100万Gの男が鎮守府に着任しました。これより艦隊の指揮を執り、借金の返済をします。 作:Z/Xプレイヤー26
100万Gの男、艦娘とふれあう。
ドッキリを切り抜けたクロウ、とりあえず自己紹介をしようと、艦娘達を広場に集めた。
「えっとだな…」
広場に集まった艦娘達は、クロウをまじまじと見つめる。
「えっとだな…あれだ…今日からこの鎮守府の指揮を執る事になった、クロウ・ブルーストだ…宜しく頼むぜ」
クロウが敬礼をすると、艦娘達も敬礼をした。
「あ、あと1つ頼みがある、俺の事は提督とか、司令官とか呼ばずに、『クロウ』って呼んでくれ。司令官とか、提督とかそんな人に慕われる程、立派な人間じゃねぇから、そこんところ宜しくな」
クロウの言葉に艦娘達がざわつく。そんな中、ドッキリに参加した一人である加賀が発言をした。
「それでは軍としての示しがつきません、貴方は私達の命を預かる人間ですよ?」
「それはそうかも知れないけどよ…こればかりはな?」
どうしても譲らないと言いたげなクロウを見て、加賀は溜め息を吐いてクロウに提案した。
「どうしてもと仰るなら、名前で呼びたい艦娘は、名前で呼ぶ…と言う事でお願いします。私達艦娘の中には、好きで提督と呼ぶ娘もいますから…」
「……そう言う事ならOKだ、俺の我が儘で誰かの気持ちを蔑ろにするつもりはねぇ。じゃあ、そう言う事で…解散!!」
クロウは自己紹介を終えて、提督室へ向かった。
「しっかし…本当に女だらけだな、五飛が見たらキレそうだぜ…」
鎮守府内の廊下をクロウはボヤきながら歩いていた。すると正面から一人の艦娘が歩いてくる。
「………貴方がここの新しい提督ね?確か…クロウさんですっけ?私は扶桑と申します…あ、私は貴方を名前の方で呼ばせて頂きますね?」
クロウに対して、丁寧な言葉づかいで話す扶桑…クロウは扶桑を見て、『何か』を直感した。
「……あんた…いや、扶桑…俺に近い何かを感じるんだが…何だろうな…?」
「え?いきなり口説いているんですか?クロウさんは女たらしなのかしら?」
クロウの言葉を誤解した扶桑がクロウから半歩距離を取る。
「あ、いや、別に口説いている訳じゃねぇ…そうだな…扶桑、あんた運は良い方か?」
「……………クロウさん…それは『私達』には聞かないで下さいね?貴方が異世界から来た…と言う話は聞いています。信じてはいませんけどね?…私達艦娘の事は最近になって知ったのは事実の様ですね…」
扶桑の明らかな暗い雰囲気に、自分に非を感じたクロウは扶桑に頭を下げる。
「すまない…何か不味い事を聞いちまったな…」
「いえ、気にしないで下さい…すぐに謝れる人には好感が持てますよ?妹の山城共々…宜しくお願いしますね?」
「ん?妹?」
クロウは扶桑の言葉を聞いて、扶桑を見た。その視線で理解したのか、扶桑は自分の後ろの曲がり角に隠れている山城に声をかけた。
「山城?見てないで貴女もクロウさんにご挨拶なさい」
扶桑が声をかけると、扶桑に良く似たショートヘアーの女性が現れる。
「………山城です…扶桑お姉様は渡しません…手を出したら…深海に沈めますので、そのつもりで」
「もう…山城ったら…」
「いきなり怖いな…まあ、姉妹の仲が良いのは良いことだ、宜しくな」
クロウは山城からも『何か』を直感したが、何も言わない事にした。
「ではクロウさん、失礼しますね…」
「ああ、またな」
クロウと、扶桑姉妹が別れる…離れる際に、クロウを山城が睨むがクロウはスルーした。そんな事がありながらも、クロウは提督室に到着した。
「提督室ねぇ…やべぇ…似合わねぇ…」
クロウが提督室に入っての第一声がそれであった。
「こんなふかふかした椅子より、キャスター付きの事務用の椅子の方が落ち着くぜ…」
クロウが椅子に座るが、違和感を拭えないのか、顔をしかめる…
「いきなりであれだが…模様替えでもするか…別に自由にしても良いらしいしな…」
こうしてクロウは提督室の模様替えを始めた。
数十分後…加賀が提督室にやって来て、その変わりように驚く。
「な、何ですか…この提督室は…」
「模様替えしたんだよ…あんな高級な机や、椅子は要らねぇだろ…」
「必要最低限の物しかないじゃないですか!!提督ともあろう人が…こんな簡素な部屋だなんて…」
加賀が震える。
「いやいや…機能美を追及したら、こうなったんだ…」
「………前の提督は腑抜けだったので、貴方の動きを初めて見た時に温室育ちの人間では無いと思い、期待したのですが…正直、ここまで予想外の人とは…」
「そんなに予想外か?戦場に出れば贅沢も何も無いだろ?戦場出身の奴を提督にしたら、こんな物じゃねぇか?」
あっけらかんと答えるクロウを見て、不思議と笑みが零れていた加賀だった。
「予想外…ではなく、能天気なんですかね…?」
「おいおい…そこは前向きか、プラス思考と言ってくれ…苦境に立たされても、ジョークを忘れないのが俺の信条だぜ?」
「そうですか…改めてですが、宜しくお願いします…『クロウ』提督」
クロウに向かって、敬礼をする加賀…
「ああ、宜しく頼むぜ、加賀さん」
「……呼び捨てではないの?」
「ん?…そうだな、何でか『さん』付けしないとしっくり来ない気がしてな…」
「そう…」
何故か残念そうにする加賀だったが、クロウは残念な事に、その事に気付いていなかった。
「そう言えばよ…ここの前の提督はどんな奴だったんだ?さっきは腑抜けとか言ってたが…」
「……………名門の家柄をひけらかすだけの無能よ…だから貴方には期待してるのよ?恐らくこの鎮守府の艦娘全員が…」
「それは正に恐悦至極だな…前の駄目提督みたいにならないようにしないとな…」
クロウが気を引き締めると、加賀が書類をクロウに渡す。
「それじゃあ、早速だけれど…前の提督との引き継ぎの書類だから、目を通してサインして」
「OKだ、なになに…前の提督の名前は…『カルロス』……ん?」
「変わった名前でしょう?……貴方のクロウって名前も変わった名前だけれど…」
クロウは『カルロス』の名前を見て、固まる…
「スットコドッコイだとおおおぉぉぉぉっ!?」
「ッ!?いきなり大声を出さないで…!!」
加賀がクロウの大声を聞いて驚き、注意をするが、クロウは聞いていない様子だった。
「………加賀さん…前の提督の写真ってあるか?」
「?有るけれど…まさか知り合い?」
「分からねぇ…知り合いの可能性はあるが…」
クロウの言葉を聞いて、加賀は写真を渡した。そしてクロウは写真を見て…
「……前の提督は歳は幾つだったんだ?」
「51よ?」
「成る程な…悪い、人違いだ…」
「そう…残念ね…まあ、異世界から来たって言うのが本当なら、知り合いは居ないものね?」
加賀が渡した写真はカルロスに良く似た男だったが、どう見ても、歳を取っており、クロウは平行世界の同一人物と結論を出した。
(まあ、本物のスットコドッコイだったら、無能なんて言われねぇか…認めたくねぇが、手腕はある奴だからな…)
「それにしても、俺が異世界から来たって皆が知ってるんだな…」
「ええ、駆逐艦の娘達は話を聞きたがってたし、そろそろ来るんじゃ無いかしら?」
そう加賀が言った途端に、扉が勢い良く開いた。
「クロウちゃん!!暁達に、前に居た世界の話を聞かせて!!」
「なのです!!」
「ハラショー」
「大人しく話なさい!!」
四人の駆逐艦が提督室に元気良く入る。
「……貴女達…ノックをちゃんとしてから入りなさい…」
加賀が駆逐艦達を注意する。
「「ごめんなさい…」」
四人が素直に謝ると、加賀は優しく微笑んだ。
「分かったなら、それで良いわ。それで、クロウ提督に話が聞きたいんでしょう?私はもう部屋に戻るので、クロウ提督の手が空いたら、聞くと良いわ。構わないわよね?」
話を進めながら、加賀がクロウに了解を得ようとする。
「そうだな…話くらいなら別に構わねぇ…少し待ってな」
クロウは手早く書類に目を通して、サインをした。
「さてと…何から話したものか…」
「そろそろ時間なので、私は失礼しますね…」
「ああ、加賀さんありがとうな…」
クロウが加賀に礼を言う。そしてクロウが何から話すか、考えていると、響がクロウに質問する。
「クロウは前に居た世界では、交際していた女性は居なかったのかい?」
いきなり響の核心を突いた質問に、部屋を出ていこうとしていた加賀の足が止まる。
「おいおい、ませた奴だな…質問の答えはNOだ…俺は女嫌いなんだよ、だから誰かと付き合うって事は無いな」
「そんなので艦娘の指揮が執れるの!?」
クロウの発言に、雷が反応する。
「俺を甘く見るなよ?仕事となれば話は別だぜ?プロは公私混同はしねぇよ…報酬を貰っている以上は、それに恥じない仕事をするぜ!!」
「おぉ!!なんだか格好良いのです!!」
「クロウの心意気は実にハラショーだね…」
クロウの信念に駆逐艦達は感心していた。そんな中、話をこっそり聞いていた加賀も、感心していた。
(女嫌い…という弊害は有るけれど…人としては、今まで会ってきた人間としては一番マトモね…クロウ提督になら、この鎮守府を任せられそうね)
そんなことを考えながら、加賀は提督室を後にした。
クロウさんの性格が大好きです(笑)