魔法少女リリカルなのは!?「フェイクヒーロー」 作:ヘルカイザー
ではよろしくお願いします。
「いやぁぁぁぁ!? 来ないで!? うっ……ひぐっ……助けてお姉ちゃん!? 」
潤君が窓の向こうに消え、私は怪物に触れられる位置まで近づかれた。そして私の頬を舐めながら私を食べるのを今か今かと焦らし楽しんでいる。そうされている私の心は震え上がり泣き叫ぶ要因にしかならない。
怪物もそれが分かっているからやるのだろう。私を泣かせて楽しんでいるのだから。そしてとうとう怪物に首を掴まれ私は持ち上げられた。
怪物の顔が目の前にある。私はもう声も上げられないほど震えた。
「……ぃ……ゃ…………」
「サァ〜イタダクトスルカ。ガァァァ……っ!? キサマ……オガァァァァァァアアアアアア!? 」
「え……誰? 」
怪物が私に噛みつこうとした時、私を掴んでいた怪物の手を誰かの手が掴んだ。怪物はそれに驚き動きを止めたがその直後怪物は蹴り飛ばされ、壁にめり込む。
怪物の手から離れた私はその助けてくれた人にキャッチされた。だがその格好がお姫様ダッコだった為に少し顔が熱くなる。
しかし私がその人の顔を見るとその熱は冷めた。その人は赤く顔の上半分を隠すような仮面を被り、身体も赤いアーマーのような物を装着している。まるでテレビに出てくるヒーローのような姿。命を救われた所為もあるかもしれない、だけどカッコいいと思った。
そしてその赤い仮面の人は私を下ろすと怪物に向き直る。怪物も雄叫びを上げ壁から脱出し仮面の人を威嚇するように喋り始めた。
「キィィィ!!! オマエハナニモノダ? ナゼオレノジャマヲスル? 」
「……M・HERO (マスクドヒーロー) ……烈火! 」
「マスクドヒーローダト? キィィィ! マズハオマエカラタベテクレル! オマエタチ、ヤレ!!! 」
怪物の指示で周りにいた黒タイツは一斉にM・HEROと名乗る人に襲いかかる。しかしその人は黒タイツの攻撃を簡単に躱し、一撃でその黒タイツ達を沈めていく。
倒された黒タイツは何故か溶けて消えていった。
「キィィィ!? コンドハオレガアイテダ!! ガァァァァァアアアアアア!!! 」
「フッ! ハァァ!!! 」
「グッ!? ガァァ!? 」
飛びかかって来る怪物と組合になり、怪物が烈火さんに噛みつこうとするが烈火さんは怪物のお腹に膝を入れ怯んだところに回し蹴りを喰らわす。怪物はそれを受けて後ろへと転がった。
そして烈火さんは腰についている四角いケースから一枚のカードを取り出す。
「俺は悪の邪魔者だ覚えておけ! 」
【マスクドライブ……レッカケン! 】
カードをベルトに挿入し何やら電子音が流れる。すると烈火さんの右手が赤く光り始めまるで爆発するように燃え出した。
そして怪物が立ち上がるとそこに走り出し拳を怪物に叩きつけた。
「ハァァ!!! 」
「グガッ!? グッ……キィィィィィィ!!! チョウシニノルナ! キィィィィィィィィイイイイイイイィィィィィ!!! 」
怪物はその攻撃を耐えると怒り、烈火さんに掴みかかった。そしてそのまま飛び立ち、窓の外へと飛び去る。
「っ!? ぐっ!? うわぁぁぁあああああ!? 」
「烈火さん!? 」
私は窓の方へと移動し上空で戦う烈火さんを見た。暴れはするが掴む力が強い為中々抜け出せない様子。怪物はここぞとばかりに烈火さんに鋭い爪を叩き込んでいく。
「ドウダ? オマエノマケダ。トベナイオマエデハドウスルコトモデキナイ」
「ぐっ……くっ……フフ、そうでもない! 」
【ファイナルマスクドライブ……レレレ レッカ!! 」
「はぁぁぁぁぁぁああああああああぁぁぁぁぁあああああ!!! 」
「ゴアッ!? ナ、ナンダコノホノオハ!? グゲッ!? 」
突然烈火さんの身体から炎が吹き出し烈火さんを包み込むように覆っていく。流石の怪物もこれには耐えられなかったのか手を離した。しかしその瞬間、烈火さんは怪物の上に乗るような体制にもっていきそのまま怪物を踏み台にしてさらに上空へと上がる。
蹴られた怪物は下に落下し始め、烈火さんはそれに突っ込むように足を怪物に向けた。
「烈火キック! せいっやぁぁぁああああああああああ!!! 」
「ソ、ソンナバカナ!? ガァァァァァァアアアアアアアキィィィィィィ!? 」
「倒した……の? あ! 潤君!? 」
烈火さんのキックは怪物を突き抜け、怪物は跡形もなく空中で爆発した。怪物も倒され、安心した私だったがすぐに潤君の事を思い出し建物の外へと探しに出る。
すると探していた森林の中に大きな血だまりを見つけた私はそれを見て胸が痛くなった。でも潤君はいない。まさかまだ生きているのではと微かな希望をもってその近辺をさらに探した。
その時だ、暗い木の下で木に背を預ける潤君を見つけたのは。しかし私は中々潤君に近づいていけない。怖かったのだ。生きているなら生きていてほしい。だけど死んでしまった潤君を見るのは嫌だった。
「潤……君? そんな……こんなに血だらけで……」
「うっ……」
「え、 潤君!? ま、待ってて! すぐに助けを呼んでくるから」
覚悟を決め、見た潤君の姿はボロボロで身体中血まみれだった。だからその様子を見た私は確認もしないで潤君が死んでしまったものかと思った。けど潤君は生きていた。少し苦しそうな声を上げ、意識は無いものの生きているのがはっきり分かる。
私は急いで助けを呼びに走った。幸いな事にこの場所は私の家からそこまで遠くじゃなかったおかげですぐに助けを呼べた。
お姉ちゃんに頼んで潤くんを病院へ、けど帰ってきた私を最初に見たお姉ちゃんは私を抱きしめ大泣きして私が帰ってきたのを喜んでくれた。だから私はお姉ちゃん達に心配かけて物凄く申し訳なくなった。しかし私が一番申し訳なく思っているのは潤君だ。私を庇わなければこんな大怪我をしなくて済んだかもしれない。でも潤君がああして庇ってくれなければ私はあの赤いヒーローさんが来る前に食べられてしまったかもしれなかった。だから私は……潤君にこれ以上ないくらい感謝している。勿論、あの赤いヒーローさんにも。
◇◆◇◆
「たくっ! しつこいわねぇ〜? 」
【ファイナリティマジカルライド……ヒヒヒ ヒメコ!! 】
私は連日怪人退治。今日はミミズに手足が生えてる気持ち悪い奴を相手にしている。
こいつらが動くのは必ず夜だ。何故かは私もまだ分からない。けどここまで相手にしてきた奴らは決まって夜だ。この間は反応のあった廃墟に行ったのだけどもういなかった、だから全てをひっくるめて生態が謎なのだ。そろそろ把握しとかなければ被害が出る。
「はぁぁぁぁあああああああああ!!! 」
【ディメンジョンスラッシュ! 】
「ズズッ!? ズゥゥゥゥラァァァァァ!? 」
「ふぅ〜、はい! お終いっと! 」
私は刀姫でミミズ怪人を一刀両断する。ここまでただ闇雲に切り裂くだけだったがそれだとすぐに再生する。だからいい加減しんどくなってきたところだった。
そしてミミズ怪人を倒し私が帰ろうと移動していた時だ、私はそいつを見た。まるでコウモリのような怪人を……しかもそいつは大胆にも通行人を襲い、ムシャムシャと噛り付いている。
何故か右側だけ腕についている筈の羽根が腕ごと無くまるで焼け焦げたような感じにも見える。しかし私がこの時自分を呪い思ったのは、とうとう被害を出してしまったという事だ。
「や……めなさいよ……くっ!やめろぉぉぉおおおおおお!!! 」
「キィ!? ガァァァアアアアアアア!!! 」
「ふぐっ!? ……きゃ!? 」
私が叫びながら怪人に刀姫で斬りかかろうとすると、コウモリ怪人は当然の事ながら私に気づき口から超音波のような物を放ってきた。
突然の事で対応しきれなかった私はそれをまともに受け吹き飛ぶ。そしてその怪人は倒れた私の近くまで来ると私の頭を掴み持ち上げ、私は頭を締め付けられる痛みで苦しみの声を上げた。
「ぐっ……ああ!? いがぁぁ……」
「オマエハマスクドヒーローカ? 」
「マスクド……ヒーロー……ですって? だ、誰の事だか分からない……わね? いっ……あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁぁ…………」
さっきの超音波で三半規管を狂わされたのか私はまともに動けなかった。怪人はそれをいいことに頭を締め上げる力を強くする。激痛、朦朧とする意識……このままでは抵抗する事は愚かこのまま殺される。
そんなことにでもなれば町の人達は怪人達に一人残らず食われてしまう。それだけは私はさせてはいけないと思い、身体を動かそうとするが全く動かなかった。ただただ頭が潰されるまで悲鳴を上げるしかない。
「シラナイノナラオマエ二ヨウハナイ。ソノアタマヲツブシテオレガクラッテクレル! 」
「いあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ!? 」
「ディバイィィィィィィン、バスタぁぁぁぁあああああああああ!!! 」
「っ!? ガァァ!! ……クソガ、マタジャマガ。キィィィィィィ!!! 」
もうダメだと思ったその時、ピンク色の閃光が怪人を襲った。まともに当たりはしなかったものの私は怪人の手から離れ地面に横たわる。
助けてくれたのはなのはちゃんだ。そして怪人はなのはちゃんの姿を確認すると逃げるようにその場から消えた。
怪人が消えて安心したなのはちゃんは私を抱えて私を介抱し始める。
「姫子ちゃん無茶したらダメだよ? キツイなら私も手伝うってこの間言ったよね? 私が来なかったらどうするつもりだったの? 」
「ご……めんね? でも……なのはちゃん達は……巻き込めないから…………」
「あ! 姫子ちゃん!? もう……後で怒るからね? 」
そこで私は気を失った。
◇◆◇◆
僕、飛影 潤は生まれて初めて病院に入院した。怪物に襲われて大怪我を負った僕を治療した先生からは何故助かったのか分からない、奇跡だなどと言われた。
父さんと母さんもお見舞いにやって来てボロボロの僕を見て泣いていた。後はすずかちゃん。彼女もお見舞いにやって来た。
僕はあの夜、怪物に放り投げられてからの記憶がない。すずかちゃんによれば赤い仮面のヒーローが助けてくれたと言っていた。名前をM・HERO 烈火。手から炎が出たり、身体から炎が出たりと凄くカッコよかったと言っていた。
そしてそれを語るすずかちゃんは凄くイキイキしていて、僕もその人に会ってみたいと思った。僕が守れなかった友達を助けてくれた、そのお礼もしたかったのだ。
「潤君……こんにちは? 」
「ああ、すずかちゃん。またお見舞いに来てくれたの? ありがとう! 」
「ううん、だって友達だもん。それより元気そうだね、良かったよ」
ドアがノックされ、誰だと思えばすずかちゃんだった。すずかちゃんは週に少なくても二回はお見舞いに来てくれる。あまり来てもらうのも悪いのであまり来なくてもいいよ? とは言ったのだがすずかちゃんは「私が来たいから来るんだよ? 」と笑顔で言ってくれる。そう言われてしまっては僕もそれ以上何も言えなかった。
それから差し入れのリンゴやら飲み物を持ってきて貰い、僕は申し訳なくも凄く嬉しかった。
「はい、潤君リンゴ? 」
「ありがとう。すずかちゃんリンゴの皮剥くの上手いね? 僕は苦手だ」
「あはは、女の子だもん。少しはできないとね」
そう言ってすずかちゃんは僕に笑いかけてくれる。今まで他に友達のいない僕だったがすずかちゃんがいれば満足だった。友達と過ごすのが……お話しするのがこれ程楽しいものだとは思わなかった。
それから色々な話をし、空が暗くなり始めた。時間が経つのは本当に早いと思う。
「ごめんね潤君。もう帰らないと……また来るからね? 」
「うん! ありがとう、またね? 」
「うん! またね? 」
挨拶を交わした後、すずかちゃんは帰って行った。やっぱり誰がお見舞いに来ていてもその後は寂しい。今まで賑やかだったその場所が急に静かになるからだ。そして僕がいるのは個室。だから余計に寂しい……その夜、僕はそう思うながら眠りについた。しかし夜中の事だ。
「起きて? 起きて? 」
「うっ……んん……すぅぅ…………」
「起きろ!!! 」
「ひっ!? な、何何!? ……だ、誰なの君……ま、まさか……お化け? 」
真夜中、病院のベッドで寝ている僕を誰かが起こしてきた。その子は髪の長い黒髪の小さな女の子で、僕に馬乗りになるようにして乗っかっている。
この状況でしかも夜中だ、誰だって目の前の少女がお化けだと思う筈だ。しかも喋り方もなんか凄く怖い。
「我が優しく起こしてやれば二度寝じゃと? 舐めるのも大概にせぇ〜よ? 後我はお化けじゃない。お主に忠告をしに来ただけじゃ。早く目覚めろ! そして早く使い方を覚える事だ。さもなくば大切な者達を失う事になるぞ? 我が言いたいのはそれだけじゃ……それじゃ、さらばだまた会う日まで『剛火』よ…………」
「剛火? ……!? あ、あれ……いない……や、やっぱりお化けだったんじゃ……ひっ!? 僕お化け怖い!? 」
僕は急いで布団をかぶり、ぶるぶると震えながら再び眠りについた。しかしその時、怖くなってしまった僕は眠りにつくまでしばらく時間がかかってしまったのだった。
◇◆◇◆
「ふ〜ふふふん〜ふふ〜」
「すずかちゃん機嫌良いね? どうしたの? 」
「ふふ、別に何でもないよ? なのはちゃん 」
最近定期的に機嫌の良い日があるすずかちゃん。私は気になったので聞いてみるがすずかちゃんは何でもないと答える。でも明らかに嬉しそうだ。
秘密にしておきたい事は誰にでもある、勿論私にも。だから深くは聞かない。けど今のすずかちゃんの笑顔は私達に向ける物と少し違って見えた。
「気になるわねぇ〜? すずか〜 今日はどこか行くのかしら〜? 例えば〜病院とかかしら……ね? 」
「え!? ア、アリサちゃんど、どどどうして!? 」
「さぁ〜どうしてかしらねぇ〜」
アリサちゃんがすずかちゃんに意地悪をするようにそう言った。どうやらアリサちゃんはすずかちゃんが機嫌の良い理由を知っているようだ。しかしここまですずかちゃんが隠したくなるのはどういうわけなのだろうか……そう思うと余計に気になる。
しかもすずかちゃんはアリサちゃんにそう言われて赤くなっている。
「ふ〜ん、なんだそう言うこと? 男か〜。小学生でませてること〜」
「ちょっ!? 姫子ちゃん何言って!? 」
「え? 私はまだすずかちゃんに、とは言ってないわよ? 」
「も、もう!? 二人の意地悪!!! 」
アリサちゃんだけでなく、姫子ちゃんまですずかちゃんをいじり始めた。すずかちゃんは頬を膨らませ二人に怒っている。しかしすずかちゃんが怒っても可愛いだけで全然怖くない。しまいには「もう知らないから! 」と言い走って帰ってしまった。やり過ぎたとは思っているようだが二人はにやにやしてハイタッチしている。それを見て私は思うのだ、今日も本当に平和だと。
「私達も帰りましょ? 」
「うん、そうだね! 」
「はいはいっと! 」
その後、私は一旦家に帰り姫子ちゃんと待ち合わせをした。色々話を聞きたかったし、私の事も話そうと思ったからだ。私がある理由から魔法の力を使えるようになった事。そしてある物を探していること。
「なのはちゃんとユーノ君の話は大体分かったわ。(まぁ〜なのはちゃんの話はリリなのの話だから知ってるんだけどね)それじゃ、次は私の番ね? 私は……」
私が最近飼い始めたフェレットのユーノ君。この子は魔法の使える不思議な子で私に魔法を使えるきっかけになった子。そしてユーノ君が探している……ジュエルシードと呼ばれるひし形の青い宝石、これを私は一緒に探している。
対して姫子ちゃんはこの間、金髪の黒い魔導師と会った日に見た怪人や私が助けた時に見た怪人達と呼ばれる怪物と戦い、倒しているのだと言う。どうして姫子ちゃんがそんな事をしているかと聞けば先祖代々の使命なのだと言われた。
けどユーノ君は魔法がない筈のこの世界にどうして姫子ちゃんのような力があるのだと最後まで疑問を持っていたが、姫子ちゃんにも分からないとの事でユーノ君は納得した。
「姫子ちゃん? 私も手伝うよ、その怪人退治! 姫子ちゃんだけじゃ危ないし」
「なのはちゃん……嬉しんだけどそれはダメ。これは私の仕事、それになのはちゃんにはやる事があるでしょう? 」
「で、でも!? 」
「私がもしどうしても手に負えない事があったらその時は助けてくれるかな? 勿論、なのはちゃんの手助けはいつでもさせて貰うけどね? 」
「もう……勝手だね、姫子ちゃんは……でも分かったよ。その時は助けるから」
私はしぶしぶ納得した。そして姫子ちゃんとそう言う約束をしその日は普通に話して解散したのだった。
◇◆◇◆
なのはちゃんと話し合いしたその夜、奴らの反応を感じた私は急いでその方向に向かった。するとこの間のコウモリ怪人が人を襲っているところで、私はすぐに刀姫を出しライドブッカーからもう一枚カードを出した。さらにそれをバックルに挿入しバックルを元に戻す。
【マジカルライド……トウキザン! 】
「さっさとその人から離れなさい!! フッ……刀姫斬!!! 」
私は空中で刀姫を真上に構えそのままコウモリ怪人に向かい振り下ろす。そうする事で刀姫から魔力で生成した斬撃が放たれ、怪人をその襲われてる人から引き離した。
こちらに気づいたコウモリ怪人はすっかり再生した羽根を使い私の元まで飛んでくる。私はそこへ突っ込むようにして怪人を切り裂いた。しかし効いてない。どうやら前よりパワーアップしているようで切られた箇所はすぐに再生してしまう。
「くっ……ここに来てとんでもない大物が現れたわね。これで倒せなかったら本当になのはちゃんの力を借りるようよ? 」
「オマエニヨウナドナイ! ヨウガアルノハ、マスクドヒーローダ。コノキズノウラミ、ハラシテクレルワ! 」
「ふふ、この前から随分しつこくマスクドヒーロー、マスクドヒーロー言ってるわね? 誰よそれ、貴方よっぽど悔しかったのかしら? でも残念ね? これで終わりよ! 」
【ファイナリティマジカルライド……ヒヒヒ ヒメコ!! 】
怪人と私の間にカードが一直線に重なるように並び私は手をかざした。そしてその瞬間、私の手から砲撃がピンクと黒の砲撃が発射されカードをすり抜けながら大きくなりコウモリ怪人へと向かう。
しかしコウモリ怪人はそれを受け止めた。二つの羽根で自分を覆うように隠し、砲撃が当たる瞬間切り裂くように砲撃を弾き飛ばした。
これも効かない……私は悔しかった。今まで通用していた攻撃が効かない敵が現れたのだから。
その後だが、私の攻撃を退けたコウモリ怪人は何処かへと逃げる、追おうとも考えたが今の私では返り討ちにあいかねない。だから悔しいけど諦めた。ここは素直になのはちゃんに助けを求めるべきだろうと思ったのだ。
「次は……倒してみせるわ! 」
◇◆◇◆
「はい、もしもし? あ!父さん? ん?どうしたの? なんか騒がしいけど…………」
ある夜、母さんから渡されていた携帯電話が鳴り響いた。こんな時間に何の用かと思い出てみると声の主は父さんだった。しかし何やら周りが騒がしい。何かが壊れるようなそんな音が聞こえる。しかも父さんはかなり焦ってる様子で僕にただ話を聞くように言ってくる。だから僕はおとなしく耳を傾けた。
「潤、俺達に何があっても復讐など考えるなよ? 奴はお前がどうこうできる相手じゃない。俺はお前さえ生きていればそれでいい!? 奴は化け物だ!? 今度はお前を狙う筈だ! いいか!? 絶対に復讐など考えるな! お前の怒りは他の誰かを守る為に燃やせ! そうすれば……お前の中の炎は……剛火に変わる。そう言う立派な人間になってくれる事を……俺達は願っている、愛してるよ潤! 」
「あなた!? 」
「な!? くっ……この化け物め!? うっ、ぐっ……がぁぁぁぁあああああああああああああ!? 」
「あなたぁぁぁぁあああああ!? いやぁぁぁぁあああああああああ!!! 」
「父……さん? 母さん? ぐっ!?」
父さんと母さんの悲鳴。そして化け物、まさかあの怪物が僕の家に……そう思ったら僕は自然に走り出していた。途中看護婦さんに止められたが僕はそれを振り切り病院を出る。
最初は履いていたはずのスリッパも邪魔になり捨てた。その為、今は裸足で走っている。その所為ではあるのだが足が所々切れ、血がで始めた。しかし僕の足は止まらない。走り続ける。息は切れ、まるで謀ったように雨まで降り始めた。
しばらく走り、家に着くと僕の家は炎上し燃え盛っていた。けど僕は無理やり中へと侵入する。
幸い入り口はまだ燃えてなかった為まだ家には入る事ができたからだ。父さんと母さんを呼び、僕は中を探した。するとリビングの方で音が聞こえる。何やらムシャムシャと何かを食べるような音だ。
僕の頭から嫌な予感は拭えない。しかし行かなければいけない。そう感じ、足を進める。
「父さん……母さん? ……ひっ!? そんな!? 嘘だ……こんなの……嘘だぁぁぁぁああああああああ!!! 」
「キィィィ? ミツケタ……コノニオイダ! オマエガマスクドヒーローダッタノカ。ヤットミツケタゾ! オマエヲサガシテココマデキタガセイカイダッタヨウダナ? アノトキノウラミ、ハラシテクレル! 」
化け物とはあの時僕とすずかちゃんをさらった怪物だった。すずかちゃんの話ではM・HEROに倒された筈だが生きていたようだ。さらには僕を見て僕の事をM・HEROと言っている。勿論僕には何のことだか分からない。
そして僕が何よりショックだったのはこの怪物が父さんと母さんを食べているという事実。そう……父さんと母さんは今怪物に食い殺された。許せないという感情と怖いという感情が入り混じり僕をパニックにする。しかしこの瞬間にも怪物は僕へと近づいてきていた。
「キィィィィ! クイコロシテヤル!! ガァァァァアアアアアアアア!!! 」
「うわぁぁぁああああああああああ!? 」
「ガゴッ!? ナ、ナンダコノカベハ!? 」
「え? ……これって……!? 君は…………」
「だから言ったじゃろ? 早く目覚めろ! 早く使い方を覚えろ! とな? まったく、これも長くは持たん。一度しか言わぬ故、しっかりと聞くのじゃぞ? 」
突然怪物から僕を守った透明な半円状のバリアは目の前の女の子が作った物のようで、怪物はそれを何度も叩き壊そうとしている。
そしてその子は時間がないと言い説明を始めた。まず、両手をお腹の前にかざせと言われたので僕は言われた通り両手をお腹の前にかざす。すると僕のお腹から青い光が発生し始め、あっという間に僕の腰にはベルトが構成された。
僕はそれに驚いて固まっていたがその時、脳裏にあの夜のヴィジョンが浮かび、あの夜戦っていたのが僕だという事を思い出した。
「思い出したようじゃな? なら後は分かる筈じゃぞ? お主は願った、守りたいと! だからその青い宝石はそれを叶えたんじゃ。お主にはもう力がある、カードをバックルに挿入しろ! それであの怪人と戦うのじゃ、でなければこれからもお主の周りで大切な者が消えていくことになるぞ? それでもよいのか!? 」
「いい訳ない……もう、嫌だ……僕の周りで誰かが傷つくところなんて……死ぬところなんて見たくない。僕は戦う……復讐の為じゃない……これから傷つく誰かの為に、大切な者を守る為に!!! それが、僕が父さんと約束した事だから! 」
「ガァァァァアアアアアアア!? クソォォォオオオ!? オマエハ、イッタイナンダ!!! 」
「僕は……ぐっ、お前達……怪人の邪魔者だ! 覚えておけ!! 変身! 」
【マスクチェンジ……ゴウカ! 】
僕が立ち上がりカードを構えた瞬間、カードの絵柄が変わった。そしてそれをバックルに挿入し元の状態に回転させる。
すると僕の姿はベルトの電子音と共に変わり赤い仮面を被った大人の姿へと変わった。
激しく、力強く燃え盛る炎をイメージしたような両肩の赤いアーマー。仮面は以前の物より完全なマスクになり、眼は青い複眼。
僕の身体と心は今この瞬間にも燃え盛る炎のように熱くなっていた。
「ナニ!? 」
「そうじゃ! それがお主の真の基本形態、名をM・HERO 剛火! 前の烈火はお主の魂の炎が弱かった為の弱体化形態。だが今は違う! それこそ全てを燃やす炎! お主の魂の炎じゃ! 」
「これが……よし! いくぞ! ハァッ!! 」
自分の姿を再確認し、僕は怪人へと拳を放つ。怪人はこれを普通に防ぐが僕も拳は怪人に当たると爆発したように炎を出し、怪人を吹き飛ばす。しかし怪人も超音波のような物を放ち僕を攻撃してきた。僕はあまりの音のデカさに両手で耳を塞ぐ。
「ガァァァアアアアアアアアアアアアア!!! 」
「ぐっ……うぐっ……なら! 」
【マスクドライブ……ゴウケンレッカ! 】
「はぁぁぁ……セイッ!!! ヤァ!!! 」
「グガッ!? オガァァァアアアアアアアアアアアアア!? 」
新たなカードをバックルに挿入した僕は両手に炎を灯し右、左と交互に拳を放つように炎を怪人に飛ばす。直撃した怪人は一発目は耐えたものの、もう一発を耐える事が出来ずに壁を突き破り外へと飛び出した。僕も急いで後を追う。しかしそこには怪人の姿は無い。
だが上を見た時にその疑問は解けた。奴は上へと逃れたのだ。そして威嚇のように僕を見ながら羽をバタバタとさせている。
「ナゼダ、ナゼカテナイ!? アレダケノセイメイエネルギーヲクラッタノニドウシテコイツニカテナインダ!? キィィィイイイイイイイ!!! 」
「終わりだ…………」
【ファイナルマスクドライブ……ゴゴゴ ゴウカ!! 】
空から急降下するように迫って来る怪人に僕は背を向けた。そしてカードを一枚バックルへと挿入する。
電子音と共に僕の右足は赤く燃え盛り、怪人が僕を攻撃する瞬間それをはたき落とすように僕は回し蹴りを放った。
「ハァァ!!! 」
「ゴバァッ!? グッ……グガッ!? ナ、ナンダコノモンショウハ……アツイ……カ、カラダガハレツスル!? キィィィイイイイイイィィィィ…………」
僕に蹴り落とされ、地面を転がったコウモリ怪人は身をよじりながら苦しみ始めた。何故なら僕が蹴った位置、肩の辺りには『火』という文字が焼印を押されたように残っており、そこから怪人の身体中に広がるようにして怪人の身体全体にヒビが入り始めたからだ。
そして時間を待たず、コウモリ怪人は大爆発を起こした。その場に残ったのは怪物が爆発する事によって生じた灰と燃え盛る僕の家。
僕は家族を失った。もう帰ってもおかえりと言ってくれる母さんもいない。不安な時頑張れと背中を押してくれる父さんもいない。僕は……一人だ。そう思ってた時、僕は後ろから声をかけられた。誰かと思い、振り返るとそこにいたのは…………
「あんた……何者よ…………」
そこにいたのは坂城さんと同じクラスの高町なのはさんだった。
次回もよろしくお願いします。