魔法少女リリカルなのは!?「フェイクヒーロー」 作:ヘルカイザー
遅くなりました……すいません。
決して書くのをやめたわけではなかったのですが……モチベーションの問題で。
ではよろしくお願いします!
潤君がアリシアちゃんを助けると言ってどこかへ行ってから半年、潤君はまだ帰っていない。何をしていたかは分からないがなのはちゃんと姫子ちゃんは帰ってきた。そしてディスク映像だけだがフェイトちゃんという新しいお友達ができ、私達にいつもの日常が帰ってくる。ただ一人潤君を除いて。でも潤君は私に約束してくれたのだ。絶対に帰って来ると。だから私は待つ。潤君が帰って来る日を。
「すずか? 潤はまだ帰って来ないの? 」
「うん……でも、約束……したから」
「そっか」
「うん。あ! そう言えばアリサちゃん? 佐藤君もそろそろ退院だよね? 」
「本当よ! あの馬鹿はやっと戻って来るわ」
「ふふ、アリサちゃん心配してたもんね? 」
「し、心配なんかしてないわ!? 」
「嘘だよ。だってアリサちゃん佐藤君の事気になってるでしょう? 」
「え!? 違う!? そんな事ない!? ない……わ。そうよ……だ、誰があんな奴」
私とアリサちゃんの内緒話はなのはちゃんには聞こえていない。これはアリサちゃんと私との二人だけの秘密だ。姫子ちゃんはそういう話には疎いのか意味が分からないらしい。だから特に気にしない。
「す、すずか? 男の子って……何をしたら喜んでくれるかしら」
「あれ? 違うんじゃなかったの? 」
「そ、それは……い、いいじゃない!? 意地悪しないでよ!? 」
「ふふ、ごめんね。つい」
◇◆◇◆
暗闇に潜む影集団。それは海鳴市外れに集結していた。簡単に言ってしまえば怪人だ。ただし、ついこの間まで潤達が戦っていた怪人とは少し違い、全員まともに言葉が話せるのだ。そしてその中の赤毛の少年が頭を掴まれぶらぶらと身体を揺らしている。
「うっ……くっ……そ…………」
「うっひゃー! おい、このガキなんか言ってるぜぃ? 」
「そろそろ下ろしてやれゴンゲ。最初からそのガキなど信用してない。それに我らが痛手を受けたわけじゃない」
「ちぇ〜分かったよ兄貴」
「あがっ!? うっ…………」
「……なぁ〜正? 我々は何もお前に乱暴したい訳じゃなかったんだが……先に裏切ったのはお前だもんな? 我らの怪人製造……その技術を盗み、好き勝手した挙句おめおめと逃げ帰って来るとは……フフ、まぁ〜ガキのする事だ、仕方ない」
「ケッ! なんでいなんでい、兄貴はそいつに甘過ぎんだよ〜。たまには俺っちの事も可愛がってくれよ」
「フ、まったく。しょうがない奴だ……フラッシュ! 」
「はっ! お呼びでしょうか? 」
影でしか見えないゴツゴツとした鎧の怪人。そのすぐ前に膝をつく頭が電球の怪人。そして怪人は頭をピカピカさせながらボスであろう鎧怪人の話す事を忠実に聞き取る。
「手始めに、正が堕とし損ねた場所を堕とせ」
「はっ! して……その場所とは」
「海鳴市だ! 行け!! 」
「承知! 」
「フハハ、正を破った男。M・HEROか……俺も会ってみたいものだ。フフ、ハハ! フハハハハハハ! 」
◇◆◇◆
「貴方は誰? どうしてこんな事を! 」
私、高町なのははある晩……突然現れた赤い魔導師に襲われた。そして赤い子の帽子に砲撃を被弾させてしまった事で、赤い子の怒りに火をつけてしまった私はその子にボコボコにやられた。さらにはこれで殺されてしまいそうだった。何故なら女の子は倒れた私に向かいデバイスを振りかぶっているからだ。
「これで……っ!? 」
「え? (フェイト……ちゃん? でも……幻覚じゃ)」
「仲間か」
「友達だ」
それは幻覚ではなく本物のフェイトちゃんだった。フェイトちゃんはユーノ君と私を助けに来てくれた。そしてユーノ君に治療されている中フェイトちゃんは赤い子と戦闘を開始する。しかしフェイトちゃんは途中で現れたピンク髪の敵の相手もさせられ、少しヤバイ状況になった。だから私は結界だけ破壊しようとスターライトブレイカーを準備する。でもカウントをしている時、私は誰かに胸を貫かれた。だが不思議と血が出たりはしていない。代わりに光る球体が目に前にある。
「あ……うっ…………」
「スターライト……ぐっ……ブレイカぁぁあああああああ!!! ……え……そん……な…………」
何とか放ったスターライトブレイカーはその放射線上に現れた頭が電球の怪人の頭に吸い込まれ、消滅してしまった。そして……私は意識を失った。
◇◆◇◆
「なのは!? っ!? ぐっ……」
私はピンク髪の魔導師と戦闘をしていた。だがなのはのスターライトブレイカーが消えてなくなりなのはが気絶してしまった事で私はすっかり取り乱してしまった。なのはが死んでしまう。早く助けなければ、そんな感情が私を包む。
「くっ……そこをどけぇぇぇぇえええええ!? がっ!? きゃっ!? 」
ピンク髪の魔導師に叩き落された私は痛みを覚悟した。でもそれはこなかった。私は不思議に思い目を開ける。すると私は抱えられていた……姫子に。
「大丈夫フェイト? 」
「ひ、姫子…………」
「ごめん、来るの遅くなって」
「ううん、助かった」
「そ? それじゃ〜反撃と行きましょうか? 私は怪人をやるわ! 」
「分かった! 」
姫子と相手を分担し戦闘を続行した私達。だがそこで姫子の表情が段々とこわばっていくのが分かる。理由は分からない。しかし苦戦しているのだけは見て取れた。
「あんた……何者? あいつの作った怪人じゃないわよね? 」
「フフ、これはこれは。挨拶もせずに失礼を。我が名はフラッシュ! 大首領、鎧道士様の忠実なる僕」
「鎧道士? はぁ……また新しい敵って訳? 全く、もう現れないんじゃなかったの? 健の奴……ホラ吹いたんじゃないでしょうね? 」
「それよりお嬢さん? 貴方は弱いですね? 」
「は? なんですって? 」
「おやおや? 気に障りましたか? それはすいません……ですが? 貴方は今日死ぬのですよ? 」
「言わせておけば……後悔させてやるわ!! 」
【ファイナリティマジカルライド……ヒヒヒヒメコ!!! 】
「せいっ……やっ!? え……何? 体が……動かない」
「はい、残念でした。さよならです……お嬢さん? フラッシュバック! 」
「っ!? ……う……あ…………」
「姫子!? 姫子!!! 」
カードをベルトに入れ姫子が技を繰り出そうとした瞬間、姫子の動きが止まった。そしてその隙をつくように、姫子に向けて電球の頭から黄色い光を放つ。するとそれに当たった姫子は体から何かを吸い取られたようにその光に青白い何かを奪われた。
「ぐっ!? ……姫子? しっかりして!? 姫……子? っ!? ……あ……うわぁぁ……うぐっ……そんな…………」
変身が解け、下に落下し始める姫子を私は何とかキャッチした。しかし姫子の様子を見た瞬間、私は自然と涙を流す。何故なら姫子は死んでいたからだ。息も心臓も動いてはいない。体も今死んだにしては驚くほど冷たくなっていた。
「くっ……よくも……よくも!! 」
「フフン、威勢がいいのは結構ですが貴方も死ぬのですよ? どうしてか、貴方は邪魔になりそうな気がしますからね? それではフラッシュ……っ!? ……何者ですか? 」
「え……貴方……誰? 」
「行くよ! アリシアちゃん! 」
【いつでもいいよ! 】
「なっ!? 速い!? ぐあっ!? 」
怪人が姫子に放ったのと同じ物を放とうとした時、私達の間に誰かが現れた。白いマントに緑色の体。フルフェイスの仮面。まるでM・HEROさんのような鎧の人だ。そしてその人は怪人を驚くべき速さで蹴り飛ばすとさらに畳み掛ける。
「くっ……何者か知りませんが今日はこのくらいにしておきましょう! また会う日まで……では」
「【待て!! 】」
怪人は突然消えてしまった。いつの間にかピンク髪の魔導師達も消えている。そして助けてくれた人はこちら向き、視線を姫子に向けると少し俯き、どこかへ飛び去ってしまった。一体あれは誰だったのか。でも……敵ではない。そんな気がした。
◇◆◇◆
「うわっ!? てて……もう!? 急に変身解かないでよ潤!?……と言うか私服着てるし 」
「うん……ごめんアリシアちゃん」
「潤? どうしたの? 」
「……姫子ちゃん大丈夫かなって」
「あの赤い髪の子? 」
「うん」
私はいつの間にか緑っぽいワンピースを着ていた。そして潤は元気がない。友達のあんな姿を見て、きっと間に合わなかった自分の所為とでも思っているのだろう。だがそれでは潤が気に病む必要がどこにあるのだろうか。私達は虚数空間から脱出したばかりだ。だからフェイト達が襲われている所を目撃したのもたまたま。だから潤には罪もなければ、どうにかする事だって難しかった筈だ。
「そ、それにしても潤? あのパワーアップした姿凄いよね! まさか虚数空間ごと次元を切り裂けるとは思わなかったよ」
「うん……だけど僕はあの空間がどんな物なのかよく分かってないからどれだけ凄いかは分からないんだけどね」
「そっか……潤は魔法がない世界の人間だもんね。あ! 待ってよ潤!? 」
潤は止めた足を進ませ始める。私はすぐに追いかけるが、しばらくすると再び足が止まる。そしてジッと、潤はある方向を見つめていた。しかしその瞳は限りなく悲しみに染まり、顔からは後悔が見て取れる。私はどうして潤がそんな顔をするのか分からなかった。だから潤の見ている方向に視線を向けてみる。だがそこにあったのは無残にも焼け焦げた敷地。そこには家などと言える物は原型をとどめていない。
「じゅ、潤? こ、ここは……何? 」
「……僕の家……かな」
「え…………」
「行こっか。プレシアさんが心配するよ? 」
「待ってよ!? 」
「何? 」
「こ、ここが潤のお家なら今潤はどこに住んでるの? だっておかしいじゃん! これ最近焼けた後じゃないよ? 」
「ないよ」
「ない? ないってどういう事? 」
「僕の居場所なんてもう何処にもない」
「あ、潤!? 」
潤と出会って初めて知った潤の事情。潤が戦いに身をとうじる理由。全ては分からないが、なんとなく分かった気がした。でもだからと言ってそれに介入などできない。これは潤自身の心の問題だ。ヒーローに憧れ、守れる人全てを守りたいと望む理由……それは潤の闇だ。詳しい事は私は知らないだが聞こうとも思わない。何故ならそれは潤が話してくれるまで待つべき事だからだ。
そして、私達はママを下ろした公園へと戻ってきた。当然、ママは私を抱きしめる。すると潤は静かにこの場から立ち去ろうとした。
「待ってよ!? 」
「…………」
「何処に行くつもりなのかしら? 」
「僕は……戦わなくちゃ」
「約束は? すずかと約束してたじゃん! 破るの? すずかとの約束破るつもりなの!? そんなのダメだよ!! 」
「心配しないで。ちゃんとすずかちゃんには会いに行く。と言うか……そろそろ学校も行かなきゃ行けないし。それに僕は今の所この町を離れるつもりはない。だってこの町は……僕が守らないと ……それじゃ」
「嫌だ!! 」
私は何処かへ行こうとする潤の背中に抱きついた。行かせない。このまま潤を行かせるのは嫌だった。何より、私がこのまま潤とお別れしたくない。私は知ってしまった。そして潤にこれ以上ないくらい助けて貰った。幸せにして貰ったのだ。だから今度は私の番だ。潤が誰にも頼れずに1人で戦うと言うのであれば私も一緒に戦う。潤の支えになりたかった。それが私を助けてくれた潤への恩返しだと思ったからだ。
「潤……私にも手伝わせてよ」
「ダメだよ。危ないし……プレシアさんだって心配するでしょう? 君には心配してくれるお母さんがいるじゃないか」
「それじゃ潤は!! 潤だって危ないじゃん! 」
「そうだね……でも僕には心配してくれる親はもういないから」
「すずかは? 」
「え? 」
「すずかは心配しないの? 私は? 私は潤を心配しないとでも思ってるの? そんなわけないじゃん!!! もう無関係じゃないんだよ? もう知っちゃった! 関わった! 潤は私のファーストキス貰ったでしょ? だから! だか……ら…………」
私は潤に回してる手を弱め、その場に座り込んだ。そして静かに泣き始める。泣いてもどうにもならないかもしれない。潤は誰も巻き込みたくないのかもしれない。けど私は嫌なのだ。もっと潤と関わりたい。そう思うからこそ、自然と涙が溢れてくる。
「潤……あ…………」
「ごめんね……ありがとう、アリシアちゃん」
「潤君……でいいのかしら? 」
「はい」
「こんな事聞いちゃいけないと思うんだけど……両親はどうしたの? 貴方の話だともう亡くなったようだけど」
「僕の親は……怪人に食い殺されました」
「……そう……ごめんなさい。嫌な事聞いたわ……ねぇ潤君? 私も貴方の助けになったらダメかしら? 私が貴方の帰る場所になってあげる。親代わりと言ったらあれだけど……どう? 」
「……やめて……下さい…………」
「じゅ……潤? 」
潤はワナワナと震えだし、両手の拳を強く握る。しかし私もママも潤がどうしてこうまで1人になりたいのか分からず困惑したが、次の瞬間……潤の心の闇。その真とも呼べるべき言葉を聞いてしまい。私達は知った。目の前の男の子がどんなに弱く。そして誰よりも強い事を。
「やめて!? やめてよ!!! そんなのダメだ!? 僕と関わりを深くすれば、みんな死んでしまう。僕は……僕は1人で戦わなきゃいけないんだ!!! 嫌だ……もう嫌だ……もう大切な人達が死んでいく姿なんて、僕は見たくない!!! だから……そんな事……やめて……言わないで……僕を……これ以上弱くしないで…………!? あ……うわぁぁ 」
「そんなの……潤の所為じゃないじゃん……全部怪人が悪いんだよ? 」
「違う……そんな事ない…………」
私は涙を堪えている潤を正面から抱きしめ、潤を慰める。潤は自分の親を殺され、どこか考え方を狂わせてしまっている。自分に関わる人間が襲われた時、それは自分の所為だと思っているのだ。確かに潤の話によれば、潤を追ってその親しい人が襲われる事はあるかもしれない。潤は何よりそれを恐れている。しかしそれは果たして潤の所為なのか。そもそも怪人と戦う潤が何故苦しまなければならない。どうして帰る場所も持てないのか。この町の人はもっと気づくべきだ。潤に守られているという事を。ただ守られてるだけの人間が、潤が目的として狙われたとしても……それで潤の所為にするのはわがままという物だ。何故なら誰よりも命を犠牲にしているのは潤なのだから。
そしてーー
「はい! 皆さん、中途半端な時期ではありますが今日から編入生が私達のクラスに入ります。さぁ、自己紹介」
「ども〜初めまして! アリシア・テスタロッサです! 今日からよろしくお願いします! 」
「あ、アリシアちゃん!? 嘘、どうして……アリシアちゃん……幽霊だった筈なのに!? 」
「アリシア……お姉ちゃん…………」
「フェ、フェイトちゃん……あの子……なんで…………」
「みんな知り合い? 知らないの私だけ? 」
「いや、俺も知らないぞバニングス。と言うか……口にご飯粒ついてるぞ? 」
「なっ!? う、うるさいわね!? 気のせいよ! 忘れなさい! 今すぐ忘れなさい!!! 」
一部金髪の女の子にボコボコ殴られている男の子はいるが、まさかすずかやフェイトと同じクラスだとは私は思わなかった。しかしそれならば今、すずかの喜ぶ顔が見れる。私はそう思い、少しワクワクした。感動の再会シーン。小学生だが恋人同士の甘い抱擁シーンが見れると思うと口元がにやける。生でそれが見れるというのは少し憧れだ。
「はい、皆さん静粛に! それでその……恥ずかしながら私も忘れてたのですが……私達のクラスにお友達が1人戻って来ました。みんな忘れてると困るのでこんな形にしたんだけど……みんな覚えてるかな? それじゃ〜入って来て」
教室のドアが静かに開き。そのお友達が入って来る。だがその誰もが言葉を失った。そう、一部の人間を除き誰一人として潤の事を覚えていない。正直酷いと思った。ここには潤の友達と呼べる人間はいない。唯一すずか達を除いては。
「え…………」
「す、すずか? 」
「あ……ああ……じゅ、潤……君……ひぐっ、潤くぅぅぅぅうううん!!! 」
「え!? うわっあ!? 」
すずかは教卓横に立つ潤の所まで全速力で走ると、その勢いのまま潤を押し倒した。当然、教室はどよめく。普段おしとやかに見えるすずかがこんな大胆な行動をしたのだ、驚かない筈がない。
「……てて……あはは、ただいま……すずかちゃん」
「うん、うん! おかえりなさい……潤君! 」
こうして私の……私達の人生はまた始まる。潤と共に。家族として。
次回もよろしくお願いします!