたのか?」
「信じられないだろうけど、本当だよ。この手袋から氷がな。」
「じゃあさ、今出してみてよ。」
「それがな、家で一人で色々試してみるけど出ないんだよ。」
親友は目を細める。
「やめろそんな目で俺を見るなハゲ。」
「はげてねーし‼︎」
マサキは手袋をはめてみる。
「多分発動条件があるんだよ。」
親友はジュースを飲み干し立ち上がる。
「なら、今日中にその発動条件とやらを見つけ出そう!」
「お前ならそう言うと思ったよ、じゃ、人気のないところに行くか。」
「っとなると、あそこしかないな。」
親友のテンションがあがっている。マサキと親友は小さい頃からよく行く秘密の河川敷へと向かう。