「ふ~む、ご主人様は今頃どうなされているでしょうか・・・」
そんな事を呟きながら、キャスターは現在、IS学園の屋上で結界を張る作業に勤しんでいた
その頃一夏は、五人にボコボコにされ千冬のもとに連行中である
「まぁご主人様なら大丈夫ですよね・・・
それより作業、作業・・・・っと。敵が侵入したら知らせるやつと、あとは・・・」
一夏の事を一時的に忘れ、結界の設置に専念しようとしたキャスターだが
それは次の瞬間、後ろから突然声をかけられたことによって動きが止まる
「へぇ、こんな真っ昼間から陣地作りとは精が出るな?キャスター」
「・・・ッ!!」
声に反応し、後ろを振り向くとそこには赤い槍を携えた青い鎧の男が立っていた
キャスターは呪符を構え、正体不明の男と対峙する
「まさか、こんなに早く他のサーヴァントに会うとは思いませんでした
槍・・・ということはランサーのサーヴァント、私に何か御用でしょうか?」
「いや、マスターからの命令でな・・・
この学校の生徒に危害を加える奴を倒すのが俺の仕事だ」
「それならご心配なく、今から作る結界は外敵を察知するだけのものですので」
「そうか、それは残念だ。おかげで勝負できる奴が減っちまった
こっちは暴れたいのに・・・全くもって理解しがたい指示を出すマスターだよ」
ランサーを睨みつけながら話すキャスターだが、ふと、ランサーの言葉に違和感を覚えた
今のランサーの言い分だとまるで学校の生徒に危害を加えないならば
相手がサーヴァントといえど、こちらから争いを仕掛ける気は無い・・・という事だ
まさか、ランサーのマスターは学校の関係者・・・?
「それはまた・・・貴方のマスターが学校にいると言っているようなものですよ?」
「ほざけ、お前もこんな所で結界を張ってるのは
自分のマスターがここにいるからだろうが。じゃなきゃ結界を張る意味がねぇ」
その言葉にキャスターは軽く舌打ちをしながら、ランサーを見据える
どうやら、本気で争う気は無いようだ。まぁ、ここでドンパチやっては目立つからだろう
聖杯戦争のマスターが同じ学校にいる。その事にキャスターは不安を感じながら
「じゃあな、くれぐれも妙な行動起こすなよ」と手を振って去るランサーを見つめていた
そして一夏は現在、両手両足を縛られた状態で
千冬と二人きりの視聴覚室で、とあるビデオを見ながら話していた
「千冬姉、ホント正直に話してるから!!
マジで嘘ついてないよ!?ホントだよ!!」
「何をそんなに怯えてるんだ一夏・・・
お姉ちゃんはドイツ軍で実際に行われた拷問のビデオ(ダイジェスト版・ラウラ提供)
を流しながら、お前に優しくわかり易い質問をしているだけじゃないか・・・」
「嘘だ!!目が笑ってない!!
てか千冬姉が自分をお姉ちゃんとか言うときは高確率でキレてるときだよな!?」
「もう一度だけ言うぞ・・・あの女は誰だ?答えろ、一夏」
「な、なんのことかわかりまs「ザクッ」・・・・」
何とかとぼけようとした一夏だが、顔の真横に突き刺さった真剣によって動きが止まる
「一夏・・・頼む。お姉ちゃんをあまり怒らせるな・・・」
「ちょぉぉぉぉぉぉっ!!誰か助けて!?マジで俺死ぬ!!殺されるぅぅぅぅぅ!!」
そして千冬の手が徐々に一夏の頭へと・・・・
「お、織斑先生!!実は朝の織斑君のことですが・・・」
「何か分かったのか!!」
「いえ・・・今朝、学園の近くで釣りをやっていた人が
織斑君と4時ごろから連行されるまでの時間、話していたことが判明しました」
「何だと!?」
扉を開けて入ってきた山田先生の報告で一夏の頭から千冬の手が離れる
(よっしゃぁぁぁぁ!!キャスター・・・グッジョブ!!!!)
「ほら、千冬姉!!俺は今日、偶々ジョギングしてたんだって!!
箒たちに会うまで部屋になんか戻ってないし、話すことも全然無い!!」
「ちっ・・・」
必死に弁明するとようやく千冬は一夏を開放する
でも最後、舌打ちしたのは気のせいだろうか
解放されたことに喜ぶ一夏だが、
この後の午前中の授業でクラスの皆から冷たい視線を送られ続けたのだった
そして時は流れ、昼放課・・・
一夏は結界を作り終えたキャスターと合流し、アリバイ作りに対してのお礼を言った
「いやいや、ご主人様のためなら・・・って、それどころじゃありませんでした!!」
「?何を焦ってるんだ、キャスター」
「ランサーのサーヴァントと遭遇したんです!!屋上で」
「なっ・・・!?」
キャスターの言葉に一夏は驚愕する
サーヴァント・・・キャスターと同じ存在と学校で遭遇したということは
最悪、IS学園が戦場にもなりえるからだ
「幸い戦闘にはなりませんでしたが、ご主人様に報告したい事が一つ・・・
ランサーのマスターはおそらくこの学園の関係者だと思われます」
「なっ・・・!?」
追撃のように放たれたキャスターの言葉に
一夏は目を見開き、手の中の焼きそばパンが地面に落下する
「ですがご主人様、ランサーのマスターは学園に危害を加えるつもりは無いようです
それどころか学園の生徒を守るような指示をランサーに出していました」
「・・・なんだ、それならもしかしたら戦わずに済むってことか?」
「まだ油断はできませんが、その可能性は高いでしょう
ランサーのマスターとは時を見て同盟を結ぶのが吉と思われます」
一夏はその言葉を聞きながら、まだ見ぬランサーのマスターに思いを馳せるのだった
ー SIDE ???
「おい、一応報告しとくが屋上にサーヴァントがいやがったぜ。マスター」
「・・・!!・・・それで・・・?」
「特にこの学園に危害を加えるつもりは無さそうなんで放置しといた
あまり昼中から戦闘をしてっと一般人が巻き添えになりかねねぇからな」
その報告を聞いて、私はホッと胸を撫で下ろす
でもこの学校にサーヴァントが現れるなんて・・・
「そう・・・そのマスターは?誰なのか・・分かった?」
「いや、そこまではわからなかった
だけどコレだけは言える。アイツのマスターは確実に学校の中にいやがる」
学校関係者・・・もしかしたら自分と同じ生徒だろうか
話し合えば分かり合えるかも知れないし、失敗したら戦う事になるかもしれない
もし戦闘になっても他の人に頼ることはできない
私が聖杯戦争に参加していることはお姉ちゃんはおろか、お付きの親友だって知らない
不安が胸に渦巻く中、私は再び目の前の機体の調整を始めるのだった