魔法少女リリカルなのは!?「フェイクヒーロー」   作:ヘルカイザー

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ども〜

ではよろしくお願いします。


第4話《水の戦士》

【ファイナリティコンビネーションライド……ナナナ ナノハ!! 】

 

「にゃっ!? 何!? 身体が!? 」

 

姫子ちゃんがベルトにカードを差し込んだ瞬間、私の身体はピンク色に光り、なんと大きな杖に変わってしまった。でも不思議なことに意識もあれば周りの状況も全て分かる。まるで私がデバイスになってしまったような感覚だ。

そしてそんな状態の私を姫子ちゃんは掴み自分の杖のように怪人に向けた。

 

「大きなレイジングハートってところかしら? なのはちゃんどう? レイジングハートの気持ちが分かって新鮮じゃない? ちなみにこれもう元に戻れないのだけど…………」

 

【え……嘘……でしょ? ちょっと姫子ちゃん!? 嘘だって言ってよ!? 私一生杖なの? そんなの嫌だぁぁぁ!? 】

 

私はわめいた、このまま一生杖でいなきゃと聞かされ心底ショックを受けたからだ。このまま杖でいたら学校にも行けない、お友達と遊ぶ事や将来お嫁さんにもなれない。これで嘆かない人がいるだろうか? いや、いない。

 

「あはは! 冗談よ、冗談、ちゃんと戻れるから安心して? 」

 

【もう脅かさないでよ姫子ちゃん! 】

 

私はその言葉に安堵したがここで思わぬ子が話を聞いていた。

 

【マスター……酷いです……私は生まれてから一生杖だと言うのに……嫌だなんて、私と同じでは嫌だと言うのですか…………】

【え!? ち、違うのレイジングハート! そういう意味じゃなくてね? その……えっと……】

 

その子とはレイジングハートだ。まさかレイジングハートがこの状態で話を聞いてるものだと思わずつい口から本音を言ってしまったのだ。レイジングハートは私の言葉にショックを受け完全に沈んでいる。

しかしそんな呑気な事をしていられる時間もすぐなくなり怪人が私達に迫ってきた。

 

「バク〜? ナンカヨクワカラナイケド……クッテヤルバク!!! 」

 

「さて、来たわよ? いつまでも喧嘩してないで仲良くね? 」

【誰の所為なのかな!? 】

 

走り出し私達に体当たりをしてきた怪人は姫子ちゃんが避けると私達に向き直り、まるで猪のように右足で地面の土を何度も蹴り始めた。これから体当たりをしますと言っているかのように…………

姫子ちゃんはそれを確認するなり宙へと逃れ、杖に変わった私を怪人の方へ向ける。

 

「アクセルシューター! 」

【了解なの! アクセルぅぅぅシュゥゥゥゥト!!! 】

 

「ナニバクカ!? フガッ!? ボフッ!? バク〜!? 」

 

いくつもの魔力スフィアが怪人に命中し怪人は仰け反るような反応をした。しかしあまり聞いている様子はない。

すると怪人はその像のような鼻で地面に溜まった水溜りから水を吸い上げ、それを私達に飛ばしてきた。しかもその飛ばした水はまるで刃物のように姫子ちゃんの腕を掠る。攻撃を受けた姫子ちゃんの手からは血が出ていた。

 

「くっ……こんな事も出来るなんて…………」

【姫子ちゃん大丈夫!? 血が!? 】

 

「大丈夫よ! それより砲撃でもぶっ放してみようかしら? 」

 

【うん! 分かった! 行くよ? ディバィィィィン】

 

姫子ちゃんが怪人に向け私を構える。だから私は魔力を放つ為に杖の先端に魔力を集中し始めた。

怪人は何をされるのか分かってないのか呑気に首を傾げて「バク〜? バク〜? 」と言っている。やるなら今がチャンス、この状態なら外さない。そう思い私はチャージを急ぐ。

 

「【バスタぁぁぁぁぁああああああああ!!! 】」

 

「バク!? ガボォォォォオオオオオオオオ!? 」

 

ピンク色の閃光、それが怪人を呑み込んだ。怪人は叫び私は倒したものかと思った。しかしそう簡単には倒せないようで姫子ちゃんは「まだ! 」と言う。

怪人に対しての知識は私にはない。だから倒すには姫子ちゃんが頼りだ。そしてそんな事を思っていると砲撃による爆煙の中から怪人が姿を現した。

怪人はピンピンとし私達の攻撃がまるで効いてないかのように力強く立っている。これを見た私は流石に驚きを隠せなかった。砲撃が一発とはいえ、私達のこの砲撃は二人で魔力を注いでいる為威力は2倍近くある。だからこれで倒せないとなれば一体どうすればいいのか私には分からなかった。

 

「ムダムダバクヨ? ボクノカラダ二フツウノコウゲキナンカキカナイバク! カクゴシテボクニタベラレルバク! 」

 

「そう……なら、普通の攻撃じゃなきゃいいのかしら? 」

【姫子ちゃんそれってどう言う……そのカードは? 】

 

姫子ちゃんは右手で持ったカードを怪人にチラつかせながら人差し指でカードを叩くように強調し始める。カードの効果……というより姫子ちゃんの能力について全く知らない私はどうなるのか全く分からなかった。

 

「なのはちゃん、これが最後の攻撃よ? それ! 」

【ファイナリティマジカルライド……ナナナ ナノハ!! 】

 

「あれ!? 戻った!? 」

 

私を放り投げ、姫子ちゃんはカードをベルトに挿入する。投げられた私は元の姿になり、電子音が鳴り響いた後、何故か私がどう動けばいいかが分かった。

だから私は今よりさらに上空に上がり、砲撃の為チャージを開始する。対して姫子ちゃんは自分のバリアジャケットに戻ると私と怪人の間に入り、姫子ちゃんの武器である刀姫を出し始める。

 

「行くよ、姫子ちゃん!! ディバィィィィンバスタぁぁぁぁああああああああ!!! 」

 

「フッ……セイッ……やぁぁぁぁああああああああああ!!! 」

「バク!? 」

 

私の砲撃は発射され、姫子ちゃんはその瞬間動き出す。真っ直ぐ怪人に突撃し、私の砲撃は姫子ちゃんを呑み込んだ。しかし姫子ちゃんはその砲撃で自爆したわけじゃない。その砲撃をその身に纏い、そのまま怪人を切り裂く。

私の全力の砲撃、そして姫子ちゃん渾身の斬撃……これで倒せない怪人などいないと言えるほどにこの攻撃には物凄い魔力が圧縮し込められている。

 

「バク……バクゥゥゥオオオオオオォォォォ…………」

 

姫子ちゃんに切り裂かれ真っ二つ担った怪人は、姫子ちゃんが刀姫を振り鞘に納めると爆発し蒸発するようにその場から消滅した。私達は勝ったのだ。

しかし私がバリアジャケットを解いた時だった。姫子ちゃんが自分の装備を解く前に寝ていた筈のすずかちゃんが起きてしまったのだ。

すずかちゃんは姫子ちゃんを見て驚いたように姫子ちゃんの名前をつぶやく。

 

「どう言うこと? というか……私どうして……確か怪物に…………」

「怪人は私が倒したわ! それよりごめんねすずかちゃん、私の所為で…………」

 

「姫子ちゃんが!? で、でもどうして謝るの? 姫子ちゃんが助けてくれたんだよね? 」

 

姫子ちゃんは私が魔法を使えるようになったのを誤魔化す為に自分が倒したと言った。それ自体は凄く助かる。しかし姫子ちゃんの顔は後悔に支配されていた。

姫子ちゃんは自分が怪人を生んだと言っていた。確かにそれは許される事じゃない。でも今、姫子ちゃんは反省し、自分の過ちを正そうと頑張っている。なら私は……それを支えてあげたいと思った。何故なら私達は友達、かけがえのない……親友だから。

 

「それは違う……確かに怪人を倒したのは私。でもね……すずかちゃんを助けられたのは飛影君のお陰なの。彼が教えてくれなかったらここに駆けつけられなかったし……私も戦う事なんて出来なかった。だからお礼を言うなら彼に言ってあげて? 」

 

「潤君が? 」

 

「うん! 彼ボロボロで……飛影君すずかちゃんを助ける為に多分あの怪人に立ち向かったんだと思う。頭からも血が出てたし…………」

「え!? 潤君怪我してるの!? そんな……また……私の為に…… っ! 私、行かなくちゃ! 」

 

「あ! 待ってよすずかちゃん!? 私も入院中だから戻る! じゃ、なのはちゃんまたね? 」

 

そう言って病院の方へ走って行ったすずかちゃんを追いかけるように姫子ちゃんも病院に戻った。

そしてこの時期からか町で化け物が出る、それを倒すヒーローがいると言う話やニュースなどでもそれを取り上げられるようになり始めた。もう怪人はどこであろうと現れ、私達の日常を脅かす。でも私はどんな怪人が現れようと姫子ちゃんや剛火さんが倒してくれる。勿論私も協力は惜しまない。そう心に決めた。

 

 

◇◆◇◆

 

 

「潤君! 潤君!……ひぐっ……潤くぅぅぅぅん!!! 」

 

私は潤君の名前を呼びながら病院に走った。後ろで姫子ちゃんの声が聞こえる。でもそんなのを待っていられない。私の為に傷ついてしまった潤君の無事を確かめるのが先だ。

時間はもう深夜、だから道には人など通らない。そして私は病院に着いた。勿論深夜の病院はナースセンター以外電気が付いておらず真っ暗闇。私はドロボーのようにこそこそと潤君の病室へ向かった。

 

「潤君! っ!? ……寝てるの? 」

 

潤君の病室に着いた私は思わず大きな声で潤君の名前を呼んだ。しかし潤君は寝ているのか反応がない。姫子ちゃんの言っていた頭の怪我も先生に治療して貰ったのか包帯をまかれている。

取り敢えず気持ち良さそうに眠っている潤君を見て私は安心した。そして潤のおでこに手を乗せ、前髪を上げると私は潤君の寝顔を眺めた。

 

「また……助けてくれたね? ありがとう潤君……私本当に感謝してるよ? だから……お礼……しなくちゃね? チュっ! 」

「え!? 」

 

「っ!? ひ、姫子……ちゃん……今の……見た? 」

 

「う、うん……す、すずかちゃん……まさかそうなの? 」

 

姫子ちゃんにそう尋ねられた私は顔が沸騰するように熱くなった。完全に無意識だった。お礼といい、潤君のおでこにキスをしたのは。ただの友達でいたつもりだった。でも姫子ちゃんにそう言われると別の感情もなくはないと思うのだ。友達以上の関係……それは想像できないけど、確実に私の中で芽生えつつあった。

 

「ち、違うよ!? これはただのお礼だよ!? だから潤君はお友達だよ!? 」

 

「わ、分かったから落ち着いてよすずかちゃん。誰にも言わないから、ね? ほら、あんまり大きな声出すと飛影君起きちゃうから」

 

私はそう言われて慌てながら両手で口を塞いだ。そして潤君の方へと視線を向ける。でも潤君はまだ眠っていて起きていなかった。だから取り敢えず安心した私は姫子ちゃんを病室へと送り、今日は姫子ちゃんの横で寝かせて貰った。しかし次の日、私がお姉ちゃんに怒られたのは言うまでもない。

 

 

◇◆◇◆

 

 

「ありがとう坂城さん、すずかちゃんを助けてくれて! 」

 

「べ、別にお礼なんて要らないわよ。すずかちゃんは私の友達でもあるんだから。後……姫子よ? 」

「え? 」

 

「だから私の下の名前!! 姫子って呼んでいいって言ってるのよ! あんたには迷惑かけてるし、それに……勇気づけて貰ったしさ。私が友達になってあげるわよ! あんた学校ですずかちゃんぐらいしか友達いないでしょ? 学校で聞いてみればあんたの事まともに名前で言えたのはアリサちゃんぐらいだったわよ」

 

あれから3日後、退院した私は次の日の放課後に飛影君のお見舞いに来た。そしたら突然お礼を言われて、私は少し受け止めきれなかった。

そして友達の話題を出すと彼は少しショボンとし友達がいないのが図星のようだった。

学校のクラスメイトに彼について少し聞いて回るとアリサちゃん以外名前をまともに覚えておらず、いてもいなくても特に気にされていない事が分かったのだ。

だから私は同情する訳じゃないが色々巻き込みもう他人じゃなくなってきてる彼と友達になろうと思ったのだ。

 

「僕なんかと友達になってくれるの? 」

 

「僕のなんかとか言わないで! あんたは別に他の人に劣ってる人間じゃない! すずかちゃんを助ける為に怪人に立ち向かったあんたは立派な人間だと私は思うわ! だからそんな事言わないで? 」

 

「……うん……ありがとう坂城さん」

「姫子って呼びなさい? 私もあんたを名前で呼ぶわ! これで私とあんたは友達よ? 」

 

私がそう言うと彼は嬉しそうに笑ってくれた。私もその顔が見たかったので素直に笑える。実際彼は良い人だ。人柄も話してみれば穏やかで優しい。少し自分に自信がないだけでそれ以外は何の問題もない。どっかといえば私が友人になりたいタイプの人間だ。

 

「それじゃ……姫子ちゃん? 」

「それでいいのよ! これからよろしくね潤? 」

 

「うん! 」

 

 

◆◇◆◇

 

 

ある日の夜、僕は怪人に気配を感じ、目が覚めた。僕が剛火なってからというもの、こうして怪人の気配を感じ取れるようになった。それも場所や数まで事細かに…………

だから僕はまた病院を抜け出し、その場所へと向かう。するとその場所には既に何人かの人影があった。僕は建物の影に隠れ、それが誰であるか確認する。

 

「フェイト!? 」

 

「あの子は……」

 

そこにいた人影は高町さんと姫子ちゃん、そして見覚えのない金髪でツインテールの女の子だ。近くには赤っぽい狼に似ている犬がいる。そしてその金髪の子は僕のベルトに埋め込まれてる宝石と同じ物を握り締め必死に何かを抑え込もうとしていた。

何故ならその宝石は強烈な光を放ち暴走しているのか女の子の手をズタズタに傷つけていく。しかしその途中その女の子は横から殴り飛ばされ手に持っていた宝石はそのまままた暴走し始めた。

 

「フェイト!? しっかりしておくれよフェイト!? お前は誰だ!!! よくもフェイトに!!! 」

 

「コノエネルギー……スゴイ。クラエバ……オレノジャマハダレモデキナクナル! 」

 

女の子を殴り飛ばしたのは僕が反応を感じた怪人だった。そして殴り飛ばされた女の子はそれで気絶したのかぐったりとして動かない。心配だが今は怪人を倒す事が先決。だから僕は自分の腰に両手をかざした。

 

「よし……変身! 」

【マスクチェンジ……ゴウカ! 】

 

僕は変身し怪人の元へ向かう。僕が来た事で姫子ちゃん達も気づいたのか怪人のところへ向かい始めた。しかし怪人は僕達が辿り着く前にその暴走した宝石を丸呑みにし、ネズミのようなだったその身体は弾けて骨だけになった。さらには青い宝石を心臓のように中心に取り込むとそこから炎が吹き出し、まるで炎が怪人の肉や皮のように形成され始める。

 

「スゴイ!? スゴイゾ!? コノチカラハスゴイ!!! ン? チョウドイイ、オマエラヲタオシテオレノチカラヲショウメイシテヤル!! チュゥゥゥウウウウ!!! 」

「っ!? よせ!? ぐわぁぁぁああああ!? 」

 

「剛火さん!? 」

 

怪人はあろうことか近くにいる金髪の女の子を狙い、いつの間にか人間の姿に変わっている犬のお姉さんがその子を庇うようにして抱きしめる。しかし僕がそこへ割って入り何とか僕だけ攻撃を受ける形で済んだが攻撃を受けた所は黒く焦げて火傷のようになっていた。

 

「このアーマーを焦がす程の炎なのか…………」

「ちょっとあんたそれ大丈夫なのかい!? 」

 

「僕は大丈夫です! いいから早く逃げてください! 」

 

僕はそう言い捨てて怪人へと突っ込んだ。しかし僕の攻撃は効かずカウンターを受けるように殴り飛ばされた。

さらには一緒に戦っている姫子ちゃん達にまでその拳を放つ。彼女達はそれをまともに受けてしまい、彼女達の服は焼け焦げ半分燃えてしまっていた。

 

「くっ……女の子の服を燃やすなんて何考えてんのよこのエロ怪人は!? でも、ダメだわ。まるで近づけない。これもジュエルシードの力が原因なのかしら」

 

「姫子ちゃんダメだよ!? 私の魔法も全然効果ない!? 」

 

「こうなったら……」

【ファイナルマスクドライブ……ゴゴゴ ゴウカ! 】

 

「ハァッ! でぇりゃやぁぁぁああああああああああああ!!! 」

 

僕はカードをバックルに差し込み、右足に炎を灯すと怪人の側まで近づき飛び蹴りを喰らわせた。しかし怪人は僕の蹴りを受けても微動だにせず、怪人に刻まれた火の紋章は怪人に吸収されるように消えてなくなった。

それを目の当たりにした僕は驚き怪人に蹴りを入れたまま固まる。普通なら怪人は爆発する筈だったからだ。けどそれどころか怪人の炎はさっきよりも大きくなり僕の足を燃やす。しかも怪人は僕の足をしっかりと掴みまるで燃やし尽くそうとしているかのように離さなかった。

 

「ぐっ……ぁぁぁああああああああ!? があ!? 足が!? 足がぁぁぁあああああああああ!? 」

 

「モエロ! ソシテニドトツカイモノニナラナクシテヤル! チュゥゥゥウウウウ!!! 」

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ!!! 」

 

「やめなさいよぉぉぉおおおおおおお!!! 」

【マジカルライド……ヒョウトウトウキ! 】

 

僕が苦しんでいると姫子ちゃんが自分の武器に何やら冷気のような物を纏わせ怪人を攻撃した。そのお陰で僕は解放されるが僕はまともに立ち上がれなくなってしまった。

しかしそんな時姫子ちゃんが手を貸してくれた。だから僕は姫子ちゃんと怪人から距離を取る。

 

「あんた大丈夫なの? 」

 

「何とか……けど…………」

 

「そうね、今回のは厄介過ぎるわ! それにその足じゃ戦うのは危険よ? もういいからここで休んでて? 」

「え? で、でも!? 」

 

「いいから! それで死なれる方がもっと嫌! だから……」

 

姫子ちゃんにそう言われ僕は仕方なく頷いた。けど僕が戦闘に参加しなくなって10分ぐらいした時の事だ、怪人の攻撃で姫子ちゃん達は捕らえられてしまった。正確には姫子ちゃん達の周りを炎が囲んだと言った方がただしいかもしれない。そしてその炎は段々と狭くなり姫子ちゃん達を燃やそうと迫る。怪人はそれを見て笑っていた。

 

「ぐっ……あ、熱い…………」

「ひ、姫子……ちゃん……熱い、熱いよ…………」

 

「チュ、チュ、チュ! モエロ、モエロ!! 」

 

それを見せられた僕はもうじっとしてられなかった。痛む足を無理矢理動かし、怪人へと拳を振るう。しかし今の僕がまともに攻撃出来るはずがない。だから当然の事のように怪人のカウンターを受け、さらには怪人の口から吐かれたによって僕の身体は炎に包まれてしまう。熱く……全身が溶けてなくなってしまうような苦しみ。僕は叫び悶えた。

 

「ぐわぁぁああああああああああ!? あ゛あっ!?う゛ あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あぁぁぁ……あ゛あ゛っ……うわぁぁ…………」

 

「やめて!? それ以上やったら死んじゃう!? 」

「この!? やめなさいよ!? 」

 

僕は倒れた。黒焦げになり、身体を激痛が包む。強すぎる……今の僕では歯が立たない。そればかりが頭を駆け巡る。横からは熱さで苦しむ姫子ちゃん達の声が聞こえ、僕は悔しくて、悔しくて…………

 

「熱い!? 熱いよ!? 」

「ぐっ……なのは……ちゃん……頑張って…………」

 

「ミンナモエロ! モエテシマエ!!! ……ン!? オマエ……ナゼ……タチアガレル!? 」

 

「僕……は……負ける……わけには……いかない! その二人を……解放し……ろ…………」

 

こうは言ったものの……今の僕は立ち上がり喋るのがやっとだ。下手をすれば後一撃でやられる。でも彼女達を助けなければ……ここままでは二人とも焼け死んでしまう。そう思った時だった、僕の腰についているカードホルダーから一枚のカードが飛び出してきたのは。

 

「この……カードって……でも……他に方法はない!! 」

【フォームチェンジ……ヴェイパー! 】

 

「ナニ!? 」

 

「これは…………」

 

カードを挿入した瞬間、僕の身体は電子音と共に変わり、青いアーマーを装着した戦士へと姿を変えた。眼は青から赤色へと変わり剛火の姿よりアーマーの形がスマートにも見える。

そして一番不思議だったのは身体の痛みがなくなった事だ。まるで冷たい水で冷やされたように痛みが引いてゆく。

 

「これなら! フッ、はぁぁ……でりゃぁぁぁあああ!!! 」

 

「うっ……ううっ……ん? あれ!? 熱くない!? 火が消えてる…………」

「あいつ……あんな姿にもなれんのね」

 

今の僕は水を操れるようで僕は手から圧縮して水を姫子ちゃん達を囲っている炎に放ったのだ。命中した炎は簡単に消え、高町さんは驚きの表情を浮かべている。

そして僕はさらにもう一枚カードをバックルに挿入した。

 

【マスクドライブ……ヴァイパーランス! 】

 

その瞬間僕の前に銀色の槍が出現し、僕はそれを掴んだ。そのランスは僕が掴むとぞれに反応するように水を纏い始める。

 

「ナニヲシテモムダダ! モエシネェェェ!!! チュゥゥゥウウウウ、チュゥゥゥウウウウ!!! 」

 

「せいっ……やぁぁぁぁあああああああああああ!!! 」

「ナ、ナンダト!? 」

 

怪人が身体中から炎を噴き出し、一斉に僕へと放った。しかし僕はそれを全てはたき落とし、カードを一枚バックルへと入れる。

 

【ファイナルマスクドライブ……ヴァヴァヴァ ヴァイパー!! 】

「フリアティク……エクスプロージョン!! どぉぉぉりゃぁぁぁああああ……セイヤァァ!!! 」

 

「ガシュッ!? ……チュ……チュチュ……チュゥゥゥゥゥウウウウウウウウ!? 」

 

トルネードのように僕のランスに巻きつき回転を始めた水。僕はそれを怪人の心臓……つまり青い宝石目掛けて突きはなった。そしてしばらく間をおいてランスを抜き、僕は怪人に背を向ける。すると怪人の胸には『水』という紋章が刻まれ、中心から弾けるように爆発した。その後には青い宝石だけしか残っていない。

その後だが、このまま置いとくわけにもいかないと思った僕はその宝石を拾おうとした。しかし僕がその宝石を拾おうとした瞬間、それは奪われてしまった。誰かといえば、さっきの狼のお姉さんだ。

 

「助けてくれた事には感謝してるよ? でもこれは必要な物なんだ! だから頂く! それじゃね? それと、あんた……中々カッコ良かったよ? 」

 

そう言われて僕は少し気恥ずかしかった。カッコいいなんて言われたのは初めてだからだ。でも僕が照れて頭を掻いていると後ろから誰かにお尻を思いっきり蹴られた。

 

「つっ!? 」

「あんた何デレデレしてんのよ! 」

 

「い、いや……別にしてない……です…………」

 

「ふん、ど〜だか? はぁ……まぁ〜いいわ? ありがとう、助かったわ! 」

 

姫子ちゃんにお礼を言われ僕はさらに恥ずかしくなったが正体がバレるといけないのですぐに姫子ちゃん達と分かれて病院に戻った。

 

 

◇◆◇◆

 

 

「潤君……聞いても、いいかな? いいよね? 」

 

「は、はい……な、なんでしょうか……すずかちゃん? 」

 

私……月村すずかは今、潤君に対してかつてない程怒っている。理由は簡単だ。この間私を助ける為にした怪我の具合が良くならないうちにまたどこで作って来たのか怪我が増えているのだ。右足や両腕には包帯を厚く巻いてあり、顔にも絆創膏のような物が貼ってある。

正直病院にいる筈の潤君がどうしてこうも怪我を作れるのか不思議でしょうがないし、これではいつ退院出来るのか分かったものじゃない。

 

「何で……怪我増えてるのかな? 潤君病院にいたんだよね? だったらどうして怪我増えているのかな? 潤君……病院抜け出して本当はどこか行ってるんじゃないの? そうだよね? そうじゃないとおかしいよ? 一体何隠してるのかな? 毎日一体何してるのかな? 私怒るよ? いや、もう怒ってるんだけどさ? どうかな? 教えてくれるよね? もう私、潤君が心配で気が気じゃないよ? 」

 

「い、いや……その……それはえっと……ごめんなさい」

「違うでしょ? 私謝ってなんて言ったかな? それとも潤君は私の言葉が分からないの? 毎日一体何してるのかな? って聞いてるんだよ? 大体作ってくる怪我の大きさが普通じゃないのはどういう事なの? この間の怪我だってまだ治ってないんだよ? 」

 

私がそう言うと潤君は涙目になり始め、ひくひくとしながら私に怯えている。私だって誰かにこんなに怒ったのは初めてだ。当然の親友と呼べるなのはちゃん達にだってここまで怒ったことはない。何故だか潤君の事になるとムキになる自分がいる。私は潤君が傷ついて苦しんでいるのが許せない。ましてや入院中の身だ、これ以上怪我なんてして欲しくないし、早く治して欲しい。けど潤君はそれに反して怪我を作る、だから私もムキになって怒ってしまうのだ。

 

「ひぐっ……ひぐっ……ごめんなさい……ごめん……なさい」

 

「はぁ……泣いて謝っても今度は許さないよ? さぁ〜潤君? 言って? どこで何してるの? 」

 

前回は潤君が泣き始めたからやめた、でも今回は絶対に許さない。このままじゃいつか潤君が死んでしまう気がして私はとても胸が痛い。私だって本当は潤君に対してこんなに聞き責めたくなんてないのだ。しかし潤君は泣いてるばかりで何も話そうとしない。そうなると私もどんどんイライラが積もり、感情を抑えたくても抑えられなくなってしまう。

 

「潤君……いい加減にしてくれない? 怒るよ? 怒ってるけど……もっと怒るよ? 」

 

「ひっ!? ……ごめんなさい、許して…………」

 

「また……謝った…………」

 

私はその瞬間……頭の中で何かが弾けた。潤君がまた謝ったからだ。私は別に潤君に謝って欲しいわけじゃない。潤君が怪我をしないようにしたいだけだ。

 

「潤君…………」

 

「は、はい!? 」

「馬鹿!? 馬鹿、馬鹿、馬鹿!!! 私がこんなに心配してるのにどうして潤君は何も教えてくれないの!! もう知らない!? 知らないもん!? 潤君なんて勝手に死んじゃえばいいよ!!! 」

 

「あ! すずかちゃん!? 」

 

この日、私は初めて潤君と喧嘩した。そしてしばらく病院にも行かなかった。しかし私がお見舞いに行かなくなって一週間後……私は潤君と会う事になってしまった…………

 

「潤君……何……してるの…………」

「すずかちゃん! 早くバニングスさんを連れて安全なところへ逃げて! ここは僕が惹きつける!」

 

「グオ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛!!! 」

 

何故なら……怪人に襲われてる私とアリサちゃんの前に病院にいる筈の潤君が庇うようにして立ち塞がったのだから…………

 

 




次回もよろしくお願いします。
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