今回は随分と酷い内容になっています。
読みづらいですがお読みください!!
第三話 「共通点と箱庭」
「ありがとう」
死んだ五人について教えてくれた女子(日暮さんと言うらしい)にお礼を言ってその場から離れた。
俺が離れた後、教えてくれた娘を数人の女子が囲んで騒がしくなっているが、気にしない事にしておく事にした。
それかも、何人かの女子に聞いてみたが、日暮さんほどの情報は得られなかった。
桜先輩を探しながら、俺は次に狙われる生徒を探していた。
クラスの列だけでなく他のクラスの列や、それ以外の場所を見たがその生徒はいなかった。
しばらくすると桜先輩が俺の方へ慌てた様子で駆けてきた。
「空君! 大変なんだよ!!」
「わかっています。
とりあえずここを出ましょう」
「えっ!? でも探さないと!」
「わかっています。
だけど、ここにはいないようです。
走りながら結論をまとめましょう」
「わかった!」
体育館を出て校舎内を走り出した。
桜先輩も俺の横を並走している。
「それじゃあ、情報をまとめようか!」
「はい」
「空君から分かったことを教えて」
「わかりました」
そうして俺はさっき聞いたばかりの事実を話し始めた。
「あの五人はあと一人を加えて堀川という男子生徒をいじめていて、六人がかりで執拗に暴力をふるい、差別にカツアゲ、その他いろいろとしていたそうです。」
俺の情報を聞いた桜先輩は俺の情報の続きを話し始める。
「いじめを受けている堀川君をクラスの皆はかかわっていじめられるのを恐れて、誰も助けようとしなかった。
一人でいじめに耐え続けていたけど、ついに限界がきて二週間前に自殺した。」
「つまり、ターゲットはあと一人残っている・・・
この事件の犯人と動機は・・・」
桜先輩が話していると、近くの教室から悲鳴が聞こえる。
「いくよ、空君!!」
悲鳴のした扉には鍵がかかっているようで開かない。
「えっと、確か職員室に鍵が置いてあるって・・・」
「取りに行く時間が無駄ですよ」
「じゃあどうやって・・・?」
俺はドアから少し離れて、助走をつけ思い切りドアを蹴飛ばす。
ドアは俺の思惑通りに教室内部に倒れていった。
桜先輩が口をパクパクしていたが、きりっとした顔に戻って教室内部に入る。
教室内部には茶髪の生徒と黒いローブを着た人物がいた。
茶髪の生徒は怯えきった表情で壁際に後ずさりしていた。
逆に黒いローブを着た人物は刀のようなものを構えていた。
「やめてくれよ! ほんの遊びだったんだよ!!」
「・・・・・・」
茶髪の生徒は必死に叫んでいるが、黒ローブの人物は静かに刀を振り下ろした。
ひゅんっ! という音がしたと思ったら茶髪の数センチ横にあったロッカーが真っ二つに斬れた。
「ひぃっ!?」
茶髪がうずくまる。
「やめなよ! 堀川君!!」
桜先輩が黒ローブの前に立つ。
黒ローブの注意が桜先輩に向いたと気付いた茶髪は教室から逃げようとする。
それに気づいた黒ローブが茶髪に向けて刀を振り下ろした。
風の刃が茶髪を襲う。
一瞬早く、俺は茶髪を蹴りとばし、風の刃の軌道から逸れさせた。
「なぁ、新町君、ここで逃げちゃいけないよな?」
茶髪こと新町君の襟首を掴み、黒ローブの前に置く。
「おいっ!? やめろ!! やめてくれぇ!?」
「ちょっと、空君! 何やってるの!?」
「桜先輩、俺達は謎を解くのが目的ですよね?」
「そうだけど!!」
「なら、謎を解きましょう」
そう言って桜先輩の方を見る。
「新町君達が何で堀川君をいじめていたか・・・
それが謎を解く鍵です」
「虐めていた理由・・・ね。
わかった」
「こいつを逃がしたりしないから、少し時間をくれないか?」
黒ローブに話かけると黒ローブは静かにうなずき、刀を下ろした。
「てめぇ! どういうつもりだよ!!」
「・・・・・・」
「ひぃっ!?」
新町が俺に怒鳴ってきたが、黒ローブが刀を上げたのを見て、再び黙った。
「新町君に質問だ、何で堀川君をいじめていたんだい?」
「そっ・・・それは・・・」
「片思いによる嫉妬・・・だね?」
桜先輩の言った一言で新町が激しく動揺している。
その先の言葉を俺が引き継ぐ。
「堀川君は怒った事がないと言われるくらい温厚で、優しく、クラスの中でもあまり目立たない立ち位置だった。
だけど、そんな堀川君に好意を持っていた女子もいない事はなかった。」
「やめろ・・・」
新町君が何か言っているが気にしない。
「お前は同じクラスの寺之内由香さんに秘かに好意を寄せていた。
だけど、寺之内さんは堀川君の事が好きだった。」
「やめろ・・・!」
「寺之内さんはクラスでもマドンナ的なポジションだった。
お前は何度も告白したが振られていた。
そこでお前は堀川君に嫉妬したんだ。
何で俺より堀川なんかを・・・ってね」
「黙れ!!」
「そしてある日、お前は見てしまったんだ。
寺之内さんが堀川君に告白しているところを。
翌日、堀川君と寺之内さんが仲良く話しているのを見た。
一週間後に寺之内さんは留学した。
そこでお前は堀川君に寺之内さんと別れるように言ったんだ。」
「だけど、堀川君は付き合ってないと言った。
その一言でお前の理性はブチ切れて仲間を使って、堀川君へのいじめを始めた。」
「くだらない・・・」
俺の話しを静かに聞いていた桜先輩が呟いた一言に新町が反応する。
「くだらない? あんな根暗野郎より俺の方が由香にふさわしいんだ!
なのに、由香はあいつを選びやがった! しかも由香と付き合ってないなんて嘘つきやがる! 根暗の屑の癖に馬鹿にしやがって!」
図星を突かれて完全に開き直っている。
なんて滑稽な姿なのだろうか。
「堀川君はお前らのいじめに屈しなかった
しびれを切らしたお前は集団で暴力をふるった」
「最低だね・・・」
桜先輩が呟く。
それを聞いた新町は桜先輩の事をにらんでいる
ただ事実を言っただけで睨むとか、どれだけ器がちいさいのだろうか。
さすがは屑と言ったところか。
そう言えば、いま気付いたが、俺の新町君の呼び方がだんだんと酷くなってるな。
最初は新町君で、次はお前、そして新町、今は屑か・・・
さて、無駄な考え事はここで終わりにしよう。
「そしてある日、お前たちはいつものように堀川の事をサンドバックがわりに殴り続けていた。
そこで調子に乗ったお前は野球部の部室にあったバットで堀川君の頭を殴った。
すると堀川君は動かなくなった。
お前らは堀川君を殺したのを自覚して、堀川君の靴と携帯を持って屋上に行った」
黒ローブは怒りで肩を震わせていた。
もう少しだ、最後の謎までもう少し・・・
「お前らは屋上に堀川君の靴を置き、携帯で遺書を偽造した。」
今度は耳を手でふさいでいる。
馬鹿だな、そんな事をしても意味がないのに。
「学校側もいじめがあったと認めたくなくて、堀川君の親に金を払って、事件自体をもみ消した。」
これが、俺がさっき女の子から・・・たしか、松原光里ちゃんから聞いた話だ。
他に情報が無いかあのあと聞いてみたが、光里ちゃんよりも持ってる情報は少なかった。桜先輩も同じで、光里ちゃんが一番情報を持っていた。
本当に光里ちゃんには感謝しないとな。
「そういうことか・・・つまり、今回の犯人は死んだ堀川君の亡霊だね!」
桜先輩は納得したように黒ローブを指を指して大きな声で自分の答えを言った。
「ひぃっ!?」
新町は黒ローブに再び恐怖を感じたようだ。
でも違う・・・その答えは間違いだ。
きちんと正しい解答に辿り着けるヒントを与えないとな。
ん・・・? 何か俺と桜先輩の立場がいれかわっている気がする。
まぁ、気にしない事にしよう。
「さっき、何人かの生徒に聞いたんだけど、寺之内さんが堀川君に告白した夜に、クラスメイトにメールでこんな文章を送ったんだとさ」
『今日、堀川君に告白したんだけど結局・・・ふられちゃいました!
やっぱり、堀川君、彼女がいるみたい・・・
だけど悔しいな~私も堀川君のこと本気で好きだったのに
でも、諦めないよ!
留学して自分を磨いてきて、今度こそ振り向かせて、奪ってやる!』
「ってね」
俺が話している最中、桜先輩は俺が何でこんな話をしてるのか分からないという顔をしていて。
新町はさらに顔を青くしている。
「お前は気付いたようだな、間違いに」
そう、元々はこいつの間違いから始まったんだ。
「堀川君は寺之内さんと仲良くしていたのは、恋人になったからではなく、友達として仲良くなれたからだよ」
「そんな・・・じゃあ、俺は・・・」
やっと自分のやった事の重大さが分かったようだな。
ここまでやらないと分からないなんて、本当に愚かだな。
「ねぇ、空君、いまの話は何のためにしたの?
彼に自分の罪を自覚させるためにしたのなら分かるけど・・・
今は一刻も早く堀川君を止めなくちゃいけな」
「違いますよ、桜先輩」
「違うって、何が?」
「それを話す前に・・・
もう一つだけ聞いてもらえますか?」
「えっ? いいけど」
さて、じゃあ次の謎解きを始めようか。
「今回の事件で、俺が話を聞いた生徒は、堀川君のクラスメイトの11人
そのうち今回の事件についてよく知っていたのは一人だけ
ちなみに、11人というのは男女問わずなんですけど・・・おかしいと思いませんか?」
「そう言えば、私も何人もの生徒や教師に聞いたのに、空君ほどの情報は得られなかった」
「俺も不思議に思ってたんですよ、何で11人も聞いて詳しく情報を知っているのが一人だけなんだろうって、普通なら11人に聞けば半分くらいは知っててもいいはずなのに、だってクラスメイトの事なんだから
だけど、本当は違うんですよ、よく知っていた一人、彼女が知りすぎているんですよ・・・」
「それって・・・」
「そこまで知っているのは虐めていた奴らか、虐められていた本人、だけど、もう一人・・・堀川君の彼女」
桜先輩と新町は驚き、黒ローブは沈黙を貫いている。
続けるとしよう。
「堀川君の彼女・・・仮にHさんとしておこう」
全員が黙って聞いている。
「堀川君とHさんはお互い愛し合う仲だった。
だからこそ、彼は寺之内さんの事をふった。
堀川君のいじめが始まった段階で彼女は誤解を解こうとした。
だけど、こいつらに話が通じるとも思えない、下手したら彼女まで虐められるかもしれないと思った堀川君はわざと彼女を遠ざけた。」
黒ローブが小刻みに震えている。
だが、続けないとな。
「彼女は何度も彼を助けようと考えていた。
彼は、彼女を避け続けた。
自分がどれだけやられようとも、彼女だけは・・・
そんなふうにずっと耐えてきたわけです。
彼女も必死で耐え続けた・・・
きっといつか、救いはくるから・・・と
だけど・・・彼は死んだ。
殺された
学校側は彼は自殺したと全校生徒に伝えた。
だけど、彼女はそれを信じる事が出来なかった。
彼はそんなにやわな人間じゃない・・・
だから彼女は事件を調べました・・・
そして、全ての真実を知った彼女は犯人たちに復讐をする事に決めました」
「っ!? 空君、それって・・・?」
桜先輩も気づいたみたいだ。
「そもそも、彼女を巻き込ま無いようにって、一人でいじめに耐え続けていた心優しい堀川君が復讐なんてするわけない
それじゃあ今回の事件は誰が起こしたのか?
なら、彼の代わりに犯人に復讐をしようと考える人間は誰だろうか?
まず考えられるのは親。
だが、親は基本的に学校に入れない。
次に考えられるのは兄弟。
堀川君は一人っ子という事で論外
もし兄弟がいたら助けてるでしょうし。
他にも可能性があるが今回は除外」
桜先輩は黙って聞いてくれている。
「・・・・・・」
「もうそのローブを脱いだらどうだい、日暮さん」
黒ローブ・・・日暮さんがローブを脱ぎ姿を見せてくれた。
「いつから・・・私が彼の恋人だと気付いていたんですか?」
「推理小説にありがちな台詞を言ってくるんだ。
初めに違和感を覚えたのは君に話を聞いた後だよ。
さっきも言ったけど、君は知りすぎていたからね。
他の理由は作者の表現力の無さでカットだ」
「いやいや、空君、メタなことを言わないでよ!」
「じゃあ・・・終わらせましょうか!」
そう言って、日暮さんはこっそりと逃げようとしていた新町に刀を振り下ろした。
完全に油断していた俺は一瞬反応が遅れて、新町を守ることが出来なかった。
が、桜先輩は違った。
どうやら、俺の話を聞きながらも日暮さんの行動に目を見張っていたらしく、日暮さんが刀を振り下ろした瞬間に新町をこちら側に引っ張った。
そのため、斬撃は壁にぶつかった。
新町はそれにあと一歩で死ぬところだと思い気絶したようだ。
「邪魔しないでください!!」
乱雑に刀が振り回され、教室内が壊れていく。
「桜先輩、そいつを連れて逃げてください!!」
「でもっ!?」
「早く!!」
「わかった・・・空君も早く来るんだよ!!」
「わかってますよ」
桜先輩が新町を引っ張って逃げていく、日暮さんは刀を振り下ろそうとしているが、刀に椅子をぶつけて止める。
「何で邪魔するんですか!?」
「・・・・・・」
「くっ・・・!!」
さて、俺はしばらく寝るとしよう・・・彼が目覚めるために・・・
Side out (しばらく一人称ではありません)
「くくっ・・・!!」
空が笑ったと同時に、髪の色が真っ黒になり、顔には普段絶対に見れない歪んだ笑みが浮かんでいた。
追おうとしている日暮さんの腹に空の蹴りがはいる。
「かはっ!?」
空が日暮さんの前に立ち両手を広げ、天を仰いでいる。
空の姿だが、空ではない“なにか”が高らかに叫んだ。
「さぁ、ショータイムだ!」
はじめに申し上げておきます。
申し訳ございません!!
次回は解決します!!
それでは気を取り直して、プロフィールです。
八坂 空 (やさか そら)
・本作の主人公
・幼いころに母親を病気無くして以来、父親と二人で暮らす事になり家事全般が得意になった。
・父親の再婚相手の上御霊百合とその娘の夢とは良縁な関係を築けていたが、父親の大地と百合が飛行機事故で死んでしまったため、夢と二人暮らしになる。
・夢とは出逢った日に恋人関係になり、お互いを心から愛していた。
・夢を失ってからは感情を全て封印してしまった。ちなみに、本人は感情が無いと思いこんでいる。
次回は桜先輩のプロフィールです。
次回は頑張りますから見捨てないでください!!