HIGH SCHOOL D×D ―――(再)―――   作:ダーク・シリウス

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エピソード33

吸血鬼の世界に黒い柱が出現した。何時しか黒い柱は消えて無くなり太陽を遮っていた霧に

ぽっかりと穴が開いたため、外にいる吸血鬼たちは焦心に駆られて建物の中へ逃げ込んでいく

最中に太陽の日差しが吸血鬼たちの世界を照らす。

 

「くっ・・・・・太陽の光・・・・・っ!」

 

マリウスやアルトルージュたちさえ例外ではない。だが、ハーフである吸血鬼たちは光を浴びても

辛そうな表情を浮かべるだけで特に変化がない。

 

「・・・・・」

 

ただ一人だけ、天を仰いで眩しげに見上げるヴァレリーは。

 

「温かい・・・・・これが太陽なんですね・・・・・」

 

どこか嬉しそうに太陽の日差しを浴びながら感じていた。

 

「・・・・・なんだ、あれは」

 

クロウ・クルワッハは目の前の異形に目を細める。吸血鬼の世界に太陽を覗かせた原因は―――。

それは人の形を保ったままドラゴンのようなフォルムへと成っていた。両腕が長く太くなり、

鋭い爪が伸びていった。背中が隆起して六枚の翼が生え、足が逆関節と成っていて

頭部もドラゴンを思わせるような頭が三つに増え形成されている。鋭い牙が揃い、

角も生え、六つの双眸が怪しく輝く。

 

「―――アジ・ダハーカ?」

 

クロウ・クルワッハは似ているドラゴンに変化した一誠を見つめて漏らす。

しかし、瞳に光がない。あるのは―――殺意。

 

「・・・・・少しまずいか」

 

その場から離れた途端、手が降り下ろされて床を跪きながら強く叩いた

一誠の周囲の床から火柱が発生した。それは次々と発生しては広がって

自分と距離を離す為なのか、アルトルージュたちも遠ざかるを得なくなりつつ

クロウ・クルワッハが警告した。。

 

「吸血鬼たち。ここから離れていろ。巻き込まれるぞ」

 

「は?」

 

三つの大きく開いた口から覗ける光。一誠は巨大な攻撃をするのだと把握し、

クロウ・クルワッハ以外のアルトルージュたちは逃げ出す。

 

カッ!ドォオオオオオッ!

 

光のレーザー光線が放たれ、大爆発を起こした。その内の一つはクロウ・クルワッハに

向けられていたが、腕を上に向かって難なく弾いてみせた。

 

「きゃっ!」

 

「くっ・・・・・ッ!」

 

だが、他の攻撃は着弾し発生した爆風にアルトルージュたちの身体が風と

衝撃波によって吹っ飛ぶ。クロウ・クルワッハに倒されたハーフの子供たちさえ

簡単に枯れ葉のように吹き飛んだ。

 

『オオオオオオオオオッ!』

 

一誠は高々に咆哮をあげた。城下町の方にもその声が聞こえていて、

唖然とした面持ちで城の方へ視線を向けることを知らないまま戦いを止めようとしない。

そして再度、三つの口から再び光が覗けた瞬間、クロウ・クルワッハが飛び出して殴り飛ばした。

 

「怒りを鎮めろ兵藤一誠。相手が欲しいなら私がなってやる。さぁこい」

 

その言葉に一誠はクロウ・クルワッハに対峙した。身長も自分と同じぐらいに成長して

戦う相手としては申し分もない。その上、見た目は異形なドラゴン。

アジ・ダハーカみたいな人型の三つ首龍。鎌首を周囲に傾げ警戒をしている様子さえ窺える。

 

「同じドラゴンとして、お前みたいなドラゴンと戦うことを嬉しく思っている。

さて、どれだけ強いのか―――」

 

「見せてもらおう」とクロウ・クルワッハが飛びだしたと同時に一誠も床を蹴り飛びだして

拳を突き合わせた―――。その一方、難を逃れたアルトルージュたち。

太陽の日差しも霧で再び遮られたようで安全圏のところでドラゴン同士の戦いを観戦していた。

 

「あの女、何者よ・・・・・」

 

「あれは、美少年なのか・・・・・?」

 

「ドラゴンであることを聞いただろう。だがしかし、どうなっている・・・・・」

 

一誠の手に魔力が帯びるとそのまま空気を撫でるように横薙ぎに振るったら巨大な嵐が

発生してクロウ・クルワッハを呑みこませたが、クロウ・クルワッハは全周囲に波動を

放って嵐を弾け消せば一誠の真後ろに回り、

背中へ打撃を与えようとしたが一つの頭の目がソレを捉えていて、翼で受け止める。

 

「一誠くん・・・・・」

 

「一誠・・・・・」

 

激しい魔力の衝突が繰り広がり何もできずにいるとどこからともなく

大量の蝙蝠が飛来して戦っているクロウ・クルワッハと一誠に向かっては―――。

 

「ふっ!」

 

アルトルージュが一誠を殴り床へ叩き付けた。その一撃が効いたのか分からないが

一誠は倒れたまま動かなくなった。自分の手を見詰め、何かを感じている様子で漏らす。

 

「・・・・・ずっと一誠の血を飲んでいたからか、何時もより力が増しているみたいね」

 

「吸血鬼、邪魔をするな」

 

「邪魔した覚えは無いわよ。一誠に関してはね」

 

「お前では暴走気味のドラゴンをどうこうできるわけがない」

 

クロウ・クルワッハの指摘通り、首だけアルトルージュへ向けて灼熱の業火を放った。

全身を蝙蝠にして回避したアルトルージュに言葉を投げた。

 

「生半可な攻撃では通じんよ。ドラゴンという生物には特にな」

 

「殺す気でやらないとダメってことかしら?」

 

「―――吸血鬼ではドラゴンを倒すことはできない、そう言いたいだけだ」

 

迫りくる灼熱の炎から躱す二人。お前では勝てないと言われ屈辱とショックで

渋々リィゾとフィナのところに戻って一言。

 

「ムカつく!」

 

ドラゴン同士の戦いが始まってしばらく。騒ぎが起これば安全を守るための存在がやってくるもの。

それは吸血鬼の世界でも同じで研究所に鉄と鉄を擦る音を鳴らし続け

時代に取り残されたような鎧と剣という出で立ちの兵士たち、吸血鬼たちがやってくる。

しかし、タイミングがあまりにも悪過ぎた。

 

「化け物め!」

 

「捕えろぉっ!」

 

『・・・・・』

 

赤い眼がギロリとクロウ・クルワッハから兵士たちへ向ける。

相手が吸血鬼であることを認知すれば、自ら兵士たちに襲いかかった。

 

ズバッ!ザンッ!

 

鋭い爪で兵士の鎧ごと引き裂き一蹴する。

 

「私から逸れるな」

 

兵士たちから守ろうとするわけでもなく、一誠を倒してオーフィスのところに連れて

帰ることだけ意識があるクロウ・クルワッハは攻撃を仕掛ける。

攻撃を食らっても一誠は吸血鬼を根絶やしにすることを止めない。

 

「吸血鬼に対するその執着心・・・・・何が遭った?」

 

「―――血を、採られたからです」

 

静かに、戦場となったこの場に透き通った声がクロウ・クルワッハの耳に届く。

声がした方へ視線を向ければヴァレリーが赤い血が入ったグラスを両手で持って話しかけていた。

 

「私のお兄さまが一誠から無理矢理研究の為だと血を抜き取って私たちハーフに飲ませたんです。

一誠は怒り、それでもお兄さまは一誠を捕えようとして・・・・・」

 

「なるほどな、そう言うことだったか」

 

一誠の腕を掴んで遠くへ投げ放った。

 

「だとすれば、いまの暴走気味のあいつに映る吸血鬼は全て敵と判断するだろう。

私はどうでもいいが、これ以上暴れ出されては面倒だ。―――そろそろ倒すか」

 

濃厚なオーラを纏い、立ち上がった一誠のもとへ突貫した。

 

―――○●○―――

 

「一誠・・・・・」

 

クロウ・クルワッハの動きが更に俊敏にそして今にでも一誠を倒す勢いの攻撃。

一誠の攻撃は空振り翻弄されて隙を突かれて攻撃に受けるばかり。ヴァレリーは一誠を

どうすれば元の姿に戻れるのか考えた。自分たちのせいでひどい目に遭った。

だから、謝りたいと願う彼女の目に赤い液体が映った。

 

『ドラゴンの血を飲むことで強制的に神器(セイクリッド・ギア)を扱えるようになれるようですね・・・・・』

 

マリウスが言っていた言葉が頭の中で過った。自分はまだ飲んでいない。もしもこれを

飲んで一誠を止める力が目覚めれば・・・・・?

 

「・・・・・」

 

ジッとグラスの中を覗き込む視線を一誠へ変えて見ればクロウ・クルワッハと

力の根比べをしている。戦いはまだ終わらない。

 

「・・・・・っ」

 

意を決して一誠の血を、グラスを口に近づけ口に含んだ。舌に広がる鉄の味、

喉に通る冷たい温度を感じた瞬間。

 

ドクン―――!

 

今まで感じたことのない熱が全身に広がり、吸血鬼の力が湧き始める。

これで神器(セイクリッド・ギア)が発動するはず、後は―――。

 

「一誠・・・・・お願い、元の姿に戻って・・・・・」

 

一誠へゆっくりと近づき懇願するヴァレリー。

危険だと、アルトルージュから警告が発せられるがクロウ・クルワッハを強引に魔力で

吹き飛ばし、声を掛けてきた吸血鬼を殺そうと飛び掛かった。

 

「私は謝りたいの。だから、元の姿に戻って・・・・・」

 

鋭い爪がヴァレリーの顔に迫った。

 

「ね、一誠」

 

微笑むヴァレリーに―――その顔に爪が届いた。

 

―――刹那。

 

眩い光が発生した。一誠は降り下ろした爪をピタリと停止し、

何かを感じた様子でヴァレリーから離れた。

対してヴァレリーの全身から光が放たれていて当の本人も当惑した。

 

「何が・・・・・」

 

アルトルージュたちもヴァレリーから生じる摩訶不思議な現象に警戒と戸惑いの色を

浮かべる。すると、ヴァレリーの胸が波紋が生じ、ひとつの杯が出てきた。

 

「これが・・・・・私の―――」

 

杯を手にした。金色で装飾と意匠が凝った杯だが神秘的な何が感じる。

 

「・・・・・」

 

祈りを捧げる姿勢で瞑目するヴァレリーを再度襲い掛かった矢先、

杯が光に包まれたと思えば一誠の全身も光に包まれた。

 

「お願い・・・・・元の姿に戻って・・・・・」

 

願うヴァレリーに呼応し、一誠は完全に光によって包まれる。

何が起きるのか、これからどうなるのか分からないまま様子を見ている

アルトルージュたちの目に映るものは―――。光が消失して元のヒトの姿に戻った一誠が

倒れていた光景だった。

 

「まさか神器(セイクリッド・ギア)・・・・・?」

 

「そのようですね」

 

「一誠くん!」

 

争いは終わった。一誠のもとへ駆け寄るルーラーとヴァレリー。続いてアルトルージュたち。

最後にクロウ・クルワッハ。近寄る。

 

「問題はなさそうだな」

 

「そうみたいね。でも、その杯が何かなのは気になるわ神器(セイクリッド・ギア)みたいだけれど」

 

「どうでもいいな。私はただオーフィスのところに連れていくだけ」

 

「あっ、待ってください。私も一誠くんについていきます。一緒に協会の施設に住んでいるので」

 

「そういう話しは聞いていないが・・・・・まあいいだろう」

 

「ちょっと、彼らは私たちが送り返す約束をしてるの。それだけは譲れないわよ」

 

何故かにらみ合いが勃発したその時。この場に歓喜と拍手が聞こえてきた。

 

「素晴らしい!ヴァレリー、キミは凄い神器(セイクリッド・ギア)を発現したのだよ!」

 

「お兄さま・・・・・?」

 

「さあ、そのドラゴンと一緒にこっちへ来なさい。そのドラゴンはヴァレリーにとっても

必要不可欠なのだからね」

 

大勢の兵士を引き連れていたマリウスが手を差し伸べるもののアルトルージュが

ヴァレリーを庇うように腕で行くなと制止しながら問うた。

 

「あなた、彼女のこの杯を何か知っているようね」

 

「実際に見たのは初めてですがね。ですが、解りますよそれは。―――神滅具(ロンギヌス)であり、

イエスが最後の晩餐に使用したとも云われている生命を司る聖杯なのですからね」

 

「聖杯・・・・・ッ!?」

 

ルーラーが目を張った。教会でも神滅具(ロンギヌス)について教えられている。特に

イエス・キリストと関連している聖遺物を。その内の一つが聖杯。またの名を『幽世の聖杯(セフィロト・グラール)』。

 

「ええ、生命を司る神器(セイクリッド・ギア)ならば、吸血鬼の価値観を根底から

崩すことだって可能でしょう。私の想像が正しければ弱点の多い吸血鬼がその弱点を

全て克服できるとか」

 

『っ!?』

 

マリウスの言葉には吸血鬼であるアルトルージュたち、教会に育成されているルーラの

皆が心底驚愕した。

 

「ヴァレリーはドラゴンの血を飲んだことで我々吸血鬼にとって神の恩恵を得たのです。

ああ、その聖杯・・・・・実に興味深い・・・・・っ!」

 

歓喜極まりないと身体を震わすマリウス。研究者みたいに知的好奇心が

マリウスに刺激を与えるのだろう。それほどヴァレリーの聖杯は凄いことであることが疑問も抱く。

 

「そんなことが、本当に可能なの・・・・・?」

 

アルトルージュは疑心を強く抱き、マリウスに問うたところ。

 

「それについては実際にこれから研究をしなくてはなりませんね。研究をして色々と

試してみないことには何とも言えませんし始まりません。

まぁ、それらは所有者であるヴァレリーの使い方次第と成長次第でしょうがね」

 

冷笑を浮かべ、ヴァレリーと一誠をセットに見詰める。

 

「さぁ、ヴァレリー。こっちに来なさい。ああ、できればそのドラゴンも連れて来てください。

まだまだドラゴンの血を観察し、研究をしたいのでね。我々吸血鬼がドラゴンと戦って

勝てる確率は少なく、血を採取なんて無謀に等しいのにまだ幼いドラゴンが

やってきてくれたのです。これを有効に事を進め、扱わなくてはどうするのですかと

思うぐらいですよ?」

 

全ては研究の為にと生粋の学者肌であることを窺わせる発言だった。

 

「実の家族を研究材料みたいな言動をする王位継承者の一人だなんて、あなたは苦労するわね」

 

「私は王になろうとは思いませんよ。ただ神器(セイクリッド・ギア)を研究する者として

命ある限りずっとしていきますよ。ええ、神器(セイクリッド・ギア)の研究をね」

 

そうヴァレリーに話しかけるアルトルージュの言葉を否定するマリウスだった。

 

「それにそのドラゴンも神器(セイクリッド・ギア)を有しているようですしね。

どんなものなのか調べて独自で追究してみたいです」

 

「―――そう、させると思っているのかしら?」

 

相手が誰であれ、一誠を守るためにここへ来たのだ。アルトルージュは全身から魔力を迸らせる。

後に自分がどうなろうと今が最優先。後のことは後で考えるべきだとマリウスたちに牙を剥ける。

 

「仮にも王族である私に攻撃をするのですか?ブリュンスタッド家はツェペシュ派だと

思っていましたがね。いや、それすら私にとってもどうでもいいことですが」

 

「お生憎様だけど、私たちは一言も男尊派か女尊派の味方なんて言った覚えは無くってよ。

ただ単にツェペシュ派のところに私たちの城があるだけでそうなったに過ぎない。

言わば中立を保っている吸血鬼ってところね」

 

「なるほど、私も中立派としていれば好き勝手に研究を没頭できますね。これからそうしましょう」

 

片腕を上げたマリウスに反応して兵士たちが身構えた。

 

「取り敢えず、ブリュンスタッド家はツェペシュ王を仇なす反逆罪でこの場で捕まえるか

もしくは始末という処罰でもしましょうか。そこのドラゴンは吸血鬼同士の問題だけは

関わらないでもらいたい」

 

「そこに兵藤一誠が関わらないのであればいいがな」

 

「―――無理ですね」

 

ニッコリと微笑むマリウス。腕が振り下ろされ、アルトルージュたちに向かって突き

伸ばす腕に兵士たちがワッと動き出す。

 

「同族を裏切る形になったようだが?」

 

「お父さまに深く申し訳ないと杭で心臓を抉られるぐらい反省しているわ。でも後悔はしない。

約束したもの、一誠と彼女を何時か元の場所に返すと。この名に懸けてさ」

 

「・・・・・ならば、しばしの間は共闘でもするか?」

 

「ダンスの申し出ならお断りね。女同士じゃ華がないもの」

 

「兵藤一誠に頼めばいい」

 

「当然よ」

 

吸血鬼とドラゴン。二人揃ってドラキュラのコンビが誕生した瞬間だった。

目の前に楕円形の穴が虚空に開いたのだ。「誰の仕業?」と誰もが心の中で疑問を抱くが、

 

「・・・・・運任せで行く気あるかな?」

 

どこかに通じている可能性はあると踏んでの誘いだった。クロウ・クルワッハの誘いを

アルトルージュは、

 

「私は運が強いわけじゃないけれど・・・・・その前に」

 

身体から数匹の蝙蝠を生み出してどこかへ飛ばした。

 

「行くわよ」

 

「さっきの蝙蝠は?」

 

「ちょっとした伝令よ。―――この世界とお別れかもしれないしね。プライミッツ・マーダー、

一誠を背に乗せて」

 

主の命令にルーラがプライミッツ・マーダーの背中に一誠を乗せてやるとアルトルージュの傍に寄った。

 

「二人とも、私に付いてきてくれる?」

 

「「我が命は姫と共に」」

 

当然のようにフィナは笑みを浮かべ、リィゾは真っ直ぐ真摯な瞳をアルトルージュに向け忠誠を示した。

 

「レティシア、もしかしたら教会に連れて帰らす日は数年後ってことに

なるかもしれないけど・・・・・」

 

「ここにいても危険しかありません。一誠くんと一緒に教会に帰ります」

 

と、真っ直ぐ言い切ったルーラから視線を外しヴァレリーにも問うた。

 

「ここにはあなたの家族がいるんだし、あなたはあの研究しか頭にないお兄さんの

ところに戻った方がよいんじゃなくて?」

 

「・・・・・そうしたい気持ちがあるんですけれど」

 

何故か苦笑を浮かべるヴァレリーの視線は自分の服を掴んでいる一誠に向けられた。

 

「一誠がもうちょっとだけいて欲しいと言っているようですので。それにあの向こうは

どこかに繋がっているのですよね?私、外に出てみたいと思っていますの」

 

「・・・・・外に興味があるなんてね。あなたが思っているような

楽しい世界じゃないかもしれないわよ?」

 

「それでも」

 

ニコリと微笑んだ。

 

「皆さんと一緒ならばきっと楽しいと思います」

 

「・・・・・それじゃ、奴さんも迫ってきたし行きましょうか」

 

アルトルージュの言葉に呼応して一行は頷いた。楕円形の穴に全員が飛び込んだ瞬間、

穴があっという間に閉じて兵士たちが当惑の色を浮かべた。

 

「・・・・・逃げられましたか。ですが、いつか必ず見つけ出して・・・・・」

 

目に宿る炎はマリウスの執念を強くさせる。そして、一誠たちは―――。

 

「あなたたち・・・・・だれ?」

 

吊り上がった切れ長の瞳に無造作に切り揃えられた長い金髪。

そして、人間より長い耳を持つ少女が目をパチクリして

どこか薄暗い洞窟の中に突如現れた一誠たちに当惑した。

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