東方戻界録 〜Return of progeny〜 作:四ツ兵衛
俺は、みんなに過去を話すことにした。
3歳の頃、俺はまだ純粋な人間、完全に人間だった。俺には兄弟が2人いて、家族は、父さんと母さん、俺、俺の双子の兄、2歳年下の弟の計6人だった。俺の家は生物研究所で、所員は父さんと母さん、そしてもう1人の3人だけ、もちろん生物兵器についても扱っていた。
3歳のとき、俺と兄は、遊んでいる最中に事故に遭った。その事故で、俺は右腕、右脚を失い、背中の右側を大きく損傷した。兄は左腕、左脚、左眼を失った。父さんは身体の失った部分を再生させるため、俺たちにそれぞれ異なる生物兵器のサンプルを投与した。
俺も兄も腕と脚は完全に再生したが、俺は背中がうまく再生せず、背中の一部が半透明に、兄は左眼がうまく再生せず、左眼が二度と光を感じることのできない真っ赤な眼球になってしまった。俺と兄に投与された生物兵器のサンプルは、それぞれが俺たちにうまく馴染んで、俺たちは生物兵器になった。
弟は生まれつき全身の筋肉が弱くなる病気にかかっていたため、心臓を動かし続けられるように、生活で不自由しないように、とモノリスを使用したサイボーグになった。
俺たちが生物兵器になった頃から、姉さんが訪ねてくるようになった。姉さんは、俺たちに弾幕ごっこを教えてくれて、幻想郷についても教えてくれた。俺はこのときからずっと、幻想郷に憧れていた。俺にとっては夢だった、全ての種族が共存する世界が。
俺が5歳になって、初めての友達ができた。デューク・フォートレス、普通の人間の友達だ。デュークはいいやつだった。俺が生物兵器であることを伝えても、友達として普通に接してくれた。俺を人間として、見てくれた。
俺が8歳のとき、デュークの住んでいる町でt-ウィルスが研究所から漏れたことによりバイオハザードが発生した。俺たち兄弟はデュークを助けるためにその町へ入り込んだ。
感染者はゾンビとなり、新鮮な食事を求めて徘徊していた。なかには、身体の表面がほとんど喰い千切られて身体中の筋肉が剥き出しになっていたり、内蔵を腹から垂らしているやつもいた。人々は逃げ惑い、ゾンビに喰われて、血を流しながら死んで、ゾンビ化していった。
俺たちは、目につく限りのゾンビは殺しながらデュークを探した。俺たちは生物兵器だったために力が異常で、ゾンビの身体を殴れば貫通するか、身体がグチャグチャに弾け飛ぶかのどちらかだった。
町に入って2時間後にデュークを見つけた。しかし、デュークは既に感染していて、更にウィルスが身体の中で突然変異を起こして、タイラントに変異を始めていた。弟が能力を使用し、タイラントとして暴れることは阻止できたが、身体をもとに戻すことはできなかった。
デュークを助けることには成功したが、デュークの両親は既にゾンビ化していて、助けられなかった。デューク・フォートレスはデューレス・タイラントに名前を変え、俺の家で世話になることになった。
9歳のとき、母さんは病気にかかって、死んでしまった。母さんは最後まで自分ではなく、俺たちの心配をしていた。最後ぐらいは自分の心配をしてもらいたかった。
12歳のとき、父さんはアンブレラの残党に殺されてしまった。兄は、研究所を継ぎたくないから、という理由で姉さんに頼み、他の世界に飛んだ。研究所は、俺が継ぐことになった。俺は政府の下につき、実力を見込まれてエージェントとして働き始めた。そこで、自分を弟と読んでくれた人と武術を教えてくれた師匠に会った。政府の特例で大学にも入学した。
14歳のとき、俺は政府の特例と成績が優秀だったことにより、大学を正式に卒業した。弟も12歳になり、姉さんに頼んで他の世界に飛ばしてもらった。師匠は行方不明になった。とある都市で、とある男性に出会い友達になった。
15歳のとき、師匠は死んだ。俺を弟と呼んでくれた人に殺された。俺はそのことをその人の口から直接聞いた。その年に俺は初めて任務を完璧にこなすことができなかった。任務には成功したため、誰も俺を責めなかった。それを理由に俺は他のエージェントに対して、表向きにはエージェントをやめた。政府から直接出される特別な任務だけを受けるようになった。
16歳のとき、幻想郷に来た。そして、今に至る。
「「「……。」」」
「これが俺の過去だ。」
俺は一気に話し終えるとため息をついた。
「俺は生物兵器だ。完全な人間じゃない。でも、完全な人間じゃないだけで人間であることに変わりはない。」
範人の話の中でたくさんの人が出てきました。これからの話で出てきそうな人もいましたね。次回をどうするかはまだ決めていませんが、博麗神社からあと一、二話で立ち去らせてどこかへ行かせようと思います。ではまた、次回お会いしましょう。