年始になっても相変わらずバタバタしております。
遂に始まったな、レーティング第二弾!
しかし、未だに全部集まっていないメガストーン!
64BPって高過ぎじゃない!? 前は路上に落ちている石を拾うだけで良かったのに!
などと、理不尽な怒りを募らせる今日この頃な作者です。
やべぇよ、今作のレーティング。XYの時もそうだったが新ポケモン出るたびに環境が一変することに対応出来てねぇ。
そしてRガラガラがレーティング上位に君臨するなんて誰が想像出来ただろうか…。
そしてテッカグヤやミミッキュやテテフに痛い目見てる気がする。
強敵やで……!
スイマセン、ssの内容一切話していませんね。
今回は旅に出る前の前日談みたいな感じです。
では、暇つぶしにでもどうぞ。
トウカシティ、自然と人が触れ合う街。
それなりに大きな街には多くの人が行き交い、いつも明るい雰囲気に包まれている。街の周りには自然が多く毎朝気持ちの良い風を送ってくれている。
そんな中、名称不明の一人の少年はジョギングをしていた。特に焦ることもなくそれなりに余裕のあるペースで街の外周を走っている。
名称不明の理由は少年には記憶がない。1週間前にある事故が起き、その折に記憶喪失に陥っている。
幸いなことに少年は日常的な生活が送れないような酷い状態ではなかった。
言葉も言えるし読み書きも問題ない。目に映る物を理解も出来るし考えもしっかりとしている。
ただ、自分のことに関してだけが一つも思い出すことが出来なかった。
自分が何者なのか、どこから来たのか、何のためにあの場所にいたのか。
少年が持っていたであろう道具にもこれといった痕跡もなく、トレーナーにおいて身分証明書に当たるポケモン図鑑も事故のときに壊れている。
捜索願いも出されていないため、少年についての情報はほとんど無かった。
事故状況から分かったことは少年はそれなりのポケモントレーナーではないかということ。
『すごいきずぐすり』・『かいふくのくすり』・『なんでもなおし』、そしてなぜか大量の各種ボールと木の実とかたいいし、かわらずのいし。
少年のバッグの中に入っていた道具がとても初心者トレーナーが持つ道具ではなかった。
しかしトレーナーならば手持ちのポケモンがいる筈だが、何故か彼はポケモンを持っていない。
そのことが状況をさらに混乱させている要因にもなっている。
身元不明、捜索願いも無し、ポケモンもいない。
その少年については誰もがお手上げといっても良いだろう。
「おはようミツル君。元気そうだね」
「おはようございます。いやぁ、記憶以外は何の問題もありませんよ」
「おはようミツル君、相変わらずよく走るね」
「いやぁ、何故か走ったり体動かさないと不安な気分になってくるんで、何ででしょうね?」
「少しずつ記憶が戻ってきてるんじゃないかな」
「だと良いんですけどね」
朝日が眩しい中、町の人と朗らかに会話をする記憶消失の少年、仮名ミツル。そんな彼は、
(………ああ、朝の風が心地いい。今日もなんて素晴らしい天気なんだろう)
悩みや不安なんぞ全く感じられないクッソいい顔でジョギングをしていやがった。
◇◇◇
娘のハルカが10歳を迎え、ポケモントレーナーとして旅立つこととなった。家を出たときは旅に出ることへの不安もあったが、それ以上に旅を終えて成長しているであろう娘の姿にも期待していた。
落ち着きの無い子ではあるが、素直ないい子に育ってくれたと思っている。将来の夢を見つけるかもしれない、その過程でジムリーダーでもある自分に挑んでくるかもしれない。
旅に出てつらいこともあるだろうが、それでも無事に旅を終えてくるだろう。
そう信じて送り出した娘だったが、まさか数日と経たず戻ってくるとは私を含む家族全員が思わなかっただろう。
今にも泣きそうなハルカ、同伴者にはこの町のジョーイさんとこのホウエン地方で知らない人はいないであろうオダマキ博士。二人の表情には気まずさが窺えた。
そしてハルカと同年代に見える見知らぬ少年。
なぜか驚いた顔をされたが、この少年の事情が我が家に一番の衝撃を与えただろう。
そしてあの時から私たち一家に一人家族が増えることになった。
「おかえりミツル君」
「ただいまです、センリさん。もしかして待ってました?」
「なに、新聞を取りに来たついでにね。相変わらずすごい体力だね、ご近所さんに聞いたけどかなり走り込んでるようだけど」
「そう、ですかね? そこまで長い距離走ってるように感じないんですけど」
そう、この少年がつい最近我が家の一員となったミツル君。ただし本名ではなく、名前がわからないために暫定的に呼んでいる名前であるが。
「体の調子はどうだい、どこか痛むところとかあるかな?」
「いえ、怪我したとこもかさぶたが剥がれてますし、打ち身もほとんど痛みませんよ」
「そうか、なら良かった」
毎日問いかけている彼の状態。
彼がこの家に来て1週間が経っている。
あの日、今はミツルと呼んでいる少年の記憶喪失、その経緯を家族に知らされた時はなんとも居たたまれない空気だっただろう。事故とはいえ一人の少年の人生に多大な影響を与えてしまっているのだから。
家に来るまでに病院にて精密検査などを行ったようだが、そんなすぐに治るモノでもなく、時間経過による様子見といったことしかなかった。
普通そういった患者は病院にて入院するのだが、我が家に連れてきたのは少し事情があった。
私がジムリーダーであること、そして彼がポケモントレーナーであったかもしれないということ。
「そういえばマサトが君を呼んでいたよ。なんでも朝食前にテレビを一緒に見るとか」
「ああ、前にやってたポケモンバトルの再放送を見ようって言ってたんです」
「マサトもすっかり君に懐いているね。もうお兄さんみたいなものじゃないか」
「だと良いんですけどね」
ポケモンを連れていなかったが、事故が起こる前に彼が所有していた道具から彼は旅慣れたポケモントレーナーの可能性がある。ならば彼は各地で旅をしていたかもしれない。となれば各地のジムの戸を叩いたかもしれない。
例えジムリーダーの顔を覚えていなくても、彼の目に移ったジムや町の風景から彼の記憶に影響を与えるかもしれない。そういったことで彼はここへ連れて来られた。
あいにくと私の記憶には彼の顔に覚えはなく、彼もこの場所についての記憶はなかったが。
「ところでハルカちゃんは?」
「もう大丈夫だろう、元気そうだったよ。さっき見に行ったときも顔色が良かったしね。ミツル君も朝食の後で顔を見せに行ってくれるかな、きっと安心する」
「そうですね……なんというかそれについても申し訳なく」
「いやいや、ハルカについてはこちらの方が申し訳なく思ってるよ」
けれど彼を温室に案内し、私のポケモンを見せてみるとおかしなことがわかった。
『このポケモンに見覚えはあるかい?』
この一言から始まった彼のやりとりがおかしかった。
ポケモンの名前はわかるかい?
どんなタイプかわかるかい?
どのポケモンの進化形かわかるかな?
このポケモンの特性は?
etc・・・etc・・・。
彼はポケモンについての知識が豊富だった。
いや、年齢を考えれば異常と言えるかもしれない。
今まで大半の質問にわかりませんと答えることしかなかった彼が饒舌に返答したのはこれが初めてだったようだ。ジョーイさんもオダマキ博士も驚いた表情を浮かべ、ハルカも内容が理解出来ないまでもスラスラと答える彼に目を丸くしていた。
そんなことから彼をポケモンと身近に接しやすいという環境がある我が家に引き取ることにした。オダマキ博士がいる研究所という選択肢もあったが、落ち着いた環境と負い目からくるのか、ハルカの強い願望により決定した。
無論、その負い目は家族である私たちにもあり、彼を迎え入れることにした。
「それじゃ、シャワーお借りします。ハルカちゃんにもあの事を伝えておきます」
「うん、やっぱりハルカは君の記憶喪失にはかなり重く受け止めているようだから、そうした方がいいだろうな。申し訳ないけど、これからもハルカのことを気遣ってくれないかな」
「はい、俺の出来る限り、ですけど」
少し荒れていた呼吸はすっかりと整えられていた。しっかりとした足取りで家に入っていく。
見たところハルカと同い年ぐらいだろうが、受け答えや他人の心情を慮る姿勢はとても同年代とは思い辛い。記憶喪失で不安もあろうに自分よりもハルカのことを気遣ってくれることはとてもありがたかった。彼ならば今後ハルカと一緒に行動しても問題は無いだろう。
「しっかりとした子だ」
この一言が私が彼に抱く印象だ。
◇◇◇
女の子の部屋をノックして相手が返事してもすぐには開けない。病人ならばなおさら。
この家に来て初めて知ったことだと思う。なにをつまらないことを、と思いそうだが、これは女性にとって大切なことらしい。
具体的には身だしなみについて。
病人ならば身だしなみはどうしようもないと思うのだが、髪のセットやら服の皺とか汗臭さとか、とにかく家族以外の異性相手には病人は敏感なのだと、この家の大黒柱の妻であるミツコさんから力説された。
まぁ、記憶喪失で常識も欠落されて思われているのかもしれない。真剣な顔での忠告なので今後は気を付けます、と。
実際に今、部屋の向こうからはドタバタとした音が聞こえてくる。前に部屋に入ったときはそんなに散らかっていなかったと思うのだけれども。髪のセットだろうか? いや、引き出しの音も聞こえたから着替えかもしれないな。別に多少の汗臭さならば気にしないのだけど、これが常識が無いと思われているのだろうか。けれでもそれは個人の許容範囲の問題だと思ったり思わなかったり…。
「……ミ、ミツル、もう大丈夫……かも」
思考の海に溺れかけていると、ドアの向こうから声が掛けられる。どうやら身だしなみは終わったようだった。ここで『かも』と言われると不安に思うのだが、単にこれは彼女の口癖なのだ。
こういう時に言われるとちょっとまどろっこしい。
「それじゃ、失礼します。ハルカちゃん、もう大丈夫?」
「う、うん、もう全然平気だよ。ごめんね、心配掛けちゃって」
部屋に入り彼女が寝ているベッドの傍に座る。
布団から出ているパジャマの皺の無さから見るにどうやら先ほどの時間で着替えたようだ。あの短時間で着替えを終えたということはもう体は問題ないようだ。
「大丈夫そうだね、安心したよ。ミツコさんからもう熱も無いって聞いたけど顔色も良さそうだ」
「うん、昨日の夜から平熱に戻ったの」
「今朝もおかゆを卒業してたみたいだし、食欲も戻った?」
「大丈夫、今朝は普通のご飯をちゃんと食べれるようになったよ」
笑顔の返答から、おかゆ生活の脱却がとてもうれしいのだろう。と言ってもすりおろしリンゴやハチミツレモンやフルーツゼリーとかしっかりと甘いものを要求していたようだが。まぁ、消化の良いものだから問題は無いけど。
「これで私も一緒に旅に行けるようになったかも!」
「ああ、うん……そうだね……」
気まずさというか負い目というか、そんな感情が胸に渦巻く。
実を言うとオレはこれから旅に出る。目的は、特にない。
ただ、記憶を失う前にの自分はどうやらポケモントレーナーだったらしい。それも駆け出しの初心者ではなく、それなりに旅慣れているほどの。
なら記憶を失う前にはなにか目的があって旅をしていたのだろう。体が覚えているのなら、それを回顧しながら記憶が戻るかもしれない。
そんな期待を持ちながら近い内にこの家を出るつもりだ。まぁ、いつも気遣って貰ってる上に、いつまでもタダ喰らいというのも気が引ける。
そんな理由で旅に出ることを決めた。一人のつもりで。
しかし、予定と違い一人の同伴者が出来た。無論、目の前に居るハルカちゃんだ。
深い理由はなくオレに対する負い目だそうだ。記憶喪失の原因が自分にあるため、オレの旅のお手伝いをすると。
基本良い子の同い年の女の子が笑顔で旅に同伴してくれる。
ここだけ取れば何の問題も無く、喜んで頷くだろう。一人旅よりずっと楽しいだろうし、記憶の無い今、心細さもある。
あるんだけど……。
「絶対……絶対に、私がミツルの記憶をなんとかするから!」
「あ、うん」
「困ったことがあったら何でも言って! 私なんでも手伝うから、ミツルの力になるから!」
「あ、はい」
本気と書いてガチと言える顔でオレを見つめてくるハルカちゃん。正直、記憶が無くて人様に迷惑かけるのは気が引けているのだが、自分自身にとってはさほど困っていない。
確かに記憶が戻った方が良いのだが、特に日常生活で困ったことはないし。なんというか妙に心が晴れているのだ。重荷を下ろせたというか、重圧から解放されたというか、とにかくなんか解放された感があって心が軽いのだ。
……なのだがそんなことを知る由も無いハルカちゃんにとっては逆にそのことが重圧となっているようで、
「そんな不安そうな顔しなくても大丈夫だよ。きっとすぐに記憶が戻るかも!」
「……ソウデスネ」
正直、旅の同伴者になる娘の気合の入りように引いてるんですが。
なんというか………重い。
カスミとハルカでえらく対応が違うかって?
ハハハご冗談をwww
……アニメ本編でもそんな感じだった気がするので問題ないよね!
実際アニメではカスミは突っかかる感じで(ツンデレ?)ハルカは精神年齢的にも同年代の友人って感じの立ち位置のようだったのでこんな感じにしています。
記憶が無くなっても精神年齢が上のシゲル(笑)と年相応のハルカと掛け合いは同年代の友人ではなく、年下を宥めるぐらいのイメージで付き合うようにしました。
カスミのように強気でもないから付き合い方もマイルドというか、穏やかというか。
まぁ、最初の方だけで後で色々と壊れていくんだろうけどねw
では、今回はこの辺で、ノシ