今回は読み切りみたいな感じにしたかったんですけど、もうすこし続けます。
話的には一気に飛んだ感じですけど…。
とにかく暇つぶしにでもどうぞ。
「ゴローン! 『じばく』!!」
「ッ!!」
ジム内で一際大きい爆音が響き渡る。
光と音が終わると、爆風と砂埃が起こり、視界が塞がれる。
少しずつ視界が戻ってくると、やがて2体のポケモンが見えてくる。しかし、砂埃が舞う中、ぼやけて状態が確認出来ない。
対面のジムリーダーも同じだろう。固唾を飲んで目を凝らしている。
そして、少しずつ視界が広がった先には、2体のポケモンが倒れ伏していた。
『じばく』したゴローンと、―――至近距離でモロに喰らった、ライチュウが…。
「ライチュウ! ゴローン! 共に戦闘不能!! よって勝者、マサラタウン・シゲル!!」
「Oh!! No~~~~~~!!」
試合終了の宣言と共に、野太くも流暢な英語がジム内に響き渡った。
現在クチバシティのクチバジム内。そしてクチバジムのジム戦を攻略したシゲルであった。
◇◇◇
「クレイジーなバトルだったぜ、ボーイ! ここまで思い切りの良いバトルは久しぶりだ!」
「どうも。マチスさんもかなりアグレッシブな闘い方で驚きましたよ」
握手をしながらお互いを讃える。ゴローン相手に『メガトンパンチ』を繰り出すライチュウに「なんて命知らずな!?」ということで驚いていたのだが。
「けど、こう言っては失礼かもしれませんけど…。なんで『でんきタイプ』のジムリーダーなんですか? 随分立派な体格をなさっているので『かくとうタイプ』のジムリーダーもありなのでは?」
「HAHAHA、確かに軍人は体が資本だが、軍に所属していたものは全員『でんきタイプ』のポケモンを所持しているのさ!」
「?……そうなんですか?」
「Sure! いざという時は『AED』の代わりになるからさ!」
(自動体外式除細動器、電気心臓マッサージ)
「………なるほど」
思わず納得してしまった。
「これがジムバッジだ。受け取ってくれ!」
「はい、ありがとうございます」
胸ポケットから出されたバッジを受け取り、バッジケースにしまう。
これで3つ目。順調にバッジが集まっていると内心でガッツポーズ。
この調子ならばポケモンリーグ参加も難しくはない。
「それでは、これで失礼します。ジム戦ありがとうございました」
「痺れるようなバトルがしたければいつでも来てくれ! 歓迎ずるぜ!」
「はい、機会があれば」
「次のジム戦も頑張れよ! Good bye! ボンバーマン!!」
(………そのあだ名はやめてほしい)
◇◇◇
「お待ちどうさま。お預かりしたポケモンはみんな元気になりましたよ」
「どうも」
ジム戦を終え、ポケモンセンターでポケモンを回復。それと遅めの昼食。
ポケモンフードをもらい、手持ちのポケモンにも遅めの昼食。
お昼時が少しずれているおかげか、席は問題無く確保出来た。
「おまえらおつかれさん。飯の時間だぞ~」
手持ちの4体全員を出して、席に着いて食事。今日はカツカレー也。
「ここでカスミが居たら対面にオムライスを食しながらお前の尻尾をいじってるんだが…、よかったなイーブイ。お前の今日のランチタイムは平和だぞ」
「ブイ!」
現在カスミはここにいない。
別に旅の道中で別れた訳ではなく、このクチバシティの港に停まっている『サントアンヌ号』を見に行っているためである。
クチバシティに着いてすぐに、ポケモンセンターに貼ってあったポスター。『現在サントアンヌ号停泊中、船内見学ご自由にどうぞ』という内容にカスミは真っ先に喰いついた。
「アタシ絶対見たい! シゲルも行きましょ!」
と、誘われたが正直あまり興味がなかったため辞退した。
ジム戦を優先したいのもあったが、船の中に入ったら絶対他のトレーナーからバトルを挑まれて時間がかかって、今日中にジム戦が出来るどうかが分からなくなりそうでもあったし。
とはいえ、案の定ふて腐れて一人で見に行ったカスミには申し訳無かったが……今度なんか埋め合わせしとこ。
「というわけでイーブイ。カスミの埋め合わせを手伝ってくれ。具体的には進化直前に尻尾の毛を抜いてネックウォーマーを作る感じで」
「ブイ!?」
「大丈夫大丈夫。進化すればきっと毛は生え治ってるから……たぶん」
「ブイ! ブイ!!」
「大丈夫大丈夫。シャワーズに進化すれば尻尾が尾ヒレみたいなるから毛なんか気にしなくなるって……おそらく」
「ブイ~~~!?」
「ブースターやサンダースに進化しても……きっと生えてるって。……待て待て、冗談だ逃げるな」
カスミが居なくてもなにかと話題に事欠かない面子と会話(鳴き声)を続けながら昼飯を消化。
あとはカスミが帰ってくるのを待つまで時間を潰すのだが。
ジム戦が思いの外スムーズに終わったのですることが無い。
「……フレンドリィショップに行っても買うものないしなぁ」
必要な『どうぐ』は揃っている。
このクチバシティに着くまでの道中、特に消費した道具はなく、モンスターボールも補充する必要はなかった。あまり持ちすぎてもバッグの中が膨らんでかさばるので精々5~6個ほどのストックで十分。
しかし、どこにも行かないとなると本当に暇な訳で……。
「……よし、久しぶりにお前らの手入れでもするか。イーブイ、こっち来な」
「…ブイ~」
「……警戒するなって。毛は抜かないから」
しぶしぶだったが、ピョンって効果音が付きそうな軽快なジャンプで膝に着地。
体を丸めて尻尾をふりふり。『なつき』が上がる毛づくろいを嫌がるポケモンはそういない。
どうやら今日は尻尾をブラッシングして欲しいようだ。
「むぅ……進化はしてほしいんだが、そうなったらこの尻尾の手入れも出来なくなるのか…」
このふさふさの尻尾は気に入ってるんだけどなぁ。
シャワーズに進化したらどこを手入れすればいいんだろ? 尾ヒレを磨くとか? …わからん。
「そういやお前の意見とか聞いてなかったな。お前はなんか希望とかあるかイーブイ?」
「ブイ! ブイ!」
「……ブイブイ言われてもわからんな。……ん? なにテレビ?」
「あれ! あれ!」という意思表示か、前足をテレビに向けて催促。ポケモンセンターの奥の方にある大画面のテレビには現在ポケモンバトルの中継がされていた。
「バトルしてるのは……ゲンガーとケンタロス…。いや、俺はお前の進化形について聞いてるんだけど。……え、違う? ポケモンじゃない? なにを見ろって?」
「ブイ!」
再び「あれ!」と催促するように前足を指す。テレビにはゲンガーとケンタロスがやり合っている。
『ここでケンタロスが攻勢に移りました! 『はかいこうせん』が放たれます!! だがしかし、ゲンガーの体を通り過ぎてしまったぁ!!』
「……ゴーストタイプに『はかいこうせん』を打つとは……。あぁ、ポケモン講座のテレビか」
「ブイ~! ブイ~!」
「いや、あれ見せられてもわからないんだけど…」
「ブ~~イ!」
「……どうした口を大きく開けて、歯でも磨いてほしいのか。――違う? ジェスチャー? 口を開けて、ゆっくり首を振る? ……なにがしたいのお前」
「ブ~~イ!」
「……さっきと同じことされてもな。―――え、テレビの奴? 口を開けて、首を振る…。 振ってるんじゃなくて……動かす。 ああ! なぎ払ってるのか! ……なにを?」
「ブイ!!」
「あれ! って言われてもな。さっきのテレビの……もしかして『はかいこうせん』?」
「ブイ!」
「―――『はかいこうせん』で相手をなぎ払いたいってこと?」
「ブイ!!」
「―――そんな子に育てた覚えはありません!!」
「ブイ!?」
どこぞの教育ママのような口調が思わず出てきたが、そんなこと関係ねぇ、とイーブイを向き合わせて座らせる。正面に向きあい珍しく真面目な顔でイーブイの目を見る。
「いいか、イーブイ。『わざ』を見かけや威力で判断しちゃいけない。見た目の派手さや名前のカッコよさだけで『わざ』を覚えるのはアマチュアどころかビギナーのすることだ」
「……ブイ」
「オレにもそういう時期があった。『はかいこうせん』が威力高いから最強とか、ひこうタイプの『そらをとぶ』が相手の攻撃も避けれて最強とか、なぜロクに羽の無いドードリオが覚えれてリザードンが『そらをとぶ』を覚えられないとか………コレは関係ないか。―――とにかくそんな時期がオレにもあった」
「……ブイ」「……カゲ」
「だがしかし! それが間違いだと気付くときは大抵相手にボコボコにされて負けるときなんだ! 『はかいこうせん』を耐えられて『じこさいせい』であっという間に回復されたり、『そらをとぶ』で相手にポケモン交換の隙を与えたり、ほのおタイプの特殊わざより『きりさく』や『じしん』の方が使い勝手が良かったリザードンとか………コレは関係ないか。―――とにかくそんな時がオレにもあった」
「……ブイ」「……カゲ」
「つまり! 何が言いたいかというとイーブイ! お前は『はかいこうせん』を覚える必要はありません!」
「ブイ!?」
「そしてそこで一緒に聞いてるヒトカゲ! お前も『そらをとぶ』を覚える必要はありません!」
「カゲ!?」
「―――というかリザードンになったら羽が生えて飛べるようになってるから、わざわざ覚える必要がないはずだ!」
「カゲ!?」「ブイ~~~! ブイ~~~~!」
「こら! 駄々をこねるなイーブイ! 大体お前の進化形は『でんき』・『みず』・『ほのお』タイプでタイプ不一致の『はかいこうせん』を撃っても大した威力は出ないの! それよりも『かみなり』とか『ハイドロポンプ』とか『だいもんじ』を撃ちなさい!」
「ブイ~~~!!」
「あんまりわがままを言うと姉さんのところに預けて鍛えてもらいますからね!!」
「…………………ブイ」
………おとなしくなった。………そんなに嫌だったのか、タイヤ付き『でんこうせっか』もどき。………まぁ、嫌だろうな。
「さぁ、この話しはここまでだ。ニドリーナおいで。爪を磨いてやるから」
「ニド♪」
しょんぼりしたイーブイを降ろして、ニドリーナを足に乗せる。
バッグからヤスリを取り出して、足を手に取り爪を磨く。あまり伸び過ぎると走っている時に引っかかったりするらしく定期的に手入れをしなければいけなかったりするのだ。
「―――待てよ。いっそ思いっきり……鋭角30度ぐらいまで削ったら『ひっかく』が『きりさく』になったりするんじゃ…。よし、やってみるか」
「ニド!?」
「―――なぁ、アンタちょっといいか?」
「……はい?」
周りに人がいないから声を掛けたのは自分だと判断して声のした方へ。
じたばたしていたニドリーナをなだめて、聞きなれない声に振り向く。
視界に入ったのは一人の女の子。白髪というべきか銀髪というべきか…ショートの見慣れない髪に、これまた見慣れない色の迷彩がらの服を来ている女の子がこちらの様子を伺っていた。
「なぁなぁ、アンタってポケモントレーナーだよな?」
「ええ、まぁ。見ての通りですけど」
この通り、と抱えていたニドリーナを相手に向ける。
「やっぱり! それでさ、アンタ『どく』タイプのポケモンとか持ってたりする?」
「?……こいつはどくタイプですけど」
「ニド?」
「こいつが!? うわ~~こっち来て初めて見た! ちょっと触らせてくれよ!」
「はぁ、どうぞ」
「サンキュー! うわ、けっこうやわらかい! なんかふにふにしてる!」
(―――なんか、ここまで新鮮な反応されるのも意外だな)
ニドリーナなんてけっこう見慣れてるポケモンのはずなんだが。
野生でも出てくるし、ニドランはゲットしやすいからトレーナーもそこそこ使ってるポケモンでもある。
「なぁなぁ、ちょっと抱っこさせてくれないか! こいつけっこう温かいしさ!」
「かまいませんけど…。どうぞ」
「サンキュー!! ―――重っ!?」
……おもさ20キロは流石に重かったか。
「っ…ぐぐ、ちょ…ちょっと無理…。悪い…取ってくんね…」
「…流石に女の子には無理だったか。ほらニドリーナ、おいで」
必死にニドリーナを持って踏ん張ってる女の子から再びニドリーナを持ち直す。
完全に荷物扱いされてるニドリーナはちょっと不機嫌のようだった。
◆◆◆用語説明◆◆◆
『AED』
注:ゲーム設定ではありません
本文にもあるように電気で心臓をビクンビクンさせて相手を起こす道具。
病院だけでなく、最近はどこにでも置いてある救命装置。ただし正常な人には間違っても使ってはいけません。
用法・用途を正しく理解して使いましょう。
某FPSゲーム(オンラインゲーム)ではこれ一発でミンチになってようが蜂の巣にされてようが一発で復活できる―――ある意味最強兵器。
『はかいこうせん』
ご存じ、初代ポケモンから伝統のノーマルタイプ高威力こうげき。
威力だけ見れば今でもトップクラスの威力。ただし、一発撃つと反動で次のターン行動不能になるため用法・用途を理解して正しく使いましょう。
一部では『ロマン砲』とも呼ばれたりする。
『タイプ不一致』
ポケモンバトルに於いて必須とも言える威力上昇に関係すること。
『わざ』のタイプと使用したポケモンのタイプが同じ場合『わざ』の威力が1.5倍になる。
例:ポリゴン――『はかいこうせん』――1.5倍
サンダース――『かみなり』――1.5倍
シャワーズ――『れいとうビーム』――1.0倍(威力変わらず)
さて次の更新はいつになることやら…。
自分で言ってるあたり既に駄目になってる駄目作者でスイマセン。
今回は完全オリジナルな展開ですね。
まぁ、思いついた小話みたいな感じなんでそこまで掘り下げたりしませんけど…。
次の話で謎の女の子正体が!? ………わかる人はわかりそうですね。
では相変わらず更新速度は期待出来ませんがごゆるりとお待ちください。ノシ