HIGH SCHOOL D×D ―――(再)―――   作:ダーク・シリウス

38 / 109
エピソード38

空を飛んでしばらく経った頃に雲の切れ間から、黒々と大陸が覗いていた。

大陸は遥か視界の続く限り延びている。地表には山がそびえ、川が流れていた。

その川、大河から溢れた水が、空に落ち込んでいる。

 

「大きいー!」

 

「絶景と言うべきか」

 

「壮大でもあっているわよ」

 

「人間界に堂々と浮いているな」

 

「何らかの魔力で浮いているのでしょうかね姫」

 

「ああ、あれは名残よ」

 

名残、ナヴィの口から出た言葉が面々の視線を集めるのに十分だった。

 

「大昔、ハルケギニアに大規模な地震と地割れが遭ったの。

その時、巨大な広さと深さの地盤が何かによって持ち上がり宙に浮いた。その原因は風石って言う

風の精霊の力を結晶化した石の力で浮いているらしいわ。当時その時他にも大地が

浮いていたけどその殆どが海や大地に還った。

今現在残っているのがあのアルビオン大陸って言われているアレだけよ」

 

「おー、そうなのか。それは知らなかったな。流石はガーゴイル」

 

「の、ハーフだけどね私」

 

「ハーフだったの?」

 

「言うタイミングが無かったから言えなかっただけ。

さて、最近のアルビオン王国の状況はどうなっていたかしらねぇー」

 

ノートパソコンを開くと同時、周囲に立体映像の魔方陣が出現して

カタカタとキーボードを叩く音が聞こえる。

 

「ああ、そうだったわね」

 

「どうしたの?」

 

「現アルビオン王国の弟で財務官だった人が反逆罪で処刑されていたわ」

 

いきなり良い話しじゃない情報がナヴィの口から出た。

どういうことなのかという雰囲気を感じ取ったのか、

ナヴィは聞かれたわけでもないのに話した。

 

「簡単に省略すると、愛人のエルフとそのハーフの子供の存在がバレてその結果、

投獄され殺されたのよ。まだその愛人のエルフとハーフの子供は見つかっていないみたいね。

でも、何時か見つかる可能性はある」

 

「穏やかな話しじゃないな。しかし、今時珍しいなエルフと人間が結ばれるなんて」

 

「いいことじゃない。だけど、それを聞いたからには放っておけないわよ」

 

誠と一香の言動に予想していたようで口元を吊り上げた。

 

「だと思って言ったけどね。その二人の居場所も把握しているけれど―――ね、キミはどうしたい?」

 

一誠に尋ねるナヴィ。意味深な視線を送るが一誠はその視線の意図を気付かないまま当然のように言った。

 

「助けたい!」

 

「よーし、言い切ったな一誠。それじゃ―――一誠とクロウ・クルワッハ、

お前たちはエルフを救う役割をしてもらう。攻撃されるかもしれないが遠慮なく戦え」

 

「任された」

 

「うん、頑張るよ」

 

「吸血鬼組は二人の援護だ。いいな?」

 

「ヴァレリー、あなたは待機ね」

 

「はい」

 

「久々に同性の若い血を吸おうかなー」

 

「ほどほどにしておけよ」

 

―――???―――

 

とある家に大勢の騎士と兵士がなだれ込み、囲んでいて家の中を荒々しく入り家探しをする。

何時しか探す場所が徐々になくなりついには―――。

 

「見つけたぞ!」

 

財宝が収納されている宝物庫に踏み込んだ騎士と兵士たちの目の前にはウェーブが掛かった

神々しい金髪、青い瞳、すらりとした細身の身体と相当な豊満の胸の女性が一人だけいた。

女性はただ静かにその場で佇み、全てを受け入れようとした姿勢でいる。

その青い瞳からは恐怖も不安も、負の色が一切窺えない。

真っ直ぐ杖を突き付けてくる人間たちに見据えだけで半数の人間が弱腰になった。

それでも杖を構えて先端に炎を迸らせる者たちはいた。

 

「始祖ブリミルの名の元に貴様を断罪してくれるっ!」

 

身勝手、自己満足、一方的、異種族。様々な言葉が出てくる。

女性は両腕を広げ口を開いた瞬間だった。

目の前に二つの魔方陣が出現し、一人の少年と一人の女性が召喚された。

 

「え・・・・・」

 

「誰だ!?」

 

両者は突然現れた二人に目を丸くした。頭よりも先に分かったことは―――。

 

「えっと、ごめんなさい」

 

「手加減ぐらいはしてやる」

 

ドッ!

 

子供と女性が今まさに攻撃しようとしていた騎士や兵士に攻撃したことで

敵、味方と認識したことだった。

 

「き、貴様ら―――!ぐべぇ!?」

 

「ここで暴れれば敵が勝手に来ると思うが?」

 

「全部倒すのは大変だと思うから―――上に逃げようよ」

 

「分かった」

 

女性が徐に腕を天井へ上げて手から極太の黒い魔力が放たれたことで、天井に巨大な穴が開いた。

宝物庫の出入り口に幾重の鎖で塞ぎ、敵の進入を拒んだ。

 

「これでしばらく入ってこないよ」

 

「なら、今のうちに」

 

「あ、あなたたちは・・・・・?」

 

敵ではないことだけは分かったが自分のことを知って庇ってくれたのだろうか?

子供と女性はハッキリと言った。

 

「僕たちは敵じゃないよ?助けに来たんだ」

 

「ハーフの子供はどこだ?ここから脱出する」

 

「その後・・・・・私たちをどうする気なのですか?」

 

「一緒に僕たちと安全な場所で暮らさない?」

 

まだ幼い子供が提案を述べてくる。女性は当惑した面持ちで二人を見詰める。

 

「こう言ってはなんだが、お前の愛していた男は死んでいるそうだ」

 

「・・・・・」

 

「その男の為に生き続けるべきだ。―――兵藤一誠、いたか?」

 

クロウ・クルワッハが子供に尋ねた時だった。宝物庫の壁が吹き飛び、騎士たちが入り込んできた。

 

「うてぇっー!」

 

杖の先から氷の槍、火炎、風の刃が放たれた。女性は目を瞑り自分の運命を受け入れようとした。が。

 

「その程度か」

 

背中から翼を生やして女性ごと身を包み全ての攻撃を防いだ。

 

「なに・・・・・!?」

 

「一誠」

 

「見つけたよー」

 

一誠の傍に金髪に青い瞳の少女の手を掴んでいた。相手が唖然としているうちに

女性の腰に腕を回してでき寄せては翼を羽ばたかせて宙に浮く。

 

「このエルフたちは私たちがいただく。文句は無いな?」

 

「ふ、ふざけるな!エルフは我々始祖ブリミル教の敵である!」

 

「この世界のことに関して私たちは関わるつもりは無い。好きにすればいい」

 

天井に開けた穴へ吸い込まれるように出ていく。

 

「それじゃーねー」

 

続いて一誠も少女を抱き寄せた状態でクロウ・クルワッハの後を追う。

二人は空に飛んで逃げるが騎士たちまでもが空を飛んで二人を追いかけてくる。

その時、どこからともなく大量の蝙蝠が飛来してきて騎士たちを阻み吸血行為されては

騎士たちは地に墜ちるしかなかった。

 

「んー、若くない血が多いな」

 

「よ、妖魔・・・・・!?」

 

「バカなっ、どうしてこの国に妖魔がいるのだ・・・・・!」

 

地上では妖魔こと吸血鬼の出現に騎士と兵士たちがどよめく。白い髪や白い騎士甲冑を

着込むフィナが口の端に騎士の生き血を全て吸った痕跡を流した。足元に数人の兵士が

全ての血を吸われミイラみたいな状態で倒れていた。

 

「さてさて、お前たちは美味しいかなー?」

 

「ひっ、ひぃいいいいいいいいいいいっ!」

 

「妖魔だ!妖魔が現れたぁっ!逃げろぉーっ!」

 

騎士と兵士が心底恐れを抱き、我先と逃げる。だが、逃げた先には黒い髪に黒い騎士

甲冑を着込むリィゾがいて剣を一閃。あっという間に敵を屠った。

 

「もっと穏便にできないのかお前は」

 

「問題ないだろう?それより、そっちはいいのか?当分血は吸えないと思うけど?」

 

「・・・・・建物の中にいた人間たちから吸ったから問題ない」

 

「お前の方が穏便じゃないだろう絶対」

 

脳裏でミイラだらけの建物の中を思い浮かべ嫌そうな顔を浮かべる。

 

「さて、戻るとしようか」

 

「美少年が私を待っているからな!」

 

「・・・・・面倒な奴に目をつけられたアイツは大変だな」

 

―――○●○―――

 

「へぇ・・・・・あなたが蛮人とエルフのハーフの子かぁー」

 

「あ、あの・・・・・」

 

「あ、私はルクシャナって言うの。あなたと同じ血を流しているエルフよ?

あなたの名前を教えてくれない?」

 

「ティ、ティファニア・・・・・」

 

「んじゃ、あなたのことをテファって呼ぶわ。よろしくね?」

 

森がある場所へ身を隠し、早速ルクシャナはエルフと人間のハーフ、ティファニアに

話しかけている。そんな二人の近くにエルフの女性は誠と一香と何やら話しあっていた。

 

「一誠、アルビオンに来たのはいいが私たちは長居できない状態になったぞ?」

 

「うーん、しょうがないけど戻るしかないね」

 

「何週間ぶりでしょうか、あの施設に戻るのも。ですが・・・・・」

 

ルーラは一誠へ視線を向けて微笑んだ。

 

「冒険って刺激あるものでした。主に祈りを捧げ、教会の為に思って信仰をしてきた

日々の生活より、あなたとの過ごす日々がとても有意義で・・・・・楽しかったです」

 

「うん、僕も楽しかったよルーラ」

 

「それと一誠くん。家族になる話なんですが・・・・・」

 

目を輝かす一誠。家族になってくれるのかなと期待の目を向けていたが、

 

「ごめんなさい。私はまだ一誠くんたちの家族になれません」

 

「・・・・・そっか」

 

ルーラの答えに心底残念がり頭を垂らす一誠だった。

 

「落ち込まないでください。まだ、なのでいつかあなたの家族になりたいと思っています」

 

「いつかって?」

 

オウム返ししてきた一誠に真剣な色がアメジストの瞳に宿った。

 

「私が一誠くんの隣に立てるぐらい強くなった時に家族として傍にいることを約束します。

今回の冒険で私はなにもできなかった。戦うことも守ることも。

だから一誠くん、私がもっと強くなったら―――」

 

一誠の手は温かく柔らかい小さな手によって掴まれ包まれた。

 

「私を・・・・・一誠くんの傍に置かせてください」

 

「ルーラ・・・・・」

 

「約束ですよ?一誠くん」

 

小指を立てながら言うルーラに「うん」と同じく小指を立てルーラの小指と絡める一誠。

 

「あー、良い雰囲気のところ悪いが」

 

誠が意識を自分へ一身に向けさせた。これから何を言うのか、面々は静かに耳を傾けた。

 

「一誠の言う通り、アルビオンにはいられなくなった。だからイタリアに戻るつもりだが」

 

「だが?」

 

「一誠とレティシアちゃん以外のお前らはしばらく俺と一香と一緒に行動してもらうぞ。

てか、そうするしかないんだがな」

 

「あー」と面々は気のない言葉を漏らす。一誠とルーラーは施設に住んでいるので

吸血鬼、エルフ、悪魔の一行は同じ場所に住めるわけがない。逆に討伐されかねない。

 

「ちょっと、私はどうなるの?」

 

「魔王にしばらく俺たちが預かると言っておく」

 

「魔王って・・・・・」

 

ナヴィが信じられないものを見る目で誠に視線を向け漏らす。

 

「お父さんとお母さんはそれからどこに行くの?」

 

「中国の四神のところにでも顔を出す予定だ。クロウ・クルワッハ、

お前も当然こっち側だからな。お前を協会に置かせるわけにも行かないしよ」

 

「だ、そうだ兵藤一誠。すまないが私はお前の家族と共に行動する」

 

「・・・・・申し訳なさそうに言うけど、顔が嬉しそうだよクロウ・クルワッハ」

 

「戦いを司る暗黒龍の名に恥じないですね」

 

口元を緩ますクロウ・クルワッハを呆れる一誠とルーラーだった。

 

「そうだ兵藤一誠。イタリアに戻ったら武器を渡そう」

 

「クロウ・クルワッハの武器?」

 

「正確にはあの竜の巣にあった武器だ」

 

「おまっ、あそこに保管していた武器も猫糞していたのか!」

 

ドラゴンが武器を必要とするなんて思いもしなかった故に驚愕した誠。

一誠に目を向けながらクロウ・クルワッハは答えた。

 

「必要になると思ってな。だが、いいだろう?」

 

「そりゃ、いつか一誠に渡そうとしていた武器もあったが・・・・・」

 

「因みに持ってきたのはこれだけだ」

 

亜空間から様々な武具を出したところで溜め息を吐く誠だったが、

鞘しかないソレを一誠の背中に備えさせながら告げた。

 

「一誠、ストラーダやクリスタルディから剣術を教えてもらえ。絶対にな。

クロウ・クルワッハが持ってきた剣と槍を何時かお前の手で振るう時が必ず起きる」

 

「はーい」

 

「それじゃ、イタリアへ直行だ一香」

 

誠の話を聞いて魔方陣を展開した一香。一行はその魔方陣の光に包まれ

アルビオン大陸から姿を消した。

 

―――ローマ―――

 

何週間振りのローマに一誠とルーラは舞い戻った。

魔方陣で移動した場所は―――どこかの家の中だった。

それなりに広く、一誠たちがいてもまだ余裕があった。その部屋の住人は突然現れた

一誠たちに固まって視線を向けていた。

 

「あっ、オーフィスとリーラさん!久し振り―――」

 

と住人に向かって挨拶をした一誠が姿を暗ました。突然のことで数人が目を白黒させる。

 

「い、一誠くん・・・・・?」

 

「・・・・・どうやら、しばらくそっとしておいた方が良さそうだな」

 

「え、どういうことですか?」

 

「抑えていたものが爆発的に解放されて、その衝動に駆られた結果の行動・・・・・でしょうね」

 

一香がどこかへ行った。気になったのかルーラとヴァレリーもついて行き、

とある扉にそっと開けた一香と一緒に隙間から覗きこんだ部屋の中の光景は・・・・・。

 

『一誠さま・・・・・もう二度と放しません』

 

『リ、リーラさん・・・・・』

 

『ああ・・・・・久し振りの一誠さまの匂いと温もり・・・・・』

 

下着姿のリーラに覆い被されて上着を脱がされた一誠がベッドにいた。

 

「―――って、リーラ!流石にそれは子供には早過ぎるわぁっ!というか犯罪を犯そうとするんじゃないの!」

 

バンッ!と扉を勢いよく開いて詰め寄る一香にリーラは度肝を抜かす言葉を言い放った。

 

「いくら一香さまとはいえ、これから一誠さまに―――子供の作り方を教える勉強の邪魔をさせません」

 

「ンなに言っちゃってんのよあなたはー!?純粋な一誠には

「空からコウノトリが赤ちゃんを運んでくるのよ☆」って教えればそれでいいのよ!

それが一番可愛いでしょうが!」

 

「いえ、ここは正直に教え、学ばせてもっと男らしく磨くべきなのです!」

 

「男の娘ならともかく、アザゼルみたいな男のように育てたくないのよ!」

 

「大丈夫です。そのことについては深く同意です。

ですが、一誠さまはこの先大勢の女性を魅了させるでしょうから、女性を悦ばす方法を

学ばせるべきであると思います」

 

「だからそれは今じゃなくてもいいのよ!」

 

ワー!キャー!

 

『・・・・・』

 

何時しか様子を見に来た誠たちも顔の半分だけ出して言い争う一香とリーラへ視線を送っていた。

 

「あれ、なにしてんの?」

 

「さぁ・・・・・」

 

不思議そうに、怪訝に視線を送っていると黒いゴスロリを身に包む四肢を覗かせる

黒い長髪の少女が自然に部屋の中へ入って行き、

 

「イッセー、我と一緒に寝る」

 

「え?」

 

当然のように一誠の隣で寝転がり、一誠に抱き付きながらジーと見詰める―――オーフィスだった。

その後、一誠とルーラは久し振りに施設へ戻ったところでストラーダ猊下、

クリスタルディ猊下を始めとする施設にいる者たちから帰還を祝福された。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。