なんとかマサラ人   作:コックリ

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はい、お久しぶりです。

前回から、なんとかモチベーションを上げようと
最近のポケモンを見ていたら、違う方向へモチベーションが行って、今回のような
話になりました。

正直、「ifだからフリーダム!」みたいなこと考えながら執筆したので、
いつも以上にフリーダムな内容になってます。そしていつもより会話多すぎの文章。

まぁ、たまにはこういうのも良いかなと軽い気持ちで執筆したので深く考えずにお読みください。
特にこれの続編も予定してませんので……。

では暇つぶしにでもどうぞ。


another マスターマサラ人

 

 

 

「……うぅ………ここ、どこ~~」

 

 

 日差しが強く、木々が生い茂る森の中、麦わら帽子をかぶった一人の少女がとぼとぼと歩いていた。周囲に他の人影は無い。泣き腫らした目と頬に伝う涙がその少女の境遇を明確にしていた。

 

 

「みんな~~、みんな、どこ~~~!?」

 

 

 迷子であった。

 

 

「うぅ……痛いよう……グス」

 

 

 どこかで転んだのであろうか、膝は皮を擦りむき血がにじんでいた。

 

 

「ひっく………だから、キャンプなんか、行きたくなかったのに……」

 

 

 泣き顔ながら今の状況になった元凶に愚痴る。自分の意志では無く親により参加させられたこの『ポケモンサマーキャンプ』のせいでこんな迷子になってしまったのだ。迷子になったのは自分の行動のせいだと考え付かないのは子供なのだから仕方もないだろう。

 

 

「…………ぅぅぅ………ママ~~~~~~~!!」

 

 

 愚痴りながらも、この寂しさを癒してくれる存在に大声で助けを求める。自分はここにいるのだと、助けに来てくれと、大声で伝えようとする。

 

 

「ひっ!?」

 

 

 そんな声に応えるかのようにガサガサと近くの茂みが揺れる。決して大きくない茂みの揺れに小さな少女の心は恐怖で一杯になる。

 足がすくみ、ペタンと尻もちを付いてしまう。ガサガサと段々近づいてくるナニカから少しでも逃げようと必死に手を動かす。が、震える手では力が入らないのだろう。その場を離れることが出来ず。

 

 

「ぁ…ぁぁ」

 

 

 ―――そして、

 

 

「ゲフォッ!!」

 

「いや~~~~~~~~~~っ!! サダコ~~~~~~~!!」

 

「ゲホッ! ゴホッ! ゴホッ! ………………ペッ! ぐっ………水、飲みすぎた……オェ」

 

「あぅ………ぁ………ぅ」

 

「ん?」

 

「…………ぁ」

 

「え~と」

 

「………………サダコの……子」

 

「どちらさん?」

 

「……………………きゅ~」

 

「サダコ? ………あ、藻がついたままだった」

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

「………んん」

 

「お、目が覚めたかな」

 

 

(――男の子の声?)

 

 

 まだ眠いのに、と睡魔の誘惑に負けそうな瞼を引きとめたのはいつも起こしに来てくれるママや『つつく』で攻撃的に起こしてくれるポケモンでも無く聞き慣れない男の子の声だった。

 ゆっくりと目を開けるといつもの私の天井………ではなく、晴れやかな太陽。お昼過ぎの温かい風を感じる。

 

 

「………ここ、どこ?」

 

「ここ? ここは『ポケモンヒートエンドキャンプ』の中だけど。……というか君はこんなところでどうしたの?」

 

 

 聞き慣れない単語の意味が分からない。

 体を起こし先ほどから聞こえてきた方へ顔を向けると、草むらに座っている一人の男の子が居た。たぶん私と同い年ぐらい。

 

 

「もしも~し、オレの言ってることわかる?」

 

「え……あ、ごめんなさい。……えっと」

 

 

 目の前で手の平をブラブラされて少しびっくりした。状況がわからず混乱して、上手く言葉に出来ない。

 

 

「まずは落ち着いて状況を確認しようか。君はどうしてあんなところにいたの?」

 

「え……と、私、ママから『ポケモンサマーキャンプ』に連れていかれて……」

 

「ああ、それなら塀の向こうでやってるよ」

 

 

 ……牢屋?

 

 

「………それから、みんなと森の中に入って……たくさん歩いて……みんなが居なくなって……」

 

「たぶん、それは君の方から迷子になったんじゃないかな」

 

「みんな呼んでもこなくて……転んで……足から血が出て……」

 

「お~い、オレのこと見えてる? なんか遠い目をしてるぞ~」

 

「ママを呼んで……誰かが出てきて……ダレカガデテキテ………………ガタガタガタ」

 

「なんかトラウマ思い出してる!? 落ち着いて! あれはオレだから! 川で泳いだときの藻が頭に掛かってただけだから!」

 

「―――ハッ! ここはどこっ! 私は……セレナ!!」

 

 

 男の子に両肩をガクガクと揺らされて意識がハッキリとしてきた。

 そう私の名前はセレナ、カロス地方から船でカントー地方に来て、マサラタウンっていう町のオーキド研究所に行って、ポケモンサマーキャンプっていうので森の中に入って、みんなとはぐれて、

 

 

「え~と、君は―――セレナちゃんだっけ? つまり、迷子になってこんところに迷い込んだんだね」

 

「う、うん。えと、ここはどこ? あなたは?」

 

「さっきも言ったけど、ここは『ポケモンヒートエンドキャンプ』。オレはシゲルっていうんだ」

 

「ひ、ひ~と? えんど? ………その、みんなはどこ?」

 

「それも言ったけど、塀の向こう」

 

「…………ここ、どこ?」

 

「だから、ここは『ポケモンヒートエンドキャンプ』で………」

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

「つまり、ここは『ポケモンサマーキャンプ』のとなりにある『ポケモンヒートエンドキャンプ』ってところ。塀で仕切っているから普通は入ってこれないはずなんだけど、何故かセレナちゃんは入ってきちゃったってわけだね」

 

「じゃあ、みんなは……」

 

「ここには居ないね」

 

 

 お互いの状況を把握するのにけっこうな時間を要したが、なんとか話しを進めることが出来た。

 とはいえ、セレナっていう子はまだ状況に戸惑っているようだが、まぁ無理もないだろう。

 

 

「あの、どうすればみんなのところに戻れるの?

 

「ゴメン、はっきり言って無理」

 

「………え?」

 

「というか、現状は君が思っているよりもさらに悪いんだ。セレナちゃんはサバイバル経験ある?」

 

「サバイバル? ここはキャンプ場じゃないの?」

 

「うん。キャンプはするけど、ここにはキャンプ場はないんだ。ついでに言えば今日の晩御飯もない」

 

「えっと、それじゃ晩御飯は……」

 

「今あるのは……チョコレートぐらいかな。あ、食べる?」

 

「あ、ありがとう。………………苦っ!?」

 

「あ、ゴメン。カロリー補給用だから86%チョコしかないんだ」

 

「……うぐ……なにコレ」

 

 

 流石に吐き出すのは汚いと思ったのか、涙目になりながら無理矢理飲み込むセレナ。彼女は人生で初めて甘くないチョコレートの存在を知った。

 

 

「さて、とりあえずここから移動しようか。長いことここに居ると危ないし」

 

「あ、うん」

 

 

 危ない? と疑問を浮かべながらも差し出されたシゲルの手を取り、立ち上がる。そこで初めて彼女は気づいた。自分の膝に巻かれたハンカチに。

 

 

「このハンカチ……」

 

「ん? ああ、怪我してたみたいだったからね。食糧は無いけど消毒薬ぐらいなら持ってるんだ。けど、あいにく包帯やガーゼは無くてね。それで我慢してもらえるかな」

 

「……うん…ありがとう」

 

 

 簡素なハンカチで覆われた膝を見て、次にセレナを気遣うように見るシゲルの顔を見て少女は仄かに頬を染める。

 お兄ちゃんみたい…、先ほどまでずっと一人ぼっちだったセレナには同世代とはいえ精神的に落ち着いているシゲルがとても頼もしく思えた。

 

 

「とりあえず、ここから先に洞窟があるから今日はそこで寝よう。ただ、そこまで行くのにかなりキツイから、大変だと思うけど頑張ってくれ」

 

「う、うん」

 

「それじゃ、まずは最初にイシツブテ地雷地帯があるから、ほふく前進で進もう。オレが先に進んでイシツブテ撤去をするから、オレの進んだ道だけを進んでくれ」

 

「………え?」

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 以下ダイジェスト

 

 

 

「次はスピアー軍団の森。良く訓練されたスピアーから見つからないように隠密しながら進むんだ。もし見つかったらすぐに川へ飛び込んでやり過ごすように」

 

「うう、服が……砂だらけ」

 

「ただ川に飛び込んでも油断しちゃダメだ。川の主のギャラドスが荒れ狂っているからやり過ごしたらすぐに陸上へ上がって避難するんだ。じゃないとオレたちがアイツの晩御飯になっちまう」

 

「…………」

 

 

 ああ、だから出会った時に藻がついていたんだ……、と現実逃避した少女がいた。

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

「……くしゅんっ! うぅ~~……寒いよぅ」

 

「火を起こすからちょっと待ってて。あ、服乾かさないと風邪ひくぞ。とりあえず服脱いで」

 

「でも替えの服持って無い…」

 

「そこに寝袋があるから包まるしかないな。あっち向いてるからパパッと脱いで寝袋に入って」

 

「う………うん」

 

 

 平然な顔をして服を脱げという同世代の男の子に、自分は女として見られていないと思い密かに落ち込む。帰ったら女子力(・・・)の努力値に全振りを少女は決めた。

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

「………こんな風に寝るの……初めて」

 

「ごめんな狭くて。寝袋が一つしか無いから男としてはセレナちゃんに譲るべきなんだろうけど…。流石に洞窟で布団無しで寝るのは寒くて寒くて」

 

「ううん、それはいいの。その……私こそ、ごめんなさい。迷惑掛けてばかりで」

 

「しょうがないよ。初めてでココは誰だってキツイと思うし。オレは何回もやってるからさ」

 

「ねぇ、何でシゲルはこんなことしてるの?」

 

 

「…………」

 

「…………」

 

「…………ホント、何でだろうね」

 

「…………よしよし」

 

 

 彼とて好きでこんなところに居るのではないのだと感じ取ったセレナ。遠い目をしている精神的に年上の男の子の頭をなぐさめるように撫でる。母性と親近感が湧いた。

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

「ああ、おはようセレナちゃん」

 

「……んん。……ここどこ? あなただれ?」

 

「とりあえず、近くの川で顔洗ってきたら。ほら、あっち」

 

「ん~~~~」

 

「川沿いでボ~っとしてるとギャラドスが捕食してくるから気をつけろよ~」

 

「ん~~~~」

 

 

 

 

 

 ――――――――――――GYAAAAaaaaaaaaaaaaaaaa!!

 

 

「イヤ~~~~~~~~!?」

 

 

 強烈な朝の挨拶をもらったようだ。

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

「ハァ…ハァ…ハァ…―――グス」

 

「ほら、もう大丈夫だから。泣かない泣かない」

 

「うぅ~~~~、食べ…られる…グス…思っ…」

 

「よしよし。もうギャラドスはいないから泣きやんで。ほら、朝ごはんにしよう」

 

「グシュ………朝、ごはん?」

 

「チョコレート食べる?」

 

「甘いの?」

 

「苦いの」

 

「苦いのは……イヤ」

 

 

「なら他のにしよう。さっきそこでパラスからもぎ取ったキノコとナゾノクサの葉を引きちぎってきたから火を通して食べよう。塩分補給用に食塩は持ってるから味はあるよ」

 

 

「…………チョコレートでいい」

 

(―――ママ、今までピーマンやニンジンを残してゴメンなさい)

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

「おつかれさん。なんとか今日は乗り切れて良かったな」

 

「ひぐっ………ぅぅ………お家、帰りたい…お風呂、入りたい……ごはん、食べたい」

 

「……まぁ、こういう風になるわな。よし、お湯沸かしたから髪を濯げるよ。体も拭いてさっぱりしよう」

 

「……シャンプーとせっけんは?」

 

「うん、もちろん無いよ」

 

「うぅ~~~、もういや~~~~~っ!! こんなとこ、いや~~~~~~っ!!」

 

「うん、オレも正直言えばこんなとこイヤだけど、出られないから色々我慢するしかなくてね。ほら、オレが髪濯いであげるから泣きやんで」

 

「や~~~~~っ! や~~~~~~っ!」

 

「よしよし、よしよし」

(ポケモンが寄ってきませんようにっ!! ポケモンが寄ってきませんようにっ!!)

 

 

 生活の不安と今までの癇癪を爆発させた少女の頭を撫でながらあやすシゲルの内心は少女以上に内心不安であった。なぜならここは洞窟内。逃げられない。

 

 

「よしよし、よしよし、お~よしよし」

 

 

 ナデポなんてものは存在しない。

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

「はぐはぐ……もぐもぐ……ん~~」

 

「そんなに慌てて食べるとのど詰まらせるぞ。 ほい、水」

 

「ん~~~……ふぅ、 タマゴおいしい~~~~!」

 

「それは何より。運よく手に入って良かったよ」

(何のタマゴか知らないけど………まぁ、火を通せば大丈夫か)

 

 

 チョコレート(甘くない)をかじるシゲルと満面の笑顔でタマゴを頬張るセレナ。先ほどの癇癪はタマゴのお陰で綺麗に吹き飛んだ。セレナからすれば、ここしばらくの食事の訳の分からないキノコや雑草と比較出来ないほどの豪華な食事に思える。ゆでタマゴに塩を付けるだけで最高の食事なのだ。

 

 

「むぐむぐ、……………ごちそうさま!」

 

「よく食べれたね。ゆでタマゴ4個は流石にキツイと思ったんだけど」

 

「だって、今度いつタマゴ食べれるかわからないもん。変なキノコも変な草も甘くないチョコもイヤ!」

 

「まぁ、そうだな」

 

「シゲルは甘くないチョコ好きなんて変だよ」

 

「いや、オレも別にコレが好きなわけじゃいぞ。効率考えてコレを食べてるだけで、出来ればオレも市販の甘いチョコを食べたい」

 

「そうなの? でもずっと変なキノコや変な草やそればっかり食べてる」

 

「まぁ、今はこれしかないからね」

 

「………シゲル、タマゴは?」

 

「……あ~、あんまり気にしなくていいよ。慣れればチョコも甘く感じるし、キノコも嫌いじゃないし」

 

「………ゴメンなさい」

 

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

―――3日後

 

 

「ねぇシゲル」

 

「んん? どうした」

 

「……いつになったら、お家に帰れるの?」 

 

「あ、言ってなかったっけ。明日にここから西の方に行けばこのキャンプから出られるようになってるんだ。ここはエスパーポケモンの『ねんりき』を結界みたいにして出られないようなってるけど、明後日には一部の所にねんりきが無くなって出られるようになるんだよ」

 

「……明日。そっか、明日には帰れるんだ」

 

「セレナはカロス地方だっけ。まぁ、ここから出てもカロス地方に行くには少し時間が掛かるけど」

 

 

 行動を共にしてすっかり打ち解けた二人。ちゃん(・・・)付けも無くなり、お互い良い意味で遠慮が無くなってきた。

 

 

「明日の朝は適当に鶏の巣でも見つけてタマゴでも見つけてくるよ」

 

「じゃあ、私は火を起こしておくね。あと、川から水汲んでくる」

 

「ん、頼む。セレナがいてくれて、ここのサバイバルだいぶ助かってるよ」

 

「えへへ」

 

「それじゃ、もう寝よう。おやすみ」

 

「うん、おやすみシゲル」

 

 

 肌寒い洞窟の中、一つの寝袋で眠る二人。そしてシゲルの方へ身を寄せて、くっつきながら目を閉じる。

 

 この数日で抵抗もなく一つの寝袋で寝れるようになったセレナ。

 

 明日には帰れるという喜びと、もう終わりなのだと小さな寂しさを感じながら眠りについた。

 

 

 こうしてセレナのデンジャラスなキャンプは無事(?)終了した。

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

「うぅ~~~、ピーマンもニンジンもおいしいよ~」

 

「そ、そぅ」

 

「ちゃんと味も付いている……、おいしい~」

 

 

 カントーへ送り出すのは母親としてもやはり不安だったが、将来のためにと心を鬼にして送り出した愛娘。数日して無事帰ってきたことは何よりも喜ばしいことだった。加えて、帰って来て泣きながら縋りついてくる娘は母としてなんとも愛おしい。

 そんな娘にささやかなご褒美として、

 

「好きな夕食を作って上げる!」

 

 と、言ってあげたら

 

「味のついたピーマンとニンジン!!」

 

 と、普段残している嫌いな食べ物を要求された。

 

 

「おいしいっ! おいしいよっ! …………グス」

 

 

(………な、泣くほど?)

 

 

 一体何があったのかと不安になる母であった。

 

 




ポケモンのリメイクが11月に発売……!
ようやくルビサファの準伝説が厳選出来そうだぜ……!

なんてことを考えながらポケモンバンクをしようかどうか悩んでいる今日この頃。
そんなことよりも続き書けと言われそうですが、やめられない止まらない。

という訳で今回はアニメXYの話から持ってきました。
相変わらずヒロインがヒロインしてるセレナに正直驚いてます。
そしてこのssでは更なる不幸な過去設定が……。
弄るのがとても楽しいですw

それでは更新速度は相変わらず期待出来ませんが次回もよろしくお願いします。ノシ


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