東方戻界録 〜Return of progeny〜 作:四ツ兵衛
思い浮かばないタイトル……アイディアががが……
ウィルスに感染した妖怪たちを倒した範人たちは霧の湖まで来ていた。
湖は以前と変わりなく静かで美しい景観が保たれており、避難してきた妖精たちが飛び回っている。化け物がここまで到達していなかったことに全員が安堵し、ホッとため息を吐いた。
新と絆はチルノから遊びに誘われ、妖精たちの中に紛れていく。パッチとエレイは生物兵器について話し合っていた。
大妖精は遊んでいる妖精のうち1人に近づき、今の状態を訊ねる。
「化け物はどこまで来ていますか?」
「それが、こちらにはよくわからないんです。ただ、相当大きくなっているのは確かで、木が折れる音が聞こえる感覚が短くなってきました。」
「なるほど、そうですか。お留守番お疲れ様。」
大妖精はその妖精に礼を言うと、範人たちの方ヘ真っ直ぐ戻ってくる。その表情は深刻な事態を表していた。
「ダメです。場所はわかりませんでした。このままでは……」
「それは困りましたね……敵の位置がわからないとは……」
全員の気分が落ち込み、気分的な静寂が訪れる。しかし、その静寂はすぐに終わりを告げた。
木々が折られる音が聞こえてきた。しかも、すぐ近く。同何者かの時に慌てた声が聞こえてきた。
「うわぁぁぁー!」
森の中から妖精の少年が飛び出してきた。そのすぐ後に続いて木が倒れ、ゲル状の化け物が姿を現した。
その化け物を目にした妖精たちは一斉に湖の反対ヘ逃げ出す。辺りはパニック状態となってしまった。その中でも、新と絆は群れから脱出し、範人たちの方に戻ってくる。範人たちは武器を手に取り、魔法陣を発生させて身構えた。
予期せぬ対面だったが、絶好のチャンス。これ以上被害を拡大させるわけにはいかないため、範人たちが冷静さを欠くことはなかった。
紅魔館門前。今日は美鈴が門番であり、いつもどおりに居眠りをしている。そのすぐ近くでデューレスは絵を描いていた。
ここ最近は森が何やら騒がしく、レミリアは、注意するように、と門番たちに言っていた。それが現実になったのかどうかを門番の2人は知らないが、普段森にいるはずの妖精が湖まで出てきたため、2人は現実になったのだろうと考えていた。
ふと、デューレスが美鈴の方を見ると眠ってしまっていることに気がついた。彼は黙って日傘を広げると、塀に立てかけ、彼女のいる位置に日陰を作る。そして、再びキャンヴァスの前に戻り、絵を描こうとした。絵のバランスを確かめるために湖を眺める。すると、見慣れた人物とほとんど同じ服装をした者がいることに気がついた。
「ん?範人にそっくりだけど……あれは誰?」
デューレスの話し方は彼本来のものに戻っていた。非番の日は彼が本来に戻れるリラックスできる日。彼の声は見た目に似合わずとても高く、口調は子どもっぽい。声だけなら、まるで少女のようである。
彼は興味津々といった様子で湖にいる範人とそっくりな格好をしている女性の様子を見る。そのとき、木が折れるようなバキバキという音が聞こえてきた。彼は驚き、その方向を見つめる。すると、対岸の森の中から妖精の少年が飛び出し、その後ろからゲル状の何かが現れた。妖精たちはパニックに陥りつつも、その何かから逃げるように紅魔館に向かってくる。
このままでは妖精たちが危険だと判断したデューレスはすぐに美鈴の頬を軽く叩いて起こす。彼女は叩かれた頬をさすりながら、目を開けた。
「美鈴!今から僕は少し戦いに行ってくる。」
「え⁉︎何故ですか?」
美鈴はデューレスの気を見て、彼の心がとても慌てていることに気がつき、何があったのかを訊き返す。彼は黙って対岸を指差した。彼女がそちらを見ると、ゲル状の化け物がいることが視認できた。状況が飲み込めた彼女は黙って頷く。
「ありがとう。
妖精たちがこっちに避難してくると思うから、美鈴はその妖精たちを守って!最悪、あの何かがこっちに来そうだったら、紅魔館の敷地内に避難させてあげて!お嬢様もそういう理由なら許してくれるはずだから!」
「わかりました。でも、シエスタはお預けになっちゃいますね。」
「仕事中なんだから、わかるとは言え、寝るのはどうかと思うよ?」
デューレスは化け物を討伐するために飛び立つ。
美鈴はその後ろ姿を見送った後、自身のいる場所が日陰になっていることに気がついた。上を見ると広げた日傘がある。気を観察していたわけでもないのに、彼女にはその日傘を誰が置いてくれたのかがすぐにわかった。
彼女はニッコリと微笑む。
「まったく……デューレスさんは相変わらず優しいですね。
さて、彼の優しさに応えて、私も頑張りますか。」
美鈴は飛んでくる妖精たちに説明し、門の前に集め始めた。
範人たちは化け物と対峙していた。大きさは目測で60m、高さは1mと少し。粘菌としては規格外の代物だ。全員がその大きさに驚く。さらにパッチがあることに気がついた。彼は唖然として、その方向を指し示す。範人たちもつられてそちらを見るが、その光景に驚きを隠せなかった。
「木が…溶けている……」
その化け物に触れた木が触れた場所からどんどん溶けているのだ。さらに倒れた木がそいつの上に落ちた瞬間に木が消え、そいつの体積が消えた木の分だけ大きくなった。恐ろしい力である。触れた生物をかたっぱしからどんどん吸収している。
「これはいったい……⁉︎」
「ん?あら、デューじゃない。そういえば、ここは紅魔館のすぐ近くだったわね。」
「ん?貴女は……あ、範人か。tレディにでもなった?
……まぁ、いいや。そちらの方々のことも気になるけど、今はこれを潰すことが最優先だよね。」
範人たちが気がつくと、隣にはデューレスがいた。彼もまた、目の前の化け物を見て驚いている。範人と妖夢、パッチ以外の者は突然現れた大男の存在に驚き、こう思った。今日一番驚いたのは音もなく突然現れたあんたのことだよ、と。
デューレスは自身の呼び方で白衣を着た女性が女体化した範人であることに気づいた。そして、どこかで見たようなやりとりを終えるとメテオを構える。
「こんな強そうな相手、
「"強そう"じゃなくて"強い"だけどね。倒せるか不安だわ。」
「殺しは好きではないのですが……仕方ないですね。僕がとどめを刺していないとは言え、もう殺っちゃってますし……」
「俺の中の白が、戦え!と叫んでいます!」
「世界が異なれど、紅魔館は俺の家だ!絶対に守るぜ!」
「この楼観剣で斬り伏せてあげましょう!」
「幻想郷の安全のためにあなたを処分させていただきます。」
化け物は首がどこかはわからないが、鎌首を持ち上げて様子を伺っている。
勇者たちは化け物に死を与えるべく、化け物は食を手に入れるべく、戦闘を開始した。
ついに次回BOSS戦です。