閃の続編が出るみたいなので放置しているⅡの周回も進めねば……。
ゴタゴタしているなかで書いたので何時も以上に不備があるかも知れませんが……スミマセン
すっかりとⅦ組の愛用となった円卓に各々の料理が並ぶ。店のメニュー自体が良心的な価格というのもあるが、遠慮しないで頼めと言えば、何だかんだで全員が飲み物やデザートを頼む辺り育ち盛りであると染々と感じる。
「―……と言うわけで是非とも知恵を貸してほしいって話なんだが」
「……その前に質問がある」
「なんだ、ユーシス」
エリオットの生暖かい視線を受けるユーシスが目許をぴくつかせながら手をあげる。心なしか手に持つティーカップがカタカタ震えているような気もする。
「一体!全体!何故に!コイツがここにいる!?」
「なっ!?、君の方こそ何でここにいるんだ!?」
「ふむ、先程説明したはずだと思ったが?」
「ガイウス、これは二人のお約束のようなものだから」
エリオットの言葉を受けて、ガイウスはギリギリと睨みあう
「さて、改めて本題に入ろうか」
すっかりと空になった皿が下げられ、各々の食後の飲み物のみになった机の上で改めてガイウスが話を戻す。
俺達四人に同じように昼食を取りに来ていたマキアスも加えて改めて贈り物について考える。
ちなみに最初はユーシスの存在もあり消極的だったマキアスだが、何だかんだ言いつつも知恵を貸してくれる辺り大分と丸くなった気がする。
「フン、それにしても随分と広く交友があるのだな」
俺が参考までに書いた簡単なプロフィールを眺めながらユーシスが漏らす。
贈り物を送る人物達の年齢や簡単な性格、特徴といった個人を特定できるものを除いた情報を参考までに書いた。もののついでということで折角なので個人的に親交のあった人々のものも一緒に考えてもらうことにした。
「うーん、やっぱり年齢に幅があるだけに物の好みも分かれそうだね」
十人程のプロフィールが記されたリストを取り上げながらエリオットが考え込む。
「まぁ、リーダーについては自転車をジョルジュ先輩に作ってもらおうと思ってるんだけどな」
「自転車?……導力学の講義にあった自転車とは違う物なのか?」
ガイウスが頭に疑問符を浮かべながら首を傾げる。
まぁ、共和国と違って帝国ではマイナーな乗り物だから無理もないだろう。
「コホン、簡単に説明すると導力を使わずに人力で動く二輪車と言ったところだな。価格も導力車と比べてみても手頃なこともあって共和国では国民の足となっている他、スポーツとしても普及しているらしい」
淀みなく説明したマキアスが締めにクイッと眼鏡を持ち上げる。前から薄々と感じていたが、意外にもマキアスは、良くありそうなガリ勉のように教科知識に偏ることはなく、雑学に関する知識も結構豊富だ。
委員長には一歩こそ及ばないが、流石と言ったところか。
「人力で動く二輪車か……、それは一度見てみたいな。それにしても流石だなマキアス」
「ふふん、べ、別に大したことじゃないさ」
「フン、口とは違って鼻の穴が開いてるぞ阿呆」
「ぐっ!、…キミって奴は…」
気を良くしたのもすぐに、謙虚な言葉とは裏腹なドヤ顔を容赦なく指摘されてギリリとユーシスを睨み付ける。まぁ、かっこよく終われない所がまたマキアスらしい…と思っているのは俺だけじゃないだろう。
「…あはは、それでこの女の人はどうするの?結構、お嬢様って感じだけど」
「お嬢様って言えば、お嬢様だけど、むしろひとつだけだけど歳上の姉ってイメージの方が良いかな。何でも高級品にこだわるわけじゃなくて俺が作った食事とかも結構食べてくれたし、一緒にお菓子作りの手伝いをしたときも買い物は近所の小さな店だったし。……ってどうした?」
話しているうちにふと、四人に異変を感じて尋ねる。
いつの間に四人の表情が何とも言えないように変化していた。
「えっと、随分と仲が良いんだね?」
エリオットが四人を代表して尋ねる。
なるほど、大体わかった。
「確かに仲は良かったけど、そんな関係じゃねぇよ。まぁ、仕事の都合上一緒に住んでいたから色々と関わりが…―」
「なっ!と、歳上の女性とひ、ひ、ひとつ屋根の下に住んでいただって!?」
「ええい!、急に騒ぐな阿呆!」
何故か顔を真っ赤にしたマキアスが大声をあげる。
彼の頭のなかには一体どんな光景が広がっているのか問い詰めたい。大体、歳上と言ってもひとつしか違わないし、あのお嬢様は、誰か曰く『弟ブルジョワジー』にホの字である。
「あー、まぁ、お前が何の想像をしたかは置いといてだ、…ここにいるのは俺達だけじゃないことを忘れないようにな」
あまり客は居ないから良かったもののカウンターのフレッドさんのまじまじとした表情を見て、ハッと我に帰った副委員長はとたんに小さくなる。
何とも言えない空気に四人で顔を見合わせる。言葉こそないが互いの視線が全てを語っていた。
俺はひとつ咳払いをして何もなかったかのように口を開いた。
「……進めるぞ、そんで大人のオッサンと一回り上のラ…じゃなくてアニキみたいな奴だな。酒を考えたが学生では難しい」
「うーん、サラ教官なら可能性はあるけど」
「酒臭い部屋で絡まれるというオマケ付きだがな」
同じ屋根の下で休日の担任の醜態を全員が少なからず見ているだけに、部屋にいったときに何が起こるかをしっかりと理解している。
「少し質問だがその二人はコーヒーは好むのか?」
さっきの汚名返上とばかりにマキアスが尋ねる。冷静を装っているがまだ微かに顔が赤い。
「オッサンの方はコーヒーと煙草を愛飲しているな」
「なら、コーヒー豆はどうだ?父さんが少し珍しいのを貰ったと言って送ってくれたのが一パックまだ開けてないのがあった筈だ。僕はもう頂いたから君が贈るといいさ」
「ホントか?サンキュー」
こうして五人で話していくうちに少しずつだが意見がまとまり始めた
近所のガキにはブレードを、少しの間しか触れあう機会の無かった我が職場のアイドル兼娘とジト目の妹的存在にはカゲマルなる黒猫のストラップを送ることにした。
年下の兄弟が多いガイウス、歳の離れた姉のいるエリオット、家柄上贈り物を貰う機会の多いのユーシス、庶民的な感覚と帝都知事の息子としてのプチブル的な感覚から結構良いアドバイザーであったマキアス、四人の協力を得てリストの殆んどが埋まり、気付けば既に夕方近くになっていた。
「ふぅ、大分と埋まったな」
「まったく、良く考えられたものだな」
満足気にリストを眺めるマキアスとユーシスが小さく息をつく。
楽な作業では無かったが、四人ともこんな時間まで残って協力してくれたことに改めて感謝の念を覚える。
「遅くまでありがとうな、本当に助かった」
「はは、どういたしまして。それに僕も姉さんと父さんに何か送りたくなったかな」
「ああ、俺も家族の顔が見るのが楽しみになってきたな」
「…ん?」
ガイウスの言葉に何か違和感を感じて首をかしげる。
同じく違和感を感じたのだろう。ユーシスも俺と同じように首をかしげていたが、やがて、何かを気がついたのかハッと目を見開き、まさか、と呆れるように頭を振る。
「あれ?どうしたのユーシス?」
「……ガイウス、まさかとは思うが、『今月の特別実習で』などとは言わんだろうな」
ユーシスの言葉に三人の動きがピタリと止まる。
まさか、いや、距離を考えたら無いだろう。
でも、これまでの流れを考えたら…。
などと考えながら、ギギギと音が鳴るようにゆっくりとガイウスの方を見る。
「サラ教官には、まだ伝えるなと言われたが…、分かってしまったのなら仕方がないな」
我らがⅦ組の良心は、困ったように小さく笑う。
「今月の特別実習だが片方の班は俺の故郷の
《ノルド高原》に行くことになった。きっと皆にも気に入ってもらえると思う。ただ…―」
―少々、鉄道を乗り継ぐことになるが。
恐らくは、丸一日続くであろう鉄路の旅路と、その先のにある未だ見ぬ 蒼穹の大地への期待。
不安と楽しみと驚きと共に次なる実習先が決まった。