今回はタイトル通りの初仕事だぞ!
空君のいろいろな才能が開花しちゃいます!!
では、どうぞお読みください!
誰だよってテンションだな・・・
第二話 「初仕事の神社」
「兄さま、私はいつでも兄さまの事を想っています。
兄さまは私の特別な人です。
だから、兄さまは私の事を忘れないでくださいね・・・」
夢を抱きしめている俺がいる。
泣き叫んでいる俺の服は血に染まっている。
夢の顔は蒼白になっている。
蒼白になっても夢は美しいままだ。
これは夢だ。
あの日から毎日のように見る夢。
きっと、何があっても忘れる事は許さないと俺自身が脳に刻みつけているのだろう。
「そ・・・くん! 空・・・ん! 起・・・て!」
桜先輩が呼んでいる。
目を開けると、俺はバスの椅子で寝ていたようだ。
周りには客はいない、いるのは俺と桜先輩と運転手だけ。
桜先輩は前の席から俺の事を心配そうに見ている。
「おはようございます・・・どうかしましたか?」
「随分とうなされていたみたいだから・・・怖い夢でも見たの?」
「夢なんて見ませんよ。
それより、そろそろ着くみたいですね」
「・・・そうだね」
桜先輩が俺に慈悲の視線を向けてくる。
この人は俺の事をどこまでしっているのだろうか。
はじめてあったはずなのに俺の事を昔から知っていたかのように話す。
俺はこの人と前にどこかで会ったことがあるのだろうか。
そんな事を考えているうちにバスは目的地に着き、俺は考え事を中断して桜先輩と共にバスから降りた。
バス停から朝比神社に着くまでの十分間、俺と桜先輩は話す事無く、ただ黙々と歩いていた。
朝比神社はこの地域で最大の神社で、年末年始は多くの人がここでお参りをする。
さらに、神社の横には朝日寺という寺があり、修行僧なども多くいるため、この辺りは掃除が行き届いているのでとてもきれいなのだ。
もうひとつ、この神社には裏の顔があるが、あまり思い出したくないので考えないようにしよう。
思い出したくない思い出を記憶の底に沈めていると、修行僧の一人が俺達に気づき階段を下りてきた。
「御香宮様、お待ちしておりました。
お師匠様は今、お寺の本堂にいます。」
「そうですか、ありがとうございます」
「そちらは・・・って、空様!?」
俺を見た修行僧が驚きのあまり、大声を出した。
桜先輩はと言えば、修行僧が俺の事を知っている事に驚いていた。
「お久しぶりです、空様!
お師匠様も会いたがっていました!」
「知り合いって言ってたけど、この神社にも来た事あったの?」
「知り合いどころか、空様はお師匠様のただ一人の弟子でございます。」
「あの弟子をとらないので有名な神主さんに弟子がいたんだ」
「はい、お師匠様の弟子は空様と空様の妹君の・・・」
「夕林、あまり師匠を待たせると、めんどうくさい事になる。
さっさと案内してくれ」
夕林が余計な事を話そうとしたので話を遮る事にした。
夕林も俺が話を遮った理由がわかったようで、静かに俺達を案内することにした。
桜先輩も何か知っているようで何も言わず黙って夕林の後ろを歩いている。
階段を上り、神社の横にある寺に入り本堂の一室の前で立ち止まる。
夕林が襖に手を掛けて、中に声をかける。
「お師匠様、お客様をお連れいたしました。」
「どうぞ入りなさい」
襖の奥からは女性の声が聞こえた。
「失礼いたします」
夕林が襖を開け、俺達を中へと入れる。
「では、私は失礼いたします」
「うむ、よくやった」
俺達が入ったのを確認して、夕林は襖を閉めて修業に戻っていく。
「やぁ、今日も来たんだね。桜ちゃん
それと、久しぶりだね。空」
仏像の前に座っていた、作務衣を着た髪の長い、20代中盤の女性が俺達の方をにこにこと見ている。
「お久しぶりです、結縁さん
彼が電話で話した新入部員です。」
桜先輩が俺の事を紹介すると、結縁さんは静かに笑い始めた。
「くっくっく・・・そうかそうか、あの空が裏活動をね~」
「はい、それで結縁さんに活動について説明をしていただこうと思いまして今日はきました」
「はいはい、承知した承知した。
それじゃあ説明を始めようか。
二人ともこのあと予定とかあるかい?」
「えっと・・・結縁さん、それはどういう・・・?」
「あぁ、下手したら長い話になるからね、いちおう確認だよ」
「私は別に問題ないですよ、空君はこのあと何かある?」
「俺も特には無いです。
ただ、師匠に長い時間、拘束されるのはお断りします」
「ははっ、まるで私が君に何かするみたいじゃないか」
「・・・さっさと説明してください」
「はいはい」
にやにやと笑いながら対応してくる師匠と話していると頭痛がしてきたので、話をさっさと説明をしてもらうことにした。
「えっと、どこまで説明してあるんだい?」
「簡単な事だけです」
「ふ~ん、そっか。
それじゃあ、お茶でも飲みながら話そうか」
そう言って、結縁さんは奥に入っていった。
「桜先輩、師匠と話す時は口調がちがうんですね」
「そりゃあ目上で尊敬出来る人だからね」
「師匠を尊敬・・・ですか?」
「そうだけど?」
「・・・・・・」
何も知らないからこそこんな事を言えるんだろう。
夢とここに通い始めてからの一カ月間は師匠の事を尊敬していた。
だが、師匠と修業していてある事がわかった。
この人は本当に性格が悪いのだ。
エピソードとして一つあげると・・・
師匠と夢と修業をし終わった後、寺の風呂を借りる事になった。
夢を先に風呂に入れて俺は本を読んでいた。
夢は風呂から出てきたあと、お茶を飲んですぐ眠ってしまった。
すぐに俺も風呂に入ったのだが、いきなり師匠が風呂に入ってきた。
それからの一時間は俺のトラウマだった。
後から分かった事だが、夢の飲んだお茶には睡眠薬が入っていたようだ。
この他にもエピソードはたくさんある。
ただ、思いだすのだけはやめておこう・・・
「空君、どうしたんだい? 顔色が悪いよ」
「大丈夫です・・・」
「ならいいんだけど・・・」
「はいはーい、お茶がはいったよ」
師匠が人数分のお茶を持ってきて、俺達の前に出す。
桜先輩はすぐにお茶を飲むが、俺は以前のように睡眠薬が入っている事を警戒して、お茶には手を付けずにいた。
そんな俺を師匠はにやにやと見ていた。
「大丈夫、これには睡眠薬なんてはいってないよ」
師匠の言った一言を聞いた桜先輩がお茶を噴き出した。
「こほっ!こほっ! 結縁さん、睡眠薬って!?」
「気にしない気にしない
それじゃあ、お茶を飲みながら聞いてくれ」
師匠の雰囲気が変わり、真面目な空気が流れ始めた。
「これから空にやってもらう仕事って言うのは怪談集めっていうのは説明してあるようだから、私からは怪談の成り立ちについて説明するとしよう。」
「怪談って言うのはよく学生たちが騒いでいるお化けやら、妖怪やらとは違って、人の想いを媒介に生まれるんだ」
「この世界には不思議な力があって、人の強い怒りや憎しみ哀しみなどのマイナスな感情から、怪談という形で現れるんだ
しかし、怪談はこことは違う世界に現れるから普通は問題が無いんだ。
だけど、どうしてか分からないんだが、時々この世界と繋がってしまうんだよ。」
「この世界につながった怪談の世界は、この街の何処かに扉として現れるんだ。
その扉に入ってしまえばそこは怪談の世界、入ってしまえば出る方法は怪談の謎を解くしかない。
怪談にはそれぞれ謎がある、怪談の望む答えを探すのが脱出方法。」
「ここで一つ、怪談世界は普通の人間が入るには危険なんだよ。
それは謎が解けないとかではなく、入るだけで普通の人は怪談に飲みこまれて、怪談の一部になってしまうんだよ。
そうなってしまえば救う方法は無いんだよ。
たとえ謎を解こうとね。」
「ここで出てくるのが素質のある人間。
怪談世界で自由に動けて、怪談にならない人間
私や桜ちゃんの事だ。
私たち以外にも何人かいるんだけどね。
なぜ私たちがそんな人間なのかは分からない・・・
ただ、私たち素質のある人間は普通の人が怪談世界に迷い込まないように怪談の謎を解き封印することだ」
「それぞれが地区ごとに分かれて封印をするんだが、この地区の怪談を封印していた組織が全員、不慮の死を遂げてしまったんだよ。
この地区に残っているのは私と桜ちゃんしかいなくなってしまったんだよ。
ただ、私はもう封印をすることが出来ない。
ついに桜ちゃんだけしかいなくなってしまったよ」
「そこで空、君だよ! 君に素質があることが分かったから、君に手伝ってもらうことになったんだよ」
「君には桜ちゃんを手伝ってほしい・・・頼めるかい?」
こうして師匠による説明は終わった。
俺はこの質問に答える事が出来なかった。
「空、まずは桜ちゃんと一緒に仕事してきな
さっきの質問の答えはそれからでいいよ」
師匠はそう言って、街の地図を取り出してきた。
地図には赤い丸印がたくさん書かれていた。
これは今まで扉が現れた場所なんだろう。
そして師匠は新たに地図に丸印を書いた。
「ここが今日、怪談が開く場所だよ
時間は21時だね」
「わかりました。
それでは失礼します」
「うん、気をつけるんだよ」
師匠と挨拶を交わし部屋を出て、修行僧達に挨拶を交わして神社を後にした。
現在の時刻は19時20分
21時までは移動時間を含めても1時間位の余裕があったので早めに夕飯を食べる事にした。
桜先輩の好みは分からなかったので、子供のころからなじみのある小料理屋にむかうことにした。
「それでそれで、空君は何を御馳走してくれるのかな?」
「昔よく通っていた小料理屋です
いろいろと問題はありますが、味だけはまともです」
「ふ~ん、期待してるよ」
話しているうちにその店に辿り着いた。
「三室戸食堂・・・?
三室戸って、どこかで聞いたような」
「三室戸徹の両親が経営している店です」
「三室戸徹・・・? あ~部員にいたね」
「部活の部員くらい把握してください」
「そのうちにね」
何を言っても無駄だろう。
心の中でそう思った俺は桜先輩の手を引き三室戸食堂に入った。
「いらっしゃーい! ・・・って、空ちゃんじゃないか
久しぶりじゃねぇか!」
「あらあら、空ちゃん
彼女連れかい?」
厨房から声をかけてきたのは徹の父親で、三室戸食堂の店主の三室戸篤さんだ。
さらにテーブルを拭きながら話しかけてきた女性は三室戸麻賀、徹の母親だ。
「えっ!? 彼女だなんてそんな~♪」
「部活の先輩です」
「はい・・・空君の先輩です」
なんだか浮かれていた先輩は俺が喋った事で一気に落ち込んだ。
事実を言っただけなのに、なぜそんなに落ち込むのだろう。
「空ちゃんは相変わらずだね~」
「ほんとにね~これさえなければ完璧なんだけどね~」
何なのだろうか、このアウェー感は?
そんな事を考えていると奥の階段から誰かが降りてくる音がした。
数秒後、食堂に元気な声が響いてきた。
「母ちゃん、飯くれ~!」
「うるさい! 馬鹿息子!!」
麻賀さんの持っていた箸が徹の頬を掠めて、壁に刺さった。
「ちょっ!? 母ちゃん! あぶねぇじゃねぇか!」
「お客さんがいるのに騒いだお前が悪い!!」
「この時間、客は来ないはずじゃ・・・って、空かよ
ん・・・その綺麗な女性は誰だ!?」
「うるさい、あと自分の部活の部長の顔くらい知っておけ」
「ってことは、この人がオカ研部長か・・・
えっと部長、はじめまして? 三室戸徹です、よろしくお願いします」
部長が美人だからだろう、頬がだらしなく緩んでいる。
そんな状態から徹が出来る限りカッコよく自己紹介をした。
何故、「はじめまして」に疑問符がついたのかは不明ではあるがな。
「はいはい、はじめまして
御香宮桜だよ、よろしくね」
徹の事は眼中に無いと言うかの如く、料理を食べ続けている。
その対応にショックを受けた徹は部屋の隅にふらふらと歩いて行った。
「空ちゃん、あのお嬢ちゃん・・・うちの馬鹿息子の扱い方がわかってるね」
「空ちゃんもあんな感じにあつかっていいんだよ」
俺が言うのもなんだが・・・自分の息子の扱いが酷いな。
店の隅っこで落ち込んでいる徹に俺はそっと手を合わせたのだった。
その後、俺と桜さんはご飯を食べ終え店を出た。
ちなみに、代金は俺が払うと言ったが、篤さんと麻賀さんが、
「空ちゃんにはいつもうちの馬鹿息子がお世話になっているんだ、飯ぐらい何時でも食いに来な、金なんかいいからよ」
「ここで払える金があるならそのお嬢さんに何か買ってやりなさいな」
というわけで、受け取ってくれず、そのまま店を出た。
現在の時刻は20時30分
ここから例の場所までは20分なので、余裕を持って早めにいく事にした。
「心の準備は出来てる?」
「はい」
「絶対に私から離れちゃだめだよ」
「はい」
「危ないと思ったらすぐに逃げるんだよ」
「はい」
「適当に返事してないかい?」
「はい」
「もぉー!!!」
桜先輩で遊んでいるうちに時刻は20時59分になっていた。
「あと一分ですしおふざけはここまでにしましょう」
「いやいや、遊んでいたのは空君じゃなかったかな?」
「少し黙ってください、集中していますから」
そう言うと桜先輩はぶつぶつと言いながらも準備していた。
21時
俺と桜先輩の前に突然、扉が現れた。
何の変哲もない扉だった。
黒い鉄でできた扉。
「これが怪談の世界へ入るための扉
この扉に入ったら、謎を解く以外に出る事は出来ないからね
覚悟はいい?」
桜先輩が最後の確認をしてくる。
何を今さらとは思ったが、これは桜先輩からの想いやりなんだと気付いた。
桜先輩は「今ならまだ引き返せる」と言いたいようだ。
なんだかんだ言って、俺にこの仕事を手伝わせる事にためらいがあるんだろう。
まったく・・・
「はい、早く入りましょう」
「ちゃんと考えたの!? 最悪の場合は命にも関わる事なんだよ」
「もちろんですよ
よく考えて応えてますよ」
「後悔はしないんだね」
「しませんよ」
「わかった・・・
だけど約束して、絶対に無茶をしないって・・・」
「わかりました、約束します」
命にも関わる・・・ね。
別に俺は死んでも構わない。
本来なら俺は死ぬべき人間なんだ。
俺はあの日(・・・)からずっと死を望んでいるんだから・・・
だいたい、危険だということはもう知っている。
「それじゃあ行こうか」
桜先輩が扉を開いた。
扉を開いた瞬間に光に包まれた。
目を開くと、さっきまでいた場所ではなく、どこかの学校だった。
「・・・・・・」
「ここが怪談の世界だよ」
「はぁ・・・」
「ずいぶん落ちついているんだね」
「そうですか?」
「はじめてなら、そんなに落ちついていないとおもうんだけど」
「そうなんですか・・・
まぁ、2回目(・・・)なんで慣れてるんだと思います」
「は?」
桜先輩が俺の言った事で口を開けて固まっている。
俺は何か変な事を言ったのだろうか。
「ちょっと待って、空君は怪談の世界に入った事があるの!?」
「はい、ありますよ
師匠から聞いていなかったんですか?」
「聞いてないよ! 何で言ってくれなかったの!!!」
「もう師匠から聞いていたと思ったので」
「そんなわけないじゃない!! 今日、初めて空君を誘った事を結縁さんに言って、すぐに向かったんだから、その後も空君と一緒にいたから、聞く暇なんて無かったし、そんな事を思いもしなかったんだから!!!」
「はぁ・・・そうでしたね」
「とにかく・・・」
桜先輩が口を開きかけた瞬間、周りから騒がしくなり始める。
何かと思い周りを見ると、周りには制服を着た生徒達が大勢いた。
「はじまったね」
「はぁ、じゃあ謎を解けばいいんですよね?」
「そうだね、今回の舞台は学校か・・・」
「学校がどうかしたんですか?」
「謎を解くにはいろいろと情報が必要なんだよ
今回は学校が舞台になっているから、学校にまつわる話だよ」
「話って・・・小説か何かですか?」
「そうだよ、怪談っていうのは人の物語なんだから・・・っ!? きたよ!」
桜先輩が言うと同時に、ひゅんっ・・・という音が微かに聞こえた。
それと同時に近くにいた生徒の首がずれ落ちる。
再び、今度は連続で、ひゅんっ・・・という音が微かに聞こえた
同じく四人の男子生徒の首が落ちる。
周りの生徒が悲鳴をあげて逃げ始める
「空君! とりあえず私たちも逃げるよ!」
「わかりました」
生徒達と共に走って、近くにあった教室の中に入る。
中に入ったらすぐに鍵を閉め、近くにある椅子に腰を下ろす。
生徒達は体育館に避難したようだ。
「はぁはぁ・・・まさか、空君の初任務でこんな危険な場所になるなんてね・・・」
息を切らして呟いている。
「あの生徒達は大丈夫なんですか?」
「うん? ・・・あぁ、気にする必要はないよ
ここにいる生徒は皆、怪談がつくりだした偽物
ゲームで言うNPCみたいなものだから」
「はぁ、ところで・・・謎の方はどうですか?」
「まだわからないかな・・・
ただ、種類はわかったよ」
「種類?」
「えっとね、怪談には種類があってね
種類によっておこる事が違うんだよ」
「はぁ、種類ってのはどれくらいあるんですか?」
「種類としては、三種類かな
一つ目は幻想型
幻想型は、妖怪や妖精など空想のものをベースにした形
幻想型の奴はそれぞれ能力が分かりやすいんだよ
二つ目は現行型
現行型は、現実に起こった事件や事故などをベースにした形
現行型は幻想型のように特殊な力は出て来ないけど、謎は解きづらい。
三つ目は惨劇型
惨劇型は、ベースが何もなく完全にオリジナルの形
惨劇型は、何が起こるか分からず、危険度も他の二つよりも危険度が高く謎も名前の通り、悲劇や惨劇につながるものがある
・・・ってなかんじだよ」
「だいたいわかりました
それで、今回はどれに該当するんですか?」
「そうだね~教えてあげたいけど、自分で解いてみないとね」
「はぁ・・・じゃあ、考えてみます」
俺は記憶をたどり、三つのどれに該当するかを考え始めた。
「今回、起こった現象は今のところ、五人の生徒の首がいきなり落とされるって現象で、人為的に斬られたわけじゃなく、特殊能力みたいなので斬られたと考えられるので現行型ではない・・・だとすると、幻想型か惨劇型・・・」
「うんうん、いいかんじだよ」
「次に、五人の首を斬った方法・・・斬られた瞬間には何も見えなかった。
目に見えない糸や刃物などはなかった。
五人の首の切り口はちらっと見たが、鋭利な刃物で斬られたかんじだった・・・」
桜先輩は俺の考えを聞いて、相槌を打っている。
「そう言えば・・・首が斬られる直前に微かに音が聞こえたような・・・」
思いだしてみると、確かに音はしていた。
「首が落ちる前に音がしていた、一人目の首が斬られる前に一回、二人目から五人目までが斬れるまでに四回・・・
つまり、首が落ちる前には、ひゅんっ・・・っていう音がする・・・
そう言えば、あの、ひゅんっ・・・って音は風の音に似ている」
「揃ったね」
「綺麗な切り口、首が落ちる前になる音、見えない凶器、風・・・
そういうことですか」
「それじゃあ聞かせてもらおうかな、結論をね」
「今回の現象の種類は幻想型、現象のベースは日本の昔話に出てくる[鎌鼬(かまいたち)]、能力は風の刃物・・・ですね?」
「正解、正解、大正解~!!」
結論はあっていたようだ、それにしても[鎌鼬]とは・・・あの時のと比べれば随分と可愛らしいもんだな。
「それじゃあ、怪談の種類が解ったところで、次は犯人探しをしようか」
「犯人?」
「うん、怪談は人の想いを媒介に生まれるって、結縁さんが言ってたよね?
だから、この怪談を構成した犯人を調べないといけないんだよ
それじゃあ、早く犯人を探すよ!」
「わかりました」
怪談の謎を解くってそんなにめんどくさい事だったんだと改めて思った。
俺の時は(・・・・)結縁さんが助けてくれたってのもあるけど、謎はシンプルだったんだよな。
シンプルな代わりに死にかけたけど・・・
「じゃあまずは・・・」
桜先輩が話し始めると同時に俺は生徒が避難している体育館へと向かい始めた。
「ちょっ!? ちょっと、置いてかないでよ!!」
桜先輩が後ろから追ってくる。
特に気にせず歩き続ける。
自分の通っている学校ではないので、どこに何があるのかもわからないし、今どこにいるのか分からないので、見取り図を探す事にする。
さらに、いつ襲われるか分からないから警戒も続けておく。
「空君、あんまり私から離れちゃだめだよ
何が起こるか分からないんだから!」
桜先輩に言われて、ふと考えた事を聞いてみる事にした。
「桜先輩、一つだけ聞いときたいことがあるんですけど」
「うん、何かな?」
「桜先輩って、一人で(・・・)この仕事をやるのは何回目ですか?」
「えっ!? えっと・・・一人では初めてかな・・・」
やっぱりか・・・知識はあるんだが、何というか落ち着きが無かったからまさかとは思ったんだがな。
「確かに、いままでは結縁さんの手伝いだったけど、きちんとやり方も覚えているし、結縁さんからも任された。
それに・・・今回は空君が一緒にいる」
「最後に言った事は置いておくとして・・・
師匠が桜先輩に任せたんなら、俺は桜先輩を信じますよ」
「置いておかれたのは不満だけど・・・ありがとう」
お礼を言われるとは思ってなかったが、そこまでうれしいのだろうか?
「それじゃあ・・・桜先輩
これ以上、目の前で人が死んで逝くのを見るのは気分が悪いので行きましょう」
「それもそうだね。
ところで空君、殺されちゃった生徒の死体が誰か調べなくていいの?」
「あぁ、そのことですか」
懐から殺された五人の生徒手帳を取り出す。
名前は、今出川、加茂、下立、岩上、室町か。
それを見た桜先輩は目を丸くしていた。
何を驚く事があるのだろうか?
「いやいや! 何時の間に手に入れたんだい!?」
「はぁ? 五人が首を斬られた瞬間に取っておきました」
「君はスリの才能もあるんだね・・・」
「師匠にしこまれたんですよ・・・」
「それはまぁ・・・お疲れ様」
桜先輩が苦笑いを浮かべて慰めてくれている。
何故だろうか、涙が出てきそうになる。
まぁ、泣いたりはしないのだが。
辺りを警戒しながらも体育館へ向かう。
体育館には生徒でごった返しており、教師が走りまわっている。
ほとんどの生徒が緊張感もなく騒いでいた。
ただ、現場を見た生徒は青い顔をして怯えている。
「えっと、殺された奴らのクラスは・・・全員同じですね」
「殺された奴らって・・・いきなり呼び方が変わるんだね」
「いちいち名前で呼ぶのはめんどくさいですからね」
全員が同じクラスだったので、その列に並んでいる生徒に話を聞くことにした。
「ちょっといいかな?」
「はっ、はい!?」
とりあえず近くにいた女子生徒に声を掛けたが、驚かせてしまったようだ。
桜先輩は別の生徒に聞き込みをしているようだ。
「え・・・えっと、なんですか?」
「今出川、加茂、下立、岩上、室町の関係を知りたいんだけど?」
「あの五人ですか・・・」
五人の名前を出した瞬間にその女子生徒が顔をしかめた。
どうやら、あの五人はあまり評判が良くないみたいだ。
「どうかしたのかい?」
「いっ、いえっ! なんでもないです!!」
顔を覗き込むと真っ赤な顔をしてあたふたしだした。
やっぱりこの反応だ。
うかつに話しかけるのはこれからは止めた方がいいかもしれないな・・・
そんな事を考えていた。
「えっと、あの五人のことですよね・・・?」
「あぁ、どんな事でもいいので聞かせてくれ」
「あの五人は・・・」
さて・・・この前、友人からキャラの名前が読めないと言われたので、読み方を書いておきます。
八坂 空 (やさか そら)
八坂 夢 (やさか ゆめ)
御香宮 桜 (ごこうのみや さくら)
三室戸 徹 (みむろど てつ)
鞍馬 奏音 (くらま かなね)
常照 郁人 (じょうしょう いくと)
六波羅蜜 慶吾 (ろくはらみつ けいご)
高台 笹江 (こうだい ささえ)
それと、次回からプロフィールを載せていきます。
あと、少ししたら俺がいるのSSも連載します。