Chapter15“まだ何も知らない”
夏休み。
ワタシは奏と待ち合わせをしていた。
海に行くのが決まってから、新しい水着を買いに今日はちょっと遠出。
大会はと言えば、バスケ部は全国優勝まであと少しと迫った全国ベスト4まで駆け上がった。
小峰の所属するラグビー部は全国べスト8まで行けたみたい。
県大会止まりだったラグビー部にとっては、快挙だ!
と小峰は電話で、楽しそうに話してくれた
来年こそはという想い…でもその気持ちは…今は半分。
グループデートで告白がうまくできるか、ソワソワドキドキが止まらない!
結局、女子の3人目は見つからなかった。
男達と行くとは言ってないけど、原因はそっちじゃないみたい。
紫外線を気にする子が多いの!
メディアが今年の夏は紫外線が強いって言うから、みんな肌を心配して辞退しちゃうし。
学生なんだから、そんなの気にしてちゃ外も歩けないじゃない!
「おまたせ~。結華♪」
「うん、あれ?その人は?」
そのとなりには細身でありながら、つくべき所に筋肉がついている大人っぽい女性がいた。
「うん。こちら、神楽吏沙さん」
「はじめまして、紫苑女子高校2年のリサです。奏ちゃんに今回海に誘ってもらって…」
ワタシが紹介する!って、言いながら前に出てくる奏。
「そうそう!なんか話しているうちにお姉さんって感じで、仲良くなっちゃってさ」
「奏、出しゃばりすぎ!先輩でしょ!はじめまして、神楽先輩」
まったく、奏はもう…。
でも、これで女子3人は揃ったワケだし。
神楽さんも慣れているみたいだし、大目にみましょう。
「リサでいいよ。堅苦しいの苦手でさ。もう最初だけちゃんと挨拶すれば、それでいいの。呼び方は結華さんがいい?結華ちゃんがいい?」
「えっ!あはは…もう、好きなように」
軽い感じだけど、自然体でちょっと憧れるわぁ。
1歳年上でこんなにも違うの?
ワタシはこういう風になりたいなぁ…。
「ああっもう!立ち話もなんだし、モスで食べながら話そうよ!」
奏に強引に引きずられながら、モスを食べに行く。
「奏ちゃんから、結華ちゃんのことは聞いているわ。1年でバスケ部のスーパーサブって、スゴイ!」
「ありがとうございます!でも。ワタシとしては、もっとスタミナが持続すればいいかなって。持って、第1第2クォーターだけですからね」
「ラン&ガンを主体として動くから、後半になると結構消耗するわね」
「リサさんよく知っていますね」
「バスケマンガを読んだり。何度かウチの高校と試合してるの、観たことあるもの。でも、全国ベスト4かぁ…。ウチのテニス部にはもう雲を突き抜けて、無限大の宇宙くらい遠いわ」
「そんな、大げさなー」
「ホントよ。ありえないってくらい、部活に出る上級生なんか居ないんだから。1年生でうまくない子はボール拾いや、ネット張り替えしかさせてもらえないんだよ」
「そ、そんなことってあるんですか?」
「そう、世の中って想像もつかないくらいの部活って、あるのよ」
「そうなんですか…ワタシは恵まれているんですね」
「だから浄心のバスケ部には期待しているんだから」
「でもね、でもね。リサさんはね、スゴイんだよ!県大会シングルスで、2年連続優勝筆頭のエースを倒しているんだよ」
「ス、スゴーイ!」
「奏ちゃん大げさね。でも…次の試合では燃え尽きちゃって、力の半分も出せないんだよ」
「でも、ホントスゴいですよ!エースキラーって、憧れます」
「そう?ありがと。やっぱ、優勝筆頭とかって聞くとこう胸が熱くなるのよね!」
違う部活の話でこんなに熱くなれるなんて、初めての経験だわ。
モスのあと、水着を買いに行った。
試着室は3つ並んでいる大きな水着ショップ。
夏の終わりも近いことから結構空いていた。
それぞれ3人が好む水着を持って、試着室へ。
互いの顔は見えないけれど、奏は横から声をかけてくる。
「ねぇ、結華!パットは結構、詰めなさいよー。今のままじゃ、みんなの目の保養にならないんだから」
「いいじゃない!別にそんなの着ている人の問題でしょ?自分が気になったら、入れるわよ!」
そう言いつつ、パットを詰め込むワタシ…。
胸の成長期って、まだこないのかな…とほほぉ…。
「奏ちゃんは豊満な胸があるから、結構肩凝るんじゃない?」
「リサさんもですかぁ?そうなんです。この時期は胸の下に汗疹ができないか心配で、いつもクリーム持ち歩いているんです!」
「クリーム塗ってるの!ちゃんと手入れしているのね。関心!関心!ワタシも2年のはじめになって、大きくなったから。今度、どのクリームがいいか教えてね」
ああ…胸の大きい人の悩みごとの話についていけない。
でもリサさんも2年になってからって言っていたし。
ワタシはこれからが成長期っていうのも、ありえるわ!
2人は試着した姿を互いに見せあっているのを見て、自分との大きさの違いにビックリした。
―奏は見慣れているけど、リサさんも大きい。
思わず、試着室へと後ずさりしてしまった。
「あれ?結華ちゃん。水着見せてくれないの?」
「今は見せません。楽しみは当日にとっておきましょう」
「とかなんとか言って、ホントは見せたくないんでしょ?」
「そ、そんなことないわよ…!」
「フフフ、ハハハ」
リサさんが笑うと、一気にみんなで人目もはばからず爆笑してしまった。