HIGH SCHOOL D×D ―――(再)―――   作:ダーク・シリウス

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エピソード62

「良い潜伏地じゃないか。兵藤一誠、よく知っていたね」

 

「・・・・・不思議と懐かしかったから」

 

「目的の城と離れてはいるが目と鼻の先だろう。しかし、この城は誰もいなかったな」

 

「もぬけの殻もいいところだぜ。ただの石の要塞じゃねーか」

 

「それでいいだろう。他の吸血鬼たちがこの城に入ってくる様子も気配もない。

灯台の下暮らしとして良い場所だ」

 

とある城に侵入し、構造を把握し、曹操たちは一時の間をくつろぐ。壁に寄り掛かったり、

腰を下ろしたり、自分で調達した椅子に座ったりと曹操を中心に座る英雄派に

 

「状況の確認だ」

 

曹操が仕切った。

 

「この地に赤龍帝がいる事を確認した。ならば、必然的に対テロ組織混成チームもいるだろうな」

 

「目的は何だと思う?」

 

「分からないが、私たちかリゼヴィムのどちらか、あるいは両方じゃないか?」

 

「リゼヴィムがここで何をしているのか今でも不明だがな」

 

指で眼鏡をクイっと動かすゲオルクは一誠とリースにさりげなく視線を送る。

未だに大人しくしているが、何時飛び出してもおかしくない。闇雲に飛び出しても

意味がないと理解しているのか、

 

―――バキバキ

 

手の中に収まっているクルミを二つ丸ごと砕いている。しかもテーブルの上には大量のクルミっ!

早くリゼヴィムの前に現れて復讐をしたい想いをクルミで訴え、そして我慢しているのだろうか。

 

「曹操・・・・・」

 

「分かってる」

 

不安げなジークフリートに悟る曹操。あの大量のクルミが無くなればどうするのか分かったもんじゃない。

 

「一誠、ジッとしていられないなら頼んでいいか?」

 

「何を・・・・・?」

 

「赤龍帝たちの動向を探って欲しい。自ずとリゼヴィムの事に関する情報も聞けるはずだ」

 

「分身で?」

 

「いや、キミ自身でだ。赤龍帝たちに捕まっても困るからセカンド・オーフィスと一緒に行ってくれ」

 

「・・・・・分かった」

 

セカンド・オーフィスを引き連れ、一誠はこの場を後にした。

 

「恋も行きたかった」

 

「主力メンバーが私情で行かれても困るよ。戻ったら満足するまで一誠に甘えればいい」

 

「お前もそうなんだろう?」

 

「否定はしない」

 

ゲオルクのからかいが含んだ言葉に動揺しない曹操。当然だとばかり言う首領に

苦笑いを浮かべてしまう方だった。

 

「曹操、何時決行するんだ?」

 

「考えている。私たちは敵しかいないこの地にいる。リゼヴィムたちを攻撃していたら

対テロ組織混成チームに後ろから攻撃仕掛けられかねない。やるなら背後から奇襲だ」

 

「僕たちはその方が性に合っているからね」

 

「つーか、赤龍帝って今更警戒するほどか?大した活躍は聞かないぞ」

 

「活躍はせずとも能力は伝説、伝承通りだ。だが、ドラゴンにはドラゴンキラーを」

 

ジークフリートの一振りの剣に期待に満ちた視線を送る。

 

「だが、私たちにとって脅威的なのはやはりリゼヴィムだ。神器(セイクリッド・ギア)

無効化されるのだからこそ、呂綺とモルドレッド、リース、レオナルド、ジークフリート、

ゲオルクの存在が必要不可欠」

 

「ははははっ!俺と曹操じゃ無効化されちまうもんな」

 

「ヘラクレス、そこは笑う所ではないぞ」

 

穏やかなムードが場を包みだす。とてもテロリストとは思えない光景で・・・・・。

 

 

ぐぅ~・・・・・・

 

 

「・・・・・恋、お腹空いた。一誠の手料理食べたい」

 

『・・・・・これは大変だ』

 

腹ペコな仲間にさっそく英雄派にアクシデントが起きたのだった。

 

 

 

その頃、アルクウェイドの城を拠点としている一行はとある吸血鬼と出会っていた。

 

「初めましてアザゼル総督。私はエルメンヒルデ・カルンスタインと申します。

どうぞエルメとおよびください」

 

純血の吸血鬼でカーミラ派の最上位クラスの名家の吸血鬼が会合。

 

「エルメンヒルデ。急にどうした?ツェペシュ派に何か動きでもあったか?」

 

「それは今も変わらず沈黙しています。ここにツェペシュ派の吸血鬼がいると聞いたものでその者たちの顔を見に」

 

ヴァレリーとギャスパーを見やる。

 

「で、感想は?」

 

「特に何も。ところで、アルクウェイドは?」」

 

「あー、姉と一緒にいるぞ。どこにいるのか俺たちには分からん」

 

「そうですか。できればアルトルージュとはお会いしたかったのですが。彼女とは親しい柄なので」

 

そうか、と相槌を打って話を進める。

 

「ツェペシュ派に何が起きているか教えてくれないか?」

 

「吸血鬼の根底の価値観を崩す程の出来事が起きております。情報が流出しご存知かもしれませんけど」

 

「ああ、それに関してはこっちも把握している。だが、聞いただけで実際はどうなって

いるのかこの世界に来た俺たちにはまだ分かっちゃいないんだ。しかもツェペシュ派に

テロリストが紛れ込んでいる。これは相当とんでもない事件が起きるだろう」

 

「その事に関してはこちらも把握しております。我が派閥の吸血鬼の者の索敵で二つほど

察知しました」

 

二つ・・・・・?一誠ではないのかとアザゼルは疑念を抱いた。

 

「一つは赤い鎧を纏った、赤龍帝ですね。そしてもう一つは人型のドラゴン」

 

「あー、赤龍帝が迷惑を掛けたな」

 

「いえ、問題ございません。話を戻します。その人型ドラゴンは気配を忽然と消して以来、

索敵に引っ掛からなくなりました」

 

「そうか。だが、もっと多くいるはずだ。赤龍帝が巨大な真紅のドラゴンを見たと情報があるんでな」

 

「・・・・・それは真でしょうか?もしもそうであれば索敵に引っ掛からずどこかに身を潜んでいる可能性が高いですね」

 

エルメンヒルデは顎に手を添えて思考の海に飛び込んだ時、扉が開き誠輝を肩に担いだ誠が入ってきた。

 

「ただいま、ようやく見つけたぜ・・・ってエルメンヒルデちゃん。来ていたんだな」

 

「ええ、少しばかりお話を」

 

気絶している誠輝を無造作に放り投げ、アザゼルとエルメンヒルデに近づく。

 

「で、アザゼル。今後の俺たちの行動は?」

 

「ツェペシュ王と謁見する。そんで、リゼヴィムがいたらアイツが持っている聖杯を奪う方針だ。吸血鬼の事情は吸血鬼に解決してもらう」

 

「当然でございます。吸血鬼の事は吸血鬼が決着をつけますので」

 

言われるまでもないとエルメンヒルデはそう口にする。吸血鬼は他の勢力と線を引いて関係を保ち、人間を家畜として、生きる為の糧として襲い、生きる種族であると同時に吸血鬼は古より存在する闇の住人で冥界の住人である悪魔と価値観、文化は差違するところが多い。

 

「誠殿、一香殿。あなた方の子息は大変な事になっておりますね。風の噂でお聞きしました」

 

「あそこで気絶している赤龍帝の誠輝も俺たちの息子なんだがな。これがまー兄弟仲が悪くて悪くて」

 

「ずいぶんと愉快な双子ですね」

 

「仲が良かったらどれだけ嬉しい事やら」

 

二人揃って嘆くように嘆息する。一体どこで育て方を間違えたのかと今でも思い返す程だ。

一誠は自らテロリストとなっていまこの地に潜伏している。誠輝は力に固執して何も疑わない。

アザゼルは三人の会話のやり取りに、エルメンヒルデも幼い一誠と出会っていることを察した。

 

「さてと、メンバーも揃ったしツェペシュの領土に赴こうかね」

 

「アルトルージュを呼び戻さないと。一香、行ってくれるか?」

 

「分かったわ」

 

一香はこの場を後にし、誠は誠輝に近寄り―――。

 

「おい、何時まで寝ているんだ」

 

ドスッと横っ腹に一蹴り。とても自分の息子とは思えない扱い方だった。

 

 

 

「―――って、一誠から送られてくるリアル映像なんだがあの男、赤龍帝の息子にあんな扱い方をするなんてね。一誠との扱いとは比べ物にならないな」

 

大型の魔方陣に映る誠たちの言動の様子の映像。待つにしても暇なので動向を探っている

一誠に頼んで映像として送ってもらっている。そして、対テロ組織チームが動く事を分かり、

曹操たちも行動を開始しようとする。

 

「彼らがツェペシュの城に乗り込んで、騒動を起こしたら私たちも動こう」

 

「それまでこれを見て暇を潰すかー」

 

暇だぜーと呑気にヘラクレスが言った・・・・・その直後。

 

「んじゃ、お祖父ちゃんと一緒に遊ぼうぜ?」

 

「「「「「「「っ!?」」」」」」」

 

返ってくるはずのない言葉がブチ破られる扉と共に聞こえ、曹操たちは敵襲に瞬時で

備え構えた。

 

「うひゃひゃひゃっ!やーやー、英雄派の嬢ちゃんと坊ちゃんたちー。こんな所にいたんだねー?」

 

悪意に満ちた言葉と共に笑みを浮かべる中年の男性。悪魔や吸血鬼がわらわらと

部屋に入り込んで曹操たちを囲む。

 

「これはこれは・・・・・リゼヴィム殿。私たちに何か御用で?」

 

「んーとね。ちょっとしたお祭りをしたいからさ。その子供を貸してくんなーい?」

 

「レオナルド・・・・・?・・・・・魔獣を産み出す為か」

 

「ピンポーン!なんだか賑やかになってきたじゃない?色んなヒトが来てさぁ?だから、その人たちの為に俺は歓迎パーティをしたいのよ!終わったらちゃんと返すからいいでしょ?っておんやぁ?」

 

リゼヴィムがリースを見て意味深な笑みを浮かべて手を振った。

 

「あん時の元王女さまじゃん!なんだなんだ、俺と同じテロリストになっちゃったんだねー!なんだか元王女様と赤い糸に結ばれている感じでドキドキしちゃう!」

 

「ふざけたことを・・・・・っ!よくもノコノコと私の前に・・・・・!」

 

「あっ、俺に攻撃しない方が良いぜ?俺はVIP扱いされているからツェペシュ王の兵隊さんが俺を守ろうとするから」

 

「関係ない。ここでお前を倒して復讐を果たすっ!」

 

ブリューナクを構え、突貫しようしたリースの前に魔方陣が発現した。

 

「曹操。悪いが呼び戻させた。流石にこの状況では分が悪い」

 

「仕方がないな」

 

ゲオルクの独断で―――一誠とセカンド・オーフィスがこの場に召喚された。

 

「リゼヴィム・・・・・」

 

「うひゃひゃひゃっ!おっひさー坊ちゃん!元気にテロってますかー?」

 

「よくもノコノコと俺の前に現れたな・・・・・」

 

「うはっ!そこの元王女様と同じこと言っちゃってるよ坊ちゃん。愛だねこれは!アイラブユーっ!」

 

両手でハートの形に象ってはしゃぐリゼヴィムに一誠とリースはますます敵意と殺意を強める。

ようやく、ようやく出会えた二人の目的の人物。この場で殺せれたらどれだけ爽快な気分となるか、

全身から迸らせる魔力を最大に潜伏している城を激しく震わせる。

 

 

 

「―――っ!?」

 

一香がオーフィスと誰よりも敏感に感じ取った。現在、カーミラ派が確保したツェペシュ城下町に続くゴンドラの前に立っていた。

 

「これは・・・・・一誠の魔力」

 

「ん、イッセー。怒ってる」

 

「なんだと、本当か」

 

「本当よ。この魔力の質、一誠よ。・・・・・怒ってる。まさか、リゼヴィムと接触してしまった?だとするとマズいわ」

 

悠長にゴンドラで行くよりも独自で作ったツェペシュ城下町に転移する魔方陣で行く事に切り替えた。

そして見送りに来ていたエルメンヒルデに告げる。

 

「エルメちゃん。直ぐにツェペシュの城下町にいるであろうカーミラ派の吸血鬼たちに伝えて、吸血鬼の世界が滅んでしまいかねない騒動が起きるわ」

 

一香から告げられる言葉に目を丸くするが真摯な面持ちとなって冷静に尋ねると、こう返された。

 

「信じてもらえないだろうけれどこれは判断するあなた次第。聖杯の誘惑に負けた吸血鬼たちが邪龍と化して敵味方も関係なく町を襲いかかるわ。ツェペシュ派もカーミラ派もどちらも」

 

「―――っ!?」

 

「だから、城下町にいる市民の吸血鬼たちの非難の誘導をしてちょうだい」

 

転移用魔方陣の光に包まれ、光が弾ければ一香たちはエルメンヒルデの前からいなくなった。

残されたエルメンヒルデは考え込む。しかし、もしも本当ならばとんでもない事態となる。

側にいた吸血鬼たちに告げた。

 

「他の者たちも伝えて市民の避難誘導を!急ぎなさい!そしてカーミラ派にいる裏切り者を探し出す!」

 

「「「はっ!」」」

 

―――○●○―――

 

英雄派とリゼヴィムたちとの一戦が始まってしまった。狙いはレオナルドの『魔獣創造(アナインアレイション・メーカー)』。レオナルド本人も抵抗し、一誠たちもリゼヴィムに対して交戦する。

怒りで迸らせた魔力が潜伏地である城を崩壊させて一時混戦状態となった。

 

「倒す!」

 

「殺す!」

 

「おおう、俺っちは人気者だね!アイドルは逃げちゃう!」

 

漆黒の六対十二枚の翼を生やし、上空へ飛翔するリゼヴィムを一誠とリースは曹操の制止を無視して飛び出してしまう。

 

「曹操、あっちはあっちで任せた方がいい。厄介な悪魔がいなくなってこっちは能力を制限されずに済んだからね」

 

「つーか、多いな悪魔と吸血鬼!」

 

「ぼやくな!」

 

「戦い甲斐があると言うものだよ」

 

「倒す」

 

「ん、早く倒す」

 

ジークフリートたちは禁手化(バランス・ブレイク)と化し、臨戦態勢に入る。(何故かモルドレッドの前にエクスカリバー)。

 

「あいつ・・・・・本当に奪って欲しいのか分からん」

 

それでも好意を無化にしないモルドレッド。後で返すと何時も通りなことを考え柄を握って前に構える。

 

「ふっ。たったの数人でこの数を相手にできると思っているのか」

 

「無謀な事を。無駄な事を考える浅はかな人間たちだな」

 

二つの魔方陣が出現し、曹操たちの前に二人の悪魔―――シャルバ・ベルゼブブとクルゼレイ・アスモデウス。

 

「おーおー、頭でっかちの魔王の親族じゃねーの」

 

「僕たちを甘く見ない方が良いよ」

 

ヘラクレスとジークフリートは現れた悪魔に対して挑発する。

 

「ふん、それはこちらの台詞だ。我らも前魔王より強い力を得ているのだからな」

 

「どうせセカンド・オーフィスの『蛇』だろ?」

 

「それだけではない。今回はこちらもドラゴンを用意した。貴様ら人間が英雄と名乗れるほどの実力があれば―――倒せることも容易であろう?」

 

上空に展開する龍門(ドラゴン・ゲート)が二つ。魔方陣の光が最大に強まり弾けたその時、獣のような咆哮を発する二匹のドラゴンが顕現した。

 

『チィッ!んだ、あのイレギュラーなドラゴンはいねーのかよ!』

 

『上にいるぞグレンデル。リゼヴィムの野郎を追い掛けていっている』

 

顕現した同時につまらなげに発する浅黒い肌の人型ドラゴンの『大罪の暴龍(クリアム・フォース・ドラゴン)』グレンデル。濃霧に包まれている世界の上空に紫の双眸を向け言うのは、入り乱れた神々しさと禍々しいオーラが纏う頭部に二本角とニ対の巨大な翼を生やし、白と黒の紋様みたいな模様が全身に広がり、尾が二尾なドラゴン―――『天の邪龍』アリュウ。

 

「さぁ、邪龍たち。目の前の人間を蹂躙せよ!」

 

「お前たちの力を存分に―――!」

 

『誰がテメーらの言う事なんざ聞くかよ。俺はあのイレギュラードラゴンと戦うって決めてんだからよ!』

 

間髪入れずに拒否され、グレンデルが一誠の方へ向かってしまった。『同じく』とアリュウまでもグレンデルに続いて空へ飛翔した。意気揚々と二匹のドラゴンに命令した二人の悪魔が拒まれてしまった事実に

 

「・・・・・ねぇ曹操、笑っていい?僕、堪え切れないんだけど・・・・・くくっ」

 

「支配し切れていない姿を見せられては何とも言えないぞシャルバ、クルゼレイ」

 

「だっはっはっは!だ、だっせぇー!」

 

英雄派が嘲笑する切っ掛けを与えてしまったのだった。

 

「お、おのれ・・・・・っ!」

 

「よくも恥を掻かせてくれたなっ!」

 

「「「いや、お前らが勝手に恥を掻いただろう」」」

 

「「同感だ」」

 

「「・・・・・」」

 

上空から聞こえる轟きの下にいる曹操たち。何とも形容し難い雰囲気となったが、やることは変わりない両者。

 

「あの人間のガキを捕まえろ!」

 

「計画とは違うが人間の敵を倒すぞ」

 

 

 

一香の転移魔法で直接ツェペシュ城下町に侵入した面々の目と耳に飛び込んでくるのは阿鼻叫喚。

上を見上げれば真紅の巨大なドラゴンが二匹のドラゴンと戦っていたり、耳を傾ければどこか戦場と化している音が聞こえる。

 

「グレンデルとアリュウ、久しい」

 

「これはまた意外な場所で再会するな」

 

最強のドラゴン組がアリュウを見て呟くとアザゼルが指摘した。

 

「クロウ・クルワッハ、一誠のところに行ってグレンデルとアリュウを撃退してくれ。その後は一誠だ。地上にたたき落とせ」

 

「言われるまでもないさ。久々に強いドラゴンと戦えるのだからな」

 

漆黒の翼を生やし、物凄い勢いで空を飛翔する様子を見届け、アザゼルたちは戦場と化している場所へ駆けだすと―――。

 

「―――英雄派と・・・・・シャルバとクルゼレイに吸血鬼どもだと?」

 

「争っているな。味方同士ではないのか?」

 

「テロリストは一枚岩じゃないってことだ。まぁ、一方的に英雄派が優先しているがな」

 

「アザゼル、私たちはどうすればいいの?リゼヴィムから聖杯を奪わないといけないでしょ?」

 

「そのリゼヴィムは上空にいるわよ」

 

と、一香が告げるとまたしても誠輝が空へ飛びだした。

 

「あいつ、リゼヴィムになんてバカにされたんだ?」

 

執着心凄いだろうと呆れを通り越して感心するアザゼル。

 

「まあいい。俺たちは町の住民の避難の誘導と目の前の敵を打破に専念だ。二手に分かれんぞ」

 

「東門に地下シェルターがある。そこを避難所にしよう」

 

「私と誠が率先して住民を避難させるから他の皆もそうして」

 

一香と誠は二手に分かれてどこかに行ってしまったことでリアスたちも行動を開始する。

 

「イッセーはどうする?」

 

「空にいるんじゃ、お前らみたいな翼を持つ者や魔力を持ってるやつじゃきゃいけない。クロウ・クルワッハに任せておけ」

 

「・・・・・分かったわ」

 

リアスたちは英雄派と悪魔、吸血鬼の混戦に飛び込む―――。

 

 

 

『グハハハハァッ!久し振りだなぁイレギュラードラゴンっ!』

 

『俺のことあの時の約束を覚えているか?―――さぁ、あの時の続きをヤろう!』

 

二匹のドラゴンが一誠に迫り掛かる。対して一誠は目の前のリゼヴィムに集中したいが為にグレンデルとアリュウに横やりで邪魔されては堪ったものではない。一度、龍化したものの改めて人の形に戻って―――。数多の分身体を増やしては全部龍化にさせてグレンデルとアリュウに当てた。

 

『うほっ!グレートレッドがたくさん!』

 

『相手が困らないな』

 

嬉々として受け入れ、自ら真紅の龍の軍団に飛び込んだ。それを見届け、リースが必死に槍を振って倒そうとしているリゼヴィムに攻撃をしようとした次の瞬間。真下から赤い鎧が上昇してくるのを確認した。

リースに接近してリゼヴィムから離すと赤い鎧がリゼヴィムとぶつかり―――鎧が光と化となって消失し、中身の人間が地上に逆戻り。

 

「あれはなに?」

 

「知らない」

 

その人間に対してリゼヴィムが笑いながら巨大な魔力弾を放って攻撃。その攻撃を間一髪鎧を再び纏うことで難を逃れた。―――誠輝は何かに駆られているかのようにそれから何度も何度も殴り掛かり、蹴り掛かり、魔力で攻撃を仕掛けたりしていたのだが、

 

「あー、何度も俺に攻撃したって臆病なチミの攻撃は効かないんだけどぉ~?」

 

リゼヴィムは欠伸をしながら誠輝の攻撃を無効化にし、赤龍帝の鎧(ブーステッド・ギア・スケイルメイル)を解除する。それでも誠輝が攻撃の手を止めない事で次第に苛立ちと億劫そうな面持ちとなり、

 

「んっもう、元王女と坊ちゃんの相手をしたいからチミは退場!」

 

鎧を解除し、すかさず刃化した翼で誠輝を切り刻んだ。

 

「うひゃひゃひゃっ!じゃーねー!」

 

 

 

ちくしょうちくしょうちくしょうちくしょうちくしょう・・・・・っ!

 

「何で、何で俺の攻撃が通用しないんだぁっ!」

 

『リゼヴィムが相棒の攻撃を無効化している。それを何度も体験しているのに分からないとは言わさないぞ』

 

「ドライグ、テメェ、天龍なんだろうが悪魔ごときにやられるほど弱くないんだろうっ!」

 

『古の戦争で神器(セイクリッド・ギア)として魂を封印された俺は宿主に力を貸し与えるだけだ。弱いのは宿主の相棒たるお前の実力不足だ』

 

「お前が俺に天龍の力を全て寄こさないからだろうが!」

 

『無理言うな』

 

何度目かの鎧を装着し、誠輝は上を見る。リゼヴィムは楽しげに動いて一誠とリースと戦っている。

リースはドラゴンで神器(セイクリッド・ギア)の所有者ではない為、伝説の武器であるブリューナクで戦っていて、一誠はドラゴンの翼を生やし、伝説の武器であるフラガラッハでリゼヴィムに斬り掛かっていた。

 

『見ろ相棒。何も赤龍帝としての力だけじゃ戦いじゃないんだ。相手の特性を把握しそれに対応する戦い方をまだ兵藤一誠は分かっている』

 

「・・・・・っ」

 

『相棒が鎧を纏い攻撃を止めない限り、リゼヴィムには一切届かんよ』

 

呆れも侮辱も嘲りも含んだ声音ではなく淡々と現実を突き付けるドライグ。

 

 

 

「今度こそ、あなたたちを見逃しません!」

 

「ちっ、次から次へと・・・・・」

 

舌打ちし、ルーラーに攻撃の矛を構えてエクスカリバーを振るった刹那。

 

ガッキィィイイイイイインッ!

 

たったの一合でモルドレッドはルーラーの実力を理解した。

以前剣戟し合った時より段違いの強さを剣に籠っていた。―――確実に自分より強くなっている。

 

「・・・・・この短期間でどんな修行をしてきたというんだっ」

 

「地獄を体験したほどです!」

 

「訳の分からない事を。オレは負けるわけにはいかないんだっ!」

 

 

「くっ、この吸血鬼野郎っ・・・・・!」

 

「邪眼か・・・・・っ!」

 

「ぼ、僕だってグレモリーの男子なんだっ!」

 

ヘラクレスとジークフリートはギャスパーの赤く妖しく煌めく邪眼により身体を停止されていた。

 

「ちくしょう、曹操とゲオルクはどうしたっ」

 

「今回は本気のようだよ。ゲオルクが苦戦しているなんてね・・・・・!」

 

ジークフリートが見る先に一香と和樹のコンビネーションによる魔法攻撃でゲオルクが防戦一方に強いられている。曹操は誠、オーフィスはセカンド・オーフィス、残りのレオナルドは―――。

 

「捕えたわよ」

 

リアルの滅びの魔力が具現化した巨大な手の中に。その気になれば滅びの魔力の中でレオナルドを消滅させることができる。そうならない為に下手な動きができない。吸血鬼と悪魔はアカメやエスデスと手が空いている面々が相手をしている。

 

「残るのは上にいる兵藤一誠とリースだけってか」

 

「リゼヴィムが上に行ったからね。僕たちの事気付いていないよきっと」

 

と、そう口にしたその時だった。上空から赤い物体が落下してきて墜落と同時に大きな揺れを発生させたのだった。その揺れにギャスパーが停止していた二人から目を離してしまい、ここぞとばかりギャスパーの視界から隠れた。

 

「兵藤一誠が落ちてきた?いや、そのおかげで助かった」

 

「よーやく自由の身になれたぜ」

 

ゆっくりと動く赤い物体こと一誠の全身はダメージを負っていた。真紅よりも濃厚な色の深紅の液体を身体中に流し、壮大な翼がボロボロだった。そんな仲間を見てヘラクレスが尋ねた。

 

「おい、大丈夫かよ」

 

『・・・・・やり辛い。リゼヴィムどころじゃない。クロウ・クルワッハが邪魔立てする』

 

「最強の邪龍にまで目を付けられていたのか。納得だよ」

 

『そっちは大丈夫・・・・・?』

 

「今回はヤバいよ。何故か知らないけど皆本気だ」

 

苦笑を浮かべるジークフリートの視界にアカメが映り込んだ。

 

「当然だ。皆、本気で戦いに来ているのだからな」

 

「僕たちとしては大いに迷惑だよ。今回はリゼヴィムたちと戦う予定だったのにさ」

 

「私の目標は英雄派とリゼヴィム。そして兵藤一誠だ」

 

腰に差していた銃を手にして一誠に向かって突き付けた。それにはヘラクレスが嘲笑の笑みを浮かべる。

 

「はっ!んなチャチな物で兵藤一誠がどうなるってんだよ!」

 

「これは―――他の者にはできない。私しかできない事だ」

 

『・・・・・?』

 

「最初に謝っておく。すまない」

 

引き金に掛けている指に力を込め、そして―――黒い銃口から黒い弾丸が放たれた。弾丸は大気を貫き、真っ直ぐ巨大な金色の眼に吸い込まれて・・・・・一誠にとっては蚊に刺された感じで眼に異物感を覚えた。

 

『・・・・・なんだ?』

 

ゴシゴシと眼を擦る。

 

「へっ!たかが銃なんかでこいつが―――」

 

ヘラクレスがアカメに嘲笑い、一誠を自慢げに発しようとしたが、ジークフリートは驚きで目を丸くしていた。

擦っているうちに一誠の身体に異変が起きていたのだ。

 

ごぼっ・・・・・。

 

一誠は口から何かを吐きだす。―――血の塊だった。

 

『ぐはっ!』

 

吐きだした途端に苦しみだして、膝を突く。その身体は既に震えに震えていた。

地面に四つ這いになりもう一度、血の塊を盛大に吐いたところで曹操たちは一誠の異変に我を返る。

 

「一誠!?」

 

「お、おい!?どうしたってんだお前っ!?」

 

敵に背中を向け、一誠に駆け寄る英雄派。

 

『こ、これは・・・・・・グオオオオオオアアアアアアアアッ!!!!!』

 

いま、一誠の身体中に形容し難い激痛が襲っている。全身の神経を破壊し、浸食していく何かを感じながらも

自分を苛む激痛に堪え切れず、敵味方など見境なしに暴れまわりツェペシュ城下町にまで被害をもたらす。

一誠の異変にジークフリートはアカメに目を細めて問いだたす。

 

「アカメ、さっきの銃弾はなんだったんだい。あの銃弾が原因だよね」

 

グラムを構え、戦意の炎を瞳に滾らす。あの一誠が血反吐を吐くような様子は見たことがない。

アカメが放った銃弾が原因だと悟り、アカメはジークフリートの問いかけにこう答えた。

 

「毒だ」

 

「毒・・・・・?」

 

「―――サマエルとか言うドラゴンに効く毒だそうだ」

 

「「「「「―――っ!?」」」」」

 

曹操、ジークフリート、ゲオルク、ヘラクレス、モルドレッドが目玉が飛び出んばかりにアカメの口から出た毒の正体に絶句し、愕然とする。

 

「バカなっ。あれは我々しか保有していない代物だぞ!?どうしてお前たちがサマエルの血を持っているのだ!」

 

ゲオルクが信じられないと叫ぶ。

 

「しかも、サマエルの呪いを知らないはずがない。―――兵藤一誠はその呪いを食らって一度死んだのだぞ。お前たちは兵藤一誠を殺す気なのか?」

 

「私たちはどんな手を使ってでも兵藤一誠を奪還すると決めた。コレは最後の手段だ」

 

ガチャと銃を見せびらかしつつ一誠に赤い目を向けた。暴れ回る事を止め、その場で蹲って激痛に唸る真紅のドラゴンをリースが上空から降りて来て必死になって声を荒げながらも話しかけ続けた。

そんなアカメに曹操は非難する。アカメだけじゃなく対テロ組織混成チームに。

 

「人の事は言えないが・・・・・お前たちは狂っているな。愛おしい男に究極の毒と呪いを盛るなど。兵藤誠さん、兵藤一香さん。自分の息子があんなに苦しんでいるのに何とも思わないのですか?あなた方ならもっと他に手段があり、一誠を私たちから奪うことができたはずです」

 

曹操の厳しい目を真正面から受け止め、二人は返す。

 

「否定はしないわ。だけど、これも手段の一つなのよ。戦いってものは時に残酷な事もある」

 

「呪いが全身に回る前にこの場から連れて行くだけだ」

 

と、誠がそう言うが―――そうは問屋が卸せなかった。

 

「ありゃりゃ?なんだか坊ちゃんが苦しそうだねぇ?大丈夫ー?」

 

上空からリゼヴィムとグレンデル、アリュウが舞い降りてきた。

 

「あっ、坊ちゃんのパパンとママン!おっひさー!すんごい久し振りだよー!」

 

「よー、リゼヴィム。なんだか悪戯をしているそうじゃないか。そろそろ悪戯を止めて冥界に帰る気は無いか?」

 

「うひゃひゃひゃっ!まだまだ帰るつもりもないってばよ!というか、俺は異世界に行ってみたいんだよおっちゃん!」

 

「異世界に行ける方法を見つけたのか?」

 

「当然でしょ!でも、それにはグレートレッドが邪魔だ。あのおっきな赤いドラゴンをどうにかしなくちゃいけないんだけどさそこはもう大丈夫!もうその方法も見つけて今絶賛奮闘中なんだよ!」

 

意味深なことを言いだすリゼヴィム。グレートレッドをどうにかする方法とは一体何なのか、リゼヴィム以外の全員が怪訝な気持ちを抱いた。

 

「どういうことだ。グレートレッドを倒す方法なんてそんなあるはずが―――」

 

「同じ黙示録に登場する獣ならどうよアザゼルのおっちゃん?」

 

「―――っ!?」

 

アザゼルの顔が青く染まった。

 

「あれは存在の可能性があるだけでどこにいるのかも未だ各勢力で議論の最中だったはずだ!」

 

否定したい気分にはいられなかった。しかし、リゼヴィムは優越感が浸っている笑みを浮かべ、明かした。

 

「んーふふふ、それがねぇ。いたのよ。―――坊ちゃんの聖杯を使って生命の理に潜った結果、俺たちはついに忘れ去られた世界の果てで見つけちゃったのよねー。だがねぇ、どうにも先にあの黙示録の獣を見つけて、かたーく封印施した方がいたんだなぁ、誰だと思う?ねぇねぇ、誰だと思うよ?」

 

リゼヴィムは亜空間から聖杯を出してそれに投げキスをしながら言った。

 

「―――聖書の神さまさ。あんの神さまは凄いね。俺らよりも先に見つけてそいつを何千という封印術式で封じちゃっていたんだよねぇ。しかも凶悪かつ禁止級の封印術式がわんさか掛けてあったんだぜぇ?」

 

その衝撃の事実に誰もが言葉を呑んだ。

 

「俺らはあの獣を復活させて、グレートレッドを撃破、撃滅、撃退させちまったら、復活邪龍くん軍団と黙示録の獣を引き連れて異世界に殴り込みかけんのよ!あっちの世界も神々、魔物、生物共を一切合切、蹂躙、全滅しまくって俺だけのユートピアを作るつっつーわけだッ!うひゃひゃひゃひゃひゃひゃッッ!」

 

嫌な笑いをあげるリゼヴィム。愉悦に包まれる笑みで続ける。

 

「んー、想像するだけでイッちまいそうになるよなぁ。あっちの神話によ、こう刻まれるかもしれないんだぜ?『異世界より来たりし邪悪なる存在は、強大な獣と、邪龍の群れを引き連れ、この世界に災いをもたらした―――』とかよッ!どーせ、こっちの世界じゃ俺はただの前魔王ルシファーの血を引く者に過ぎねぇだろうよ。けどよっ!異世界じゃ唯一無敵の大魔王ルシファーさまになれっかもしれねぇじゃん!?」

 

「まさか、私の国を、町を、大切な家族を殺したのはその為・・・・・・?」

 

リースが大きく目を見開いた状態で放心気味に言った。リゼヴィムは元王女の言葉を耳にして

心底愉快に口の端を吊り上げて笑った。

 

「そうそう、その通りだぜ元王女さま!それにほら、決め台詞、決めポーズって大事だろう?異世界に侵略し最初に壊した、滅ぼした、蹂躙した大きな国家や勢力の暁に俺さまの名を異世界の全世界に知らしめるためにはどーしても必要な事!だ・か・ら!どこでもいいから適当な国でその練習をしたってことさ!」

 

「―――っ!?」

 

ガクリと足の力を無くなって地面に座り込み、そんな理由で大切な物を全て奪われたとリースの心に大きなショックを与えられた。

 

「彼女・・・・・もしかしてあの国の生き残り・・・・・?」

 

「話からすればそう考えるのが妥当だな。一誠と同じ理由で・・・・・。―――っ!?」

 

『リゼヴィム・・・・・ッ!』

 

毒と呪いで瀕死の重体になっている一誠が隻眼となった目でリゼヴィムに巨大な拳を振り上げていた。

 

「およよ?坊ちゃん、結構苦しそうなのにお祖父ちゃんに構ってくれるなんて嬉しいね!でもよ?もうそんな状態の坊ちゃんと遊ぶ気は失せたわ」

 

巨大な魔力の玉を放って一誠を一蹴する。

 

「うひゃひゃひゃっ!サマエルの毒つったか?とんでもないもんを使うね!可愛さ十倍憎さ千倍ってことかなぁ?英雄派もそれを使って坊ちゃんを殺したんだから皆、坊ちゃんのこと好きじゃないんだね!うひゃひゃひゃっ!」

 

「黙れっ!」と怒声があがる。しかし、リゼヴィム何か閃いたのか、ポンッ!と両手を叩いた。

 

「そうだ、良い事思い付いた!坊ちゃんを洗脳している曹操の嬢ちゃんたちのように俺も坊ちゃんを洗脳しちゃおう!黙示録の獣と一緒に坊ちゃんもグレートレッドと戦わせちゃって一緒に異世界侵略の戦力にしちゃえばいいんだ!あったまいいー!」

 

『―――っ!?』

 

とんでもない事を言いだすリゼヴィムを絶句する一同。同時に―――。

 

「きゃっ!?」

 

リアスが悲鳴をあげた。誰もが振り返りその目で確認すると、地面にひれ伏しているリアスと

 

「リゼヴィムさま。捕えましたぞ」

 

「レオナルド!」

 

シャルバの腕の中のレオナルド。転移魔方陣でクルゼレイと共にリゼヴィムの横に現れる。

 

「お疲れさん。さてさーて?さっそくすんごい魔獣を作ってもらおうじゃないの」

 

魔方陣がリゼヴィムの手によって展開し、側に浮かせた聖杯と一緒にレオナルドに突き付けた。魔方陣の悪魔文字が高速で動き聖杯が光り輝いた途端にレオナルドが叫んだ。

 

「うわぁぁぁぁぁあああああああああああああああっ!」

 

絶叫を張り上げて、苦悶の表情を浮かべた。それと同時にレオナルドの影が広がっていき、ツェペシュ城下町を覆うほどの規模となっていく。

 

「止めろっ!兵藤一誠との修行を末に成長したとしてもいきなり所有者のキャパシティを超える事をすればレオナルドの身に危険が起きる!」

 

ゲオルクの制止の叫びにも耳に傾けず、寧ろ楽しげにリゼヴィムは言う。

 

「うひゃひゃひゃっ!そーら、世界に混沌を、恐怖を、絶望を、ありとあらゆる全ての存在を滅ぼす魔獣を作ってもらおうじゃないの!これが異世界に侵略する第一歩の始まりだぜぃっ!」

 

ズオォォォォォォ・・・・・。

 

レオナルドの影から何かが生み出されていく。影を大きく波立たせて、巨大な物が頭部から姿を現していく。

―――規格外の頭部。大き過ぎる胴体、極太の腕、それらを支える圧倒的な脚。

ツェペシュ城下町を埋め尽くす程に広がったレオナルドの影から生み出されたのは―――。

 

『ガァァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッ!』

 

鼓膜が張り裂けそうなほどの声量で咆哮を上げる―――全長六百メートルの常闇のドラゴンだった。

英雄派、対テロ組織混成チームの一同はその巨大な化け物に目を丸くし、絶句した。

 

「うひゃひゃひゃひゃっ!最っ高ぉぉぉぉおおおおおおおおっ!これだよこれ!俺が欲しかった異世界侵略の為に是非とも連れて行きたい邪龍くんだよ!さーて、今度はもっと邪龍くんを増やそうじゃん!」

 

パチンと指を弾いた。

 

「―――まさかっ!」

 

アザゼルが顔を青ざめた。同時に頭の中である言葉が過ぎった。

 

 

―――男尊派のツェペシュと女尊派のカーミラに災いが起きた―――

 

 

「リゼヴィム・・・・・本当にツェペシュ派とカーミラ派の吸血鬼たちを量産型邪龍にしたって言うのか!?」

 

「んー?どうしてアザゼルのおっちゃんがそんなこと知ってるんだぁ?」

 

不思議そうにそう言いつつ首を傾げた。それはアザゼルの言葉は肯定であるとリゼヴィムが認めたのだった。

それと同時に町中から禍々しいオーラを解き放ち、飛び回り始める黒いドラゴンたちが出現し始めた。

 

「・・・・・異世界の兵藤一誠の言っていたことが本当になっちまったな・・・・・っ!」

 

険しい表情で異世界の兵藤一誠の言葉を思い返し、運命を変えることができず悔しい思いで胸が一杯になった。

 

「そんじゃ、後は坊ちゃんを手に入れるだけだね!邪龍くん!あの赤いドラゴンを捕まえちゃって!」

 

リゼヴィムの指示に従う常闇のドラゴン。巨大な魔の手を伸ばし、一誠を鹵獲しようとする。

 

「させんっ!」

 

常闇の邪龍の周囲の地面から巨大な氷柱が。それはあっさりと常闇の邪龍の身体に突き刺さったが、貫かれても平然と一誠に手を伸ばす。

 

「ならば、氷れ!」

 

エスデスは攻撃を変えて、一瞬にして氷の牢獄の中に閉じ込めた。すかさず、誠がその氷に向かって拳を突き付け、常闇の邪龍ごと氷を粉砕した。

 

「これで二度と復活はでき―――」

 

できないと言い掛けた誠の視界に黒い靄が一ヵ所に集い始め、光が弾けた瞬間にリゼヴィムの常闇の邪龍が元の姿に顕現した。

 

「うひゃひゃひゃっ!俺がただの邪龍を作ったんじゃねーぜ?―――この世の負と悪を吸収して復活する最強の邪龍くんだ!聖杯の力も加わっているから尚更強いぜ!」

 

「なら、我が倒す」

 

オーフィスが手元を光らし、常闇の邪龍を完全に呑みこむほどの極太の魔力砲を放つ。

量産型邪龍になった成れの果ての吸血鬼たちがその余波で消し飛ぶほどの威力は濃霧の結界をぶち破り、

隔離していた世界にぽっかりと巨大な穴が開いた。しかし―――オーフィスの一撃でもリゼヴィムが言うこの世の負と悪意を吸収して常闇の邪龍は復活を果たす。

 

「んーふふふっ!どーやらオーフィスでも勝てない相手みたいだねー。逆も然りだけどさ」

 

「なんてもんを創造しやがったんだ・・・・・っ!」

 

「この世界の負と悪いを吸収して復活するんじゃあ、魂を削っても復活されちゃうんじゃ・・・・・・」

 

「勝てない・・・・・こればかりは流石に・・・・・」

 

誰もが目の前の不死のドラゴンに戦慄し畏怖の念を抱いた。どうやって倒し、勝てばいいのだろうと―――。

 

「ではでは、この邪龍くんの一撃を見て体験してもらおうじゃないか!」

 

もう一度指を弾いたリゼヴィムに呼応して常闇の邪龍は妖しく目を煌めかした。

顎が外れんばかりの大きく口を開けて―――オーフィスの放った攻撃の二倍以上の大きな黒い魔力が天を穿つと彷彿させるよう天に向かって放ったのだった。その魔力は二手に分かれるだけじゃなく、枝分かれし始め、ツェペシュ城下町だけじゃなく、彼方の方へ、カーミラ城下町へと飛来し―――。

 

ドドドドドドドドオオオオオオオオオオオオオンッ!

 

リゼヴィムの笑い声と共に常闇の邪龍の魔力の雨が降り注ぐ―――!

 

―――○●○―――

 

辺りは廃墟と化した。建物らしい建物は横たわっている一誠以外は無く、常闇の邪龍の力が示された。

 

「皆、大丈夫?」

 

一香が筆頭に防御魔方陣を張っていてくれたおかげで味方に被る被害は皆無に。

しかし、ヴァレリー、アルトルージュ、ギャスパーにしてみれば、生まれ育った故郷の惨状と凄惨にただ呆然と立ち尽くす。

 

「くそったれっ!あの邪龍は危険極まりない!」

 

「ああ、殺しても死なない相手はとても厄介だ。邪龍の筆頭格と数えてもいいぐらいだぞ?」

 

「倒すことができないなら封印するしかないわ。でも、いまの私たちにその手段が・・・・・」

 

常闇の邪龍の前になす術もないと漏らす。そして、英雄派たちは・・・・・。

 

『リ・・・・ゼ・・・・・ヴィ・・・・ム・・・・・がはっ!』

 

血反吐を吐きながらも曹操たちの近くでゆっくりと起き上がる。全身は常闇の邪龍の攻撃でボロボロの上にサマエルの呪いと毒で瀕死の重体。それでも記憶を封印されてもリゼヴィムに対する感情だけは満身創痍だろうがなんだろうが目の前に入る復讐する相手を見逃すことはできないという執念によって一誠を突き動かす。

 

「動かないで!あなたはとても戦える状態じゃない!」

 

「ダメ・・・・・!」

 

「動くな!更に毒が全身を回っちまう!」

 

リース、呂綺、モルドレッドが制しても一誠は常闇の邪龍と対峙する。その様子と光景にアザゼルたちは苦虫を噛み潰したような表情となる。

 

「曹操、どうする。アレはドラゴンのように見えるがレオナルドの能力で創造した魔獣だ。試しにジークフリートのグラムで攻撃してもらおうか?」

 

「いや、その必要は無い。私たちは撤退する。一誠の命を優先だ」

 

「・・・・・そうだな」

 

サマエルの毒と呪いで瀕死の重体にも拘らず身を呈して守ってくれた赤いドラゴンと共々、魔方陣の光に包まれ出す。

 

「待ちなさい!」

 

「そーだぜ?もうちょっとお祖父ちゃんと構って欲しいって」

 

リアスの制止に笑みを浮かべリゼヴィムも同意した。しかし、曹操たちは魔方陣の光と共に弾けて姿を消した。

 

「あーりゃりゃ、逃げられちった」

 

刹那。上空から伸びてきた赤い極太の光に呑みこまれたリゼヴィムを誰もが目を丸くした。

魔力の波動を察してアザゼルは上空に目を向けた途端、焦りの色を浮かべ出した。

 

「マジか・・・・・っ!?」

 

「え・・・・・?」

 

「あいつ―――覇龍(ジャガーノート・ドライヴ)を発動しやがった!」

 

舞い降りてくる赤い物体。それは―――赤いドラゴンだった。どこか赤龍帝を彷彿させるが、

姿形は大きく変わっていた。理性を窺わせない緑の瞳。人間サイズだった大きさは一回りも二回りも大きくなって

鋭く鋭利な爪と牙を生やし、身体の大きさに相応な尻尾、赤い龍と化した誠輝がアザゼルたちの前に変貌した姿で舞い戻って来たのだった。

 

『ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!』

 

強制的に力を解放する意味を指す覇龍(ジャガーノート・ドライヴ)。理性と知性を失って命を削る名高く強力なドラゴンを宿す神器(セイクリッド・ギア)しか発動しない諸刃の剣。赤龍帝は目の前に映る者が全て敵であるように獣染みた咆哮を上げた。攻撃を受けたリゼヴィムは―――漆黒の十二枚の翼で赤龍帝の攻撃を完全に防ぎきっていた。

 

「およよ?こいつは見事な化け物になっちまったなぁー♪」

 

攻撃の対象者はリゼヴィム・リヴァン・ルシファー。爪で悪魔の身体を引き裂こうと手を振るったが

リゼヴィムが使役する常闇の邪龍によって阻まれた。

 

「うひゃひゃひゃっ!残念無念また来週ー♪邪龍ちゃん、あの赤い龍を攻撃して?」

 

常闇の邪龍は身体から無数の触手を生やし出して赤龍帝に迫る。迫りくる攻撃を迎撃する赤龍帝は距離を置いて

開いた口から覗かせる砲身を常闇の邪龍に向けつつ赤い光を集束し始める。

 

 

『BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost!!!!!』

 

『ロンギヌス・スマッシャーッッッ!!!!!』

 

 

緑色の極太の魔力が砲撃と化し、常闇の邪龍に放つ。だが、常闇の邪龍は周囲から集まってくる黒い靄を身体に覆い尽くすと赤龍帝の攻撃は黒い壁に阻まれるどころか呑みこまれてしまい、攻撃を無効化された。

 

覇龍(ジャガノート・ドライヴ)を発動した赤龍帝ですら通じんとは・・・・・!」

 

命を削ってでもリゼヴィムを倒そうとしている赤龍帝は意味無く確実に寿命を縮めている―――。

赤龍帝と常闇の邪龍の戦いを見守る一同の目にはついに目を大きく張る光景を目の当たりにした。

黒い無数の触手に全身を巻きつかれ、あっという間に常闇の邪龍の身体の中へと底なし沼のように呑みこまれ消えた。

一拍して常闇の邪龍が赤いオーラに包まれ出すに呼応して全身が変形していく。

 

「ありゃ・・・・・何の冗談だ・・・・・っ!?」

 

アザゼルの脳裏に浮かぶ赤い龍を彷彿させる常闇の邪龍。それが六百メートルという巨大な大きさで姿が変わったのだから驚かずにはいられなかった。

 

「完全に・・・・・『赤い龍(ウェルシュ・ドラゴン)』ドライグじゃねぇかっ!」

 

「うひゃひゃひゃっ!言ったじゃん、この邪龍くんには聖杯の能力も付け加わっているって!赤龍帝のガキんちょからドライグくんの情報を抽出した元で得た姿と力なのさ!」

 

ペッ!

 

口から何かを吐きだし、アザゼルたちの前に落ちた。それはオリジナルの赤龍帝だった。

 

「あっ、臆病で弱っちい化け物になってまで命を削った赤龍帝は返すね。いらねぇからさ」

 

常闇の邪龍から吐きだされた赤龍帝に向かっての侮蔑。白眼を剥いて気絶している赤龍帝だが、左手の赤い籠手にある光る緑の宝玉が弱々しく点滅していた。

 

『ははは・・・・・なんということだ。まさか、自分を見ることになろうとはな。もはや、向こうのほうが赤龍帝と言われても仕方がないぐらいだ』

 

それを聞いてリゼヴィムはにんまりと笑んだ。

 

「あはっ!ドライグくんが認めてしまったねぇ?んじゃ、この邪龍がキミの代わりとしてこの姿でいる時は『赤い帝王龍(ウェルシュ・ドラゴン)』ドライグと呼んでおくぜぃ!」

 

『・・・・・』

 

緑の宝玉がやがて光を失い、赤い籠手も光と化となって消失した。

 

「機能停止・・・・・?いや、この状況を終えてから調べるとしても

 

「まだか・・・・・っ!」とアザゼルは若干焦心に駆られる言葉を発した。

 

「え?」

 

リアスは気になる発言をしたアザゼルに振り返った。「アザゼル、いまなんて言ったの?」と。

何か他に策があるような言い方で自分たちの知らないところで何かをしていたと思わせるアザゼルに問う。

いや、問いかけようとしたその時だった。―――この場にいくつものの魔方陣が出現し、リアスにとって見慣れた人物たちが弾けた魔方陣の光と共に顕現した。

 

「―――お兄さま、それにシルヴィアと―――グレモリー眷属!?」

 

サーゼクス・グレモリーとシルヴィア・ルキフグスを筆頭にするサーゼクスの眷属悪魔たち。その中にはグレイフィアがいた。

 

「リゼヴィム殿。これ以上貴殿の思い通りにはさせません」

 

「あはっ!サーゼクスちゃんじゃないのー。なになに?眷属を率いて俺たちと勝負しようって?」

 

ウキウキと楽しげに声を弾ませるリゼヴィムの目に更なる魔方陣が。

 

「リリン。いえ、リゼヴィム・リヴァン・ルシファー。あなたの敵は冥界だけではございませんよ」

 

「ミカエルさま・・・・・!?それに四大セラフの方々まで!?」

 

イリナが素っ頓狂な声を張り上げる。

 

「もしも―――」

 

アザゼルの声は一同の意識を集める。

 

「もしも、一誠の奴がサマエルの呪いと毒でも倒れずにいるか、リゼヴィムが事を成功させた以上の事を仕出かしたら冥界と天界側から増援をして貰えるように手配していた。ったく、おせーぞお前ら」

 

ミカエルとサーゼクスは笑みを浮かべるだけで直ぐに真摯な面持ちでリゼヴィムを見据える。

 

「おーおー、悪魔、堕天使、天使が勢揃いじゃん?でもでも、それでも俺たちは負けないね!なんたってこの邪龍軍団がいるんだからよぉっ!」

 

高らかに誇らしげに、そして自慢げにグレンデルやアリュウ、常闇の邪龍と量産型邪龍をバックにして宣言する。

 

「アザゼルを通じて見させてもらったよ。とんでもないじゃ龍を創造してくれたねリゼヴィム殿」

 

「んーふふふっ!サーゼクスくんの消滅やミカエルくんの光も一切通じないぜ?そうだなー。―――終焉と災禍の帝龍王(カオス・エンペラル・ドラゴン)ゾフィリス。って、名づけようかな!」

 

名前が決まったところでリゼヴィムはゾフィリスをアザゼルたちに嗾けようとする。

 

「んじゃー、愉快に勢揃いしたところで、このゾフィリスや邪龍軍団と一勝負する?」

 

愉悦に満ちた顔で挑発した。邪龍たちもいまかいまかとリゼヴィムの次の言葉を待ち、雰囲気を汲んで待機。

対テロ組織混成チームや増援として駆け付けたサーゼクスたちとの間に緊張が走る中に

 

「お?」

 

リゼヴィムの耳の側に小型の通信式魔方陣。ふむふむと耳を傾け誰かの話を聞いた。

そして、笑みを浮かべ首を立てに振りだす。

 

「ざんねーん。ユーグリットくんから帰って来いって言われちゃったから俺たちは帰らせてもらうぜ」

 

「なんだと?」

 

「うひゃひゃひゃっ!あ、でも安心して?―――今度は冥界と人間界に災いをプレゼントしちゃうから!その宣伝として今回は量産型邪龍をプレゼントしちゃいます!」

 

リゼヴィムを中心に魔方陣が展開して弾ける光と共にこの場からいなくなり、残された邪龍たちは大挙としてアザゼルたちに迫った。

 

―――○●○―――

 

程なくして量産型邪龍はアザゼルたちの活躍によって倒され尽くし、壊滅状態のツェペシュ城下町からいなくなった。

 

「・・・・・貴殿らの働きに心から感謝する」

 

土下座をするツェペシュ王。その背後に生き残った王族の吸血鬼たち。壊滅した城下町は誠のとっておきの能力で元通りに戻った。それはカーミラの城下町も同じでこの場に馳せ参じたカーミラ王女も感謝の意を示した。

 

「大変だったな。裏切り者が身内にいるなんてさ」

 

「それに関しては我々の落ち度。貴殿らの懸命な働きがなければさらに被害が増えていただろう」

 

「んじゃ、三大勢力と和平を結んでくれたらコレでチャラってことでいいか?リゼヴィムに対する協力態勢を求めたいんだが」

 

「・・・・・致し方ない、とは救ってくれた者たちに対する言葉ではないな」

 

言葉にはしないが暗に三大勢力と和平・協力を結ぶ事を受け入れたツェペシュ王。カーミラ王女も肯定。

 

「我が娘よ。ヴァレリー、見ない間に大きく成り綺麗になったな」

 

「はい、お父さま・・・・・」

 

「人間界は・・・・・世界は楽しいか?」

 

ヴァレリーはニコリと微笑んで頷いた。ツェペシュ王は一人の父親としてこう告げる。

 

「好きなように生きるがいい。だが、たまにはこの地に帰ってくるように」

 

「ありがとうございます」

 

その後、

 

「はーい、アルトルージュ」

 

「何であなたがここにいるのよ」

 

「だってあの後、男尊派と女尊派の両王がさ?あの一件で反省したのかくだらない決め合いをしなくなって昔みたいに隔てなくなっちゃたのよ。つまり意地とプライドを捨ててお互い協力し生きるようになったわけ」

 

「そう、それは前よりマシになったのね。で、それを言いにここに来たわけ?」

 

「あはっ♪」

 

「・・・・・そういうこと。用件は銀髪のメイドに言いなさい」

 

一人の吸血鬼がずうずうしく転がり込んできた。

 

 

 

 

 

―――Boss×Boss―――

 

「アザゼル。彼、赤龍帝の具合はどうだい」

 

「宿主の方は問題ない。少しだけ命を削った程度だ。ドライグも正常だ」

 

「そうか・・・いや、しかし、あの邪龍は厄介だ聖杯の力も有している。生命の理の力を覆すんだからソレを手にした者は厄介なのは違いない」

 

「一誠くんでも勝てないのかな・・・・・?」

 

「この世の負と悪を吸収して復活するなんざ絶対的な悪の存在だ。難しいだろう」

 

「・・・・・肝心の一誠くんなんだが。彼は・・・・・大丈夫だろうか」

 

「・・・・・人間でも機関なのにドラゴンを確実に殺す二度もサマエルの毒と呪いを受けたんだ。俺たちの想像を超える悪影響を受けているだろうよ」

 

「彼はまた、死んでいるかもしれないのか・・・・・」

 

「これで三度目だな。アイツが死んでしまったとして・・・・・・」

 

 

―――hero×Hero―――

 

 

「ゲオルク、兵藤一誠はどうよ?」

 

「・・・・・ダメだ。凶弾が取り除いても兵藤一誠はドラゴン。肉体が次第に滅んで行くのは確実だぞ」

 

「マジかよ。んじゃ、つかえもんにならないじゃねぇか」

 

「レオナルドも悪影響が出ている。あの悪魔、やってくれたよ。でも、兵藤一誠はどうする?治療の施しもできないんでしょ?」

 

「・・・・・潮時かもしれないな」

 

「うん?」

 

「曹操は兵藤一誠に夢中だ。兵藤一誠の死で曹操が変わってしまう恐れもある」

 

「・・・・・彼を裏で殺めるっていうのかい?」

 

「ああ。兵藤一誠が裏切り、殺すことになった。そういうことにしよう」

 

「今するのか?」

 

「いや、皆が寝静まり返った時にしよう。二人とも協力してくれ」

 

 

 

 

 

 

「そんなっ・・・・・」

 

「・・・・・」

 

「許せない・・・・・皆、仲間だと最近思うようになってきたのに・・・・・!」

 

「なら、お前はどうする気だ?復讐をする為にここにいるんだろう」

 

「・・・・・それは」

 

「余計な事をしない方がいい。すれば復讐ができなくなるぞ」

 

「あなたは、あなたは何とも思わないの?」

 

「オレはアーサーを倒せばそれでいいと思っている」

 

「・・・・・失望したわっ」

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