また、忙しくなり更新が滞ることもあるとあると思いますが、修正と更新を細々と進めていきますので応援よろしくお願いいたします。
では、《vsフェイトスピナー》決着です。
頭上に振り下ろされるハサミを太刀で受け止める。
金属を通して小さくはない衝撃が両方の腕の骨が悲鳴を上げる。
「……ぐッ!!……せああぁぁッ!!」
痛みを堪えて強引に押し返すと共に既に前に出てきたソウとリンクを結ぶ。
「ソウ!!」
「了解!!……行くぞ!」
右手に握られた黒い銃から螺旋に回転する弾丸が勢いよく魔獣の甲殻に突き刺さる。
「フィー!、委員長!あとは頼んだ!」
「……了解……せーの…―」
音もなく一気に近づいた影がすれ違い様に甲殻に鋭い爪痕を刻む。そして、一気に開いた傷口に無数の弾丸を背後から叩き込む。
連続で響く銃声と共に甲殻の破片が宙を舞う。
「ギシャャァァァァァ!!!」
耳障りな声を辺りに響かせる魔獣に止めの一撃となる氷塊が頭上へと形成され……―。
「……終わりです。…《クリスタルフラッド》」
自身の身の丈近くもある氷塊によって一気に沈黙した。
立ち上がろうとするが、思うように足に力が入らずふらりとバランスを崩す。
「……っと、大丈夫か?」
がしりと細い腕に掴まれながらなんとか身体を起こそうとするが上手くいかず地面に腰を下ろす。
「リィンさん、大丈夫ですか?」
「ああ、ちょっと疲れただけで全然…っいたッ!!」
気遣わしげに見る委員長とフィーに返事をする前に先程支えられた腕が頭に下ろされて小さく悲鳴を上げる。
「全然問題ないという奴は立てなくなるほど疲弊しねえよ馬鹿。……今回は運良く防げたから良かったけど、咄嗟に何の考えもなく魔獣の前に出るのは感心しないな」
「……それに関しては悪かった。…けど、あのままじゃ二人が…―」
「こいつらが喰らうのは自業自得だろうが」
先程からと変わりない咎めるような口調ながらもナニカが違うゾクリとするような冷たい声に思わず身をこわばらせる。
「別に俺はこいつらの仲が悪かろうが良かろうがどちらでも構わないし、貴族が平民がどうかなんて論じる気もさらさらない……ただ」
誰かが息を飲む音が聞こえる。口を開こうとするも舌が回らない。ソウの声が凍りついたように静かな場を支配する。
「お前らの独り善がりの被害に他人を巻き込むな。はっきり言って邪魔だ。居てくれない方がありがたい」
淡々と、しかし、冷たい怒りを感じさせるようなソウの言葉に二人が俯く。これまで、二人の仲を取り持とうと四苦八苦してくれた人物はいれど、面と向かって邪魔と告げる人物はいなかった。
しかし、自分達がチームにとってのどんな立場であるか…現実が改めて二人の目の前に突きつけられた。
「……ソウ、言い過ぎだ。……俺は別に気にしていないし、二人も反省している。……それに、俺はこの実習にはユーシスとマキアスの力も必要だと思う」
震えそうになる身体に激を飛ばして…─真っ直ぐにソウの顔を見据える。首筋に刃を突き立てられているような恐怖に呑まれそうになるのを歯を食いしばって耐える。
二人の視線が交錯する。ほんの数秒に過ぎないはずだが、時間そのものが凍りついたかのように無限とも感じられた。
フッと空気が軽くなった。委員長が安心したように息をつくのが聞こえた。
「……そうか、まぁ、リーダーがそう言うなら従うさ」
ソウは、軽く肩を竦めると小さく苦笑した。
その後、一息ついた俺達は、依頼の報告に向かうべくオーロックス砦へと足を進めた。その道中に依頼されていたバスソルトの採取ポイントを見かけたが、全体の体力の消耗を見かねたソウが一人で取りに行くことになった。
「なぁ、本当に一人で大丈夫か?…俺も体力は回復したし全員で…―」
「って気持ちはありかたいが、大丈夫だよ。岩塩の採取は何回かやったことあるし、これぐらいの魔獣なら十分に一人で対応できる。それに、だ」
そこで、チラリと未だに気まずそうな後ろの二人に目をやる。先程からの目に見えて沈んだ様子からソウの言葉は想像以上に堪えたらしい。
「……俺がいない方が気持ちの整理ができるだろうからな」
興味なさげに肩を竦める様子に鑢で撫でられるような痛みが胸を過ぎる。
二人のことについてもそうだが、時々この男が自分達とは全く違う立場であるように感じられる。
確かに実力には歴然とした格差が存在するが、彼はクラスメイトとしても打ち解けたようでいて自分達と一歩線を引いているような……そんな風に感じることがある。
「……わかった、じゃあ可能ならば帰りしないに落ち合おう」
複雑な思いを胸に抱きながら去り行く友人を見送った。
少年たちが二手に別れようとした頃と同じく。
彼等を遠くから見つめるようにひとりの男が切り立った崖に背中を預けて優雅に佇む。
普通であれば登ることすら難しそうな岩の宮殿に白い装束に汚れひとつなく佇む姿は、殺風景な渓谷と不釣り合いではあるが、当の本人は気にする素振りも見せない。
岩盤にもたれ掛かりながら男は顔を押さえながら肩を震わせる。
周囲の魔獣ですら本能的を刺激されるような恐怖に怯えの声を洩らすなかで、愉快そうな笑い声が渓谷の片隅で響く。
「……ハハッ!、成る程、雛鳥たちの群れに妙な気配が残っていると思えば…」
全く不思議な縁―いや、ひょっとすると運命によって最初から仕組まれていたのかも知れない。
「噂には聞いていたが、まさか大いなる翼がこの国に舞い降りるとは……」
組織―としては、
「……実にいい」
彼らがもたらす破壊と創造の『美』を思い描き身体を興奮に震わせながら、男は再び笑みを浮かべた。