HIGH SCHOOL D×D ―――(再)―――   作:ダーク・シリウス

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エピソード25

川神院に居座るようになり一年が経とうとした。一誠は次の修行と場となる行き先を

父、誠から聞いていた。

 

「一誠、次は天界だ。天国がある異世界だぞ」

 

「神王のおじさんがいるところだったよね?」

 

「ああ、そうだ。実際、天界でどんな修行をしてくれるのか俺も予想付かないんだが」

 

小首を傾げ「ふーん」と一誠が相槌する。実際、一誠も天界はどんな所なのか分からない為、

誠の言うことも分からなくは無いと言った感じだ。

 

「父さんと母さんは天界行ったことがあるの?」

 

「いやーはは、重要人物と会うだけで天界に行ったことがないんだこれが」

 

「だから、一誠と行くのが楽しみなのよ」

 

一香も同意し朗らかに笑んだ。釣られて一誠も笑みを浮かべる。

 

「そういや、兵藤家で鍛練したんだって?どうだった」

 

「うーん、僕と組み手した子は強かったよ。勝ったけどね」

 

「くくくっ、そうかそうか。その調子でどんどん強くなって兵藤家を見返してやれ」

 

「うんっ!」

 

目的の一つであることに力強く返事をした。すると、この場の金色の魔方陣が出現した。

光と共に装飾が凝った中年男性が現れ豪快な笑みを浮かべた。

 

「よう坊主。久し振りだな」

 

「久し振り神王のおじさん!」

 

「ユーストマ?どうしてここに?」

 

神王ユーストマの登場に誠と一香が不思議そうな顔で見る。

 

「ああ、次は天界にくるんだろ?そのことで話しをしに来たんだ。お前らもいて助かった」

 

その場で腰を折って座りだす。そして申し訳なさそうな顔であることを告げた。

 

「天界に来ることは構わないが、坊主は違う場所で強くなってもらいたい」

 

「どういうこと?」

 

「問題は無いんだ。だが、坊主が修行する場所がないんだ。俺もミカエルもヤハウェさまも

そのことについて相談しているが如何せん・・・・・な」

 

頭をガリガリと掻きながら説明するユーストマを一誠は追求した。

 

「どこにいけばいいの?」

 

「ヨーロッパだ」

 

「「ヨーロッパッ!?」」

 

天界ではなく異国のヨーロッパに修行する事となった一誠。誠と一香は声を揃えるほど驚愕した。

後に誠は思案顔で呟く。

 

「天界がヨーロッパに関わりあるものと言えばローマ教皇を中心した教会。

まさか、一誠を協会に預けるというのか?」

 

「そうだ。教会に預けるからには坊主にとってちょっとキツイ生活習慣を強いられるがどうだ?」

 

ユーストマの問いに一誠はどんな風に強くなれるのか尋ねた。

 

「そこで僕はどんな修行ができるの?」

 

「主なことは実戦経験を得ることだな。教会は主に魔に属する者と戦うことが多い。

魔物とか吸血鬼とかな」

 

「実戦・・・・・タンニーンとの修行みたいな感じなんだね」

 

「おっ、元龍王と組み手をしたのか。そいつは良い経験だ。だが坊主。

今回お前が修行する場は命を懸けた戦い、坊主が弱かったら魔物に殺されるそういう

ところだ。それでも強くなる為に敢えて望むか?」

 

真剣な表情となったユーストマ。無理強いはしない。もしも嫌と言うならこの話は

無かったことにし、別の場所で修行してもらう予定でいる。

 

「うん、強くなりたいから僕頑張るよ」

 

だが、愚直なまでの純粋な一誠はそれを望んだ。ユーストマは敢えて心を鬼にして言った。

 

「嫌だと一言でも俺の耳に聞こえたら坊主の修行を止めさせるからな?」

 

「それでもいいよ。僕は父さんのように強くなりたいもん」

 

「ああもう、嬉しことを言ってくれるぜ我が息子は!」

 

嬉しさのあまり誠は一誠を抱きしめた。一香は複雑そうな表情を浮かべるが一誠が

決めた事なら口出しはしないという姿勢でいる。リーラとオーフィスは無表情で

何を考えているのかは分からない。だが、どこまでも一誠について行く気は満々だ。

 

「男に二言はないぞ?」

 

「言わないもん」

 

「よーし、言ったな?なら俺から何も言うことは無い。坊主たちが住む場所は俺が

確保してやる。毎朝教会に顔を出すようにな。俺もたまに顔を出すぜ」

 

腰を上げて立ち上がったユーストマは魔方陣を展開した。

 

「それじゃ、また来るぜ」

 

それだけ言い残してユーストマはいなくなった。

 

「ヨーロッパか・・・・・ギリシア、北欧神話に出てくる神や人物が大勢いるところじゃないか」

 

「良かったわね一誠。オー爺ちゃんと会えるかもしれないわよ?」

 

「え、そうなの?会ってみたいなぁー。会えるかな?」

 

「あの御方が住んでいる場所は特殊なところですので難しいかと思いますが・・・・・

お二人はどうやってオーディンさまとお会いになられたのですか?」

 

「ん?それっぽい所に一香の魔法で入ったんだ」

 

「ええ、普通に入れたわ。一誠がヨーロッパにいると知らせたら来てくれるかもね」

 

―――やっぱりこの二人は有り得ないとリーラは思った瞬間だった。

 

「ま、神々と会いに行くのは良いとして一誠。吸血鬼は気をつけろよ」

 

「強いの?」

 

頷いた誠は説明し始めた。

 

「一誠からしてみれば厄介だろうな。力が強く変幻自在、神出鬼没で虫や動物の姿に

成ったりすれば操ることもできる。弱点を言えばニンニクや十字架で刺す、

太陽や聖なる光に弱いな。特徴は顔色が悪く、影がないことだ。

もしも吸血鬼に出会ったらメリアの力を使え」

 

「メリアの?創造の力で?」

 

「メリアは聖なる光の力を有しているドラゴンだ。翼を照らせば吸血鬼は逃げるだろうが、

諦めずまた襲いかかってくる可能性がある。もしもそんな時になったら教会に逃げ込め。

自分から吸血鬼と戦う必要ないからな」

 

「分かった」

 

誠から吸血鬼の情報を得て、対処方法も理解した。後はヨーロッパに行く日を待つだけである。

 

 

―――○●○―――

 

 

季節は冬。既に雪が降り始めていて気温も低下。

吐く息が白く、身体を震わすほど寒い冷気を感じる最中

川神院はクリスマスパーティーを行っていた。川神院に住むメンバーだけではなく、

 

「久し振りね一誠!ああ、見ない間になんか格好良くなっちゃって・・・・・」

 

「今日一日は一誠から離れないからね!」

 

「にゃー、飼い猫を放ったからしにする悪いご主人様にゃん」

 

「お兄さま、色々とお話を聞かせてください」

 

「一誠、強くなったんだね。以前より力を感じるよ」

 

リアスを始め、冥界から久し振りに再会したメンバーもいれば、源氏と羅輝、悠璃と楼羅もいて

 

「よー、まー坊。今日はとことん飲むぜぇ!」

 

「勿論だよ神ちゃん。ほら誠ちゃんも飲もう飲もう」

 

「久し振りに飲み比べでもするか!な、アザゼルよ」

 

「おいおい、俺まで誘うかぁ?いいぜ、やってやろうじゃん」

 

「デハハハハハッ!ワシらも参加するぞぉっ!」

 

「ガハハハハハッ!どんどん酒を持ってこぉい!」

 

「久し振りのクリスマスパーティじゃのぉ孫よ」

 

「そうだねー」

 

《相変わらず騒がしい奴らだ》

 

「いいじゃねぇーの。こうして集まるのは今日一日だけじゃて」

 

―――百代たちにとって見たこともない存在までもが川神院にいた。明らかに人間ではない者たちもいる。

 

「な、なんか凄い」

 

「ガイコツだ。ガイコツがいるぞ」

 

「猿みたいなやつもいるね・・・・・」

 

「むー、一誠くんと一緒にいたいのに・・・・・」

 

亜巳たち兄弟姉妹(辰子を除く)は異様なメンバーを目の当たりにして緊張で委縮状態。

そんな中、一誠はエスデスにあるものを渡していた。

 

「はい、エスデス。約束通り創ったよ。誕生日プレゼント!」

 

「あ、開けていいか・・・・・?」

 

「勿論」

 

二つの箱を開けて中身を取り出すエスデスの目は歓喜の色で一杯だった。

百代と同じネックレスと指環が納められていた。宝石はラピスラズリ。日本では瑠璃色と呼ばれている。

 

「綺麗だ・・・・・」

 

「気に入ってくれた?」

 

「気に入らない訳がないだろうっ」

 

嬉しさで涙目になるエスデスは涙を腕で拭いて、ラピスラズリの指環を一誠に手渡して

日照り手を突き付けた。

 

「お前の手で薬指に嵌めてくれないか?」

 

「ん?うん、わかった」

 

一瞬疑問したが、エスデスの頼みに指環を薬指に嵌めてやった。薬指に嵌められた

指環を愛おしそうに見詰めた後、エスデスは一誠に目を向けて口を動かした。

 

「ありがとう。お前からくれた物は大事にする」

 

「うん、そうしてくれると僕は嬉しいよ」

 

「勿論だ。だからお返しに私からもプレゼントだ。目を瞑ってくれないか?」

 

素直に言うことを聞き目を瞑ったら口に生温かい感触が伝わり、耳から絶叫が聞こえた。

 

 

『あなたっ!一誠にな、なななんてことっ!』

 

『ふはははっ!一誠とキスを二度もしてやった!』

 

『に、二度?二度もしたの!?』

 

『楼羅、こいつだけは殺すよ!』

 

『この方でしたか・・・・・一誠さまの始めてを奪った女はっ!』

 

『エスデス、お前は少し調子乗り過ぎだぁっ!』

 

『私も一誠くんとするー!』

 

『わ、私も・・・・・』

 

『ふむ、我もやってみようか』

 

 

「・・・・・?」

 

もうそろそろ目を開けていいのかな?と思った一誠は目を開けるとエスデスたちの姿がなく、

外からけたたましい音が聞こえ、そちらに振り返るとエスデスVS複数、女の戦いが勃発していた。

 

「皆、どうしたの?」

 

「一誠さま、アザゼルさまのようにはならないでください」

 

「ん?どういうことなのか分からないけど分かった・・・・・って九鬼ちゃん?」

 

「揚羽と呼べ」

 

揚羽が一誠の前で跪きながら言い、顔を掴んだ。

 

「揚羽?」

 

「うむ、これからはそう言うがいい。我が命を救ってくれた一誠よ」

 

「それはもう済んだことだから気にしなくても良いんだよ?」

 

「我もそう思っておるのだが如何せん・・・・・お前の顔が頭から離れぬのだ。

お前のことを考えることが多く、人はこれを恋と言うのだ。

だから一誠、お前は我の婿と成り夫となれ」

 

有無を言わさず一誠の唇を奪った揚羽。だから必然的にリアスたちの攻撃の矛は揚羽にも向けられる。

 

「おい、お前はどんだけ女に好かれるんだぁ?」

 

「僕のこと好きなの?好きってことがあまりわからないけど」

 

「・・・・・人としての当たり前のことを疎くなっているのか。―――おーい、お前ら」

 

アザゼルは外にいるリアスたちに声を掛けた。殺気立っているリアスたちは取り敢えず

耳だけはアザゼルに向けている。

 

「俺が許す!一誠とチューをしまくれっ!遠慮はいらないぞぉー!」

 

「え?なんでそんなこと・・・・・ひぅっ!」

 

ゴゴゴゴ・・・・・ッと異様なプレッシャーを感じ、一誠は身体を竦めた。

 

「アザゼル、それじゃ逆に彼が女の子に恐怖心を抱くんじゃないか?」

 

「あー・・・・・みたいだな」

 

失敗したとばかり狩人の目つきと成っているリアスたちをアザゼルは見て苦笑を浮かべた。

一方、一誠はリーラに縋って震えていた。

 

「リーラさん・・・・・なんか、今のリアスたちが怖いよ・・・・・っ」

 

「大丈夫です。私が命を掛けてお守りいたします。

その前にアザゼルさまにはお灸をしなくてはなりませんね」

 

「んなっ!?」

 

「・・・・・うん、何だか僕もそう思ってきた」

 

ジャラリと空間から数多の鎖が出て来てそれら全てがアザゼルに向けられている。

身の危険を自分まで感じたアザゼルは無駄な弁解を始めた。

 

「えーと、イッセー?女の子に好きということを知る勉強なんだぞこれは?

だからその鎖を仕舞え、な?」

 

「あんな怖い今のリアスたちが僕のことを好きだとは思えないよ!寧ろ身の危険を感じるんだもん!」

 

『―――っっっ!?(ガーンッ!)』

 

「・・・・・あー、お前、今の言葉であいつらすんごいショックを受けたぞ?」

 

可哀想な子を見る目で視線を送ったアザゼルの視界に、降り続ける雪の中で四つ這いに

なって落ち込むリアスたちが映り込んだ。後にアザゼルはバラキエルに羨望の眼差しを

向けられながら鎖に拘束され、酔っ払った大人と神々の弓矢の的とされる中で

クリスマスの時間を過ごしたのだった。

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