即出が多いと同じような物になってしまう。
割りと大変。夏休みに入ったのに課題が多くて書く時間が取れない。
「遅いぞ!」
第二グラウンド到着、開口一番に織斑先生からの怒声。
「現在三分前だが、余裕を持って五分前には着くようにしろ。」
「了解だ。」
返事をしながら、一夏はシャルルを引っ張り、一組整列の一番端へと加わる。
「随分とゆっくりでしたね。何かありまして?」
隣に並んでいたセシリアから声がかかる。
「スーツを着るだけではそこまで時間が掛かりませんから、何かありましたの?」
「何処からかデュノアの情報が行ってな。かなりの人数が情報収集に来た。」
「まぁ、それは災難でしたわね。」
「全くだ。お陰で二分遅れた。」
「あら、でも良いじゃありませんか。大切な義妹さんに抱き着かれてたのですから。」
「ちょっと、今のどういう事よ」
話を聞いていたのか、割り込んできたのは鈴だった。
「あら鈴さん。盗み聞きは良くないですわよ?」
「邪魔よ、私はこのバカに用事があるの。」
「ほう、奇遇だな。私も目の前のバカ二人に用事がある。」
セシリアと鈴が振り向くと、
バシーンと出席簿が火を拭いた。
鈴の頭だけに。
「あらあら、また腕を上げましたわね。織斑先生。」
「私としては、何故当たらないのか疑問なのだがな。 まあいい。 では本日より、格闘及び射撃を含む実戦訓練を開始する。」
「はい!」
合同なので、人数は何時もの倍。
出てくる返事も気合いが入っている。
「これは一夏のせいよ……」
「あら鈴さん。あれ位で、情けないですわよ。」
「うっさい、大体。何であれを避けられるのよ……」
「銃弾位の速度でしたので、楽々でしたわ。」
言い合いへと発展し、そこを織斑先生は見逃さなかった。
「今日は戦闘を実演してもらう。丁度元気で活力も余っている十代女子も居ることだしな。
ーー凰! それから、オルコット!」
「あらあら、ご指名ですわ、行きますわよ?鈴さん。」
「何で私が……」
「あら?鈴さんもしかして、負けるのが怖いので? まあ、天下の代表候補生と言えど負ければ意味がないですからね。」
「そこまで言うのならやってやろうじゃないの!
後悔しても知らないからね!」
「そう慌てるな。対戦相手は……」
キィィィィィン。
空気を切り裂く音が響く。
「あああ!!ど、退いてください!!!」
ものすごい速度で山田先生が降ってきた。
落下地点は一夏がいる。
ふと、おもむろに一夏が構えた。
構えると同時に、ISが展開される。
山田先生が一夏とぶつかる直前、一夏から繰り出された回し蹴りに当たり、地面に突き刺さった。
犬神。
「山田先生は、ああ見えても元代表候補生……なんだがなぁ……」
「織斑先生、説得力に欠けますわ。」
「そうだな、おい織斑。引っこ抜け。」
一夏が言われた通り抜くと、目を回している山田先生が居た。
それを覚醒させ、準備を促す織斑先生。
「さて、小娘ども、さっさと始めるぞ。」
「二対一で?……流石にそれは……」
「あら、勝てないと言いたいのですか?鈴さん。」
「上等よ、勝ってやるんだから!」
いつも通り、煽ったセシリアと流された鈴が定位置に着く。
「では、始め!」
号令と共に、セシリアと鈴が飛翔する。
それを目で確認してから、山田先生も空中へ出た。
「生憎と手加減は出来ませんが……」
「行くわよ!!」
「い、行きます。」
言葉は何時もの山田先生だった。だが、目は鋭く冷静な物へと変化していた。
先制したのは鈴だった。簡単に回避されたが。
「さて、今の間に……丁度良い。デュノア、山田先生が使っているISを解説して見せろ」
「あ、はい。」
空中戦闘を見ながら、シャルルが説明を始める。
「山田先生が使用されているISはデュノア社製『ラファール・リヴァイヴ』です。第二世代最後期開発型でありながら、そのスペックは初期生産された第三世代型にも劣らず、安定した性能と高い汎用性、豊富な
「そんなところで良い、 良いものが見れるぞ。」
説明を途中中断した織斑先生は、戦闘を見るように促す。
回りが注目する中、セシリアと鈴にグレネードが当たり、爆発を起こす。
そして煙の中から鈴の前に出て、BTを手に持ち、振りかぶった状態のセシリアが見えた。
「やっぱり、強いですわね。山田先生。」
「い、いえ。オルコットさんも、強かったですよ。 まさかグレネードを切るとは思いませんでしたけど……」
山田先生の発言により、一斉にセシリアへと視線が移る。
当のセシリアは……
「まあ、AIS特殊弾よりは遅かったので、」
二人が謙遜し続けているのを、見かねた織斑先生が、
「さて、これで代表候補生と教師の実力が理解できただろう。以後、敬意を持って接するように。」
織斑先生が手を叩き、意識を切り替えさせる。
「専用機持ちは……織斑、オルコット、デュノア、ボーデヴィッヒ、凰だな。それでは八人グループになって実習を始める。各グループリーダーは専用機持ちがやること。出席番号順で別れろ。」
織斑先生の言いつけ通り、出席順に並び終わる。
一夏が自分の担当する班を見渡し、徐に口を開く。
「さぁ、全員整列しろ!これからこの打鉄に乗ってもらう。
何をすれば良いかは、単純に歩く、走る程度だ。それが終わったら少し機体を浮かせ、空中に馴れろ。やり方は付属のマニュアルに詳しく書いてある、それを見るように。 では一番……相川!
行け!」
「あ、はい!」
一夏に指示を受け、出席番号一番の相川清香が駆け足で打鉄に近寄り乗り込む。
乗り込んでいる間にも一夏は口を開いた。
「良いか?降りるときは必ず屈んでから降りることだ。じゃなきゃ次の奴が乗れないし、何より面倒だからな。良いか?忘れたやつは一発咬ますからな。」
一同、揃って首を縦に振る。
一夏の試合を観ていれば当然の反応だ。
そこで一人が恐る恐る手を挙げた。
「あの、ISがいきなり変な風に動き出したらどうすれば……」
「ああ、それなら問題ない」
一夏の体が一瞬光り、光が消え『鑢』を展開する一夏の姿があった。
「俺が無理矢理鎮あ……制あ……確実に止めてやるから心配するな。」
途端に全員の顔が引き吊ったように見える。
「俺は今まで手取り足取り、何て風に教わった事がない。今まで全て、実戦形式の
だが経験談から言わせてもらうと、多少痛みを伴った方が上達が早い。痛みを感じれば、技術が叩き込まれていると言うことだ。だから最初に言っておくぞ、少しは痛いだろうが我慢しろ。そうすりゃ感じるはずさ、『自分は今、上達している』ってな」
『……』
「えっと……」
「あれだよね?何処かのゲームで例えるなら……死んで覚えろとか?」
「ねぇ、今になって後悔したんだけど……止めちゃダメかな?」
「「ダメ!」」
等と言う会話が小声で行われていた。
一夏には筒抜けだったが。
「取り合えず始めるぞ。時間は有限だ。今日中に終わらせたい事が山程あるからな。
取り合えず……」
そう言って、グループを見渡す一夏。
ゴクリ と一同が唾を飲み込む。
「覚悟はしておけよ?」
このときの一夏の顔が真顔だったので数人ほど恐怖感を抱いた生徒が居るとか居ないとか。
だが、そんな彼女達の覚悟とは裏腹に、思いの外順調に進み、全員が浮遊時の移動が終わる所であった。
「こんなものか、思いの外早く終わったな。この分なら勝手に上手くなるか……」
その言葉を聞き、彼女達は歓喜に身を奮わせ、そして一瞬で砕かれた。
「よし、このまま接近武装を使って訓練と行くか……」
「えっ!?」
思わず絶句する彼女達を尻目に、織斑先生にインカムを繋げる一夏。
『どうした、織斑。』
「先生、こっちは粗方通しが終わった。全員妥協点だが、このまま接近訓練でもやろうかと思ってな。」
『良いだろう、但しもう一度確認しておけ。それと使うなら接近装備のみだ。遠距離装備は流石に許容できん。
何かあってからでは遅いからな。
何より面倒だ。
それと、安全第一だ。 良いな?』
「了解」
『結構。精々しごいてやれ。』
「Yes Ma'am 」
通信を終えた一夏の口元が吊り上がっているのを見て、まるで悪魔が微笑んでいるよう。
「もう一度、軽く流してみるぞ。」
『は、はい……』
そして再び一番の相川から乗り込み、一連の動作練習を行っていく。
一人終わっていく度に、緊張が走る。
そして最後の一人が終わり、一夏が口を開く。
「これが今日最後の訓練だ。その前に接近武装を持ってくる。その間休憩だ。」
と、一夏が接近装備を取りに離れた。
すると彼女達は一ヶ所に集まり。
「えっと、この最だから覚悟を決めようよ。
というか、これはチャンスだと思うんだけど……」
「どう言うこと?」
「織斑君って武器を使わないけど、技術が高いじゃない。そんな彼に教えて貰えるんだから……」
「こうなったらヤケよ!」
悲壮感を漂わせ、覚悟を決める彼女達。
そこに、装備を手にした一夏が帰ってくる。
「取り合えずこれを使う。どれか好きな方を、それこそ自分に合うと思ったやつを選べ。」
突き立てたのは二本の剣。
日本刀を模した接近ブレードと、西洋剣を模した接近ブレード。
「やることは簡単だ。俺が今から斬りかかるから、ただひたすら防いでくれればいい。何がダメかは言ってやるから、その通りに防げば問題は無い。
さて、一人目。相川。」
一夏に促され、打鉄に乗り日本刀型ブレードを手にし、構える。
「もう少し力を抜け。あまり力を入れすぎると、得物が手から吹き飛んで一瞬であの世行きだ。もう少し脱力しろ。自然体で構えるのが一番だからな。」
冷静に指摘をし、一夏もISを展開し構える。
初歩的な構え『鈴蘭』だ。
「始めるぞ。気を抜くなよ?」
その言葉を合図に一夏が一瞬で距離を詰め、近接訓練が始まる。
「もう少し脇を締めろ!死にたいのか!」
「打たれる度に後ろに下がるな!やられたいのか!」
「遅すぎる!これが殺し合いなら、もう死んでいるぞ!」
「怖いのは分かる。だが逃げるな!」
「隙を見つけたら何があっても斬りに来い!
そして相手の気迫に呑まれるな!そうなればあとは負けるだけだ!」
拡声器など使わずに、一夏の怒声がアリーナに響き渡った。
真剣に己の技術向上の為、果敢に立ち向かう彼女達とその意思を汲み取り、敢えて潰さんとばかりに攻める一夏。
それと同時に一夏とは別の怒声も響いた。
「そんな攻撃、戦場では意味無いですわ!もう少し気合いを入れなさい!」
セシリアがリーダーを勤めるグループも一夏と同じような事をやっていた。
例えが違うが。
一夏の場合は殺し合い。
セシリアの場合は戦場。
そんな様子を無言で見つめる三人。
鈴、シャルル、ラウラ。
このアリーナで最も苛烈な訓練を行う二人を真剣な眼差しで見て、改めて自分の担当する生徒に向き直り更に上を目指すため、次なる指示を下す。
自然とアリーナの士気が高まって行くのを教師二人は、互いに顔を見合せ小さく笑みを浮かべた。
因みに、余談だが。
訓練が一通り終わった一夏とセシリアが不完全燃焼だったため、一戦交えようとした所で織斑先生が止めに入るという場面が有ったり無かったり。
追加の設定を
一つ目。型。
セシリアや箒に当てはまる物。
セシリア、回避特化。
箒、カウンター特化。
今のところ、決まっているのはこの二人。
二つ目、ラウラの事(追加)
普段は一夏や千冬、クラリッサに教わった知識等を元に行動するが、分からないときは一夏に頼りきりになる。
一夏が居ないときは泣きながら千冬に頼ることもしばしば。
ただ、滅多なことでは分からないことや出来ないこと、失敗等は起きない。
と思われる。