東方戻界録 〜Return of progeny〜   作:四ツ兵衛

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第五十話 冥界チート庭師

現在、冥界を目指して飛行中の優だ。

さっき頭の中ハッ○ーセットの春告げ妖精を魔理沙がフルスピードで追突して吹っ飛ばしちゃった。春告げ妖精さん、うちの魔理沙がごめんなさい。

デューレスの話じゃ妖夢が今回の異変に関係がありそうということなんだが……正直なところ、そうであってもらいたくない。友達が悪に走るのは辛い。

さらに妖夢の彼氏である範人は現在ミッションで幻想郷にいない。範人がいれば、戦うことなく交渉でどうにかなるかもしれないが、その範人がいないのである。

 

「お!あれが冥界の入り口か。」

 

そんなことを考えているうちに冥界の入り口までたどり着いてしまった。

向こう側に少し見える冥界は暗く冷たい感じがした。だが、違うものがある。それは薄いピンク色をした花びらのような物体。冥界に行くものの中でそれだけは暖かい感じがした。これが春度なのだろう。

すぐに戦いになる可能性もあるためみんなも少し緊張しているみたいだ。

 

♪〜〜♪〜

 

「ん?」

 

突然、楽器の演奏が聞こえてきた。

トランペットにキーボードあとは……バイオリンだろうか?3種類の楽器の音が組み合わさってちょうどよく美しい音色になっている。

音の方を向くと3人の少女がいた。空を飛んでいる時点で普通の人間ではないのは確かだ。妖力も感じないためおそらく幽霊だろう。

 

「やあ、いい音色だね。」

 

気がつけば、話しかけていた。

魔理沙もいるのだ。断じて浮気ではない。

演奏が止まり、3人の少女がこちらを向いた。

 

「あら、ありがとう。」

 

「わーい、褒められた!」

 

「どうせそんなこと思ってないのよ。本当は心の中でバカにしているのよ。」

 

今の話し方で3人の性格が大体わかった。言葉を発した順に悪戯好き、明るい、鬱だろう。

……鬱はどうにかしようか。こっちも悲しくなってくる。

まあいい、この異変について少し訊いてみようか。

 

「春が来ないことについて何か知っていることはないかな?」

 

俺が尋ねると3人は少し考え込んだ。これを真面目に考えてくれているのだから、根は良いやつらなのだろう。

明るいやつが口を開く。

 

「そうだ!」

 

「何か知っているのか?」

 

「冥界の主さんからね〜。お花見のときの演奏を頼まれたの。その日が今日なんだ♪」

 

これはあまり聞きたくなかったことだ。地上はこんなに寒く、雪が降り積もっているというのに冥界でお花見とはどう考えてもおかしい。冥界の方が早く桜が咲く、または、春が早いというのだろうか?

……どちらも違う。間違いなく今回の異変の原因は冥界にある。そして、主犯も間違いなく冥界の者だ。

 

「Damn it ! 」

 

友達が悪に走ってしまった。その実感が俺の心に重くのしかかる。それは魔理沙たちも同じようで表情が暗くなっている。

範人ならもっと辛かっただろう。何しろ、あいつは妖夢の彼氏なのだから。

覚悟を決めろ、俺!こうなってしまうことがないわけがないんだ。だから、友達が悪の道に入ったら、死んでも元の道に引きずり戻す。それが友達だっていつも思ってきたじゃないか!

 

「情報ありがとう。」

 

「いいのいいの♪じゃあね〜♪」

 

「さようなら。」

 

「さようなら……二度と会いたくないわ。」

 

鬱よ。それはあまりにひどくないか?心にすごくグサリと来た。めっちゃ痛い。ル○フェルが刺さって爆発したときくらい痛い。

俺たちは吸い込まれるようにして、冥界に入っていった。

 

 

 

たどり着いた場所は真っ暗な場所。真っ先に目に入ったものはどこまでも続くような長い階段。両脇に建てられた灯篭?がその建築物を不気味に浮かび上がらせる。そして、春度はその階段の先へと流れている。

 

「ここが冥界か。その名の通り、不気味な場所だな。」

 

周りには霊魂が漂っている。いかにも冥界らしい冥界だ。暑さも寒さも感じない。悲しいほどに無表情な世界だ。

この場所に主犯がいる。それは間違いないようだ。冥界がどうであるかなど関係なく、それが悲しい。

 

「さて、早く解決といきましょうか♪」

 

みんなを元気づけるために明るく言う。それが俺にできるせめてもの優しさだ。明るい気持ちで行かなければ押し潰されてしまいそうなほどにこの場所の空気は重すぎる。

 

「そうだな。霊夢を驚かしてやろうぜ!」

 

「そうね。」

 

「そうしましょう。」

 

みんなの表情が明るくなったような気がする。俺の行動がみんなの役に立ったようでなによりだ。俺もより明るい表情を作れる。

 

「行くぞ!」

 

「「「おう!」」」

 

全員の士気が高まったところで俺たちは階段を飛んで上り始めた。

 

 

 

この階段長すぎだろ!飛んでもかなり疲れるレベルで長い。それと、だんだんと暖かくなってきた気がする。おそらく、春度が集まっている場所に近づいてきたのだろう。

 

「長い階段だぜ……」

 

「少し疲れてきたわ。」

 

「背中に乗ります?」

 

「遠慮しておくわ。もう少しで着きそうだもの。」

 

……デューレス、お前まさか…Mだったのか?

背中に乗るか?って、どっかの戦国武将じゃないだろ?いや、体格も似ているけどさ。踏んでくれ、って言ってるみたいで……なんかね。

そんなことを考えていると誰かが階段の上にいた。

 

「ん?あれは?」

 

「どうした?」

 

「……妖夢だ!」

 

「何ィ⁉︎」

 

妖夢は階段の上から、こちらを睨みつけている。その眼差しには強い意志がこもっており、こちらを通してくれそうな雰囲気はなかった。だが、少しでも残っているはずの確率を信じて交渉する。

 

「妖夢、そこを通してくれ。」

 

「理由にもよりますが、基本的に無理です。」

 

思った通りの返答だった。理由にもよる、と言ったがここで嘘を吐いても仕方がないだろう。結局、主犯は妖夢の主人である幽々子であることは確定してしまっているのだから。それなら、ここで正直に言って戦った方がいい。

 

「異変を解決しに来た。」

 

「そうですか。それならば、無理です。」

 

妖夢は刀を抜く。

これが従者というものなのだろうか?主人である幽々子を守るために友達にすら刀を向けてしまうのか?

ごめん、妖夢。俺たちはお前と戦わないといけないみたいだ。

 

「お帰りください。この場で立ち去れば、戦う必要はありません。」

 

「それは無理だ。春を返してもらう!」

 

「残念です。」

 

妖夢は刀を下ろし、脱力した。

 

「さあ、皆さん同時にかかってきていいですよ、スペルカードも無制限で。」

 

「え⁉︎」

 

まさか、そんなことを言うとは思わなかった。こちらは4人、妖夢は1人である。勝てる可能性があるなどとはとても思えなかった。その挑発に乗ったのか、魔理沙が弾幕を放つ。

 

「くらえ!」

 

妖夢は避けようとしない。弾幕が近づいてくるのを待っているようだった。そして、弾幕が妖夢に当たる寸前まで近づいたとき、妖夢が動いた。

 

「「「「な⁉︎」」」」

 

その場にいた者全てが言葉を失った。魔理沙の弾幕が刀の一振り…たった一振りで全て消えてしまったのだ。そして、妖夢の周りにはキラキラとした物体が漂っている。それは魔理沙の弾幕の破片だった。

 

「……もう終わりですか?」

 

妖夢の言葉に俺たちはハッとした。今は戦いの最中。にも関わらず、俺たちは目の前の出来事に驚き、ボッーとしていた。それほどまでに妖夢が俺たちに与えたインパクトは大きかった。

 

「……なめないでちょうだい!」

 

今度は咲夜がナイフで斬りかかる。時を止めての攻撃だ。普通なら避けられるはずなんてない。だが、妖夢はそれもまた、刀で的確に防御する。まるで、次にどこに攻撃が飛んでくるのかがわかっているような動きだった。

目視してからの防御なんてありえない。防御するには野生的なとても鋭い勘が必要なはずで、それでも防ぐことは難しい。それを防御してしまったのだ。

 

「ならば……咲夜さん!」

 

「ええ!」

 

デューレスも妖夢に攻撃するために飛び出した。手に持っている武器は激槌メテオ。重量武器のハンマーだ。

咲夜はナイフでの細かい連撃、デューレスはハンマーでの重たい攻撃を繰り出す。見事に連携が取れた攻撃に俺は勝てるかもしれないと思った。

 

「いっけー!」

 

だが、妖夢がそんな簡単に負けるはずがなかった。咲夜のナイフもデューレスのハンマーも全てかわしてしまう。

 

「甘いです。」

 

「キャア!」

 

妖夢のカウンターの蹴りが咲夜の腹部に直撃した。咲夜は吹っ飛ばされて、白玉楼の塀にぶつかり停止した。

 

「よくも咲夜さんを!」

 

デューレスはハンマーを振り上げ、妖夢に向けてフルパワーで振り下ろした。ハンマーは唸りをあげて、妖夢の頭に向かう。

マズイ!あれが当たれば、妖夢が死んでしまう。

俺は、止めろ!と言いかけた。だが、そのハンマーが妖夢に触れることはなかった。

 

「何⁉︎」

 

「……」

 

妖夢は刀を使って、ハンマーを受け流したのだ。ハンマーはその勢いのまま地面に突っ込み半径5m程を陥没させた。デューレスはそれを引き抜こうとするがその隙をついて、妖夢が蹴りを放った。デューレスの巨体が地面から少し浮き上がり、こちらに飛んできた。

 

「ぐっ……」

 

「大丈夫か?」

 

「なんとか……」

 

「妖夢ってあんなに強かったか?」

 

そう言われればそうだ。妖夢は前まで魔理沙に勝つことができなかったはず。短期間でこんなに強くなることはありえない。

……いや、ありえる。妖夢の彼氏は範人だ。妖夢の使う武器は刀。範人の使う武器は剣だから、練習しやすいはずだ。それに範人は間違いなく最強クラスの実力だ。その範人に稽古をしてもらっていたなら、ここまで強くなることも十分にありえる。

 

「ええい、面倒だ!くらえ!

恋符『マスタースパーク』!」

 

魔理沙がマスタースパークを放った。やはり、妖夢は避けようとしない。それどころか、笑みを浮かべている。妖夢は剣を握る手に力を込め、剣を前に突き出して、マスタースパークに突っ込んだ。

 

「タアァァ!」

 

マスタースパークは妖夢の刀に切られ真っ二つになって飛んでいく。妖夢はマスタースパークの中を駆け抜け、魔理沙の前で刀をふりかざした。

 

「「優!」」

 

そのとき、魔理沙の声に重なって、誰かの声が聞こえた。俺はとっさにその声の主と魔理沙の位置を移し換えた。その声の主は死なないような気がしたからだ。

魔理沙が消え、誰かが妖夢の前に現れる。妖夢はその者に刀を振り下ろした

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

が、その刀は一本の剣に受け止められた。俺たちはその者を見て目を疑った。

 

「遅くなって悪かったな。」

 

「え⁉︎」

 

「なんで……3時までのはずだったのに……」

 

『範人!』

 

この場にいる者は皆驚き、妖夢は刀を鞘に収めた。範人はこちらを見て、フッと笑った。




今回のゲストは存山さんともう一人。

「すごいね〜。妖夢がチート化していたよ。」

妖夢が弱かった原因は対人練習がなかったからだと思うんですよね。だから、範人と対人練習をしたことで強くなったことにしました。今の妖夢に勝てる者は霊夢とか紫くらいですね。

「それはヤバいね。」

でも、他の人物も強くするため、最終的にはだいたい同じくらいの強さになるのかな?と思っています。それでも、妖夢はその中で強い方にしようと思っていますがね。

「ところで、約束は?」

もちろん!さて、登場してください。宮古 芳香さんです。

「こんにちはなのかはわからないけど、こんにちは。
うわ⁉︎生き生きしたゾンビがいる!」

貴女も十分生き生きしてるでしょう。

「でも、ゾンビじゃない。」

そうでしたね。まあ、2人は向こうでお話でもしていてください。そろそろ締めます。

『ではまた、次回お会いしましょう。』
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