艦隊これくしょん - そこで生きる少女たち - 作:みどいろCPU
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時刻は午前8:00。
天井のスピーカーからザザっという小さなノイズが鳴った後、鎮守府内に男性の声が響いた。
「皆おはよう。提督の幡山だ。今日の出撃は2つある、よく聞いてくれ。
旗艦は伊58、編成については後程発表する。次、
2艦隊に別れる形になり、旗艦は利根、筑摩とする。それで…ん?」
長々しいアナウンスの最中に、何やら小声での会話が混ざった。
しばらくのゴニョゴニョとした声のあとにアナウンスが再び流れ出す。
「…あぁ、ありがとう吹雪。
あーと、すまん。えっとだな、やはりまとめて説明するので10分後に全体集会を開く。各自、グラウンドに集合の事。突然の事で悪いがよろしく頼む。以上」
【#】
放送を受けて、鎮守府のグラウンドには大勢の艦娘達が集まっていた。
駆逐艦級から戦艦級までその種類は様々で、皆落ち着かない様子でガヤガヤと話をしている。
するとそこに、提督である幡山が姿を現した。
「皆おはよう。突然の呼び出しで悪い。
それで、早速だが本題に入る。先程も言ったように今日の出撃は2つ。1つは伊58を旗艦としたオリョール海域への資源調達任務だ。
0900からの出撃とし…おい
えー、0900からの出撃とし、編成は伊58、168、8、19とする。
んでだな、問題は次なんだ」
幡山は手に持っていた数枚のA4用紙をめくる。
「本日1100、ここ横須賀鎮守府内での演習を行う。全員が出るというわけではないが、結構な数が出撃させられると思う」
すると、幡山の言い方に疑問を覚えた背の高い灰色のパーカーを着たツインテールの少女が手を挙げる。
「提督よ、演習をやるのはいいんじゃが…その『出撃させられる』というのはどういう意味じゃ?」
「そこなんだ問題は。まぁ話を聞け。今回その演習には陸自岡部陸将、海自佐々木海将、空自荻野目空将、内閣の佐竹国務大臣が視察に来ることになった」
「「「「ええぇえぇえぇぇええ!?!?!?!?」」」」
騒然とするグラウンド内。
それもそうだろう、現在の日本国内を仕切る重鎮が集まるのだから。
幡山は首を傾げながら頭を掻く。
「まぁとはいっても皆は気にせずいつもどおりに演習を…って言っても無理な話だとは思うが…頑張ってくれ。俺も出来る限り負担は減らす意向だ」
幡山のそんな呟きが聞こえているのか聞こえていないのか、グラウンドはまだ静まり返らない。
すると今度は別の艦娘が手を挙げる。
「提督、さっき放送で私と姉さんが旗艦って言ってたけれど…編成はどのようになさって?」
「ん?…あぁそうだなすまない。編成はこうだ」
幡山がさらにA4用紙を捲ると、ようやくグラウンドが静まり返った。
出撃において、編成ほど重要なものはない。
「第一艦隊、旗艦利根、二番艦伊勢、三番艦日向、四番艦神通、五番艦不知火、六番艦瑞鳳。
第二艦隊、旗艦筑摩、二番艦金剛、三番艦霧島、四番艦那珂、五番艦陽炎、六番艦赤城。
以上の編成だ。演習中の海域監視員は俺から後で直接言う。なにか質問はあるか?」
これに関しては誰も手を挙げる者はいなかった。
皆、最古参艦娘の一人である重巡姉妹が旗艦であるということに異議はないといった様子だ。
「…よし」
幡山は開いていたA4用紙をファイルに仕舞い帽子を被り直す。
「いつもとは違う任務に今日はなるが各自、頑張ってくれ。決して無理はするなよ。以上、解散!」
「「「「はい!」」」」
横須賀鎮守府所属艦娘、総勢48名の返事が広いグラウンドに響きわたった。
【#】
「香織…!」
そんなお母さんの声が、今でも耳に残っている。
何故かは忘れちゃったけれど当時13歳だった私は、その事実を案外にもあっさりと受け止めたのを覚えている。
突然家に来て突拍子もない事を淡々と話す彼の話を、私は聞き飽きた童話でも聞いているかのような感じで聞き流していた。
やる気というか、興味がなかった訳ではない。
ただ、私はそんなこと、もうとっくに知っていたから。
そんな私と、悲痛な表情でそれを聞いているお母さんとお父さん、そしてキョトンとしている弟の姿。
三人に出発の時、私は言った。
「いってきます」
それ以外の言葉は私には要らなかったから。
――――――――――――――――――――
深海棲戦と戦う力を持っている。
そんな話をいきなりされて驚かない者はいない。
…と、本当は思いたいところだが現実は違う。
艦娘になる少女は殆どが自分が負った使命を認識している。
よってその話をされてその少女自体が驚かないのは決して珍しい事ではなかった。
彼女もまた、同じだった。
突拍子もない俺の話を聞き飽きたかの様に聞く様はその当時ですら何回も見てきた。
そしてその家族は皆、我が子が突然いなくなるかも知れないという恐怖感や怒りを抱く。
これも何回も見てきた。家から追い出されたこと、殴られた事もあったくらいだ。
そんな家族を、艦娘になる少女達は必死になだめる。
「大丈夫、大丈夫」
少女達は泣き崩れる母親を抱きしめてそう語りかける。
皆、そうするのだ。
しかし、彼女は違った。
彼女は泣き崩れる母親に向かって少し微笑み掛け、ただ
「いってきます」
そうとしか言わなかった。
決して冷め切ってる訳でもなく、悲観しているわけでもない。
きっと、明るい笑顔が似合うであろうその少女が何故、その言葉だけを残していったのか。
当時の俺には、全く分からなかった。
【#】
集会が終わったその後。
幡山は海岸沿いで鎮守府正面の海を見つめていた。
ザーンと打ち付ける波の音が響く、ただ広い海。
艦娘達が命懸けで取り戻そうとしている海が目の前にある。
「あれ、司令官?」
幡山はふと後ろから声を掛けられた。
赤い髪の、水着の上にジャージを着た少女だ。
「
「うん、大体。司令官はなんでここに?」
幡山は頭を掻く。
「あー…何でだろうな。…なんとなく、かな」
「えー、なにそれ」
「なに、気まぐれさ」
「ふーん…」
「ふーんって…。そういうお前はなんでここに来たんだ?」
今度は幡山がイムヤに尋ねる。するとイムヤは手を後ろに組んで幡山と同じように海えを見る。
「秘密っ」
「おいおい、なんだよそれ」
「なによ、秘密は秘密なの」
「…」
幡山が黙り込む。するとイムヤは悪戯っぽく笑った。
「…まぁ、司令官が知りたいなら教えてもいいけど」
「…それじゃあ…是非」
イムヤの返答に少し驚きながらも幡山は尋ねる。
イムヤは大きく深呼吸をした後、海を向いて口を開いた。
「あのさ」
「司令官ー!」
イムヤが話し始めた直後、建物側から幡山を呼ぶ声が響いた。
「検問に自衛隊の方々と大臣がお見えになっています!そろそろ準備を!」
「あぁ!わかった、すぐに行く!…悪いなイムヤ。この話は後で聞かせてくれ」
幡山はそう言うと小走りで鎮守府校舎へと向かっていった。
そんな後ろ姿をイムヤは口を緩めて見つめる。
「うん、後でちゃんとね…」
一層強い波が、海岸に打ち付けた。
【#】
「ようこそおいで下さいました。提督の幡山です。本日はよろしくおねがいします」
鎮守府正面玄関、幡山は二台の黒いワゴン車から姿を表した四人に帽子を取り挨拶をする。
対する四人も幡山の正面に赴き各自握手を交わした。
「あぁ、陸自の岡部だ。まぁ、いいものを見せてもらえることを期待してるよ」
「空自の荻野目です。よろしくお願いしますね」
「佐竹です。よろしく」
「はい。…と、えーと…それで、佐々木海将は…?」
見慣れた一人の老人の姿が見つからない。
その事に疑問を覚えた幡山のすぐ横で三十代ほどの若い男性が口を開いた。
「申し遅れました。佐々木海将は急用でお休みになりました。代理の渡辺です。宜しくお願い致します」
テキパキとした物言いの渡辺と名乗った男性は礼儀正しく幡山に一礼する。
「そうですか…分かりました。こちらこそ宜しくお願い致します」
佐々木海将が休むくらいだ。余程の用事なのだろう。
幡山は割り切って考えた。
「では、早速本題に入ってもらおうか。艦娘とやらの演習を拝見したい」
「私も同感ですな。挨拶やらなんやらは抜きにしてね。いします」
時刻は10:45。多少予定よりも早いが誤差の範囲内である。
「…分かりました、すぐに準備させます。こちらへ」
幡山の案内の元、一行は演習管制室へと向かった。
【#】
『各位、抜錨したな。最終確認。各艦隊旗艦、点呼報告』
「第一艦隊旗艦利根、全員確認」
「第二艦隊旗艦筑摩、全員確認しました。いつでもいけます」
『了解。確認した。では現在時刻1103から2分後、1105より演習を開始する。総員、それまで待機せよ』
「了解」
「了解しました」
艦娘たちが耳に付けている小型の通信端末からの声が途切れ、一時的な静けさに包まれる。
艦娘達はそれぞれ艤装や作戦内容の最終確認をし始めた。
「んー、慣れた味方どうしの演習とはいっても緊張するのぉ。カタパルトが正しく動けばいいんじゃが…」
濃緑色の服にツインテールの少女、第一艦隊旗艦利根がぶつぶつとぼやく。
「ちょっとー、艦隊旗艦がそんなんじゃこっちが不安になるわよ。…と言っても、相手の空母枠は赤城ちゃんかー…。これはちょっと頭が痛いわねー」
今度は紅白の鉢巻をした小柄な少女がやれやれといった表情で呟いた。
「何だ瑞鳳…随分と弱気じゃないか。確かに赤城は驚異的だが、こちらは瑞雲もあるしそこまで圧倒的な制空権の喪失はないと思うぞ」
「そうそう、なんとかなるって。駄目だよ弱気になっちゃさ、NnKに出てた頃の勢いはどうしたのよ」
何気ない会話の中、伊勢の言葉で突然ギョッとする瑞鳳。
「NnK…あぁ、ミミリンちゃんだかっていう…。あの子供向け料理番組の」
「えっ、ちょまっ…なんで日向まで知ってるのよ!?私言った覚えないんだけど!?というかやめてよその話!何年前よ!」
「あ、やっぱりそうだったんですか瑞鳳さん…。見てましたよ小さい頃。今再放送やってますよね」
「え!?神通ちゃんまで!?ていうか再放送やってるの!?聞いてないんだけど!」
「なんと!あのミミリンちゃんが瑞鳳だったのか!なーんと!!」
「あぁ!もーいいでしょ!は、早く戦闘に備えましょ!ね、不知火ちゃん?」
「…たべりゅー」
「…」
『ビーーーーーッ!!!!』
生気を失った瑞鳳が呆然と立ちつくすその時、海上にブザーが響き渡る。
戦闘開始の合図だ。
「始まったか。よし、総員出陣じゃ!」
「よ、一丁行きますか!」
「気合いを入れていきましょう」
「ねぇ待って!?私だけなんか変な感じで…もぉー!抜錨!」
幡山、荻野目、岡部、渡辺が望遠鏡で見守るなか、艦娘同士の戦闘演習が幕を上げた。
【#】
「おい伊勢!制空力が足りない、もっと飛ばせ!」
左手に装着された飛行甲板から水上爆撃機を発艦させる日向。その顔には多少、焦りの表情が浮かんでいる。
「無茶言わないでよ日向!こっちは飛ばせるだけ飛ばしてるわ!さっき飛ばしたので最後よ!」
「くっ、ある程度の予想はしていたがこうまで航空戦で押されるとは…。流石、一航戦は伊達ではないな」
「何よあの艦載機!ちょっと強すぎはしない!?新型?」
「まさか、あれが提督の言っていた…」
「日向!後ろ!」
日向の背後から低空飛行で向かってきた艦載機が突如急上昇する。
その後の水中には一直線に進んでくる細長い物体。
「しまっ…!」
バガァン!!!
一層高い水柱をあげ、爆音が海に響いた。
「ヘェーイ!赤城!New wheponの調子はどうデスカー?」
「上々よ、金剛さん。新型の艦載機、烈風と流星は凄いわね。知らない子も、使ってみるといいものですね」
「食わずキライは良くないネー。その調子でお願いしマースよ!さて、全砲門、fireー!」
空気が割れるかのような轟音。
金剛が操る35.6cm連装砲が火を噴いた。
砲塔から微妙な時間のズレを生じて打ち出された複数の砲弾、九一式徹甲弾はやや山なりな軌道を描いて飛んでいき、
800mほど先にいるちょうど利根、不知火の間の位置に落下し水柱を立てた。
「Oh! シット!もうちょっとだったのニー」
「ごめんなさい金剛さん、もう少しで弾着観測出来るようにしますから…!」
そういうと赤城は手に持った長く大きな弓を構え、矢をかける。
弓道の面影を残したそれは凛とした、そして堂々たる威厳を放つ。
「第二次攻撃隊、発艦!」
【#】
「うむ、随分とあの戦艦は派手に食らったな。あれは実弾なのだろう?轟沈はしないのかね」
双眼鏡を除きながら岡部は幡山に問いかける。
幡山ら5人は演習管制用に作られた管制塔にいた。
「ええ、ご安心を。艦娘には便利なことに味方からの誤射によるダメージのコントロールシステムのようなものがついているようで、
どれだけ味方からの攻撃を食らおうとも一定以下までは艦の耐久値が減らないようになっています」
「前々から話は伺っていましたが、本当に色々と都合がいいですねぇ艦娘とやらは」
「ふん、まぁあれくらいは働いてもらわないと困るがな。何せあれだけの金をここに注ぎ込んでるんだ」
荻野目と岡部が皮肉っぽく言う。
佐竹の確かにといった様子でうなずいている。
少し顔をしかめる幡山だったがその時。
「幡山さん、二時の方向奥側を見てください。何かが変です」
渡辺が突然早口で幡山に話しかけた。
幡山は嫌な予感を感じ取り、双眼鏡を手に取りファインダーを覗く。
「あれは明らかに艦載機が落としたものではありません、位置がおかしすぎます」
【#】
『航空戦艦日向、赤城発艦の艦載機により大破判定。救援を送ります、戦場を離脱してください』
演習中の艦娘が装着している小型通信端末に機械的に話す少女の声が流れる。
本部指令室で管制をしている
演習中の艦娘、その間の鎮守府周囲の索敵を行う艦娘とは別に状況把握に長けた装備を扱える大淀だけは、鎮守府内で演習の管制を行っているのだ。
これは演習によってダメージを負った艦娘が帰投中に深海棲艦の攻撃を受けないようにするために非常に重要なシステムである。
アナウンスが流れ終わった後も艦娘達による砲撃は続く。
どちらかの艦隊すべての艦娘が大破するまで終わらないのが演習だ。
「くっ…面目ない…」
「いいからいいから。私に任せなさいって。早くドックに入りな日向」
「…武運を祈るぞ、伊勢」
駆逐艦娘に同行され鎮守府へと戻る日向。
この時点で第一艦隊と第二艦隊の戦力は5:6。
序盤に航空戦艦一隻分の戦力を失った代償は大きく、早くも戦況は傾き始めていた。
「ほらほらー不知火、動きが遅くなってるよ!」
同時刻。
ほぼ平行に進んでいる不知火にちゃちゃをかけながら、陽炎は主砲に火を吹かせ続けていた。
「全く、演習の度に私だけ狙うのはそろそろ止めてくれませんかね…」
対する不知火も陽炎の砲撃を紙一重で避けつつ、自らも砲撃を繰り返す。
お互いに比較的高性能な陽炎型駆逐艦娘だけあり、二人共この状況を打破する一撃を与えられずにいた。
その時、不知火は陽炎の進行方向の先で真っ直ぐに海中を進む何かを視認する。
不知火ら駆逐艦娘にとって見慣れたそれは紛れもなく複数の魚雷。
瑞鳳が発艦した艦上攻撃機によるものかと考えるがすぐにその考えは間違いだと気づいた。
-魚雷を落としたはずの艦載機がいない-
あの魚雷の距離で艦載機の姿が見えないどころか、音すら聞こえない。敵戦艦が三式弾を打った気配も感じない。
こうなると、考えられるのはただ一つ…。
冷や汗を浮かべた不知火は陽炎に向かって叫ぶ。
「陽炎!後ろから魚雷が来ています!避けてください!」
戦闘中の突然の警告にきょとんとする陽炎。しかし直後、顔を引き釣らせる。
「アンタねぇ…いくら私がそこまで良い成績じゃなかったとはいえ…そんな手に引っ掛かるほどアホじゃないわよ?騙すならもう少しマシな嘘をつけ!」
海に響き渡るような大声で叫ぶ陽炎。
同時に不知火に向けてさらに砲撃を放つ。しかし砲弾は避けられ、不知火の後方足元の海に吸い込まれた。
そして迫りくる魚雷に陽炎は気づかない。その距離、およそ300m。
「っ…この…!あなたは…本ッ当に阿呆ですね!」
すると不知火は怒りの見幕を見せながら陽炎へと出力全開で突っ込んだ。
「ちょっ…!」
-やられる…!-
突然の不知火の行動と気迫に一瞬怯む陽炎。
しかし、不知火は陽炎に攻撃を加えずにそのまま追い抜く。
頭の整理が追い付かない陽炎。
そんな中で無意識に目で追っていた不知火の姿は、突然の爆発による水柱でかき消された。
【#】
『……い。繰り返します、演習は中止、第一、第二艦隊共に速やかに撤退せよ。赤城、伊勢は撤退をしながら偵察機を発艦、敵を補足出来次第早急に報告してください』
演習中の艦隊に流されているものと同じ無線通信が鎮守府内に慌ただしく流れ続ける。誰の目でもわかるような異常事態であった。
「なっ…幡山君、これはどういうことだね!」
「おい、何が起こった!説明したまえ!」
突然の事態に、岡部、荻野目が幡山に問い詰める。すると管制室のドアが慌ただしく開かれる。そこには息を切らせた吹雪。
「司令官!演習中に不知火が大破しました!何かがおかしいです、リミッター上限には行っていませんが多分あれは…」
「あぁ、ここから確認していた。くそっ、気づくのが遅かった!敵の編成は?」
「まだ分かりません…!撤退中も次々と攻撃を受けている模様です。1-4までは完全に攻略したはずじゃ…そもそも索敵に引っかからなかったなんて…」
「そう、そこなんだ問題は…。よし、今行く。動ける艦の把握頼む。それと…」
「幡山ァ!」
ガシャンと音を立てて花瓶が割れる。岡部の近くに置いてあったものだった。
「さっきからごちゃごちゃと話しおって、説明しろと言っているのだ!何が起こっているのかさっさと説明しろ!」
岡部の怒号に吹雪がびくりと跳ね上がる。幡山は、吹雪から目を離し岡部の方を向いた。
「…。先ほど、第二艦隊所属艦娘の不知火が何者かの攻撃によって大破しました。
リミッター上限の耐久値までは達していないので轟沈はしませんが状況からして恐らく、深海棲艦の攻撃を受けたものかと思われます」
「とはいいましても、資料では鎮守府正面付近の4つの海域は既に深海棲艦を殲滅、攻略したはずなのでは?」
自前の資料に目を通しながら海自、渡辺が口を開く。
一方の岡部はふんと鼻を鳴らして不機嫌そうに話を聞いている。
「はい。確かにそのはずです。仮に海域で邂逅した同タイプの深海棲艦が出現したとしても、艦娘達が飛ばす索敵機で即座に発見するはずです。
先ほどの演習中の数人の艦娘達も索敵を行っていました。となると、考えられるのは…」
「司令官!」
すると今度は息を切らしながら長い白髪の少女、業雲が吹雪の横から飛び出してきた。
「伊勢さんの偵察機から伝聞、敵の編成が分かったわ。…複数からなる潜水艦隊よ」
業雲の言葉を聞き、やはりといった表情を浮かべた幡山は再び渡辺の方へと向き直る。
「1-5の出現です」
投稿が遅くなってしまいました…申し訳ありません…。
- そこで生きる少女たち -episode03の前半です。
今回は再び提督、幡山さんが登場しましたね。
前半では時系列がイマイチ分からないかも知れませんが、後半では明確になると思います。
前半のここではあまり多くは語りませんが…是非、後半もどうぞ宜しくお願い致します!
※毎回の事ですが誤字、脱字、設定上でおかしい箇所等ありましたらどうぞご報告を宜しくお願い致します…。
※追記:文中に『NnK』とありますが、誤字ではありません。宜しくお願い致します。