魔法少女リリカルなのは!?「フェイクヒーロー」 作:ヘルカイザー
更新が遅くて申し訳ないです!
ではよろしくお願いします。
「なるほどな。怪人が現れたのはお前の所為で、それで最近は自分の手にも負えなくなってきてる……これでいいのか? 」
「そうよ……悔しいけど私はロクでもない人間。自分の憧れの為に………罪もない人を何人も殺させてしまった…………」
「おっと、それは違うな? 憧れ? 結構じゃねぇ〜か? ヒーローは憧れてなんぼだろ? それに、怪人が手に負えなくなってるのはお前の所為じゃない。何故なら……お前がこっちに連れてきた怪人は最初の頃の数体だけ、コウモリ怪人が最後。だからあれ以上怪人が現れる事はあり得ない事なんだ」
「え……あんた何でそんな事知って…………」
私……坂城 姫子は佐藤君があの猪怪人を倒した後佐藤君と二人で話をしていた。理由は簡単だ、彼が私と同じ転生者だからだ。
私は自分の経緯と自分の所為で現れてしまった怪人の事について佐藤君に話した。できることなら彼にも協力を頼みたかったからだ。しかし彼は私の所為で現れた怪人はコウモリ怪人までだと言う。一体何故そんな事を知っているのだろうか…………
それになら何故怪人はより強く出現し続けるのだろうか…………
「何故知っているか……実は俺達と同時期にこの世界に転生した奴がもう一人いるんだ。そいつの名は極道 ……極道 正(ごくどう ただし)。俺のダチだ。だが……ちょっと転生前に前世で壊れちまって……こっちに来たと思ったらいなくなってよ。やっと見つけたと思ったら……怪人を創り出して悪さしててよ。だからお前の所為じゃない。それと何故知っているかの答えはここに現れる怪人はコウモリ怪人までだって神が言っていたからだ。神もこの世界が壊れると困るんだってさ? だから現れる怪人を制限したらしんだ」
「そうなんだ……それじゃ……私の所為じゃ……ううん! 違うわ、私の所為で傷ついた人はたくさんいる。だから私はそれでも戦いをやめるわけにはいかない! だからあんたも手伝ってくれない? 」
「それは勿論だ。そもそも俺が仮面ライダーの力を使っているのは正を止める為だしな。だから協力は惜しまないぜ? そうだな? 取り敢えず一緒に戦っていくんだ、俺の事は健でいいぜ? 」
「そ。なら私も姫子で構わないわ! よろしく健! 」
こうして私達は友達になった。
◇◆◇◆
「すいません!! 高町なのは、命令を無視して勝手な行動をとります!!! 」
「待つんだ!? っ!? 君は………」
「なのは行って! 」
私はユーノ君の協力でクロノ君達時空管理局と呼ばれる人達の船、アースラからフェイトちゃん達がいる海の上へと転移した。私が何故こんな事をしたかと思えば海の中にある6つのジュエルシードを回収する為にフェイトちゃんがそれを無理矢理暴走させた為だ。そして暴走したジュエルシードはフェイトちゃんだけでは手に負えなくなった。クロノ君達時空管理局はフェイトちゃんが自滅するのを待つと言う。でも私はそんなの嫌だった。命令を無視し、フェイトちゃんを助けに向かう。
魔力が切れ、どうする事もできなくなってるフェイトちゃんのデバイスにレイジングハートを近づけ魔力を半分渡す。これから二人でジュエルシードを抑える予定だ。しかしここで予期せぬ問題が起きた。ジュエルシードによって生まれた6本の竜巻、その近くに一人の人影が現れたのだ。その人物は黒いマントに白の仮面をつけ何かをその竜巻の方へと放り投げる。すると6本の竜巻はそれに吸い寄せられるように一つになり水の竜へと姿を変えた。私とフェイトちゃんはそこへ攻撃を叩き込む、しかし…………
「嘘!? 効いてない!? 」
「っ!? まずい……逃げ、きゃっ!?」
「フェイトちゃん!? 」
フェイトちゃん水竜の尻尾にぶっ飛ばされた。私は急いでフェイトちゃんの元へと向かおうとする、しかし水竜がそれを許さない。私に向かい口から水の弾を吐き私の行き先を阻む。最初は避けていた私だがでもそれも段々数が増え、とうとう直撃した。
下に落下し始める私。途中でユーノ君の声が聞こえた気がしたが私はそれに構うことなく落下が止まらない。今ので意識が飛びかかっている為だ。このままでは海に沈んでしまう。でもその時、私は横から誰かに受け止められた。誰かと思い視線を向ければいつも怪人を倒してくれる剛火さんだった。タダ、今の姿はこの間の青い戦士になっており剛火さんは水の上に立っていた。
「大丈夫!? 」
「え……あ、はい!大丈夫です、ありがとうございます! 」
「なら良かった、それじゃ僕はあいつを」
「一人で行くのかしら? 」
「……坂城さん? 」
「姫子ちゃん!? 」
剛火さんが水竜に向かおうとした時後ろから心強い応援がやって来てくれた。それは姫子ちゃんだ。それからその後ろには見慣れない仮面の戦士がいた。銀色のアーマーを身につけている。
「君は…………」
「よぉ! お前が姫子が言ってたM・HEROか? すげぇな? かっこいいぜ? 俺は仮面ライダーエンドだ! よろしくな? さて、あの水竜だが……どうすっか…………」
「取り敢えず攻撃できるだけしてみましょう? 考えるのはできることがなくなってからよ! 」
姫子ちゃんの提案を私達は受け入れた。全員でもてる全ての攻撃を放つ。しかしその攻撃は何一つとして効かない。相手が水でできているからだろうか…………
でも私達は諦めない。絶えず攻撃を続ける。しかしここで私やフェイトちゃん、ユーノ君にクロノ君は水竜の尻尾にぶっ飛ばされてしまった。
「なのはちゃん!? くっ……このぉおお!!! 」
【ファイナリティマジカルライド……カカカ カナコ!! 」
「いくぜ? 」
【ファイナルベント! 】
「これ以上は……誰も傷つかせない!! 」
【ファイナルマスクドライブ……ヴァヴァヴァ ヴァイパー!! 】
姫子ちゃん達は全員カードを指定の場所へと入れそれぞれが必殺の構えを取る。そしてそれを一斉に水竜へと向かい放った。しかしその攻撃は水竜を貫通し全くこたえていない。さらには3人とも水竜の水弾をまともにくらいそれぞれ別の場所へと吹っ飛ばされた。
姫子ちゃんは倒れたままぐったりとして動かなくなり、銀のアーマーをつけていた仮面の戦士は変身が解けて私達と同い年ぐらいの男の子へと姿を変えた。正直これには驚いたが、そんな事よりもぶっ飛ばされて海の中に沈んだ剛火さんの方が私は気になった。何故なら剛火さんはそのまま浮かんでこなかったからだ。
私は痛む身体を起こし、急いで倒れた姫子ちゃんの元へと向かう。見た所、そこまで酷い怪我ではなかったが敵の攻撃による衝撃で意識を失っただけのようだ。
「姫子ちゃん……剛火さん…………」
◇◆◇◆
僕は水竜の攻撃で海へと沈んだ。そしてそれがあまりのダメージだった為に変身が解けて僕はゆっくりと海の底へと沈んでいく。
意識はかろうじて残っていた。しかし身体中が痛みで動かず呼吸もできない為に段々と意識が遠のいていく。そんな僕の頭の中で誰かが囁き、話しかけてきた。誰かは分からない。でも知らない訳じゃない。絶対にどこかで聞いた事がある声ではあるのだが思い出せない。
《君は何故戦う? 君はどうしてそんな目にあっている? どうして諦めている? どうして……『破壊』しない? 》
(は……かい? 君は……誰なの? )
《俺は君だ。我らは同じ存在にして一つの意識。全てを破壊する世界の破壊者。それが君の運命でありこの世界で課せられた定め》
(何……それ……僕は世界を破壊なんかしない…………)
僕は頭の中で囁く声の言っている意味が理解できなかった。僕らが同じ存在で僕は世界を破壊する破壊者だなんて……僕は一度もそんな事を思った事ないし望んでもいない。ましてやすずかちゃんや姫子ちゃん達のいるこの世界を破壊など絶対にしない。
《それは君の決める事じゃない。もう決まっている事だ。今は分からなくてもいい。だが……そのうち君は自分がどういう存在なのかを知る事になるだろう。だからその日まで、俺がお前を殺させはしない》
(それってどういう……うっ……ダメ……息が……意識が遠のいて…………)
《少し寝ていろ。そして目が覚める頃には全てが終わっている》
その瞬間、僕の意識はブラックアウトした。
「変身! 」
【マスクチェンジ……ゴウカ! 】
◇◆◇◆
「ウム……実験ハ成功シタナ。ヤハリ、ジュエルシードヲ媒体二シタ怪人ハ普通ノ怪人ヨリ強大ナ力を得テイルヨウダ……ン? っ!? 」
俺は極道正。世の中を嫌い、人間を嫌い。新しく転生したこの世界を壊す事だけを生きがいとして今生きている。怪人を創り出し、街を混乱へと突き落とす。この街の人間が恐怖し慌てふためく姿は何とも気分がいい。
だがここ最近になってそれを邪魔をする人間が増えてきた。しかしその中でもM・HERO 剛火、奴はいい。俺は一目見て気に入った。俺の邪魔をし、怪人を軽々と倒してくれるその力。まさに好敵手に相応しい。
そんな事を考えて水竜を眺めていた時だ。水中に沈んだ筈の奴が俺のいる海岸へと飛び出してきた。しかしその姿は青い姿から赤いいつもの姿へと変えていた。
「オマエ……フフ、マダ生キテイタカ、嬉シイゾ? ドウダ? 今回ノ怪人ハ? 強イダロ? 」
「…………」
剛火は何も言わずにこちらをチラリと見た。様子がおかしい、そう思った。以前あった時はこんなにクールな印象はなかったがどうしたのだろうか。俺の思った通りの印象ならすぐにでも俺につっかかってきそうなものだが……それもしようとはせず、ジッと水竜を見ている。まるで俺には興味のないように。
「フフフ、無視カ? マァ〜ソレモイイダロウ。ダガ……オマエ達ノ力デアレ二勝テナイノハ明白ダ! サァ〜ドウスルンダ? 」
「……あの程度の相手では役不足だ。代わりにお前が相手をしてくれてもいいんだが? 」
「何? フフ、フフフ……ハハハハハ!!! 笑ワセテクレル! サッキマデ歯ガ立タナカッタ奴ガイウコトトハ思エンナ? フフ、ソウダナ? オマエガアノ水竜ヲ倒セタナラ少シ遊ンデヤロウ」
「その言葉、忘れるなよ? 」
そう言った奴は海上に首を出している水竜へと向き直りカードを一枚取り出すとそれを腰のベルトに差し込んだ。こいつの戦い方は知っている。しかしそれでは水竜を倒す事は不可能だ。俺はそう思っていたが次の瞬間、こいつは俺の想像の上を軽く飛び越えた。
【マスクドライブ……ゴウケンレッカ!! 】
「よく見ていろ潤……これが力の使い方だ。フッ……はぁぁぁぁぁぁあぁあああああああああああああああ、せいっやぁぁぁぁああああああああああああああああ!!! 」
カードを差し込んだ剛火は右手を左手で支え、そこに炎を集中し始めた。そしてその集中した炎が巨大な火の玉へと成長し、その瞬間それを水竜へと放つ。最初は水に炎など何の意味があるのだろうと俺は内心こいつを鼻で笑っていた。
しかしそれは間違いだと思い知らされる。何故なら命中したその炎は水竜に当たると明らかにそれに見合っていない大爆発を起こし水竜は跡形もなく吹き飛んでしまったのだ。俺は仮面の下で驚き、目を見開く。
「キュァァァアアアアアアアアアアアアアアア!!! 」
「馬鹿ナ……何故……サッキマデ全ク歯ガタタナカッタ筈ダ!? 」
「簡単な話だ。冷たい水に対して高温の物体をぶつければ水蒸気爆発を起こす。ただ、それだけの話だ」
「水蒸気爆発ダト!? 馬鹿ナ!? 」
「さぁ〜今度はお前が相手をしてくれるのだろう? やっと外に出られたんだ。少しくらい楽しませろ! 」
そう言うと剛火は俺に向かい拳を向けてきた。強い……拳を一撃受けただけで分かる。この間とはまるで違う動き、パワー、スピード。俺の印象的には別人じゃないかと思う位の違いがある。
俺は剛火の拳を受け流しこちらも拳を放つ。しかしそれは完全に見切られ、受け流されてしまう。それに加えこいつはこちらが攻撃を凌ぐたびにそれを超える攻撃を絶えず繰り出してくるのだ。
「クッ!? グッ!? ……ヤルナ? ヤハリ俺ノ目ハ間違ッテイナカッタ! オマエハ俺ノ好敵手。コレカラガ楽シミダ! 」
「何だ? もう終わりなのか? もう少し遊んでくれよ? 」
「フフフ、ソウシタイノハ山々ダガ、俺ハ忙シイノデナ? サラバダ! 」
「チッ……つまらん」
◇◆◇◆
「潤君? これは? 」
「え、えっと……階段で」
「こっちは? 」
「そ、その……廊下で転んで」
「……ふ〜ん……潤君はドジだね? どうしてそんなに転ぶのかな? と言うかもういい加減嘘つくのやめて欲しいなぁ〜? だって全部嘘だもん。本当はどこかで誰か助けてたんだよね? やめてって言ったのに。潤君はまだやってるんだね? どうして潤君は自分を大事にしてくれないのかな? 私は潤君に早く治って欲しいんだよ? どうすれば潤君は自分を大事にしてくれる? どうすれば怪我しないのかな? そうだ! いっその事鎖でぐるぐる巻きにしておこうか? そうすればいいよね? どうかな潤君? 」
「うっ……ぐすっ……ひぐっ……ごめんなさい……うっ、うっ……ごべん゛な゛ざい゛…………」
潤君は私が怖いのかいつも通り泣き始める。泣きたいのはこっちも同じだ。しかし潤君は私がどんなに言ってもやめてくれない。誰かの為に……自分以外の誰かの為に傷つき、その度に入院の期間が延びて行く。
これでは潤君と学校で過ごすのはいつになるのか分かったものじゃない。だがそれ以上に潤君が死んでしまわないか心配だ。私の知らない所で知らないうちに潤君がいなくなる。そんなのは私は嫌だった。
「もう……最近見ないけどそれじゃ潤君のお母さん達が悲しむよ? あ、あれ? 潤君? 」
私がそう言ったら潤君は毛布に包まって塞ぎ込んでしまった。何かいけないことを言ってしまったのかと私は頭を必死に回して考えるが私には分からない。
私が一言謝ったが潤君は一人にしてくれと言い始めてしまった。なので私は少し罪悪感に駆られて部屋を出る。
「ねぇ〜聞いた? 三階に入院してる飛影君の御両親、火事で亡くなったらしいわよ? 」
「ああ、聞いた聞いた! 可愛そうよねぇ〜? 」
「え…………」
たまたま病院を出ようと歩いていた私の耳に聞き逃せない情報が飛び込んできた。私は何かの間違えかと思ったがその話をしていた看護さんに詳しく聞くと本当の事らしい。
これならばさっき潤君が塞ぎ込んだ理由も納得できる。どうりで潤君のお母さん達を見なくなった筈だ。もう亡くなってるなら来るはずがない。私は潤君の病室へ戻る、本当は走っちゃ行けないが走らずにはいられない。
どうして潤君ばかりがこんな目に合うのだろうか……どうして潤君が悲しまなきゃいけないのか……私は頭の中でそればかりをぐるぐると考えるが考えてその答えが出る筈もない。
「潤君!? ごめんね!? 私……しら……な……くて…………」
潤君の部屋に飛び込み潤君に謝る。しかしそこに潤君の姿はなかった。それからいくら待っても潤君は戻って来ない。またどこかへ行ってしまったのだ。誰かを助ける為に。
でも私はきっと怪我はするがいつも通り帰って来るものだと思っていた。しかしそんな私の願いは脆くも崩れ去った。何故ならそれから一週間経っても潤君は戻って来ず、潤君は行方不明になってしまったからだ。
潤君は一体どこへ行ってしまったのか……まさか怪人に殺されてしまったのではと最悪のシナリオばかりがの心を支配し、私の元気を奪っていく。
姫子ちゃんに相談したかったが姫子ちゃんは今学校に来ていない。だから相談する事も出来ない。でもアリサちゃんには少しは話したのだ。しかしいくら私達が騒いでも潤君が見つかるわけじゃない。
そしてそんな日の放課後……私はもしかしてと思い潤君の家に行ってみたのだが、そこで私が見たのは目を疑う光景だった。
「嘘……何……これ…………どうして……こん……なっつ!? うっ……ひぐっ…………」
当事者は私じゃない。でもそれが潤君の事だと……潤君に起こってしまってる事だと思うと悲しくならずにはいられなかった。
私が見たのは全焼しほぼ原型をとどめていない潤君の家だ。親を失い、帰る場所をなくし、潤君自信をもなくそうとしている。こんな不条理でどうしようもなく理不尽な不幸を私は認めたくなかった。いや、認めるわけにはいかない。
「潤……ぐん゛……どご? どごにい゛ったの゛? 潤くぅぅぅぅううううううん、うわぁぁぁあああああああああっつ…………」
◇◆◇◆
「良いのか? 早く病院に戻らぬといつも来てくれるすず嬢が心配するぞ? 」
「僕は……戻らない。強く……もっと……偽物じゃない。本物のヒーローになりたいから! 」
「はぁ……何がお主をそこまで突き動かすのじゃろうな? お主の心構え、自己犠牲、そして誰かを守りたいと言う確かな想い……もう誰が見ても認めない奴はいないと我は思うのだが……ヒーローとして」
僕は病院から抜け出し、戻らない事を決めた。それは僕が弱い事を自覚してしまったから。きっかけは先日の水竜との戦いだ。苦戦はしても何とかなる物だと僕は心の底で思っていた。頑張れば絶対に負けない。勝てる。倒す事が出来るのだと……でもそれは間違いだった。僕は簡単にやられ、気が付いた時には水竜は倒されていた。そして僕は何故か自分の病院のベットで寝ていて。
「くそっ……くそっ……くそっ!!! 」
「まったく……そんな事しても急に強くなんてなれない。お主だって分かっている筈だ」
確かにジュエの言う通りだ。こんな森の中でいくら木を殴り付けようがいくら筋トレしようが急に強くなんてなれない。強くなりたいなら日々の積み重ねこそ大事なのだ。でも……それでは間に合わない。それでは誰かを死なせてしまう。もしかしたら今度は……今度は…………
「今度は…………」
「すず嬢を守れないかもしれない……か? 」
「…………」
本当にその通りだった。勿論、僕が救える命は全て救いたいと思っている。でも僕が今、何より守りたいのはすずかちゃんだ。家族が殺され、友達もいなかった僕がこんなにも笑っていられるのは彼女のお陰だから。
「つっ……すずかちゃんが怪人に狙われるのは確実だ!? だから僕はどんな事があっても、どんな目にあっても!? すずかちゃんを守りたい!!! けど……ダメなんだ……その為には……強くならないと…………もっと……もっと……誰も失わないように!!! 」
「はぁ……なら好きにするがよい。我はもう何も言わん。今、お主を突き動かしておるのは大切な者を守りたいと思う気持ちと守れないかも知れないと言う恐怖から来る焦りだ。そんなお主を止められる言葉など我にはない」
そう言ってジュエは消え、僕は一人暗い森の中必死で木を殴りつける。無理だと分かってはいる。しかし方法が分からない以上こうして出来ることを全てやってみるしかない。無駄な足掻きかもしれない。どうすることも出来ないことなのかもしれない。今の僕が僕の限界なのかもしれない。でもだからこそ僕は諦めたくなかった。それを否定したかった。
「フッ! やぁぁぁああああああ!!! ……はぁ……はぁ……くそぉ…………」
「いくらやっても流石にその木は倒せないと思うよ? 」
「っ!? だ、誰!? 一体どこ……に……え!? 」
僕は暗闇の森の中誰もいないはずなのに声をかけられた。それも女の子の声。僕はキョロキョロと周りを見回し声の主を探す。すると「ここだよ? 」と言われその方向をみた僕は突然強烈な光に襲われ目を閉じた。
「うっ……一体何が……!? 君は…………」
「初めまして飛影潤くん! 私はアリシア。アリシア・テスタロッサだよ? アリシアって呼んでいいからね? 」
「アリシア……ちゃん? え、えっと……僕に何か用なのかな? というか……どうしてアリシアちゃん透けてるの? 」
「どうしてって言われても、私が幽霊だからとしか説明出来ないかな」
「ゆ、ゆゆゆ幽霊!? ひっ!? 僕幽霊怖い!? 」
「あ! 待って!? 」
僕は彼女が幽霊だと聞いた瞬間逃げた。僕は幽霊とかの類はダメなのだ。
必死に走りふと、後ろを振り返る。すると彼女の姿はなかった。だから僕は安心し前に向き直る。
「どうして逃げるの? 」
「ぎゃぁぁぁあああ!!! 幽霊怖い!? 」
「へ? あはは! 怪人とかと戦うくせに幽霊が怖いなんて変なの! あふふふ」
目の前の彼女はツボにハマったらしくクスクスといつまでも笑っている。そんな彼女を見ていた僕はそのうち彼女に対する恐怖が消えていった。
なんと言うか彼女が幽霊っぽく見えなかったからである。そしてやっと笑い終わった彼女は僕のすぐ目の前へと浮かんで迫って来る。
僕はもう逃げはしないが少しは身構えてしまった。
「大丈夫、何もしないって。私ずっと見てたんだぁ〜。あなたが戦う所。だからそんなあなたにお願いがあるの。お母さんを、妹を助けてくれないかな? 」
「助ける? 」
「うん。お母さんね……ちょっと今選択肢を間違えてるの。私は死んでるのにお母さん……私を諦めてない。私を生き返らそうとしてる。そんな事出来る訳ないのに。しかもその為に妹に酷い仕打ちをして自分まで蔑ろにして……だからあなたにお願いしたいの! お母さんを止めて妹を、フェイトを救って? お願いします!! 」
僕は少し考えたが目の前の彼女が、アリシアちゃんの目を見て本気の願いだと分かった。だからそんな彼女の願いを叶えてあげたいと僕は考えたのだ。
「分かった。もう少し詳しく教えてくれるかなアリシアちゃん? 」
「あはは、ありがとう潤くん!!! 」
◇◆◇◆
「転校して間もないのに何入院してんのよあんたは!!! 」
「い、いやそうだな。すまんバニングス」
私は今佐藤君のお見舞いに来ていた。転校して間もないのにと言うのに彼は大怪我をして入院したと学校で先生から聞いた。そんな佐藤君に理由を聞くとまた怪人絡みだと言う。「いや〜まんまとやられちまったぜ」なんて軽く言うものだから私は少し腹が立った。
「あんたね? そんなに軽く言うんじゃないわよ!!! もし死んだらどうするつもりなの!? もう会えないのよ!? なのに……なのにあんたは……はっ!? ……ち、違うのよ? べ、別にあ、あんた何てどうなったって何とも…………」
「……ぷっ……あっははははは!!! お、お前、何て分かりやすい……ぶふふふ…………」
「な、何よ!? してない!? 心配なんてしてないから!? 」
「分かった、分かった。悪かった、今度から気をつけるよ。それでいいだろ? 」
「わ、分かってないじゃない!? 」
私は今顔が熱い。こいつの前だとどうも調子が狂う。振り回されて感情が制御出来ない。私はこの感情の正体を知らない。分からない。ただこいつが怪我をしたと聞いただけでどうしようもなく胸が痛かった。いても立ってもいられず、こうしてお見舞いに来てしまっている。
「ね、ねぇ〜? なんで……あんたは戦うの? 怖くないの? 」
「ん? いや、まぁ〜勿論怖いぜ? でもさぁ〜、助けたい奴がいるんだよ。大事な親友でさ」
その時の佐藤君の顔は忘れなれない。瞳の奥から感じる確かな覚悟と信念。誰かを助けたいと願う熱い闘志。私はそんな顔に見惚れさらに顔を熱くする。そして自然に口から言葉が出ていたのだ。
「そ、その……その助けたい奴に……わ、私は入ってないの……かしら? 」
「……フフ、何言ってんだ? 入ってるに決まってんだろ? 」
「っ!? そ、そっか……あ、あああありが……と…………」
「おう! 」
◇◆◇◆
「スターライト……ブレイカぁぁぁああああああああ!!! 」
「ぐっ……うぐっ………そん……な…………」
原作通りの展開になったなのはちゃんとフェイトちゃんはジュエルシードをかけた一対一の決闘をし、その勝負はなのはちゃんの勝ちで幕を閉じた。私、姫子はそれを遠くから見守っている。側にはユーノ君とアルフちゃんも一緒だ。
そして不気味にも何事もなく物語は動いている。フェイトちゃんに向け雷が落とされ、なのはちゃんが傷ついたフェイトちゃんを回収してみんなでアースラへと戻る。
けどその後は胸糞悪いフェイトちゃんへの言葉だった。
「フェイト? 私はねぇ〜? 最初からあなたの事が……大嫌いだったのよ!!! 」
「っ!? 」
「あ! フェイトちゃん!? 」
フェイトちゃんはその言葉を聞き、ショックを受けて倒れた。母親からの心無い言葉だ、傷つかない筈がない。そしてプレシア・テスタロッサ……フェイトちゃんのお母さんのいる時の園庭から巨大な重力震が検出された。
これはまさに原作通りの展開だが絶対におかしいと私は思っていた。何故ならあれだけ活動をしていた怪人達が全くと言っていいほど活動を停止しているからだ。これは気の所為なんかじゃない。絶対にこのラスト……タダじゃ終わらない。必ず怪人がどこかで絡んでくるはず、勿論あの仮面の黒幕も。健はあの仮面の男が健の友達だと言っていたがあの水竜を生み出せる辺り、強敵なのは間違いない。
「フェイト、私も行くね? あの子達だけじゃ心配だからさ」
アルフちゃんが寝ているフェイトちゃんを置いてなのはちゃん達の応援に向かった。私はと言えばアルフちゃんがいなくなったのを見計らってフェイトちゃんの部屋へと入る。
なのはちゃん達には怪人の気配があると言って別行動をとった。理由は私がフェイトちゃんと話がしたかったからだ。
「ごめんね? ちょっとお邪魔するわね。でさ〜その〜あれよ〜あれ〜……ダメだわ……いい感じに出てきて言葉が見つからないじゃない!? これメッチャ恥ずかしんですけど!? まぁ〜でも今フェイトちゃん聞いてないわよ……ね!? って超こっち見て笑い堪えてる!? 」
「ご、ごめん……なさい……ぷっ……で、でもおかしくて……ふふふ」
「ちょっと!? さっきまで気落ちしてたのにそんなんで戻るの!? 私馬鹿みたいじゃない!? 」
「そ、そんな事ないよ? お陰で……ぷふ……げ、元気……でたし…………」
「笑い過ぎだから!? ……あ、あれ? このカード……成る程ね。それじゃ私も行ってみようかしら? 」
フェイトちゃんは相変わらず笑っているがその時私の手元にカードが三枚飛び出した。これはなのはちゃんの時と同じ種類のカード。
どうやら私のベルトに刻まれたマークはこの世界のキャラクターのシンボルマークのようだ。
「私はなのはちゃんの所に行く。フェイトちゃんもくる? 」
「え、わ、私は……うん! 行く! 今度はちゃんと伝えたい。あの子にもお母さんにも」
「そ。それじゃ行こっか! 」
【リリカルライド……ヒメコ! 】
「この戦いを終わらせにね? 」
「うん! 」
こうして私達は時の園庭に向かった。
次回もよろしくお願いします。