魔動少女ラジカルかがり   作:Leni

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第二話Aパート

 田舎の教育生だったはずの、私、かがりに訪れた突然の事態。

 

 渡されたのは、ミッドチルダへの片道切符。

 

 手にしたのは魔動機械の開発キット。

 

 自治区上層部が導くスパルタ方針が、今、光を放って動き出していく。

 

 つながる想いと、始まる物語。

 

 それは、開発と通学が並行する日々のスタート。

 

 魔動少女ラジカルかがり、逃げていいですか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

魔動少女ラジカルかがり SHOOTING

原作世界:魔法少女リリカルなのはアニメシリーズ

原作設定:日本製シューティングゲーム各種

原作設定:二次創作ネット小説

ジャンル:最強ハーレムオリキャラを眺める傍観者系ゲテモノ主人公メタフィクション物

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 魔法学校への編入初日。目の前には人、人、人。転校生紹介との名目で一クラス分丸ごとの衆人環視にいきなり晒されている。

 

 教室の中に人を押し込めて画一的な教育を受けさせるというのは、教育局の局員さんとマンツーマンの機械学習を受けていた私にとっては新鮮な環境だ。

 

 私が今まで受けていたのはエリート教育だそうだから、自治区の他の子達は違ったんだろうか。

 同年代の子と友達になる前にここに島流しにあってしまったのでそのあたりは解らない。

 

 

「では、自己紹介をお願いしますね」

 

 

 担任となる女性教師が促してくる。

 

 ああ、この状況は局員さんたちに見せてもらった少女漫画とかいうので見たことがある気がする。

 

 私は五歳で周りはその倍近い年齢なので漫画のようなラブコメ展開はありえないが。

 

 同級生となる目の前の生徒さん達は魔法学校の四年生。飛び級が認められていても私ほどの年頃の人はさすがにいない。

 

 

 とりあえず考えておいた自己紹介をしておこう。一ヶ月の発声練習でかつぜつの悪さも克服済みだ。

 

 

「第6管理世界の隔離自治区からきました第二種監視指定共通人類種のカガリ・ダライアスです」

 

 

 身の上は隠さない。出身所属氏名を全て言うこの名乗りは他の状況でも使えるだろう。

 

 

「自治区から離れるのはこれが初めてなので、解らないことも多いかと思います」

 

 

 世間知らずであることも正直にアピールしておく。

 

 後からばれて評価を下げられるよりも、低い評価からはじめたほうが後々の面倒も少ないとは教育局の局員さんの弁だ。

 

 

 ちなみにダライアスとは滅んだ本星の名前でファミリーネームではなく部族名なのだが、まあそこまで説明は必要ないだろう。

 

 

「見てのとおりの若輩者ですがよろしくお願いします」

 

 

 ぺこりとお辞儀。幼いことをアピールするのは悪いことではないだろう。

 

 これも教育局曰く、甘やかされればいろいろ楽ができるだろうとか。

 

 

「あらあらかわいい」

 

 

 ……先生に一般生徒として見られないという弊害がありそうですが。

 

 友達を作ってこいと言われたものの、自治区にいた頃と変わらず年上の人たちにマスコット扱いされる予感がひしひしと。

 

 就業年齢の低さに定評のあるミッドチルダは嘘だったのか。

 

 

「それじゃあ三列目のあの窓際の席に座ってね」

 

 

 教室を改めて見直す。二人座れる情報端末内臓の机が一列に三つ。それが五列。三十名収容可能な教室のようだ。

 

 教室は階段状になっているので、一番後ろに座っても見えないということはないだろう。

 

 

 クラスの人数は……私を除いて十七人か。後ろの窓際の机には銀髪の男の人が一人座っている。

 

 教卓を降りてその席まで向かう。教室の階段は身体の小さな私でも難なく登れる高さだ。復興局は大人用の構造なので歩きにくかった。

 

 クラス中の視線を感じる中、席に到着。踏み台付きの高い椅子に登り、隣の銀髪の人へ一会釈。

 

 

「よろしくお願いします」

 

 

「ヤマト・ハーヴェイっていうんだ。よろしくね」

 

 

 柔らかな笑みを返してくれる。無害そうな優しい瞳。

 

 ……さらさらの輝くような銀髪に蒼と翠のオッドアイの瞳。顔は映像配信に登場する子役のように中性的で整った顔をしている。

 

 服装こそこの学校の男子制服だが、なんとも特徴的で目立つ見た目をしている。

 

 

「あ、そこのレバーで椅子の高さ変えられるからね」

 

「はい、ありがとうございます」

 

 

 こちらへの印象は良いようだ。何かとお世話になるであろう隣人さん。彼は友達になってくれるだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 午前の授業が無事に終わって昼食の時間。授業内容は……まあ可もなく不可もなく。

 

 昼食は食堂で注文するか、お弁当を持参すると言うもの。今日は食後にやることがあるので、教室でお弁当だ。

 

 料理はまだできないので、お弁当は買い置きしてあるブロック栄養食。チョコレート味なのでお菓子の感覚で食べられるのが素敵だ。

 

 皆からはそれで足りるの、などと声があがる。昼休みと同時に私の周りというかヤマトさんの周りに集まってきた女子達だ。彼と仲がいいのだろうか。

 

 

「カロリーはほとんどありませんね。ビタミン剤みたいなものです」

 

 

 二人ずつしか座れないはずの机だが、端末脇のボタンを押したらい周囲の机と合体して数人座れる形に変形したのには驚いた。

 

 これがミッドチルダの無駄な科学力……ううむ。

 

 

「私は身体が有機機械化された一種の機械生命体なので、魔力という動力源さえあればエネルギー源には事欠きません」

 

 

 周りの人たちは何を言っているんだと首をかしげている。

 

 しまった、子供相手に言い回しがくどすぎた。いや、子供相手じゃなくてもだめか。

 

 説明口調は機械学習で知識がテキスト化されている私の悪い癖だ。

 

 今までは復興局や教育局の年配の人たちが何も気にしていなかったので問題もなかったのだが。

 

 あれはませた子供とか思われていたんだろうか。

 

 

「……ぶっちゃけご飯食べなくても一ヶ月は平気で生きられます」

 

 

 魔力で熱量は確保できるが栄養が不足して、美容と健康と成長には大変よろしくないが。

 

 へー、すごーいなどという声があがる一方、奇怪なものを見る目をする者も幾人かいる。

 まあこんな生物、人間どころかペットにもいないから仕方が無い。

 

 ヤマトさんに至っては、小声で何か独り言を言っている。つい先日まで独り言をし続けた私にはキモいですよ貴方などとは言い出せないが。

 

「もしかして原作キャラか……? いや、戦闘機人はこうじゃなかったはず……」

 

 原作? 何を言っているんでしょうかねこの人は。

 

 戦闘機人……サイボークか何かのことだろうか。まあ完全に間違いと言うわけではない。

 

 

「初めに自己紹介したとおり、厳密には私は天然記念物みたいなもので人間じゃありませんからね」

 

 

 私は貴方達とは違うんだということは初めのうちに覚えていてもらおう。

 

 きっと私の気付かないところでも非人間的な行動をしてしまう。

 

 

「カガリちゃん」

 

 

 ヤマトさんは独り言から戻ってきたのか、再び私に向き直り笑みを投げかけてくる。

 

 どうもちゃん付けが完全に定着してしまった感じがする。最初に呼んだのはこの人だが。

 

 

「そんなこというなよ。種族が違ってもこうやって話せるんだから俺達と一緒だろ」

 

 

 不意に頭に手をのせられ撫でられる。

 

 

「ぬあ、何ですかこの手は」

 

 

 何をやってするんだろうかこの人は。

 

 いきなり他人の髪に触れるだなんて。ミッドの人というのは体当たりボディコミュニケーション上等な文化なのだろうか。

 

 それとも年下だからと撫でたり抱え上げたりするのが当然と思われているのだろうか。

 

 そういうのは嫌いではないが、今日あったばかりの人に触れられるのは不快だ。

 

 手を振り払う。

 

 

「不快です」

 

 

「あ、ごめんね」

 

 

 悪びれた顔はせず、ヤマトさんは変わらず微笑。

 

 周りの人たちもどこかぽわわんとした表情でこちらを眺めている。

 

 うーん、友人を作るのには悪い環境とは言わないですけれどこれは何かが違う……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ああ、そりゃあ専門用語でいうところのナデポってやつだなぁ』

 

 お昼の第一次報告通信。ミッドチルダの首都クラナガンに出張中の主任さんが通話ウィンドウに映っている。

 

 第二種監視指定共通人類種は子孫に異常性質が伝播するという種族なので、男性の渡航は特に厳しいはずなのだが主任さんはいつも世界中を飛び回っている。

 

 頼れるお兄さんという感じでミッドチルダ人にもてそうな主任さんへの報告内容は、今のところ特に問題も起きていないので先生とクラスメイトに関してのことだった。

 

 

『銀髪オッドアイ美形ナデポニコポなんて、97サブカルチャーの主人公みたいなやつだな』

 

 

 97サブカルチャーとはある特殊な管理外世界の娯楽の一種だ。

 

 管理外世界は管理法で不可侵となっているが、喪失文明復興局の多次元調査課が管理外世界の文化資料の中から質の高いインドア娯楽文化として発見したらしい。

 

 恐るべきは娯楽の少ない閉鎖部族ダライアス。文化復興といいつつアウトドアインドア問わず娯楽を収集している。

 

 学習局の局員さんにも人気で、私も休憩時間に97サブカルチャーのパズルゲームをやりこんだことがある。ばよえーん。

 

 

『お前は素直クールだからなぁ。攻略対象なんじゃないか』

 

 

 恐ろしいことを言ってくる。私はラブコメ漫画のサブヒロインか何かか。

 

 

「私が素直なのは人格が年齢相応に複雑化していないからで、感情の起伏が小さいのは機械学習の影響で与えられた情報に客観的になる傾向にあるからだと学習局の課長さんが」

 

『いや、お前のは言い回しが解りにくいのも含めて情操教育の失敗だ。と局長が言ってたぞ』

 

 

 本人を前にして失敗とか言わないで欲しい。

 

 

『むしろ攻略されたほうが心の発育に良いんじゃ――』

 

 

 通信を閉じて十分間の拒否設定にしておく。

 

 子供に有害な言葉はフィルタリングしなければならない。教室内にもフィルタリングが必要かもしれない。

 

 初日からこれでは、田舎育ちの私にはあまりにも刺激が強すぎる毎日になりそうだ。頭が痛い。

 




当SSの連載当時(2008年頃)のSS界の解説的な用語説明
■銀髪オッドアイ
かつて男性向け女性向け問わず、あらゆるジャンルのオリジナル主人公や魔改造主人公の象徴的存在だったもの(類似例:銀髪赤目アルビノの碇シンジ)。
使い古され過ぎて、今や踏み台転生者ものなどのメタフィクションでしか登場しません。なお当SSは踏み台転生者という概念が生まれる以前の作品なので、登場したキャラは特に踏み台にはなりません。
基本的にこういったものは物語の展開には影響しない容姿設定なのでヴィヴィや聖王様とは関係ありません。

■「もしかして原作キャラか……? いや、戦闘機人はこうじゃなかったはず……」
憑依物や転生物では、原作知識を生かして原作キャラと親密になるのはオリジナル主人公の半ば義務のようなものでした。原作キャラ一人も出てきていませんが。そのような作品が増えすぎたため「原作キャラに関わりたくない!」というオリ主ものがその後増えてくことになります。

■ナデポニコポ
なでなで。ポッ→年下ヒロイン攻略完了
ニコッ。ポッ→ハーレムに一人追加
ナデポニコポの全盛期は10年以上前

■素直クール
無愛想だけど相手が好きなことは隠しもしないツンデレの対極キャラ属性。
無抵抗主義が人気の秘密。

■攻略
ヒロインに自分を惚れさせるという業界用語。恋仲になるの意味ではない。
生身の人間に使うには失礼極まりないので注意が必要です。

SHOOTING TIPS
■ダライアス
グラディウスに並ぶ名作シリーズの一つ。惑星ダライアスを舞台に海洋生物型の敵機と幻想的な戦いを繰り広げます。
ダライアス外伝が大好きなので部族名になりました。隠れた裏設定がどうこうとかはありません。趣味です。当SSの連載が終了してから数年後にリリースされたダライアスバーストACEXは、名作中の名作。
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