前後編と言っておきながら、次回に話を持ち込むことにしました。
長々と話を書いてると修正したい部分がどんどん出てきてしまう…。
なので今回は本編短め+おまけということで。
それでは暇つぶしにでもどうぞ。
霧が晴れてそびえ立っている校舎の玄関に入り〝入校許可証″をもらう。
ここにいる生徒の大半は高い入学金と授業料を払えるお金持ちの家が多いため、その手の悪い人から狙われやすい。
ポケモンを持っているとは言え、年若い生徒たちを危険を負わせたらお金持ちの親から苦情が殺到して運営も危うくなるだろう。
そういったことのため、このゼミに入るには〝入門許可証”がいるのだ。
そう説明しながら、校舎内の案内をしているジュンに付いていく俺たち。
やがて『トレーニング室』と書かれた部屋に着いた。
「いつもここでセイヨさんは自主練習してるんです」
「………ゲームセンター…?」
部屋に入って第一声の感想がこれだった。
「セイヨさんを納得させるならポケモンバトルで勝たないと意味がないよ。
ここはポケモンバトルの実力が物を言うんだから」
「……ここで、自主練?」
奥にポケモンバトルを行うフィールドがあるが、それ以外はゲームセンターに置かれてそうな筺体ばかりが置いてある。
もしくは自動車の教習所に置かれてる筺体か。
「これなに?」
「僕たちはこのシミュレーションで自主練しているんです」
そういって一台の筺体の前に腰を掛けて電源を入れる。
しばらくすると画面に『ゲンガー』と『ニドリーノ』の闘っている映像が映り、
(………あれ?)
その映像が終わると『ポケットモンスター 学』というタイトルが表れてゲームが開始される。
ボタン操作で『つづきからはじめる』を選択。
そして8bitクラスのドット絵が映され、十宇キーはなくスティックでキャラクターを移動させている。
「………って、なんでやねん!!」
「イタッ!? え、なんですか!? なんで僕叩かれてるの!?」
「なんだよ『つづきからはじめる』って!? なんだよ『ポケットモンスター 学』って!? なんだよこのドット!? ほかにも色々ツッコミたいけどなんだよコレ!!」
「え、いやだから……これで自主練を」
「おかしいだろ!! なにがおかしいってなにもかもおかしいよ!! ツッコミ所が多すぎてどこからつっこめばいいかわからん!!」
ここまで感情を高ぶらせたことがあっただろうかと訝しむカスミ、呆然。
叩かれたジュンもあまりのテンションの高さに付いていけず、呆然。
尋常でないシゲルを止めるためにカスミのメガトンパンチ。――――静かになった。
「え~と、これでアナタはいつも練習してるの?」
「え、ええ、まぁ。大体みんなこのシミュレーションで練習しているんだ」
「へぇ~。けど、これで練習になったりするの?」
「もちろん。これにはカントー地方のジムリーダーのデータが入ってるんだ。ほらこれ」
画面に映っているキャラクターを動かしどこかの施設へ入るとなにやらバトルが始まった。
お相手はハナダジム・ジムリーダーと映っている。
「僕はだってバッジ2個以上の実力を持ってるからね。いつも勝ってるんだ」
ほらね、と画面でバトルをしているのはスターミーとウツドン。
ボタンを操作し、はっぱカッタ―をウツドンに指示。
スターミーが倒れる。
「なによこれ!?」
「なにって、僕だってバッジ2個分の実力はあるからね」
「冗談じゃないわよ! ハナダジムがこんな弱いわけないでしょ! シミュレーションはシミュレーション、アタシはアタシ!」
「え、君ってハナダジムのジムリーダー?」
「ハナダジム美人4姉妹の末っ子よ! ついこの間のジム戦もアタシが受けたんだから!」
「へ~、けど僕だっていつもこのシミュレーションで勝ってるんだ」
「上等じゃない! 実際に闘ってみようじゃないの!!」
「なら向こうにフィールドがあるんだ。負けないよ」
慌ただしく、当初の目的を完全に忘れている二人がポケモンバトルを行うためにフィールドへ向かっていく。
そんな二人を静観し、われ関せずの姿勢を崩さない一人の男。
「……スティックでキャラクター動かすの難しいなぁ。おお、Bボタン押しながら移動しても走らない! 初期の方のバージョンだな。せっかくのゲームなんだし、最初はフシギダネを選んで……あ、あぶね、遂レポートするところだった」
周りの空気なんて知ったこっちゃないと思わんばかりにメガトンパンチから復帰し、筺体の前に座ってシミュレーションを楽しんでいるシゲル。
気分は久々にゲームを初めからしたくなるゲーマー、誰もが経験はある『最初からプレイ』。
「ゲーセンの筺体でポケモンが出来るとは。ゲームの世界でゲームするってのも変な気分だけど」
などと言いつつ、スティックでキャラクターを操作ながらゲームに没頭する主人公。
向こうで相性悪いはずのウツドンを一方的にボコって最近の扱いの悪さの鬱憤を晴らすカスミ。
吹き飛んでいくウツドンを見ながら絶望の雄たけびを上げているジュン。
レポートされそうになった、危うし見知らぬ生徒のセーブデータ。
協調性がない面子だった。
◇◇◇
「…それで、あれから落ち着いた…」
『はい、ご迷惑をお掛けしました』
数日前の電話から、様子を見るために友人である彼女、エリカに再び連絡をとったナツメ。前の電話では、正直彼女の狼狽っぷりとあまりにもぶっ飛んだ話題に疲れたので少し投げやり気味に電話をこちらから切ったのだが…。後々思い出すとその後とんでもないことを仕出かすのではないかと不安になり、こうして電話をした。
幸い、画面に映る彼女からは少なくとも負の感情は感じられない。自分を落ち着かせ、心にも整理が出来ているようで安心した。
『念のため、ナナミさんに連絡を入れて仔細を伺ったのですが、どうやら私の懸念だったようです』
「……そう、ナナミさんに」
…まぁ、それで落ち着いたのなら良しとしよう。
シゲルの姉であるナナミさんに確認したのならば安心もするだろう。
覗きで得た情報を相手の家族にバラして大丈夫かなぁ、と思いもしないが。
「……一応確認して置きたいんだけど、……どんな風に聞いたの?」
『シゲルさんは異性との遊びに盛んなのかと』
「……聞くんじゃなかった」
…よりによってなんて聞き方をしているのだろうか。明らかに相手の家族を不安にさせる聞き方だ。
「……それで、なんて答えられたの?」
『旅に出ながらそんな遊びが出来るほどあの子は器用じゃない、と』
「……聞くんじゃなかった」
…あまりにもシビアで現実的な意見。確かに家族であるナナミさんなら弟のそういった事を分かるかもしれないが…。だとしても答えに優しさが全く無いような。
「……それで、納得して落ち着いたアナタもけっこうひどいような」
「? すいません、聞き取れなかったのですが」
「…なんでもないわ」
まぁ、この友人はシゲルとの付き合いが長いから納得するところが合ったのかもしれない。
あまりとやかく言っても意味もないようだし。
『そういえば、ナナミさんに電話した時、少し前にシゲルさんからも電話があったようです』
「…そう、シゲルもホームシックにでもなったのかしら」
『いえ、なんでもポケモンに出来るだけダメージを与えずゲットすることは出来ないか、と』
「? ……ポケモンバトルでダメージを与えずにゲットしたいということ?」
『いえ、モンスターボールでダメージを与えずに、と。私も意味がわからなかったのですが』
「……………ポケモンにまで被害を与えてるとは」
『ナツメさん? どうされました、額に手を当てて』
思い出されるのは彼との初めての邂逅。いや、邂逅と言えるのかもわからない。
何か理由があったのか、今思い出してもわからない。ただ、いきなりこちらへと投げられた剛速球。訳もわからず私へ向かってきたボールに驚くよりも早くボールは私に当たった。いや、正確には私の持っていた人形に。完全に殺人級の球速だった。
首から上が文字通り吹き飛び、無残になった人形にSAN値が一気に減ったものだ。その後、彼に詰め寄り色々文句を言ってやったのが彼との出会いだった気がする。
そういえば、あの後人形がどこにいったのかまるで消えたかのように私の前からなくなってしまった。両親が捨てたのかと思ったが、彼に詰め寄り怒りを露わにした私を見ながら驚いて固まっていた両親が捨てたとは考えにくい。
あの人形はどこにいったのだろう?
『ナツメさん?』
「……なんでもないわ、考え事をしていただけ」
『? そうですか。あの、申し訳ありませんが私、これからジム戦がありますのでこれで』
「…ええ、ごめんなさい。長々と電話してしまって」
『いえ、全くかまいません。私もナツメさんと話そうと思っていましたから。それでは失礼します』
手を振りながら笑顔で電話を終えた彼女が画面から消える。こういった礼儀正しく明るい表情が彼女の常なのだ。…最近はやたら暴走することが多くてこんな別れ方を久しく見なかったが。
友人との会話を終えて部屋を見回す。もしかしたらあの人形があるのではないか、と。けれどもやはり見つけることはなく。
そういえばあの人形はいつから持っていたんだっけ…?
◆◆◆登場人物紹介◆◆◆
◆ナナミ
遂に名前が出た本編最チートキャラ。
シゲルの姉であり、シゲルの師であり、シゲルの恐怖の対象。
アニメでは名前のみしかわからず、どんな容姿かも不明。
ゲームではポケモンのなつき度を上げてくれるキャラクターだったが…。
このssではシゲルの基礎ポイントを上げてくれるキャラクター。
このssで屈指のキャラ崩壊がすごい人。(容姿・性格が元々不明なためキャラ崩壊というよりもキャラ設定というのかもしれない)
今更ながらポケモンのssなのに、ここまでポケモンが出ないのもどうかなぁ~と思ってたり。
ただポケモン出すと鳴き声の表現が難しくて……。
出すのを控えざるを得ないというか……。
とりあえず次回もこの話の続きを書きます。
更新速度は相変わらず期待出来ませんが次回もよろしくお願いします。ノシ