東方戻界録 〜Return of progeny〜   作:四ツ兵衛

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この話を本編にぶち込むあたり、やはり私はヤバい人だ。
想像しながら読んでください。エロ注意です。


第九十二話

 ゴートレック生物研究所、耐熱実験室にて。

 範人は刀を打っていた。

 つい2週間ほど前に発生した妖怪の山侵攻事件。結果は範人達、幻想郷側の者の勝利だったが、状況は良くなかった。妖怪である天狗が相手でも互角に渡り合える力を生物に与えるプラーガDの存在。それはあまりにも危険だった。

 事態を重く見た天魔は天狗達により強力な武器を持たせることにした。しかし、人間が打った普通の刀はおろか、それら普通の刀を基にした妖刀でさえも少々心許ない。そこで範人に白羽の矢が立った。範人のみが加工法を知っている生体金属モノリスに目をつけたのだ。

 食事とトイレ以外の休憩はほとんど取らずに三日三晩(誕生日の後、作り忘れていた)。注文された刀の最後の1本が今完成しようとしていた。

 

「ふぅ……」

 

 範人は一息吐き、額に流れる汗を拭った。

 赤々と燃える炉がある部屋の温度は50℃を超える。自身の能力故に高温に慣れており、死にはしないが、流石に長時間は辛いものがある。現に、全身汗だくだ。

 しばらくして、ついに最後の1本が完成した。

 

「はぁー、終わったぞ!よっしゃァァァァア!」

 

 範人で完成した刀を鞘に収め、背を伸ばす。

 100本以上の刀を僅か3日(それゆえ3日クオリティ)で作り上げた自分はまさに魔王クラスの強敵を打ち倒した勇者。何かを乗り越えたこの爽快感、達成感、優越感がたまらない。範人のテンションは一気に跳ね上がり、

 

「……寝よ」

 

 あまりの暑さと疲労で一気に下がった。

 この暑い部屋からさっさとおさらばして休みたい。

 汗だくのまま寝るのは気持ちが悪いと、範人がシャワールームに向かおうと椅子から立ち上がった。

 と、

 

「終わったんです……か?……おおぉ⁉︎」

 

 扉が開き、妖夢が部屋に入ってきた。

 

「ん? どうしたんだ?」

 

 驚いた表情で固まる妖夢に範人は?マークを浮かべる。

 

「だって範人……包帯が……」

「……ああ、なるほどな」

 

 範人は自身の身体を見下ろして頷いた。

 今、範人の服装は上半身裸。いつも巻いている包帯も外し、若干細身(実際はガッチリとした体格だが、筋肉を圧縮させている)ながらも逞しい肉体を空気中に晒している。

 

「この部屋暑いし包帯も汗でグッショリになっちまってな。脱がせてもらったよ。この部屋来るのは傷痕見ても平気な奴らだけだと思うしな。……で、どうした?この格好は刺激が強すぎたか?」

 

 ニヤリと笑う範人に、妖夢は「ふふふ」と笑い、

 

「もう……刺激が強すぎますよ。誘っているんですか?」

 

 瞬間、範人の顔から血の気がサッと引いた。

 こんなに疲弊している時に襲われたらまず逃げられないだろう。そして完全にリードを取られて気が済むまで搾り取られるのだ。気絶不可避である。

 

「じ、じゃあ、俺はシャワー浴びてくるから」

 

 範人は壊れかけのロボットよろしく、妙にぎこちない動きで歩き出す。しかし、その行動は目の前に立ちはだかった妖夢に止められた。

 

「まだ質問に答えてもらっていませんよ?」

「え……いや、その……」

「誘っているんですよね?」

「誘ってない誘ってない!暑いから脱いだだけ!」

「誘っているんですよね?」

「だから、暑かっただけだって」

「誘っている」

「……」

 

 最終的には有無を言わさぬ口調で言われ、範人は黙ってしまう。妖夢は「ふふふ」と笑い、

 

「冗談です♪」

「なんだ冗談かよ……(助かったぜ)」

 

 ホッと一息吐く範人。その気が抜けた瞬間に妖夢は一気に接近し、身体を密着させた。しかも上目遣いのおまけ付きである。そのあまりの可愛らしさに範人は顔を赤くする。

 

「ところで範人?」

「……ん? あ? お、おう……」

 

 名を呼ばれた範人は気の抜けた返事をする。

 

「私も脱いでいいですか?」

「ん、ああ……え゛え⁉︎脱ぐ⁉︎」

 

 驚く範人の横で妖夢は早くも服を脱ぎ始めていた。

 

「えっ、お、コラ! 何脱ぎ始めてんだ⁉︎」

「いやぁ、この部屋暑いので脱ぎたくなってしまいまして……範人も脱いでいるからいいかな、と」

「よくねえよ⁉︎ 男性と女性じゃ裸見られて失うもんが違いすぎるだろ!」

「範人に見られるなら全然オーケーです♪ それに失う物は範人で失いました」

「俺はオーケーじゃねえよ! あと誇らしげに言うな!」

 

 妖夢の発言にツッコミを入れる範人だったが、だんだんと疲れてきた。

  ——この体力はどこから湧いてきたんだ自分……。

 息を切らしながら、範人は自身にもツッコミを入れる。

 3日間ぶっ通しの作業で心身共に疲れ切っていたはずなのに口が勝手動いていた。

 範人が自身にツッコミを入れている間に、妖夢は下着姿になっていた。範人は顔を引きつらせる。

 

「ふふふ、このまま夜の営みなんてどうですか?」

「夜の営みって言っても今昼だからな⁉︎」

「……なるほど、それなら昼の営みにしましょう」

「名前変えたところでどうにもなんねーわ! 誰か来たらまずいだろ⁉︎」

「大丈夫です。幽々子様と紫様は人里に行くとおっしゃっていましたし、魔理沙さんは紅魔館で怪盗魔理沙になってくる予定らしいです。あと、デューレスさんも門番の日です」

「クッ……そこまで調査済みか……」

 

 ——この子どれだけヤりたいんだ……すげえわ。

 妖夢の持つ溢れんばかり(もう溢れているかもしれないが)の性欲に、範人はもはや驚きや呆れを通り越して尊敬してしまっていた。

 妖夢は範人にズイと詰め寄り、

 

「さぁ……どうしますか?この家は言わば性の安全地帯ですよ」

「どんな安全地帯だよ⁉︎」

「どんなに激しくしても見られることも聞かれることもなくヤり放題ということです」

「とんでもない安全地帯だな⁉︎ てか、そんなもんに安全地帯なんてねーわ!」

「え? 周りは完全に安全……ああ、なるほど。確かに2人の股間はヤバイですね……」

「なんちゅう想像してんだよ……」

「範人との激しいエッチです!」

「どストレートに言うなよ⁉︎」

「それだけ範人のことが好きなんですよ」

「……いや……そりゃ……まぁ、ありがとう……」

 

 次々と出てくる妖夢の発言に、範人のツッコミが追いつかなくなってきた。

 攻撃に対するガードが間に合わない。まるで某クック先生の連続くちばしをガードした時の狩人である。

 妖夢は範人に身体を摺り寄せる。

 

「ふふふ、どうですか? 私も暑くて汗かいてきちゃいました。下着が大変なことになり始めてますよ」

 

 範人は妖夢をチラッと見ると、すぐに顔を赤くして視線を逸らした。

 汗だくの下着姿というだけでもかなりエロいのに、汗がジットリと染み込んだ下着は肌にぴったりと貼り着き、布の下に隠しているものの形をくっきりと浮かび上がらせていた。

 範人の反応に、妖夢はニヤリと笑い、

 

「どんな体勢が良いですか?範人のお好みの体勢でヤってあげますよ?」

 

 妖夢は前屈みになって谷間を見せつけたり、片足立ちで股を広げたりと、いやらしい体勢をとり始めた。

 いくら生物兵器で合衆国政府のエージェントとはいえ範人も男の子。もちろんスケベなところもあり、目の前でそんなことをされて反応しないはずがない。チラチラと見てしまい、同時に色々想像してしまう。

 

「ふふふ、今想像しましたね?」

「なっ……⁉︎」

「汗だく下着姿の私が恥ずかしい体勢になって範人の雄の部分を受け入れる姿を想像したんでしょう?」

「……い、いや……そんなことは……」

 

 範人は頬をピクピクさせながら否定する。

 

「ああ! 範人の気持ち良い! 範人の熱くて気持ち良いよぉ!」

 

 突然、妖夢の口から喘ぎ声が放たれた。あまりにもリアルな——まるで本当にヤっているかのような声に範人の肩がビクリと跳ねる。

 

「——とか、私が喘いでいるのを想像したんじゃないですか?」

「う……く……」

 

 完全に図星を突かれた範人の顔が固まる。

 

「さぁ、どうなんですか?想像したんでしょう?」

「…………しました」

「えっ? 何ですか? 良く聞こえませんねぇ」

「妖夢の下着姿で色々想像しました!例えば——」

 

 範人はやけくそになり、人前ではとても話せないような超過激な妄想を数パターン、大きな声で一気に言い切った。

 そして、現在は、

 ——何やってんだ俺……。

 と、羞恥に顔を赤く染め、床に手を着いている。そんな範人に妖夢はサディスティックな笑みを浮かべ、

 

「ふふふ、やっぱり範人も男の子ですね」

「……ごめんなさい……」

「おや?私は怒っていませんよ。むしろ、範人が私でそういうエッチな想像をしてくれていて嬉しかったです」

「……すごいなおまえ……」

「どんな形であれ、好きな人に想ってもらえることは嬉しいことですよ。……まぁ、他の女でそういうことを想像していたなら、そのムスコさんを切り落としていたところですけど」

 

 ——器はでかく、思いは重い……。

 恐ろしいことを真顔で言う妖夢に範人は尊敬と恐怖を覚えていた。

 範人は部屋から出ようと一歩踏み出したが、不意に後ろから抱きつかれる。後ろを見れば、抱きついた妖夢が荒く息をしていた。頬を紅潮させて荒く息をする妖夢の姿はかなりエロい。

 

「はぁ……我慢できなくなっちゃいました……」

「……は?」

 

 一瞬で範人の顔から表情が消える。

 

「やっぱり今ここでやっちゃいましょう」

「……え? やる? ……やるって……その……エ、エッチだよな……?」

「そうですけど何か?」

「断る」

 

 さも当然のことのように言う妖夢に、範人は無表情のままきっぱりと断った。しかし、妖夢は続ける。

 

「いいじゃないですか。もう童貞じゃないんですし」

「よくねーよ! こんなに疲れてるときにヤったら死んでしまうわ!」

「何言ってるんですか。範人は自然死以外では絶対に死なない生物兵器って、前に自分で言ってたじゃないですか」

「ぐおっ⁉︎ そうきたか……。……だがな、俺は疲れているんだ。これからシャワールームに行ってシャワー浴びた後にベッドまで行って寝る以外では体力残ってないから明日まで動けない」

 

 「だったら何故今ここで話せているんだ」と、ツッコまれそうなことを言うが、範人本人は全く気付いていない。そんな説得力のない疲れたアピールをする範人に、妖夢は親指を立てて、

 

「大丈夫です。範人が動けなくても私が動きますから。範人は仰向けになって天井のシミとか動く度に揺れる私のおっぱいを見ていればいいんですよ。そうしてる間に終わりますから」

「こ、こいつ……」

 

 表情筋が完全に引き攣る範人。

 妖夢は更に続ける。

 

「それにこの部屋にはベッドが複数ありますよね。炉のせいで暑いから全裸でも平気ですし、ベッドには拘束器具がついてますし……。ヤるにはうってつけですよね」

「おいコラ、この部屋の炉は暖房じゃねーよ。それにここのベッドは被験体の解体用で確かに拘束具もついちゃいるが、変なプレイ用じゃない」

 

 範人が刀を打っていたこの部屋、本来はそういった目的で使用される部屋ではない。生物の皮や毛を燃やすことでその耐熱性、耐燃焼性を調べる実験を行っていた部屋なのだ。生物を生きたまま燃やしたこともある。今は範人が炉を改造して鍛冶場になっているが、元々はそんな恐ろしい場所なのである。

 

「範人?」

「嫌だからな! 俺は逃げるからな!」

「……そうですか……。それなら仕方ありませんね」

「なっ……⁉︎」

 

 妖夢は範人を押し倒した。

 

「私は剣士ですよ? それなりに力はありますから疲れ切った貴方を押し倒すくらい簡単にできます」

「くっ……離せ! 俺はもう体力が限界なんだ!」

「……往生際が悪いですね。そんな範人にはお仕置きです。それっ」

 

 そう言って、妖夢は脇腹を擽る。あまりのくすぐったさに笑いながら身を捩る範人だったが、疲れ切った身体でその動作は相当辛い。すぐに体力が尽きて、笑おうにも笑えず、身を捩ろうにも捩れなくなった。妖夢はそれを見て、範人の腹筋に指を這わせながらサディスティックに微笑む。

 

「ケホッ……ケホッ……」

「ふふふ、範人が悪いんですよ? 私にあんなエッチなことを話すんですから……。あんな話をしたから私が我慢できなくなっちゃったんですよ」

 

 スルリという音を立てて妖夢の下着が落ちる。プルリとした形の良い乳房が眼前にさらけ出され、範人は自分の股間が熱くなるのを感じた。

 妖夢は範人の胸に手を当て、

 

「心臓が速くなっていますよ。本当は範人も期待してたんじゃないですか?」

「……」

 

 期待していなかったと言えば嘘になる(しかし、ヤりたかったわけではない)ため、範人は黙り込んだ。妖夢は愉快そうに笑い、

 

「範人のそういうところ、可愛いと思います…………んっ……」

 

 唇を重ねた。

 妖夢は舌で範人の唇をこじ開け、無理やり舌を絡ませる。範人は何もしていないが、クチャクチャという卑猥な音は部屋の中に響く。

ディープキスは確実に範人の精神をすり減らしていき、唇が離れる頃には「もうどうにでもなれ」と心の中で呟いていた。

 

「……んふぅ……範人のキスやっぱり美味しいです。それにしても……」

 

 妖夢はスゥと息を吸い込み、

 

「今日の範人はすごくエッチな匂いがします。でも、相変わらず体臭薄いですね。汗かいてても普通よりまだ弱いくらいで……なんか男らしくないですね」

「……男らしくないって失礼だな。てか、体臭は強くない方が良いだろ」

「そうなんですか?」

「体臭が強いのはなんか不潔な感じがして嫌なんだよ。俺的には薄い方が良い」

「なら、私も体とかもっと洗った方が良いんでしょうか?」

「あくまで俺の場合だ。妖夢はこれまで通りで良いだろ(良い匂いだし……)」

「そうですか? それなら良かったです」

 

 妖夢はホッと胸を撫で下ろす。しかし、一方の範人は安心できない。

 

「じゃあ、メインに移りましょうか」

「……もういいから早くしてくれよ。シャワー浴びて寝たい……」

「じゃあ、お風呂では洗いっこですね」

「もうそれでいいから早く……」

 

 何故か範人がおねだりしているようになっているが、今の彼にはもうどうでもいい。範人が求めるのはシャワーと睡眠。今はたった2つのものである。ちなみに言うまでもないが、妖夢が求めるのは範人とのイチャラブである。

 

「それでは……」

 

 妖夢はベッドの上まで範人を運ぶと、彼のジーンズと下着を引きずり下ろし、

 

「いただきまーす!」

 

 範人の上に覆い被さった。

 

 

 

 

 次の日、天狗の里へ刀を納めに行った範人が見張りの白狼天狗に「少し臭わないか? イカっぽい」と言われて「これだから強い臭いは嫌なんだ」と顔を赤くしたのは別の話。

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