The Phantom pain ~ 十一人の無き者たち 作:1056隊風見鶏少尉
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――むかしむかし、あるところに一人の神の使者が降り立ちました。
神の使者は仲間を増やし、一つの国――NATO国家と呼ばれる国を造り上げました。
その戦力は他国を圧倒し、技術力も並ぶ国はありませんでした。
ですがその国は他国とは戦争はせず、むしろ協定を結び、技術力を提供し、この世界の国々と交友を結びました。
NATO国家は次に魔族との講和に乗り出しました。
ですがなかなか上手くはいきませんでした。
そこでNATO国家は他国に協力を求めました。
ですがその要求は断られました。
人間と魔族との間には埋めがたい溝があったからです。
そこでNATO国家は魔族と他国とに協定を結ぶことを要求します。
他国はその条件を飲むことにしましたが魔族はそれに反発し、戦争が起きました。
ですが、すぐにそれは停戦しました。
NATO国家が止めたからです。
その後、戦力の違いを見た魔族はNATO国家に恐れ戦き、その条件を飲みました。
――その条件とは魔族と人間との文化交流でした。
最初は反発も起きましたが、NATO国家のおかげもあり、数年でだいぶ魔族との友好も深まってきたある日、ついにNATO国家の念願のことが叶いました。
NATO国家と魔族と国の併呑した大国――アルト大国と呼ばれる大国を作り、異種族が入り混じり、争いの起こらない国、平和の国を作りました。
こうして世界は平和になった――――かと思われました。
次にNATO国家とそれを統括する神の使者は海を越えた大陸に行き、そこにも平和をもたらそうとしました。
しかし、それを知った人間達はおおいに不満を持ちました。
自分達の国の技術力を他国にやるものか、と。
ならばいっそのこと、NATO国家と神の使者を亡きものにしてしまえ、と考えました。
そこで不満を持つもの、併呑を良しとしなかった者、やがて民が国が魔族が大国が、反乱を起こしました。
NATO国家に所属していたの半数の人間もその反乱に加わり、大戦が起きました。
――不神大戦。
いまだ記憶に新しく、いまだ爪痕が残ることとなった引き金です。
今まで友好関係を築いてきたと思っていた国に、魔族にそして同じ釜の飯を食った仲である友に裏切られる形のなったNATO国家の残り半数の人間と全ての大元(おおもと)となった『神の使者』はためらいながらも応戦しました。
ですがいくら強国家であったNATO国家でも併呑した大国、半数の戦友(とも)が相手では勝ち目がありませんでした。
一人、また一人と散っていき、やがて神の使者も討ち取られました。
こうして浅ましき人間と魔族が共闘しNATO国家を壊滅させた後、神の使者がもたらしたものでアルト大国は大きな飛躍を遂げました。
ですが、その平和は数年で途絶えることとなりました。
次々とアルト大国の住民が殺され、時には多くの民が死にました。
辛うじて生き残ったものに正気のあるものは一人としていませんでした。
あるものはこう呟いていました。
――死者の行軍。と。
あるものはこう。
――地獄からの使者だ、と。
あの大戦に参加したものはおおいに恐れ戦きました。
神が、神の使者が怒こっていらっしゃると 。
アルト大国の人々は怯え、王に助けを求めましたが被害は増えていくばかりでした。
そけで、はからずもまた正体が知れぬ者たちに戦いを挑みました。
人間約100万、魔族百二十万、機械兵十万の総戦力。
これが歴史に名を残す――――地獄の666日です。
戦争が始まってから終わるまでにかかった日数で、それまでにほとんどの兵が死に、異種族、民たちも死にました。
そうして神の使者を殺したアルト大国は滅びました。
ただ一人だけ地獄の666日で生き残った者が最期に書き記した日記にはこう書いていました。
『最初に見たときには全身から血の気が引いていくのが分かった。まさに地獄が体現したかのようだった』
『やつらが俺らを皆殺しにする』
『――――俺達は何てモンを敵にまわしちまったんだ。怖い。怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い』
ここでページを跨ぎ、明らかに筆跡の違う言葉が書かれていた。
『――友よ、我らは汝らの仇を討てたか?』
『友よ、じきに我らも会いに行こう――』
こんな見切り発車の作品を読んでくれましてありがとうございます!