東方戻界録 〜Return of progeny〜 作:四ツ兵衛
結果は絶対死んでいる。
優たちの放つ弾幕が幽々子に向かう。しかし、幽々子も実力者。全ての弾幕をフラフラとした動きで避けられてしまう。ヒラヒラと舞い落ちる落ち葉が掴みにくいように幽々子には当たらない。弾幕から発生するわずかばかりの風圧を利用して避けているのだ。
幽々子も弾幕を放って優たちに攻撃する。しかし、多勢に無勢。いくら幽々子が強くても、弾幕の数で圧倒的に劣るため、幽々子の弾幕は優たちに届く前に相殺されてしまう。それに、幽々子の弾幕には当たれば死ぬということもあり、優たちも必死だ。
「フフフ、死ンデ。
幽曲『リポジトリオブヒロカワ-神霊-』」
スペルカードの詠唱の直後、幽々子から数えきれないほどの弾幕が放たれた。黄緑の弾幕が拡散して逃げ場を奪い、青の弾幕が狙い撃つ。霊夢たちは相殺を試みるが、その圧倒的な量の差と威力の高さにだんだんと押され始める。
咲夜の目の前に弾幕が迫り、咲夜は死を覚悟した。彼女は死の恐怖に目を瞑った。
「咲夜さん!」
咲夜と弾幕の間にデューレスが入る。そして、その弾幕を裏拳で消し飛ばした。
デューレスはタイラント、ウィルスで一度死んだ身である。そのため、死は効かないし、タフさも半端ではない。大抵のダメージなんてほとんど響かない。
弾幕に当たってもデューレスが引き下がることはない。生死がかかっている戦いではもはや弾幕ごっこのルールなんて適用している暇なんてないのだ。故に霊夢や魔理沙も殺傷力を抑えることなく攻撃をする。
「手加減無用ですね。殺す気で戦ってやりますよ!」
デューレスはハンマーを手に持ち、柄を強く握った。モノリスで作られたその強靭なハンマーはデューレスの握力にも潰れることなく、デューレスの思いに応えた。特殊機構が作動し、柄と槌をつなぐチェーンが伸びる。
「殺ってやりますよ!
鎖槌『逆襲の亡霊』」
デューレスがハンマーを回転させると槌が弾幕でコーティングされ、そこから弾幕が放たれた。弾幕が辺りに広がる。さらに、その槌自体も攻撃となり幽々子の弾幕を叩き壊す。コーティングしている弾幕にもデューレスの特性が宿り、死を受け付けない。
幽々子のスペルカードの効果が切れた瞬間、デューレスのハンマーが幽々子の向かって飛んだ。槌は幽々子の胴に直撃する。
「ガハァ!……オノレ、許サナイ!」
幽々子はどこからともなく薙刀を取り出し、デューレスに斬りかかった。優は危ないと思い、デューレスに手を向けたが、デューレスは笑顔で首を横に振った。幽々子の薙刀が振り下ろされる。しかし、それはデューレスが指2本で挟むことによって簡単に防がれた。優はホッとし、その戦いを目で追った。
幽々子の薙刀とデューレスのハンマーがぶつかり合う。
武器自体のリーチは薙刀の方が圧倒的に長いが、デューレスは背が高く、そのぶん手足も長い。手足も合わせたリーチでは、幽々子が若干秀でているが、これだけなら勝率はほとんど五分五分だろう。
デューレスは自慢の怪力で薙刀を押し返すと、幽々子の胴を狙ってハンマーを振った。しかし、幽々子はサマーソルトでかわし、薙刀を地面に突き立ててドロップキックを放った。それはデューレスの腹に直撃し、デューレスの身体少し後ろにずらした。デューレスはわざとらしく腹を押さえると幽々子にデコピンする。
幽々子が吹っ飛んだ。すると、幽々子の身体からどす黒いオーラが溢れ、実体化した。オーラは鉤爪の形なると、地面に突き立ててそれ以上吹っ飛ぶことを阻止した。
止まった幽々子は怒り狂い、怒声を放ち始める。
「オ前ラ、許サン!死ネ死ネ、消エテナクナレ、死ナナイナラ、私ガ殺シテヤル!」
幽々子は元の彼女からは想像できないような言葉を発する。幽々子から放たれるオーラがさらに暗くなり、大きく膨れ上がる。
その姿は紛れもなく死の化身。全てを死に誘い、死なぬ者は殺し尽くす。生物はそれらから目を逸らし、無意識のうちに恐れを忘れる。命が最も恐れる邪なるもの。
「マズイわね……」
「どうしたんだ?」
「あれは幽々子じゃないわ。」
「何を言っているんだぜ⁉︎あれはどう見ても幽々子だろ!」
霊夢がおかしなことを言ったと思い、魔理沙はそれに反論する。
別に互いにおかしくはない。霊夢たちの目の前にいる者の姿は間違いなく幽々子で声も幽々子である。しかし、その者から溢れるオーラは本来の幽々子とは極めて異なるものだ。
「確かにあれは幽々子ね。でも、中にあるものが違うわ。」
「中が違う……どういうことだ?」
「今、幽々子は何かに取り憑かれている。あのオーラはそいつが放っているものよ。そして、そいつが死を求めるせいで幽々子の能力が暴走しているの。」
「なるほど……」
幽々子の能力はもともと相手を一瞬で殺すわけではない。死に誘い、誘惑されて自身の心に負けた相手を殺すのだ。しかし、今の状態では瞬殺になっている。何者かの力が影響して能力が強化、暴走させられているのは明らかだ。
「じゃあ、そいつを倒せばいいんだな。どうするんだ?」
「とにかく、幽々子にダメージを与えて、そいつが身体を放棄するのを待つのよ。大丈夫、幽々子は死なないから。」
「もう死んでいるもんな。」
魔理沙は苦笑してから幽々子を見る。いや、正確には幽々子に取り憑いている何かを見ているのだろう。
魔理沙はミニ八卦炉を構え、ちょっとしたレーザーを撃つ。案の定、幽々子はそれをかわし、魔理沙を殺そうと黒いオーラを腕に纏って巨大な爪を作り、斬りかかった。しかし、幽々子の身体を何かが貫いた。
「一度かわしたくらいで完全に避けた気になっちゃダメだろ。」
「キ、貴様…何ヲ……」
「簡単なことさ。」
優は右手の上に弾幕を作り出す。すると、先程に魔理沙が撃ったレーザーが弾幕に右手の上の弾幕に当たり、反射した。
「光は透明な物体でも角度が浅ければ、反射することがあるんだ。中学生も知っていることだぞ。」
「中学生ガ何トカハ知ランガ……貴様モ死ネェ!」
幽々子は優に爪で斬りかかるが、それは投げナイフで止められた。幽々子の腹部にナイフは深々と突き刺さり、黒いオーラが傷口から溢れ出す。ナイフはすぐに錆びてなくなったが、ナイフの与えたダメージは大きかった。
「私を忘れられては困りますよ。」
「グ……貴様ラ……ブッ殺シテヤル!
死界『デスゾーン』」
幽々子の身体から溢れる黒いオーラがさらに強大なものとなり、魔理沙たちを飲み込まんとする。
避けるための隙間もなく、逃げ場もない。弾幕ごっこのルールが適用されるのなら、反則もいいところなのだが、このデスゲームにルールなんてないようなものである。
「生き残りたい人、この指止まれ♪」
優がそう言うと全員が優の周りに集まった。その間にも死のオーラは広がり続け、優たちの5mほどのところまで迫ってきていた。優はスペルカードを詠唱する。
「反符『リフレクションスペース』」
優を中心にして、半径4mほどに異空間が展開される。オーラといえども、空間を乗り越えて攻撃はできない。空間の壁で跳ね返される。死のオーラは空間の壁の前には無力だった。
幽々子は空間の壁に突進し、オーラの槍で突き破ろうとした。しかし、その攻撃も跳ね返される。幽々子は吹っ飛び、停止した後に技を解除した。優もスペルカードを解除する。
「咲夜さん、行きますよ!」
「ええ!」
デューレスと咲夜が幽々子に突っ込む。咲夜がナイフを投げて動きを制限し、そこをデューレスがハンマーで叩く。幽々子はそれらをかわすが、その流れるような連携にだんだんと押され始め空中に逃げようとする。
「行かせません!
地縛『グラウンドグリップ』」
幽々子の足が地面とつながり、空中に逃げられなくなる。しかし、歩くことはできるため、地上戦で応戦しようとする。そこへ咲夜が突撃した。
咲夜はナイフで幽々子を滅多斬りにする。幽々子は薙刀でガードするが、時を操る咲夜の前では無駄な抵抗だった。瞬く間に幽々子の身体をナイフが斬りつけて、傷をつける。
銀は邪なる力を滅すると言われる。もちろん、死も例外ではなく、より多大なる効果を発揮できる。
幽々子はもがき苦しみ、隙を見せた。そこにデューレスが突撃し、走りながら構えを取る。
「いきます!ウェスカー流武術 破岩掌!」
デューレスは突進の勢いを殺さぬまま幽々子の腹に掌を打ちつけた。デューレスの掌打、その威力は岩をも粉々に粉砕するほどである。
「
瞬間、幽々子の身体にとてつもないダメージが襲いかかった。内臓を直接殴られたような衝撃が幽々子に響く。
地面と足がつながって、空中に行くことができないため、幽々子の身体は地面を滑った。衝撃が空中に逃げない分、ダメージも大きくなる。それは幽々子の身体が破裂して血糊を撒き散らしてしまうような衝撃だったが、あまり変化はなく、幽々子が口から血を吐いただけだった。
「これで壊れないとは、丈夫ですね。」
「オノレ…オノレ!貴様ラ!」
グラウンドグリップの効果が切れたため、デューレスと咲夜は幽々子から距離を取る。その瞬間、幽々子がスペルカードの詠唱をする。
「反魂蝶-満開-」
幽々子は体内にオーラを閉じ込めて、増幅させ始める。優はそれを見て怯え始めた。死を知っている彼の魂は何よりも死を恐れ、最大限の警鐘を鳴らす。
「あれは……マズイ……」
「どうしたんだ⁉︎」
優は恐怖に目を見開いたまま動けなくなってしまった。それを見た魔理沙たちは動揺を隠せない。
さっきの攻撃なら、優自身のスペルカードで防ぐことができた。しかし、今度の攻撃はマズイ。避けることなんてできないだろうし、空間でさえも乗り越えてくるような量の死のオーラが幽々子の体内で渦を巻いている。
「死ネェェー!」
幽々子から死が翼のように噴き出し、辺りを飲み込み始めた。
今回のゲストは燃える骨とゴスロリ。
「デューレスと優の能力が貢献した。」
「その点、魔理沙は空気だったよ。」
そこは私の力不足です。やはり、戦闘描写は文章だけでは難しいですね。こういった勝負は書きづらいです。チートvsチートは攻撃の一発一発が派手だから書きやすいのですがね〜。(早く範人vs冷仁を書きたい)
「ところで、優の過去には何があったの?」
「死っていうものは死なないとわからないもののはずなんだが……」
それは次回ですね、まだ決着はついていませんので。明日も投稿しようかな?と思っているところです。
範人の挿絵を消してしまったので、次のやつに書き直したものを投稿しますね。
「黒歴史が増えるね。」
うるせえ!これでもマシになってきたんだ!
『ではまた、次回お会いしましょう。』