インフィニット・ストラトス 黒い鳥降臨 作:禿げ眼鏡(三十路)
5月
その日はIS学園でクラス代表トーナメントが行われようとしていた。
昨年は妨害があった為一回戦で中止、結局専用機持ちのデータ取りだけで終わってしまった。
しかし今年は警備態勢の強化の甲斐あってか、その心配はなかった。
そして・・・
薫子「さぁ皆さんお待たせしました!今年もクラス代表トーナメントの時期がやって参りました!実況は私黛薫子、解説は山田先生の二人でお送りしていきます。山田先生、よろしくお願いします。」
真耶「よろしくお願いします。」
薫子「さて山田先生、今年の試合はどうなると思いますか?」
真耶「そうですね、去年の試合は妨害もあったせいで一回戦で終わりましたけど、今年は警備を強化したおかげでその心配はありませんね。それに今年は二年生の織斑君とオルコットさんの機体が二次移行しましたから、試合も面白くなると思いますよ。」
薫子「で、今年の見所は?」
真耶「やはり二年生代表の専用機持ち4名ですかね。1組のオルコットさん、2組のエクスィステンツ君、3組の織斑君、4組の更識簪さん・・・他にも二年生の専用機持ちもいますが、今回はこの4名ですね。勿論一年生、三年生の試合も見逃せません。」
薫子「今回本選以外にもエクストラマッチというものがあるとお聞きしましたが・・・」
真耶「そうなんですよ。今回は専用機持ちの生徒vs黒鷲隊の皆さんの対決もあるんです。どのような試合運びになるか楽しみですね。」
薫子「ありがとうございました。実況は私黛薫子、解説山田先生でお送り致しました。まもなく試合開始です。」
そして試合は始まった。
まず一年生の部、一回戦第一試合
試合は最初から白熱していた。1組代表の渡辺舞は打鉄、2組代表の九薫(いちじくかおる)はラファール・リヴァイヴを使用していた。
二機とも量産機であるが、両者共に機体の性能を巧く利用して接戦に持ち込んだ。しかし最終的にはラファールを完全に使いこなしていた九薫が勝利を納めた。
続けて一回戦第二試合
3組代表のアメリカ代表候補生ジェニファー・マックスと専用機のラファール・リヴァイヴ・Jカスタムvs4組代表の一条綾と打鉄の試合だったが、一回戦とは逆にパイロットの技量の差でジェニファーが勝利した。
捕捉しておくと、一条綾自身も本番前日まで練習と機体の性能の研究をしていた。だが代表候補生の練度の差はジェニファーの方が圧倒的であった。故にジェニファーに負けてしまった。
しかしジェニファー・マックスは相手を貶すことはせず、一条綾に
「次はもっと強くなって来なさい。貴女は強くなれる、必ずね。」
と言ってピットに戻った。
余談ではあるが、一条綾はジェニファーの男前な性格に惚れてしまったらしい。というより完全に恋する乙女になっていた。
その後インターバルを挟んで二回戦、事実上の決勝戦。
開始から直ぐにジェニファーがラファールで急襲。九薫はジェニファーの急襲と同時に離脱を図るが、ジェニファーのラファール・リヴァイヴ・Jカスタムがマシンガン〈レイン・オブ・サタディ〉で肉薄、距離を詰めにきた。
しかし九薫はそれに負けじと、アサルトライフル〈焔備〉で対抗。そこから銃撃戦からブレードによる近接格闘へと発展していった。
試合を見ていたハインツ達も九薫の的確な状況判断と実行力、ジェニファーの技量と専用機の性能振りに舌を巻くほどだった。
結局試合はジェニファーが辛くも勝利を納めた。近接格闘でのSEの削り合いで僅かにジェニファーの機体の残量が勝敗を分けた。
この大会で活躍したジェニファー以外の生徒代表3名に新造コアを搭載した専用機のパイロットに選ばれるのだが、これは後の話になる。
そして迎えた二年生の部一回戦第一試合
1組代表セシリア・オルコットvs3組代表織斑一夏
ピット内
整備士「白式の整備完了しました!」
整備班長「よーし!直ぐに行かせろ!」
あわただしく動くピット内。機体の整備が終わり、一夏の白式は今飛び立とうとしていた。
整備班長「坊や!」
一夏「何ですか?」
整備班長「無茶すんじゃねーぞ、お前さんの機体は完全に近接特化機体だ。うかつに接近し過ぎて撃墜したら蹴っ飛ばすからな!」
一夏「了解っす。」
整備班長「よーし行け!」
『カタパルト、システムオールクリア。白式、発進どうぞ。』
一夏「織斑一夏、白式"鳳凰"行きます!」
ヒィィィィィィィィン!
鳳凰は飛びたった。その直後、セシリアがピットから出撃した。
整備班長(・・・しっかりやれよ、坊や。)
整備班長「お前らもたもたすんな!黒鷲隊の機体調整もさっさと終わらせるぞ!」
『うぃ~っす!』
整備班長「ったく・・・」
整備班長がぼやいていたちょうどに、彼らに馴染み深い人物が現れた。
カツカツカツカツ
エルフリーデ「久しぶりですね、班長殿・・・いえ、へルマン・アデナウアー曹長。」
へルマン「おお、少尉殿!久しぶりですなぁ!」
そう、彼らは元シュレースヴィヒ基地所属の整備班で、束の元で修行したがつい先日、学園の整備要員として配属されたのだ。
彼らはエルフリーデ達が信頼する優秀な整備スタッフで、彼女達が無事出撃できるのも彼ら整備スタッフの賜物といえよう。
へルマン「しかし少尉殿の機体・・・いやこの機体達はいいモンですな。俺らも整備のやり甲斐があるってモンですよ。」
へルマン「ラファール以上の汎用性と格納能力、スペック、何より男のロマンが詰まった最高の機体ですよ。おっと、ラファールや他の機種が劣っているって訳じゃありませんぜ。」
エルフリーデ「ふふ、それくらいわかってますよ。」
ツンツン
エルフリーデ「ん?」
簪「・・・」ジー
エルフリーデ「更識妹・・・どうした?」
簪「・・・重装甲とミサイルはロマン(*´-`)」
テテテテテテテテ
エルフリーデ「・・・・・何だったんだ?」
へルマン「さぁ・・・・」
突然の更識簪に困惑してしまった二人。
エルフリーデ「おっと、そろそろ邪魔になるだろうから別の場所で見学させて貰いますよ。」
へルマン「おうよ。」
エルフリーデ「ふぅ。」
ゲルトルート「エルフ~?どうしたの?」
エルフリーデ「トゥルーデか。いや、この光景が懐かしく思えてな。」
ゲルトルート「・・・そうね。」
ふと、ゲルトルートの顔を見る。ゲルトルートの表情は少々曇っていた。
エルフリーデ「ああ、いやすまん!」
ゲルトルート「いいのよ、大分前の事だからね。」
ゲルトルートはかつて、自身に降りかかったことを思い出していた。だがそれは既に過去の事。彼女にとって今この場所が守るべき場所となっていた。
ゲルトルート(此処には隊長達や束さん、大事な人達がいる・・・・もう迷いなんてないわ。)
ゲルトルート「私達も準備しましょう、エルフ。」
エルフリーデ「ふっ・・・・そうだな、行こうか。」
所変わってアリーナ
一夏「さて、始めようか、オルコットさん。」
セシリア「あの時以来ですわね。」
昨年のクラス代表決定の戦いで、一方的ではないにせよ敗北した一夏、それに勝利したセシリア・・・少年少女の戦いは再び始まろうとしていた。
セシリア「さぁ、始めましょう。」
一夏「俺達二人の・・・」
『決闘を!』
午前11時30分
『試合開始!』
ついに戦いの幕は切って落とされた。