東方戻界録 〜Return of progeny〜 作:四ツ兵衛
僕は現在、お嬢様の命令で咲夜さんと共に異変を解決中です。しかし、主犯の手がかりなどあるはずもなく、そういったことに詳しい人の家に向かっています。
「本当にこっちでいいの?」
「何故?」
「だって、魔法の森よ。」
「仕方ないです。あの人は魔法使いですから。」
咲夜さんが言うのも無理はありません。普通の人間からすれば、魔法の森の瘴気は有害で近づく人間なんてあまりいません。
しかし、それは普通の人間ならばの話です。魔法使いからすれば、魔法の森の瘴気は魔力を高めてくれる有益なものでそれがあれば、普段の何倍もの力が発揮できます。パチュリー様のように例外もありますが、魔法使いが魔法の森に住んでいることは普通なのです。
「あ、ここの家です。」
降り立った場所はある家の前、ここにあの人が住んでいます。早速、ドアをノックしましょう。
コンコンッ
「はい。どちら様で?……あら、デューレスね。今日はどんな用事かしら?」
ドアから出てきたのはアリス・マーガトロイドさん。通称 七色の魔法使いです。
本人曰く、僕とはかなり仲が良いらしいです。何故仲が良いのかと訊くと、研究所での宴会で知り合った後、僕が人形のデザインを考えたり、絵に描いたりすることが何度かあったから、だそうです。
アリスさんは頭がいいので、今回の異変について何か知っているかもしれないということでここを訪ねたわけです。仲が良い人たちの中で今回の異変について知っていそうな人がアリスさんだけだったということもありますが……。
「今回の異変で何か知っていることはないかと思いまして……どうですか?」
「そうね……お茶でも飲みながら中でゆっくり話しましょう。いれてくるわ。」
「ありがとうございます。」
僕たちは家の中に招き入れられた。
「この終わらない冬についてだったわね。」
「はい。」
「これを見て。」
「これは……何ですか?」
アリスさんが取り出した瓶に入っているものは桜の花弁に似た何かでした。感じたことのない不思議な気を放っています。僕はこんなものを見たことがありません。
「これは春度というものよ。簡単に言えば、春のエネルギーの塊ね。普段は誰しもが持っているものだけれど……」
「何か気を感じます。」
「そうなのよ。今は幻想郷でこの春度が減っているの。だから、今の貴方たちはこれを感じることができるのだけれど……それが異常なのよ。」
「なるほど、今回の異変は春度の減少が原因ということですか。……でも、春度を集めて得をする者がいるのでしょうか?」
この異変は春度の減少が原因ということがわかりました。つまり、春度を奪っている者がいるということです。
しかし、ここで疑問が発生しました。何故、春度を集めるのか、ということです。春の陽気を浴びて自分も陽気な気分になろうとでもいうのでしょうか?
「それはわからないわ。……ただ、緑色の服を着た少女が春度を集めているのを見たという話を聞いたわ。主犯と関係あるんじゃないかしら?」
緑の服……考えたくはないけど、妖夢さんでしょうか?僕の知っている人たちの中では妖夢さんくらいしか思い浮かびません。橙がそんなことするはずはないでしょうし。ひとまず、妖夢さんのところは訪ねてみましょう。
「……有力な情報ありがとうございました。では、僕はこれで……。」
「あら、もう少しゆっくりしていけばいいのに「ヒュン!」……何のつもり?」
アリスさんの背後の壁にはナイフが深々と突き刺さっています。そして、僕の隣にはナイフを構える咲夜さんの姿が……いったいどうしたというのでしょうか?
「アリス……私と勝負しなさい!」
アリスさんに勝負を挑む咲夜さん……本当に何があったんですか⁉︎
この気持ちはなんなのだろう?デューレスがアリスと仲良くしているのを見ていると怒りというか悲しみというかそんな気持ちが湧いてくる。本当に私はどうしてしまったのだろうか?
「有力な情報をありがとうございました。では、僕はこれで……。」
「あら、もう少しゆっくりしていけばいいのに。」
そのとき、私の中で何かが切れ、ナイフを投げていた。ナイフはアリスの後ろの壁に突き刺さった。
何よこいつ……デューレスを取るつもり?……あれ?私は本当に何を考えているの?さっきからイライラしているこの気持ちは何?それに私はいったい何をしているの?
「……何のつもり?」
いや……何のつもりと訊かれても私も何でこんなことしたのかわからないのよ⁉︎私は何故かイライラしたのよ?何故かなんてわかるわけないじゃない!
戦う意思がないことを伝えようと口を開いた。だが、私の口は勝手に動き、思いもしないことを口走る。
「アリス……私と勝負しなさい!」
本当に私は何を言っているの?アリスも人形構えているし、もう戦う気満々じゃない!あれ?私もナイフを構えてる……。ええい、もういい!向こうが戦る気ならこっちも戦ってやる!
本当になんでこんなことになったんでしょう?目の前では咲夜さんとアリスさんが激闘を繰り広げています。咲夜さんのナイフをアリスさんが避け、人形を召喚して反撃、それをかわした咲夜さんがまたナイフ投げる、という流れをもう20分くらい繰り返しています。
「貴女……なかなかやるわね。」
「そちらこそ。」
2人とも……弾幕勝負が楽しいのはわかりますが、その笑顔はやめてください。怖いです。真っ黒です。
そもそも、何が原因で咲夜さんはナイフを投げたのでしょうか?アリスさんの発言に何か問題があったのでしょうか?
「うわーん!」
「ん?」
誰かの泣く声が聞こえました。その方向を見て見ると橙がいました。向こうもこちらに気づいたようでこっちに走ってきます。
「お兄ちゃーん!」
橙が飛びついてきました。橙がブラコンではないことを祈ります。少なくとも僕はシスコンではないですからね。咲夜さんがこちらを睨んだ気がするけど……気のせいでしょう。
「なんでここに?」
「迷ひ家で泥棒を捕まえようとしたんだけど……逃げられちゃった。それにその泥棒といっしょにいた人に勝負を挑んだら負けちゃった。」
「それは大変だったね。」
橙は黙って頷くと僕の肩に乗ってきました。本人曰く、僕の肩の上は特等席らしいです。なんででしょうね?人混みで遠くまで見えるからでしょうか?……わかりません。
泥棒って絶対に魔理沙ですね。わかります。
「ねえ、お兄ちゃん。なんであの人たちは戦っているの?心当たりは?」
「知らないなぁ。」
「もしかしたら、お兄ちゃんをめぐっての争いかもしれないね。」
「それはないと思うよ。」
さすがにそれはないだろう。僕のことを好きになるようなことはないだろうし、僕も惚れられるようなことをした覚えはない。
「そうかなぁ?あるかもしれないよ。お兄ちゃん、かっこいいし。」
「そりゃどうもありがとう。」
我が妹ながら嬉しいことを言ってくれます。僕がかっこいいなんてあるのでしょうか?どちらかというと避けられる方ですよ。生物兵器ですし、身体が大きくて恐く見えるらしいですから。
「おおー、派手にやってるじゃねーか。」
「魔理沙……頼むから待って……。」
おや、魔理沙と優もやってきましたね。……早速尋問でもしましょうか。
「さて、魔理沙……泥棒したのは本当かな?」
「あ、そのことでその猫叉に話があったんだ。」
「わ、私でしゅか?」
「ああ……ほら、返すぜ。」
魔理沙が取り出したものはどこかで見たことのあるような剣でした。白い刀身に紫色の柄……確か、某緑の勇者が使っていたような気がします。
「最初はすごい魔力を感じたんだが、私が持つとダメになっちまった。」
「すぐに返させていただきましゅ!」
橙は剣を受け取ると大急ぎで走り去っていきました。
「おい、デューレス。お前も一緒に異変解決しろ!」
「こちらもちょうど解決しようとしているところだ。咲夜さんがいいならOKだが?」
「よし!それなら、あの戦いが終わるまで待とうぜ。」
「わかった。」
咲夜さんとアリスさんの勝負に決着がつきました。結果は咲夜さんの勝利、本当に何のために勝負していたのでしょうか?全くわかりません。
「デューレス、さっきの幼女はどこへ行ったの?」
「橙なら帰りましたよ。」
「あの泥棒猫……まあいいわ。」
何がいいんでしょうか?それに泥棒猫って……橙はそんなに悪い子じゃないです!泥棒なんてしませんよ!それに、もしそんなことをしているのなら、兄の僕が責任を持って止めさせます。
「提案なのですが、魔理沙たちも一緒に異変解決なんてどうでしょう?」
「仕方ないわね……デューレスの提案だからよ。」
「お、咲夜がデレたか?」
デレた?はて、どういった意味なのでしょうか?僕にはわかりませんが……。優は何を言っているのでしょうか?まあ、そんなことは置いておきましょう。
「アリスさんから気になる情報をいただきました。緑色の服を着た少女が春度なるものを集めていたそうです。」
「緑色の服……妖夢か?」
「そうです。だから、冥界に行ってみることを提案します。」
「よし、その案もらったぜ。それじゃ、4人で異変解決だ!」
魔理沙が先頭を切って飛び立ちました。僕たちもそれに合わせてついていきます。目指すは冥界、白玉楼です。
今回のゲストは爆弾魔。
「爆弾魔とは失礼な!これが俺の特徴なんだから仕方ないじゃないか!」
はいはい、早速始めましょう。
「まったく……まぁいい。
やっぱり、咲夜さんはデューレスが大好きみたいだね。」
そうですね。いい加減、自分の気持ちに気づいてもらいたいものです。早くしないと他のキャラに取られちゃいますよ。
「デューレスが取られたら咲夜さんを俺の嫁にしてくれない?」
無理ですね。
「そんなにはっきり言わなくてもいいじゃないか。」
(とは言ったものの……考えてみましょうか。)
大丈夫ですよ。貴方にもきっと春は来ますから!
「ありがとう。
橙が最悪のタイミングで登場したね。」
あれは仕方ないです。逃げた方向が偶々魔法の森だっただけなんですから。それに彼女には若干のブラコンが入っていそうですしね。
「今回はド派手に締めようぜ!」
はい?それってどうやって?
「こういうことさ!」シュー
『ではまた、次回お会いしましょう。』
ドゴーン!
あ、危ねー!