東方戻界録 〜Return of progeny〜   作:四ツ兵衛

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どうも!四ツ葉 黒亮です。
リハビリって面倒くさい。
この小説の各章は、日常(イベント)→異変→宴会→キャラの昔話(あれば)→追加設定など、で分けさせていただきます。
では、本編をどうぞ。


第十九話 館の幼き主

扉の向こうから話し声が聞こえる。客人は扉のすぐ向こうにいるようだ。

 

「お嬢様にくれぐれも失礼のないようにお願いします。」

 

「ああ、わかった。案内ありがとう。」

 

「ありがとうございました。」

 

扉をノックされた。どうやら客人が来たようである。私はまだ、客人の運命を覗いてはいない。そのほうが初対面の場合どんな者が客人なのかが楽しみになるからだ。

 

「お嬢様、お客様をお連れしました。」

 

「入りなさい。」

 

「失礼致します。」

 

「「失礼します。」」

 

扉を開けて入ってきたのは、我が紅魔館のメイド長 十六夜 咲夜と金髪の少年、非常に背の高い大柄な男だった。

 

「ご苦労様、咲夜。下がりなさい。」

 

「かしこまりました。」

 

咲夜が消える。私は客人たちに話しかける。

 

「私がこの紅魔館の主、レミリア・スカーレットよ。」

 

「こんばんは。私は旅行 範人です。」

 

「こんばんは。私はデューレス・タイラントです。」

 

「そこまで礼儀正しくしなくても構わないわよ。普段通りの話し方でいいわ。」

 

私は範人と名乗った少年のほうを向く。彼は似ている、475年前に私たちを助け、私が愛した人間に。

彼は顔も気配も髪の色も非常によく似ている。とても他人の空似とは思えない。彼の名前は偽名なのではないだろうか?

 

「貴方、範人と言ったわね。」

 

「ああ。」

 

「貴方の本当の名前は何?今の名前は本物?」

 

 

 

 

 

俺は驚いた。今会ったばかりの少女に自分の名前が偽の名前であることがばれたのだから。俺もデューも警戒して身構える。

 

「何故そう思った?」

 

「まずは質問に答えなさい。」

 

俺は悩む。この名前は父さんが幻想郷で暮らしていくためにくれた名前である。手放したくはない。しかし、本当の名前をばらしても特に困ることはないことに気づいたため本当のことを話すことにした。

 

「ハント・ゴートレック。それが本当の名前だ。」

 

「そう、納得したわ。で、なんでそう思ったのかだけれど……、似ていたのよ。過去に会った人間にね。」

 

「そうか。なら、その人間の名前は何だ?」

 

「ジェイド・ゴートレックよ。」

 

「⁉︎」

 

俺はその名前に憶えがあった。自分の一族の家系に記してあった名前。ある代の当主の双子の弟。たしか、480年程前の人物のはずだ。

 

「そいつに会ったのは、480年くらい前じゃなかったか?」

 

「ええ、そうよ。なんで貴方が知っているのかしら?」

 

「俺の一族の中にその名前の人物がいたんだ。480年くらい前にな。」

 

「そうなの⁉︎」

 

途端にレミリアの表情が明るくなった。

 

 

 

 

 

驚いた、まさかゴートレック家の人間に会えるなんて。

 

(ジェイド、私たちの運命は途切れていなかったのね。)

 

恩人の一族の人間に会えた。こんなに嬉しいことはない。

 

「別に本当の名前がどうとかは言わないから安心して。」

 

「そうか。それならいいんだが……。」

 

「もう気軽に話していいわよ。ところで用件は何?」

 

「デューの職についてだ。ここの門番をさせてやってくれないか?」

 

「咲夜たちを倒したんでしょ。いいわよ。そのままこの館に住んでもらっても構わないわ。」

 

「ありがとう。」

 

「ありがとうございます。」

 

「いいのよ。恩人の一族の人からの頼みだもの。それに今の門番は居眠りすることがあるから、二人いれば片方が眠っていても大丈夫になるからね。」

 

用件は終わったようだが、気になることがある。範人の身体からは強い血の匂いがするのだ。普通の人間なら怪我をして血を流せばこのくらいの匂いになるが、見たところ範人は怪我をしていない。まるで血を浴びてそれを洗い流したときのような匂い。

 

「範人、貴方からはすごい血の匂いがするのだけれど、何かしたの?」

 

「ああ。向こうの世界では戦闘を主に行うエージェントをしていたからな。血ならそのときにたくさん浴びたから、その匂いだと思う。」

 

「なかなかすごいことしていたのね……。」

 

自分自身も血まみれで戦ったことがあるため、血だらけで戦う範人の姿が容易に想像できた。

しかし、何故戦いで血だらけになるのだろうか。たしか銃という遠距離武器があったはずだが、そのようなものがありながらも血だらけになるなんて接近戦でもしていたのだろうか。

私が不思議そうな顔をしているとそれに気づいた範人が話しかけてきた。

 

「なんでそんなに血だらけになるような戦い方をしたかって?」

 

「う、うん。」

 

「俺は完全に人間ってわけじゃないんだ。生物兵器っていう種族なんだよ。」

 

「生物兵器って何なの?」

 

「生物兵器っていうのは、生物を改造して作り出した兵器のことだよ。改造されると身体能力が飛躍的に上がるから俺はその身体能力を利用して接近戦で戦っていたんだ。」

 

「なるほどね。」

 

二人の能力は何だろうか。気になったので訊いてみる。

 

「範人たちの能力って何?」

 

「俺は『粒子を操る程度の能力』だ。できることは言葉の通りだ。」

 

「俺は『つなぐ程度の能力』です。ものを物理的につないだり、心をつなぐことができます。」

 

デューレスの能力を聞いて私は思いついた。もしかしたら、妹を救うことができるかもしれない。話からして範人は強いらしい。

 

「貴方たちに頼みたいことがあるの。」

 

「何だ?」

 

「妹を……フランを助けて欲しいの。」

 

「何が起きたんだ?」

 

「フランは狂気にとらわれて苦しんでいるの。狂気にとらわれて能力ですべてを破壊してしまうの。」

 

「そりゃ大変だな。いいよ、俺がどうにかしてみよう。」

 

「戦いは範人に頼むわ。」

 

「わかった。デューにはフランと俺の心をつないでもらおう。弱ってきたところでつなげば、狂気を取り除くことができるかもしれない。」

 

「大丈夫かしら?」

 

「任せてください。能力の正確さには自信があります。」

 

「じゃあ、頼んだわよ。フランのところまでは私が案内するわね。」

 

私は範人たちにフランを助けることを依頼し、範人たちを案内し始めた。

 

〜少年、少女移動中〜

 

 

 

俺とデューはレミリアに案内され、地下のある部屋に案内された。

 

「戦うときは館の外のほうがいいよな?」

 

「そうね。ちょうど夜だし、館を壊されたら困るわ。」

 

「じゃあ、行ってくる。」

 

「行ってらっしゃい。」

 

部屋の中には壊れた人形が散乱していた。

 

「お兄さんは誰?」

 

目の前のベッドに座っているかわいらしい少女が話しかけてきた。彼女がレミリアの妹だろう。

 

「俺は旅行 範人だ。君がフランかい?」

 

「そうだよ。ねぇ、遊ぼうよ。」

 

「いいけど、外で遊ぼうか。今は夜だから太陽は出てないよ。」

 

「わかったー。外で遊ぶ。」

 

〜少年、少女移動中〜

 

俺とフランは館の外に出る。レミリアとデューも外に出てきた。

 

「じゃあ、遊ぼうか。」

 

「うん。……ねぇ、お兄さん。」

 

「何だ?」

 

「カンタン二コワレナイデネ。」

 

言葉と同時にフランが破壊力に優れた殺傷力の高い弾幕を放ってきた。俺は全身を変異させ、炎を腕に纏って弾幕を殴り、弾き飛ばす。これは弾幕勝負ではない、命がかかった遊びだ。被弾しても死ななければいい。

 

「こいつは……やばいな。」

 




範人の本名が明らかになりました。この名前は大して重要ではありません。この小説のレミリアたちは、幻想郷に来る前は範人と同じ世界にいました。そのときに出会った人がジェイドです。レミリアとジェイドの話はこの章の最後で出そうと思っています。
ではまた、次回お会いしましょう。
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