戦闘描写むずい…。
かゆ…うま…。
「そう、針に気を通して、針の中で圧縮するんだ…」
「むっ………がっ!?」
徹は華陀の助言を聞き、そのとおりにするが針が壊れてしまった。
「…すまん。これで十本目だ」
「いや、謝らなくていい。さっきもいった通り、これは壊して当然の訓練だからな。俺もこの訓練で壊した針は数知れない」
天水の町、宿屋の一室で徹と華陀はゴッドベイドーの訓練をしていた。
華陀の近くには箱が二つあり、一つには大量の針が入っており、もう一つには壊れた針が入っていた。
「気の圧縮は扱いが難しい。圧縮が甘ければ病魔を滅することはできないし、圧縮し過ぎれば針が耐えれず壊れる。気長にやっていこう」
「あぁ。よろしく頼む」
その後、修行は日が暮れるまで続いた。
「それで?修行の経過はどうじゃ?ダーリン?」
「元から気が意識的に扱えるせいか、習得が早い。このまま進むなら3日後には基礎は終わりそうだ」
「あら、ずいぶん早いのねぇん」
「ゴッドベイドーの修行での一番の難関、『気を意識的に扱う』が出来ているからな。このペースは納得できる。次の難関が『病魔の見極め』だ。これは病魔に侵されている人を多く見なければ分からないからな…」
その日の夜、華陀と卑弥呼、貂蝉の三人は宿屋の部屋で話し合いをしていた。
徹は修行の疲れかもうひとつの部屋で寝ていた。
「それでこの後はどうする予定なんだ?俺は治療の道具を揃えたいのだが」
「儂らは町を見回る予定じゃ」
「たしか、徹ちゃんは領主に用があるって言ってたわねぇん?」
「領主?たしかここの領主は董卓だったか?」
「えぇ、そうよぉん」
「にしても、あやつ領主に用とは…?貂蝉、なにか聞いておるか?」
「聞こうと思ったけど、上手く話を逸らされてねぇん」
「むぅ…聞かれたくない内容なのか?」
「「「聞かれたくない程の領主への用事…嫌な予感しかしない(のぉ、わねぇ)」」」
「明日の朝、徹にどんな用か聞いてみるよ」
「よろしくねぇ、華陀ちゃん」
「ふむ、そろそろ寝るか。明日も忙しそうじゃしのぉ」
翌朝
起きた華陀は徹から話を聞くため、徹が寝ている隣の寝台に目を向けた。
「……」
しかし、そこにあるのは
「……」
誰も寝ていない寝台だった。
「………」
「逃げたな、あいつ……!!」
「ふわぁぁぁぁぁ…。流石に日の出と共に起きると、眠気が覚めんな。眠い」
その頃、徹は領主の館にいた。
え?どうやって領主の館に入ったかって?
不法侵入一択だろjk。
「ふむ…。こうやって物陰に隠れていると…段ボールを被りたくなるのはなぜなのか…」
鋼鉄の歯車の主人公の影響ですね、わかります。
物陰に隠れている徹は、廊下を歩く人達を観察している。
(武官、文官、武官、侍女、武官、犬、犬、犬、犬…)
廊下を歩く人は、胸を布で巻いている女性や銀髪の露出の多い女性、赤い髪をした犬を引き連れた女性など、どこかで見たような人物が歩いていた。
その場で待つこと、少し…
(…来た!あの儚げな雰囲気の女の子、たしかあれが董卓!)
隣の緑の髪の女の子と楽しく会話しながら、廊下を歩いてくる儚げな女の子…。
天水の領主、董卓だった。
(原作とは変わらないようだな。容姿は原作より幼い気がするが…、原作でも幼かったから分かりにくい)
(さて、目標が来たことだ。尾行を開始する)
大広間では領主の董卓、軍師の賈駆、武官の呂布とお付きの軍師の陳宮、張遼と華雄が揃っていた。
「へぅ、それでは会議を始めます」
「それじゃあ霞、報告をお願い」
「あいよ。昨日の華雄と行った賊討伐やけど、問題なく終わったでぇ。死傷者もおらんし、負傷者も少ないから、また賊が出てきてもすぐに出撃できるで」
「ふむ、それは何よりね。では、次は恋ね」
「ん…。賊は…全部倒した」
「恋殿のお言葉に付け加えると、こちらも死傷者もなく、負傷者は軽微。こちらも次の討伐が来ても、すぐ出れますぞ!」
「えぇ、分かったわ。にしても、最近はよく賊が出るわね」
「そりゃあ、他の役人どもが馬鹿みたいに税を上げてるからなぁ。生活できんから賊になるのも仕方ないやろ」
「ん…ご飯…食べれないのは…とっても辛い」
「あぁ。だが、正直むかつくぞ。月様の治めるここら一帯は、月様のおかげで豊かだ。だがその豊かさを狙い、他の領地の賊がこちらに流れてくるのは気に食わん」
「まったくですぞ!そのせいで、恋殿と街で過ごす時間か減ってしまっております!」
大広間では報告会のようなものが行われ、賊に対する不満が爆発していた。
そして、徹は…
(黄巾の乱前触れだな。この感じだと黄巾の乱が発生するまで時間の猶予はあまり無さそうだな。)
大広間の窓の近くにいた。
(扉の前には兵士がいるし、天井裏だと逃走経路がない。ここならすぐに逃げれるし、盗聴もできる。忍び込んだ時に探しといてよかった…。さて、続きは?)
徹はもう一度、窓から大広間を覗き込むが、違和感を覚えた。
(ん?人が減って…!?)
徹は急いでその場から飛び退く。
ザシュ!
直後に、二つの線が大地に刻まれる。
「盗み聞きはあかんやろ。そうは思わんかい?黒い外套の侵入者?」
「ん…。侵入者…殺す」
「ちょいまち、恋。こいつには聞きたいことがあるんや。殺したらあかん」
「なら…半殺し…ならいい?」
「ん~、そこらが妥当やろ」
(呂布と張遼!?いつの間に!)
「いつから気づいてた?」
「んぁ?いや~、うちは気付けんかったよ?けど、そこの恋がな?」
「なにか…違和感を感じた」
「そうそう。そう言って飛び出して、追いかけたらあんたがおったわけや」
「勘だけで当てたのか!?」
「せやで。あんたの気配を隠すのが下手やったわけやない。実際、恋以外は気づかんかったわけやしな?」
正確には呂布は気づいてはいない。
ただ、嫌な感じがしたから動いた。
ただそれだけである。
(流石は…三国志最強の武将というべきか)
「ふむ。では、その気配を隠す技に感心して逃がす気は?」
「ははっ!あんた、おもしろいこと言うなぁ。答えはもちろん…」
「…だめ」
「デスヨネー」
その言葉と共に三者は戦闘体勢に入る。
徹は天照を正面に構え、呂布は方天戟を肩に担ぎ、張遼は飛龍偃月刀を持った手を自分の後ろまで引き、横に構える。
そこへ、董卓、賈駆、華雄、陳宮がやってくる。
「へぅ!?何事ですか!」
「ちょ!?霞!?これどういう状況よ!」
「見りゃ分かるやろ!侵入者や!」
「待て、霞!私も…!」
「華雄!おんどれは月達を守らんかい!」
「恋殿~!そんなやつ、けちょんけちょんにやっつけてしまえなのです~!」
「ん…頑張る」
(ん?これ逃げれるっぽい?)
呂布と張遼の気が逸れてる内に、反転して逃げようとするが…
「…逃げるの…だめ」
「逃げれると思うとるんかい?」
「っ!流石は最強と名高い呂布殿と神速と謳われる張遼殿ですな」
「ははっ!そんな褒めんなや。んじゃ、そろそろ」
「ん…往く!」
その言葉と共に、徹へ突っ込む呂布。
接近すると同時に、方天戟を降り下ろす。
「速いが…」スゥ…
ドゴォン!
横に一歩分動いた徹には当たらず、地面に亀裂を刻む。
「直線的すぎる!」ドゴォ!
「ぐっ!」
一撃で終わると思ったのか、体勢が崩れている呂布の腹に前蹴り。
まともに食らった呂布は吹き飛ぶ。
「隙ありぃ!」ブゥン!
「隙ではないし、たとえ隙でも叫んでは意味がないぞ?」ガギィン!
後ろから張遼が攻撃してくるが、徹は難なく防ぐ。
「…」スッ
グラッ
「んなっ!」
鍔迫り合いになっていたが、徹が刀を斜めにしたので、力を入れていた張遼は前に体が傾く。
「吹き飛べ!」バキッ!
「ぐはっ!」
そして、そのまま隙だらけの背中を蹴り飛ばし、呂布の方へ飛ばす。
「霞!」
「ぐへっ!つつぅ、すまんなぁ、恋。助かったわ」
「助かったのはいいが、隙だらけだぞ?」
「「!?!?」」
吹き飛ぶ張遼を受け止めた呂布だが、その前には距離を詰めた徹がいた。
「疾っ!」
「ん!?くっ!」
「ちょ!?速すぎやろ!?」
徹の攻撃が二人に迫る。
降り下ろし、回し蹴り、突き、横へ一閃…。
あまりの速い攻撃に、呂布と張遼は防戦一方だった。
「へぅ…。全然見えません…」
「嘘でしょ!あの二人が押されてるの!?」
「むぅ…。なんと鋭く速い攻撃。しかも、一つ一つの動作の繋がりが滑らかだ」
「う、嘘なのです…。あの恋殿が手も足も出ないなんて…」
「華雄!あんた、あの二人を援護できない!?」
「…無理だな。今、私が入っても戦況は変わらん」
「へぅ…。華雄さん。どうしてですか?」
「それはですな、月様。あの者の攻撃が速すぎるからです。正直、あの者の攻撃は私でも捉えきれません。あの二人が今防げているのは、呂布は天性の勘。張遼は速さを誇るだけあって、速さには慣れているからなのです」
「つまり、今華雄が入ったとしても…」
「悔しいですが…一蹴されるでしょうな」
ガギィン!ガガッ!ドゴォン!
「こりゃ、堪らん!恋!一旦離れるで!」
「ん!」
呂布と張遼はあまりの攻撃に飛び退き、距離をとる。
ここで思い出してほしい。
呂布たちは徹を捕まえることが目的だ。
そのために倒すことは絶対条件だ。
では、徹の目的は?
「ふむ。距離をとってくれるのか?なら…
逃げさせてもらおう」
「しまった!」
「くっ!」
この場から逃げることが目的だ。
距離をとられた徹は、反転して逃げる。
不意を突かれた呂布と張遼は初動が遅れる。
その一瞬の差が決定的だった。
「待たんかーいぃ!!」
「逃がさない…!」
必死に追いかける二人だったが…
「ふっ!」タン!
「んな!嘘やろ!」
「…びっくり」
徹は二メートル以上ある塀を蹴り、飛び越えた。
徹の信じられない動きに唖然とする二人。
結局、顔がばれてない徹が捕まることはなかった。
董卓の館から逃げた徹は、黒い外套を脱ぎ町中を歩いていた。
「ふぅ…。流石は呂布と張遼。原作より前であの強さか。ははっ。あんな奴等がこの先ごろごろいる…。本当に…修羅の道と言うに相応しいな。俺のこれからは」
「あっ! 徹!やっと見つけた!」
「ん?華陀か?どうした?」
「どうした?じゃない!お前大丈夫だったのか!?領主が襲われたらしいじゃないか!」
「あぁ。その話か。いや、俺はその場にいなかったからな。犯人も見ていない」
表情一つ変えずに、さらっと嘘を吐く。
「そ、そうかぁ…。ならいいんだ。あっ、必要なものは買ったから、もう天水を出るぞ」
「そうか、次はどこへ向かうんだ?」
「あぁ…
益州だ」