空evoSCが欲しい今日この頃ですが、未だに手付かずなザナドゥと閃Ⅱ二周を進めねば……。
それはそうと閃の続編の主人公は誰になるんでしょうか気になります。
「……ん…」
ぼんやりとした景色のピントが意識の覚醒と共に修正されていく。
冷たく固い感触が徐々に明瞭になってくる。
首だけを上げて周囲を伺う。
「旧校舎……いや、似ているが違う場所か」
石造りの壁面に冷たい独特の空気、立ち上がって見回した風景は意識を失う前の場所と見紛うばかりのものであるが、空間を構成する気配と言うべき雰囲気が明らかに違う。
(あのレムって奴もどっかに消えたし、どうしたもんか)
意識を失う前に 見た青白い少女の気配もまったく感じない。
あの白い門が開いて直ぐに意識を失った為に何時の間に消えたのか定かでは無いが、明らかに人外の存在であった事からも見た目通りに幽霊のように消えたのかもしれない。
(まぁ、そんなことはどうでも良いが、せめてどんな場所に飛ばしたのかくらいは教えて欲しかったっての)
内心で愚痴りながら所持品の確認をする。
幸いにも紛失したものは無く、腰の《ARCUS》と《ラルク》も首から下げている待機状態の《ラジュール》も無事であることに一安心する。
予想はしていたが、通信機能が動くことがなかった《ARCUS》を腰のケースに戻して首の愛剣を顕現させる。
「取りあえず、あの小鬼とかの気配はするからな。…そっちから順に行ってみるか」
ついでに久々にこいつをおもいっきり動かすのも悪くはないだろう。
声に応えるように柄の蒼玉が瞬き光った。
異界からの翼が舞い降りてから暫くした後、また、別の場所に新たな門が開いた。
「……これは?」
「どうしたんだ?柊」
門から出てきた四人の内の橙色の髪の少女の言葉に白いパーカーの少年が反応する。
しかし、少女は少し考えると小さく頭を振った。
「……いえ、何でもないわ。それはそうとしてソラちゃんも四宮君も突然の呼び出しに応じてくれて助かったわ」
「まぁ、ヒマだったし、折角だから例の《異界サーチ》で見つかった門とやらも見てみたかったしね」
「私の方も部活が休みでしたし、全然大丈夫です」
柊と呼ばれた少女の言葉に後の二人、小柄な眼鏡の少年と礼儀正しそうな少女が応える。
四人の少年少女は、この異質な迷宮に臆すること無く、各々が小さな機械を取り出す。
まるで、戦術オーブメントと導力ネットの液晶画面が一体となったようなゼムリア大陸には、未だに存在しない機械。ソレの大部分を占める液晶画面を指で操作する。
《ソウルデバイス起動》
閃光が空間を走る。
目映い光と共に四人各々の手に無機質な色合いの武具が顕現する。
「入る前に話したようにこの門には、まだ《エルダー=グリード》は巣くっていわ。けれども、《Sグリード》等の強敵も少なくないから油断はしないで」
「はい!」
「りょーかい!」
少女の注意に先程の二人の少年少女が続く。
「時坂君も慣れてきたからって油断しないように」
「あぁ、ヘマをするようなマネはしねぇさ」
少女の言葉に小さな細い盾のような武器を右腕に携えながら白いパーカーの少年が改めて気を引き占める。
「それじゃあ行きましょう」
少女の言葉の下、杜宮で密かに発生する《怪異》に挑む少年少女達が動き出した。
「ギギッ、ギッギッ」
「っせいっ!」
呼吸と共に刹那の間に八つの突きを放つ。
八つの大蛇に見紛う青紫の輝きを纏った光の槍が異形のモノ達の群れを飲み込む。
「……ギッ、ギギギッ」
「クソッ、キリがねぇな」
一瞬にして十を越すモノ達の存在を葬ったそばからまた新しい小鬼やドローメ擬きが沸き出してくる。
旧校舎で戦っていた時には効いた筈の銃がまったく手応えが無くなっているのもそうであるが、明らかに手強く、且つ面倒になっている。
「《タイタンズグロシア》」
《ラジュール》を地面に突き立て石廊にチカラを流す。
異形の魔獣達の足下に巨大な《陣》が蒼く輝く。
「ギッ!?」
「潰れろ」
陣から現れた小山程もあろうかと思われる氷塊が一気に十数体の魔獣を突き上げる。
地面から現れた巨人の拳により耳障りな断末魔を残して天井でブチリと嫌な音を最後に消えていった。
「……ふぅ、ようやく親玉のお出ましか」
既に跡も遺さず消え去った群れから新たな気配の方へと目を向ける。
「……」
首の無い悪魔か騎士のような魔獣が何もない虚空から少しずつ姿を現していく。
存在しているのに存在していないような不確かさが少しずつ輪郭を形作っていく。
一体全体この異形達は何者なのか、この謎めいた空間は何処なのか、まったくもってわからないが
「取りあえず、先は長そうだからな。さっさと決着をつけさせてもらう」
愛剣を構え小さく息を吸う。
冷気を纏った空気が迷宮を支配していく。
「参る」
蒼く輝く閃光が一気に空間を駆けた。