東方戻界録 〜Return of progeny〜   作:四ツ兵衛

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第四十二話 救世主

男はジェットたちを追い詰めた。ジェットは弱気になり、フランはジェットを守るべく立ち塞がっている。

 

「退いてくれよ。その少年に用があるって言っただろう?」

 

「退かない!お兄様と約束したんだもん!」

 

フランはすごい剣幕で男を睨みつけるが男は動じない。それどころか不敵な笑みを浮かべている。

 

何よ…こいつ。吸血鬼の迫力にも動じないなんておかしいわ。でも……絶対にジェットは守る!

 

「おっと、申し遅れたね。僕はクロウ、素敵な誘拐者さ♪」

 

「名乗っても退かないよ!」

 

「っ……、そう言うと思ったよ!」

 

クロウはフランに向けて拳を振り下ろすが、フランはクロウの拳を軽く受け止めた。

吸血鬼にとって、人間の拳を止めることなど造作もないことだ。

クロウは驚いた表情をするが、周りを見てからニヤリと笑みを浮かべた。

 

「強いお嬢ちゃんだ……でも、もう終わりだよ。」

 

クロウが見つめる先には大男の影が走ってくるのが薄く見える。そして、その大男のものだと思われる声が響く。

 

「クローウ!」

 

「ずいぶんと遅かったじゃないか。奴らは片付けたのか、クラッシュ?」

 

「ソ、それ…が……大変ナ「ドゴッ!」ガアァァ!」

 

クラッシュの影がフランたちに近づいてくるが、30m程まで近づいたところで吹っ飛ばされて、フランたちから5m程先に落ちた。クロウが驚愕の表情を浮かべ、クラッシュに呼びかける。

 

「あ……あいつガ……。」

 

クロウがクラッシュの指差す場所、クラッシュが先程までいた場所を見るとそこにはもう一つの影があった。その影はだんだんと近づいてくる。

 

「あいつがどうした⁉︎」

 

電磁砲(レールキャノン)『パラケルススの魔剣』」

 

影から声が響く。その直後、影から電撃が発射されクラッシュの身体を貫いた。クラッシュの身体はクラッシュが悲鳴を上げる間もなく、電撃の破壊力で燃え尽きて、灰になった。

 

「な、なんだ⁉︎クラッシュ⁉︎」

 

クロウは焦った表情を浮かべる。フランは声を聞いて安心したが、ジェットは少し戸惑っていた。

 

え⁉︎なんで?なんでフランちゃんのお兄さんの声が聞こえてから電撃が飛んできたの?フランちゃんのお兄さんって人間だよね?

 

「誰だ、お前は⁉︎」

 

「エージェント ハント・ゴートレックだ。」

 

そこに現れたのは範人の姿とは似ても似つかない化け物。狐のような尾を持ち、全身を白い甲殻に包んだ生物兵器だった。

 

「嘘だ!そんなこと……聞いてない!」

 

「んなこと知らねーよ。そもそも、自分から『僕は化け物です』なんて情報流すか?」

 

範人はわざと相手を挑発するように話す。クロウの背中を冷や汗が流れるが彼はすぐに立ち直る。

 

「フ…ハハ……ハハハハハ!」

 

「何がそんなにおかしいんだ?」

 

「僕はまだ、終わりじゃないってことさ!仲間ならもう一人いる!」

 

「スラッシュさんなら、もう斬ってしまいましたよ。」

 

「ハハ…は⁉︎」

 

クロウの元に刀に着いた血を拭きながら、妖夢もやってくる。クロウの表情が固まり、動きが停止する。いわゆるフリーズだ。

 

「まあ、そういうことだ。お前は一人、諦めて俺たちを表に戻してくれないかな?」

 

「そ、そんな……。僕の完璧な計画が……。」

 

クロウが崩れ落ちる。今までの行動が無駄になったことで力が抜けてしまったのだろう。

 

「10秒以内に答えを出してくれ。あまり時間は取りたくない。」

 

範人は厳しい口調で降参を迫る。だが、クロウが元に戻る気配がないため変異を解除して、優しく言う。

 

「あんたを殺せば、裏から出れることくらい知っているんだ。俺なら今すぐにこの場であんたを殺すこともできる。でも、殺さない。……なんでかわかるか?」

 

範人の言葉にクロウが元に戻ったのだろうか。顔を上げて答える。

 

「……わからない。」

 

「そうか。……俺はあんたに生きてもらいたいんだ。あんたは人間だ。俺なんかとは違ってまだやり直せる。だから、生きてくれ。生きて、罪を償ってくれ。罪から逃げないでくれ。」

 

「……そうか。そう…だよな。」

 

範人の言葉がわかったのか。クロウは立ち上がり、範人たちの前に進んだ。

 

「わかってくれたか。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……わからなくて当然だ!僕の計画に従わない世界なんか、僕にわかるはずがない!」

 

クロウは範人の胸倉を掴み投げ飛ばした。範人はクロウの迫力に驚き、抵抗することもなく地面に頭から叩きつけられた。ゴキッという音が響き、範人の首がありえない方向に曲がる。

 

「ウワァー!」

 

目の前で起きた惨劇にジェットが叫ぶ。そのとき、クロウの服から何かが落ちた。妖夢がそれがなんであるかを確認する。

 

「これは……注射器ですか?」

 

「触るな!」

 

範人は首が折れた状態のまま叫んだ。クロウの落とした注射器はウィルスの注射器。範人はそれに感染することを危険視したのだ。首の骨が再生し、範人が立ち上がる。

 

「全く酷いことしてくれるぜ。」

 

「だ、大丈夫なんですか⁉︎」

 

「心配するな。俺は生物兵器だ。

……それよりも、あのバカの処分だな。」

 

クロウの筋肉が盛り上がり、服を突き破った。肩からもう一対の腕が生え、心臓が浮き出る。変異が終わったとき、そこにクロウの面影はなく、新型タイラントの姿があった。

 

「さて、殺るかな。」

 

「待って。」

 

変異しようとした範人をフランが止める。フランの目は怒りで紅く輝いている。

 

「ここは私に任せてもらっていい?」

 

「……いいよ。好きに戦いな。」

 

「ありがとう。」

 

フランはクロウの前に出る。フランの背中から吸血鬼の翼が生え、正体が明らかになる。

 

「さあ、遊びましょ♪」

 

「ウガアァー!」

 

クロウはフランに殴りかかった。




今回のゲストは蜘蛛島さんと黒谷さんです。

「「よろしく。」」

さて、誘拐者の名前はクロウですが、ウィルスに感染した烏とは関係ありません。

「そんなことより範人のスペルだよね。」

「出たー!」

はい、出ました。範人の新しいスペルはもちろんネメシスを殺したあの電磁砲と同じ名前です。もしかしたら、衛星レーザーも出るかもしれません。

「主人公がさらにチートに……。」

「すごいわね。」

クロウがタイラント化した原因はウィルスなのですが、既にどんな変異をするかをセットしてあったという設定です。

「そんなもの誰が作ったの?」

「テイロスのところで登場した人かな。」

し、知らないな〜。

「これは図星かな。」

そ、そんなことよりも重要なことが。

「あ、誤魔化した。」

この作品のタイトルを少し変えようかと思います。『東方戻界録』ってところは変更しませんが、その後に少し付け足します。タイトルが変わっても内容は変わりません。

「そうか。」

『ではまた、次回お会いしましょう。』
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