東方戻界録 〜Return of progeny〜   作:四ツ兵衛

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第四十話 壊し屋

妖夢と別行動を開始して10分、範人はフリーフォール付近に来ていた。

 

「ここにもいないのか。霧も出てきたし……。犯人はどこに行ったんだ?」

 

霧は3分程前に出始めたが今では10m先が辛うじて見える程の霧になってしまった。この遊園地付近ではよくあることだが、今回はかなり濃い。

 

「ウアァー!」

 

「な、何だ!」

 

突然、化け物のような叫び声が響いたため範人は身構える。霧でよく見えないがその声は前方から聞こえてくる。

 

この声は……まさか!

 

範人はその声に聞き覚えがあった。 かつて聞いた生物兵器の音声資料の声にそっくりなのだ。

タイラントの身体をベースにネメシスという寄生体を寄生させてより高度な知能を持たせることに成功した。かつて、ラクーンシティで特殊部隊S.T.A.R.S.を全滅させるために送り込まれた人型生物兵器ネメシスt型。

その声にそっくりだった。

 

何故だ?何故あいつがここにいる?

 

「グオァァー!」

 

「うお⁉︎」

 

ドスッ!

 

範人の目の前に触手が突き刺さる。だが、その触手はネメシスのミミズに似ているものよりも人間の手足に似ていた。さらにその触手には目がついていた。

 

「なんだこれは⁉︎」

 

「見ツけ……たゾ!」

 

霧の中から何者かが飛び出してきた。範人はその姿を見て目を見張った。そこにいたのは皮膚がただれたネメシスよりも元のタイラントに似た生物だった。

 

「なんだこいつは⁉︎」

 

「グオァァー!コロス、殺す!」

 

範人に向かって巨大な爪が振り下ろされる。範人はとっさに変異をして鎌で受け止める。ぶつかり合った刃からギリギリという音がする。

 

くそッ、なんて馬鹿力だ。鎌が折れちまう……。

 

「ヌアァー!」

 

「ゴハァ!」

 

生物兵器の蹴りが範人の横腹に入った。甲殻が軋む音と共に範人は吹っ飛び、フリーフォールの柱に激突した。

 

「グフフ……、ソの身体…お……マエも生物兵器…か?面白い…面白いゾー!」

 

「ハッ⁉︎」

 

範人が目を開けると目の前に相手の拳が迫っていた。範人の顔面に拳が直撃し、柱を貫通して吹っ飛ぶ。地面のアスファルトと甲殻が擦れ、火花が散る。

 

「俺…ノ名前は……クラッシュ…だ……。ガハハハハー!」

 

クラッシュは地面を滑る範人の元に走り寄ると顔面を蹴り飛ばした。範人は10m程吹っ飛び、柵に激突して停止した。

 

「もう終わりか。ガハハー!」

 

範人が起き上がる。その目には怒りの炎が燃えていた。だが、甲殻はボロボロで自身の攻撃の衝撃に耐えられない。それを感じた範人は身体に異なる変異を施す。

 

「っ……、生かそうと思ったけど、しゃあねー。殺してやるよ!」

 

「ガハハハ…ハ⁉︎」

 

バキッ!

 

範人の右ストレートを受けてクラッシュの身体が吹っ飛ぶ、身体を動かそうとするが痺れて動かない。範人は回り込んでさらに蹴り上げる。クラッシュが上空に吹っ飛んだところを踵落としで地面に向かって蹴り落とす。

 

「ガフッ、グハッ……ハァ…ハァ……。な…ンダ、その姿ハ……?」

 

クラッシュの見つめる先には全身を白い甲殻に覆われ、狐のような尻尾を生やした生物兵器の姿があった。身体の表面を青白い稲妻が走っている。

 

「これか?これは俺の第二の変異形態だよ。電気を操ることができてね。さっき、あんたの身体が痺れたのはそのせいだ。」

 

「マサ…か……お前…⁉︎『ハン「グシャッ!」ガアァァ!」

 

「その名で俺を呼ぶな……。」

 

範人がクラッシュの腹を蹴り飛ばした。腹から背中に貫通する穴が開き、もがき苦しむクラッシュを見つめる範人の目は恐ろしいほどに冷たい輝きを放っている。

 

「さあ、立てよ。もっと痛めつけてやる。」

 

「グッ、チクショォォォッ!」

 

クラッシュは圧倒的な回復力で穴を修復すると範人に殴りかかった。範人はそれをスルリとかわすと顎にアッパーを打った。クラッシュの顎の骨がグシャリという湿った音を立てて砕ける。

 

「……ッ⁉︎」

 

「そうか、言葉にできないほど痛いか……。」

 

範人は横腹に裏拳を放つ。殴られた部分の筋肉と内臓がそのままズレて、断層を起こす。だが、範人もそのままで放っておくようなやつではない。ズレた部分を逆から殴り、元の位置に戻す。

 

「グ…アッ……」

 

「もう終わりか?殺しちまうぞ?」

 

「ウ、ウワァー!」

 

クラッシュは範人に背を向けて逃げ出した。範人は尻尾の毛を寝かせて鞭のようにする。

 

嘘だ……。あんな化け物に勝てるはずがないだろ!なんであいつがここにいるんだよ?エージェント ハント・ゴートレック。通称『Dr. blood』。生物兵器名『ハン……

 

ドゴッ!

 

「ガアッ!」

 

範人が鞭のように振るった尻尾はクラッシュの横腹に直撃し、クラッシュを転ばせる。

 

「丈夫だねー。いい玩具だよ。」

 

範人は尻尾をクラッシュの身体に巻きつけて電気を流す。死なない程度の電流が流れるように電圧を調整する。

 

「ギャアァー!」

 

「さて、これから10秒だけ自由にしてやる。好きに逃げな。」

 

範人は尻尾を振ってクラッシュを投げた。クラッシュは一目散に逃げる。クラッシュをわざと逃がした範人には考えがあった。

 

さて、こいつはきっと増援を呼びに行くだろうな。そいつが犯人だ。さっさと見つけて降参してもらうか。

 

10秒後、範人はクラッシュを追い始めた。




範人の新しい変異形態が登場しました。

「ウワォ、電撃だー!ビリビリだー!ついでに尻尾はモフモフだー!」

はい。新しい力は電気です。新しいと言っても作品内初登場ってだけで範人は前から使えたみたいですが……。
あれ?矢骨さんがいない。

「お燐と出かけたよ。」

あ、そうですか。

「ジャケット着て、バイクに乗っていった。」

あれ?まさか、頭部が骨になって燃えてませんでしたか?

「ああ、そうだよ。あれには驚いたね。」

メフィストと契約したどこぞのライダーといっしょじゃないですか!

「ま、まあ、話を戻そうぜ。」

そうですね。範人の新しい力は電気、相手がネメシスみたいなやつとくればアレしかないですよね。

「まさか……アレができるのか⁉︎」

はい、バイオハザード知っている人ならきっとわかると思います。アレです。

「スゲェ、ワクワクするぞ!」

アレは次回以降ですがね。

『ではまた、次回お会いしましょう。』
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