東方戻界録 〜Return of progeny〜 作:四ツ兵衛
では、本編をどうぞ。
妖夢が客人として家に来た。食材を傷めないためにすぐに冷蔵庫に入れなければならない。
「買ってきた食材を冷蔵庫に入れてくる。」
「れいぞうこって何ですか?」
「冷やすことによって食材が傷むことを防ぐ蔵みたいなものだよ。」
一般的な冷蔵庫の大きさは引き出しくらいだが、研究所の冷蔵庫は倉庫くらいの大きさがあるためそう教える。
「手伝いましょうか?」
「客人なんだから手伝ってもらうのは悪いよ。」
「いいんですよ。私も泊めてもらうだけでは悪いですから。」
「それなら手伝ってもらおうか。」
計画通り……。なんて思ってないよ。妖夢ありがとう。
妖夢が手伝いもあり、食材をスキマから取り出すことはすぐに終わった。することがないし、家の中を案内しよう。
「家の中を案内するよ。ついて来て。」
「範人さんの家って広いんですね。ここ以外にも建物がありましたよ。」
「まあ、研究所だからね。俺が寝起きしているこの家の他に客人を泊める別館、実験が行われていた研究所がある。」
「範人さんって学者さんですか?」
「学者じゃないけど、博士号は持っているよ。」
「範人さんってけっこうすごい人だったんですね。」
「すごいのかどうかはよくわからないな。ここが台所だよ。」
「わあ、すごいです。」
俺の家のキッチンって、ホテルや本格的なレストランみたいに設備が整っているんだよね。石窯や燻製器があったり、特定の食材にしか使わない特殊な調理器具があったりする。普通の器具でも普通に調理できるんだけどね。
「範人さん、今日の夕食のときに使わせてもらっていいですか?」
「いいよ。いっしょに作ろうか。」
妖夢の目が輝いている。そこまで目を輝かされては断れない。まあ、俺も料理は好きだし妖夢といっしょにいられることが嬉しいから断る気もないけど。
「そろそろ、他も見ようか。」
廊下を歩いていると妖夢が話しかけてきた。
「廊下に飾ってある絵、美しいですね。誰が書いたのですか?」
「これらを書いたのは、全部デューだよ。あいつはああ見えて絵を描くことが趣味なんだよ。」
「人は見かけによらないんですね。」
正直、俺もなんでデューがあんなに絵が上手いのかがわからない。しかも、よりによってタイラントになった後に絵を描き始めたのだから、見た目とのギャップがすごい。
「全くだ。」
話しながら歩いていると俺が普段寝ている部屋に着いた。
「俺はこの部屋で寝ているんだ。今日もここにいるから困ったことがあったら呼んでくれ。」
「範人さん、いっしょに寝ましょうよ。」
まさかの誘い、正直なところすごく嬉しい。だが、今日は魔理沙たちが来るのだ。魔理沙が泊まっていくと言い出して、もしもいっしょに寝ているところを見られたら大変なことになる。
「妖夢、魔理沙たちが来るんだよ。泊まっていくとか言うかもしれないんだよ。見られたらやばいんだよ。それでもいいの?」
「構いません。仮に見られても範人さんを思う心は変わりませんから。」
うん、断っても無意味みたいだ。そうわかると、不思議と見られても平気に思えてきた。
「……わかった。そうしよう。」
「ありがとうございます。」
「別館に行こうか。」
別館は他の研究者たちがこの研究所を訪れたときにその研究者たちを泊めていた建物である。宴会ができる大きな部屋が和室、洋室のそれぞれ一部屋ずつあり、泊まるための部屋も和室、洋室がそれぞれ二部屋ずつある。宴会の会場も別館にしようと思っている。
「で、本来は妖夢にはこの別館の部屋で寝てもらうつもりだったんだが、妖夢は俺の部屋と別館の部屋、どっちの部屋で寝たい?」
「私は別館の部屋ですね。」
「わかった。じゃあ、別館の和室でいいな?」
「はい、お願いします。」
「ここが宴会の会場になる予定なんだけど、ここでいいかな?」
俺は広い和室の襖を開ける。本当になんでこんな広い部屋を父さんは作ったんだろう。
「かなり広いですね。これだけ広ければ充分ですよ。」
「それならよかった。この部屋と向かいの部屋以外に宴会をできるような場所がないんだよね。」
よかったー。正直なところすごい心配だったんだよねー。かなりの人数が集まりそうだったから。
「ここの二階に泊まる部屋があるよ。見とく?」
「いえ 、それよりも研究所の案内をお願いします。」
「わかった。研究所はかなりやばい実験が行われていた場所だから、多少血の匂いとかがするかもしれないけど、我慢してね。しっかりと掃除はしたんだけど。」
「構いませんよ。行きましょう。」
研究所は最も大きな建物だ。生物を主に研究していた。もちろん、生物兵器も例外ではない。研究所には地下室がある。なんで、研究所=地下室なんだろう?理由がわからない。生物兵器などの危険な実験は地下室で行われていた。今、その部屋は綺麗に掃除されて野菜を育てる部屋になっている。他の研究室も魚の養殖施設やモノリスの生産、加工施設になっている。まあ、簡単に言えば、今の研究所はいろんな物を作る工場になっている。ただし、最深部の研究室は過去のままになっている。家で電気が使えるのは発電機が研究所にあるからである。
妖夢に研究所の中を案内することは終わった。
「すごいですね。あれなら、食材に困りませんよ。血の匂いなんてしませんでした。」
「でも、過去を知ってしまうとここで作られた食材なんて食べたくなくなるだろ。」
「そんなことはないですよ。人里の畑には人間が妖怪に襲われて、死んだ場所もあります。」
「あ、うん。」
あまりの驚きにしっかりと返事ができなかった。幻想郷って結構危険なんだな。
「時間もかなり経ったし、そろそろ魔理沙たちも来るだろうから、夕食を作り始めようか。」
「そうですね。作りましょう。」
俺たちはキッチンに向かった。
夕食を作り終えたところにちょうど魔理沙たちが来た。
「おう範人、飯食いに来たぜ。」
「お邪魔します。」
「いらっしゃい。夕食はもうできているよ。」
「それは助かるぜ。いろんなところ飛び回ってきたから、腹が空いてんだ。」
俺はリビングに魔理沙たちを通す。リビングには妖夢が既に待っていた。
「おう妖夢、なんでここにお前がいるんだ?」
「今日は幽々子様が紫様の家に泊まりに行っておりますので、こちらに泊まりに来ているんです。」
「なんだ、てっきり範人と同棲しているのかと思ったぜ。」
「まだ同棲なんてしていませんよ。」
妖夢は顔を赤くして答えた。まだって言ってしまった。そんなこと言ったら絶対に魔理沙が食いつくよ。
「え、まだって言ったか?」
案の定、魔理沙がまだという言葉に食いついた。からかわれるのはかわいそうなので、話をかえさせる。
「早く食べようか。」
「それもそうだな。」
「「「「いただきます。」」」」
夕食を食べ始める。
「これ、美味いな。誰が作ったんだ?」
「それを作ったのは俺だ。」
「範人って本当に料理できたんだな。驚きだぜ。」
「俺の言葉を信じてなかったのかよ。」
これは少しショックである。信じてもらえていなかったとは。
「悪いな。優も料理はできるんだが、ここまで美味いものは作れなくてな。勝手にそう考えちまった。」
「そう言う魔理沙の料理センスはどうなんだ?」
「……」
「わかった。料理下手なんだね。」
魔理沙を同情の眼差しで見る。
「それは言わないでくれ。あと、そんな目で私を見るな。」
「それなら結婚したとき、魔理沙が嫁じゃなくて優が嫁だな。」
「け、結婚ってなんだよ。別に優とはまだそういう関係じゃねーから。」
「まだって、どういうことだ?やっぱり、優のことが好きなのか。」
「そ、そんなわけねーだろ。」
魔理沙が顔を真っ赤にして言う。妖夢の分の仕返しができた。
「ははは、妖夢の代わりに仕返しだ。」
「範人てめー。」
「(ナイスです、範人さん。)」
「(いいってことよ。)」
魔理沙の言葉で優がすごい落ち込んでいる。
「魔理沙、俺のことが嫌いだったのか。」
「わ、悪い。別に優のことが嫌いってわけじゃねーから。」
「うう、それなら良かった。」
「逆に嫌いなわけないだろ。嫌いだったらいっしょに風呂なんて入らねーよ。」
「魔理沙、そのことは言うな!」
魔理沙、お前の頭の中は本当にどうなっているんだよ。こんなところでそんな話を出すな。
「(範人さんこの二人って普段何しているんでしょうか?)」
「(本当に何やってんだろうな。)」
俺と妖夢は二人の様子を見て聞こえないように話し合っていると思っていた通りのことを魔理沙が言い出した。
「範人ー、このまま泊まっていってもいいか?」
「別にいいけど。」
「ありがとな。」
「泊まる場所は別館だよ。和室と洋室どっちがいい?」
「洋室で頼む。優と二人で同じ部屋に泊まるから一部屋でいいぜ。」
「じゃあ、案内しないとな。夕食が終わったら案内するよ。」
「なら、食器の片付けは私がしておきます。」
「ありがとう。頼んだ。」
夕食が終わった。片付けは妖夢に任せ、二人を部屋に案内する。
範人の研究所は本当に大きいです。本当になんで研究所=地下なんでしょうか?範人の研究所の詳細はそのうちに書こうと思っています。
魔理沙たちが泊まっていくと言い出しました。
料理の仕込みは範人が書いていないところでしています。
ではまた、次回お会いしましょう。