HIGH SCHOOL D×D ―――(再)――― 作:ダーク・シリウス
「えっと・・・・・話とはなんですか?」
黒い長髪の少女が困惑した表情で問うた。コカビエルとフリードはいきなり現れたドラゴンを
模した白い全身鎧の者によって「一週間後、この学校に来なさい」と誠からそう言われ、
「コカビエルさんとはまた戦いたいからアザゼルのおじさんによろしく言っておいて」と
一誠からも言われ何も言わずに連れ去ってしまった。初老の男性については一香の魔法で
どこかへ転送された。今現在、一行がいる場所は高級の高層マンションの最上階。
最上階の部屋をすべて買い取り、壁を壊して他の部屋と繋げては一誠の力で
真新しい部屋に作り替えられた。白い横長のテーブルに五人の少女たちは座って
誠と一香と対面している。
「なーに、コカビエルと聖剣のことに関しては俺たちも予想外な事件だったからな。
もう終わったこととはいえ、俺たちにも教えてはくれないか?」
「・・・・・申し訳ないが、例え兵藤の者とはいえども無関係なことに首を―――」
「そっか、んじゃ『敵に聖剣を全て奪われたようだな教会とお前の戦士たちは』って
ストラーダとクリスタルディにからかってやるか」
―――それは脅しだ!と誰もが思わずにはいられなかった。事実茶髪のツインテールの少女と
緑のメッシュが入っている青髪の少女、黒い長髪の少女の頬が引き攣っている。
「・・・・・一応、私からもその件について上層部にお伝えしますのでご遠慮ください」
「ん?えーと名前はなんだ?」
「申し遅れました。私はリーズバイフェ・ストリンドヴァリ。今回聖剣の奪還に編成されたメンバーのまとめ役です。どうぞ、リーズと呼んでください」
銀髪をポニーテールに結んだ銀の瞳の少女が恭しく自己紹介をした。
「兵藤誠だ。それでこっちは俺の妻の兵藤一香。あっちにいるのは俺の息子の兵藤一誠だ」
誠が自分の家族を紹介したが、一誠はリーラとキッチンで何かを作っている。
リーズは頭を軽く垂らした。感謝の意味を籠めて。
「兵藤家の者が知らなかったとはいえ、私たちに協力していただき感謝します」
「はは、学校に忍び込もうとしたら結界が張られているからどうしたのかと思った。
結界を張っている娘たちから聞けばコカビエルが暴れていると言うからな。
一誠だけ差し向けて様子見していただけだ。礼を言われるようなことじゃないさ。
それと俺たちは兵藤だが兵藤じゃない」
「どういうことなのですか?」
「私たちは兵藤家じゃないってことよリーズちゃん。
だから別に私たちはただの一般人で特に偉いわけじゃない。だから敬語で話さなくてもいいのよ?」
微笑みながら言う一香にリーズは思案顔で顎に手をやるが首を横に振った。
「いえ、目上の者に対しては常にこの喋り方なので変えようがないです」
「そう、ならしょうがないな」
「おまたせー」
軽く話しかけた一誠の手には人数分のシチュー。目の前に置かれてリーズたちは
美味しそうだと心中漏らす。
「だけどびっくりしたよ。イリナとルーラーがコカビエルさんと戦っているなんてさ」
「それはこっちも同じよ。一誠くんがドラゴンになれるなんて」
「私は知っていましたけどね」
茶髪のツインテールの少女、一誠の長馴染みのイリナの会話を聞いてルーラーが当然のように言った。
ルーラーの言葉に一誠も肯定した。
「何度かルーラーの前でドラゴンになったもんね」
「はい、前より大きくなったみたいですし乗せてくれますか?」
「いいよ。またいつかね。取り敢えず温かいうちに食べてよ」
一誠の催促にリーズたちは食べ始める。その間でも今回の一件についてルーラーが語る。
「・・・・・兵藤一誠」
「ん?」
「今更ながら思い出したよ。キミは確か、一年ぐらいカトリックの施設にいた男だったね。
ルーラーと何時も一緒だった」
緑のメッシュが入った青髪の少女の言葉に思い出した一誠は手をポンと叩いた。
「あ、そう言えば。喋ったことはあんまりなかったけど、お前もあの施設にいたよな」
「ゼノヴィアだ。まさかストラーダ猊下の剣、デュランダルをあそこまで
使いこなせるなんて凄いではないか」
「触れたのはあれで二度目で、デュランダルを使って戦ったのはコカビエルさんとの
戦いで初めてだった」
「嘘!?それってぶっつけ本番みたいな感じじゃないの!」
イリナが驚愕した。初めて扱った聖剣を熟練の達人のように振るったのだ。
驚くなと言う方が無理なのかもしれない。
「ストラーダ先生からデュランダルの特性と本質を教えてもらったからな。その通りにしただけだ。
全てを斬るパワーの塊の聖剣、ってね。剣術もストラーダ先生やクリスタルディ先生、
他の修行場で習ったから大分武器で戦えるようにもなった」
「そうですか。それじゃ一誠くんは強くなったんですね」
「ああ、もう人間の中では無類の強さを誇っていると俺は思っている。
ただし、相手が人間だったらの場合だ」
「世界は広く様々な勢力と種族、ヒトがいる。私と誠の自慢の息子はまだ本当の意味で
強いというわけじゃないから今後の伸び代に期待しているけどね」
誠と一香が一誠はまだ弱いとそう言う。父親と母親にそう言われ、
不貞腐れるかと思ったが一誠は当たり前のように受け入れている様子で苦笑を浮かべていた。
「一誠くん、あなたはこれからどうするつもりなんですか?」
「父さんと母さんに言われてな。あの学校に通うことになったんだよ」
「そ、そうなのですか?」
「初めての学校の下見が戦闘だなんて、普通は有り得ないだろう」
息を深く吐いて「結局、中まで見ることはできなかったし」と漏らした。
「ほへぇ・・・・・」
黒髪の少女がマジマジと一誠を見始めた。何やら視線を感じ、
一誠はその少女に顔を向け首を傾げた。
「なんだ?」
「えっと、ルーラーからキミのことを色々と聞いていたから、聞いていた以上の人なんだなーって」
「ルーラーから何を言われているんだ?
「えっと―――むぐっ」
「い、言わないでくださいっ」
何故か黒髪の少女の口を押さえて真っ赤な顔で発言を阻止して一誠に「おかわり!」と要求した。
「あらあら、ライバルがまた増えたようよあなた」
「イリナちゃん、頑張りなよ?」
「ちょっ、おじさま!へ、変なことを言わないでください!
というか私たちは後日ヨーロッパに帰らないといけないんですから一誠くんの
傍にいられるわけが・・・・・」
「そうか?一誠の、ドラゴンの特性は分かっているだろう?
ドラゴンの特性は様々な力を呼び寄せる。だから一誠の魅力でまたこの地に
イリナちゃんたちが来る可能性だってあるんだぜ?」
ニヤニヤと面白そうにイリナへ向けて誠は笑う。そう言われてイリナは顔を赤くして
チラチラとシチューを皿に入れに行っている一誠に視線を向けた。
「せっかくだ。今日はこの家に泊まりなさい。どこで拠点としているか分からないが
ここなら色々と整っているから問題は無いだろう。ああ、お代りもしていいぞ」
「「えええっ!?」」
「ありがとう、お言葉に甘えてそうさせてもらう」
「イリナが変な画を買ってしまったせいで・・・・・昨日から何も食べていなかった。
ですのでその、お代りをお願いしたいのですが」
「ボ、ボクも・・・・・・」
おずおずと空になった皿を突き出す二人。それを聞いて一香は苦笑を浮かべ、
リーラと他の料理を作り始めたその後、広いお風呂に入って満足気なリーズたちが出てきた。
ベッド派と布団派が別れてしまったのでその両方を用意し、
「一誠くん・・・・・あの、昔のように一緒に寝ませんか?」
「わ、私も一誠くんと寝たいかも!」
「私の屍を越えてからにしてくださいますか?」
「「じょ、上等・・・・・っ!」」
一部、ヤンチャな出来事があったが翌日の朝、リーズたちは無事に本国へと帰って行ったのだった。
―――○●○―――
そして、一誠たちが学校に通う日となった。着なれない学生服を身に包む一誠を誠と
一香は感慨に浸る。
「この日が来るとはな・・・・・」
「ようやく、一誠も人並みの人生を送れるのね・・・・・」
「一誠の嫁候補についてはもう問題は無いだろう」
「より取り見取りだもの。誠、あなたも昔はモテていたしね」
「はっはっはっ。だが今は俺の最高の女が隣にいるから大満足だけどな!」
「もう、あなたったら・・・・・」
自分の目の前でイチャつきだす両親に一誠たちはスルーして互いの姿を見比べする。
「俺とオーフィス、咲夜、ヴァレリー、ルクシャナ、テファ、アルトルージュ、
なぜかクロウ・クルワッハ、アラクネーまでが学生として・・・・・なのか?」
「私とリィゾさま、フィナさまはどうやら教師のようですね」
「私は何を教えろというのだ?」
「右に同意見だ」
「「・・・・・」」
一誠とリーラは無言でとある人物に目を向けた。そして一言。
「「・・・・・若返って・・・・・学生・・・・・」」
「あう・・・・・その、変でしょうか」
テファの母親、シャジャルが一誠と変わらない年齢になっていて
女子制服を身に包んでいるのだった。本人も困惑してモジモジと恥ずかしげに一誠たちに訊ねた。
いや、変どころか凄く似合っているし可愛い―――。それが一誠たちの心境だった。
「ふっふっふっ。俺の
刻まれた成長の時を戻して十代に戻したのだ」
誇らしげに、自慢げに誠が種明かしをした。
「マジで?」
「大マジさ。ちなみに元に戻すことが可能だが、元に戻す気はさらさらない。
彼女も学生として学校を楽しんでもらいたいからな。だからティファニアちゃん」
「は、はい」
「学校にいる間はシャジャルさんのことを姉として接しないとダメだ。
学校でお母さんと呼んでしまなわいように」
そんなこと言われ目を丸くするティファニア。
母親を姉として接しないといけないなんて夢にも思わないだろう。一誠は誠に問うた。
「何で学生なの?」
「んー、というかそうするしかないんだ。彼女、物事を教えることはできないし、
今から勉強なんて一朝一夕じゃ無理だ。いくら異種族が交流できる町と学校があるとはいえ
危険がないわけじゃない。だから、楽しく過ごしてもらうには常に頼れる存在の傍で
いてもらう他ない。とう言うことで一誠、お前が守らないといけないから頑張れよ」
「うん、それは当然だけど父さん」
「なんだ?」
「プライミッツ・マーダーはどうするの?」
魔獣のプライミッツ・マーダーを一瞥して疑問をぶつけた。
一匹だけいさせるのもなんだが忍びなく、誠と一香も部屋に帰ってくることはあまりない。
だからどうするのだと聞けば、誠はこう答えた。
「フィナくんの見張り役かな。女性ならいざしらず、同性の血しか飲まないなんて
ある意味危険だろう」
マジですか!?と驚愕する声が聞こえたが一誠は納得した面持ちで頷いた。
「魔獣なんだけど大丈夫?」
「問題ない。理事長から説明して納得させて了承を貰った。生徒や他の教師に危害を
加えなければ問題ないってよ。ああ攻撃されたら迎撃して良いからな?
ただし、石ころを投げられてもバカにされても我慢するんだ。鬱憤はフィナくんで晴らせ」
「だ、そうよプライミッツ・マーダー」
アルトルージュからも言われて魔獣プライミッツ・マーダーは小さく頷いた。
「私の扱い・・・・・なんか酷くないか?」
「日ごろの行いが悪いからだろう」
「ひどっ!私は何も悪いことなどしていないではないか!」
「一誠を襲った前科があるわよ?」
「モウシワケゴザイマセンデシタ」
一香から発するプレッシャーに耐えきれず、片言で謝罪し頭を下げたフィナ。
ちょっと同情するがしょうがないと思いつつ一誠はあることを聞いた。
「俺たちって一緒のクラス?」
「いんや、流石に同じクラスにするには多すぎるから無理だ。
数人ずつ分かれてクラスに編入してもらうぞ。会いたいなら休憩時間に会えばいい」
「うん、わかった」
こうして一誠たちは誠と一香に見送られながら学校へ向かった。
「それじゃ、私は仕事をしなきゃいけないから」
「そういう約束だからな。だけどいいのか?お前も学校にいけばいいだろうに教師として」
「気が向いたら考えてもいいわ」
ナヴィは去る誠と一香を見送った後、自分の仕事場に戻って
一誠たちが帰ってくるまで使い魔を使役して仕事に没頭するのだった。
―――国立バーベナ駒王学園―――
「改めて見て大きい学校だ」
そう学園を見渡して漏らした一誠。造りは西洋風で先ほど和風の木製で出来た門を
潜ってきたところで、学校はもしかすると和風と洋風で作られているのかもしれないと
思いつつ職員室へと赴く。
「私、学校なんて行くの初めて」
「そうね、私もどんなことを体験できるのかワクワクするわ」
ヴァレリーとルクシャナが興味身心に周囲を見渡す。ティファニアやシャジャルも
初めて見る景色に好奇心の色が目に浮かんでいる。靴箱がある玄関に入り
広い玄関ホールに足を踏み入れた。天井にはシャンデリアが吊るされていて、
高級ホテルに足を運んだような気分であった。
「今さら何だけどさリーラと咲夜」
「「はい?」」
「良くメイド服で通えることを父さんと母さんは了承してもらったんだなって」
「そうだな。私は黒いコートからこのような服で登校させられるのにな」
一誠の言葉に同意とクロウ・クルワッハが自分の今の女子制服のスカートを摘まんで指摘する。
「「メイドですので」」
「ああ、それだけで片付けられるなんてメイドは凄いな」
何か最強の呪文を唱えられた気分でそれ以上何も言わないことにした一誠だった。
国立バーベナ駒王学園は五階建ての学園で一階は一年生、二階は教師たちが集う職員室と二年生、
三階は三年生と順にそれぞれの学年がある教室。四階、五階は多目的室や移動授業に使われる
各専用の教室、学校から出れば庭園や休憩スペースがある。
学校の裏には東京ドーム二個分のグラウンド、その周囲に部活動ができる施設や倉庫など
設けられていてスポーツを楽しむ者だけが使用されることが多い。
さらに場所を戻って一階には学生食堂、図書室etc・・・・・。
「二階に職員室があるなんて、他の学校もみんなそんな感じの構造なのか?」
「いえ、他の学校とは異なる学校ですので絶対に言い切れませんがここだけではないでしょうか」
咲夜の答えにそれもそうかと納得する。他の学校とは根本的に違う。
ここは神話体系の勢力が集う場所。どうしてここまで自分たちの正体を明かす場所を作り、
町に堂々と闊歩させ人間界に暮らせるようにしたのか誰も知らない、気付かないのが現状である。
「えーと、職員室ってどこだ・・・・・てっ、ここか。直ぐ近くにあるもんなんだな」
職員室と書かれたプレートを階段を登ってすぐ横にあることを気付く。
いざ、職員室の扉を開けて足を踏み入れた。入室の際の挨拶を忘れず発し、
自分たちの存在を意識させる。そうすることで数人の男女が歩み寄ってきた。
「キミたちが編入してきた子たちだね?理事長から聞いている」
「えっと、今日から教師と成ってくれる人たちも一緒のようですね。こちらに来てください」
「はい、では一誠さま。しばしのお別れです」
「お昼休みになったら一緒に食べよう」
「我が麗しき美少年。私にも何か一言を―――!?」
「行くぞ」
『・・・・・』
リィゾとプライミッツ・マーダーがフィナを引き摺り職員質の中へと消えた。
リーラも一誠たちから離れる。
「さて、俺のクラスの生徒となる・・・・・はぁ」
「・・・・・なぜそこで溜息を吐く?」
「ああ・・・・・すまないね。俺が請け負っているクラスは
事情があって・・・・・ま、キミなら大丈夫かな。理事長の友達の息子だというし」
何故か一誠を見て憂い顔を浮かべる教師。どうしてそんな言動をするのか一誠たちは理解できず、
一誠、オーフィス、咲夜、ヴァレリー。クロウ・クルワッハ、アラクネー、
ルクシャナ、ティファニア、シャジャルとそれぞれのクラスに配属される形で別れた。
―――2-F―――
「・・・・・先生」
「なんだ?」
「ここ、本当に教室?」
一誠から疑問をぶつけられ、教師は苦笑いをするしかなかった。
なぜなら―――個人エアコン、冷蔵庫、リクライニングシートが当たり前のように設けられているのだ。
冷蔵庫には当然のように各種飲料やお菓子を含めた様々な食料が、エアコンは教室どころか
各人に一台。それぞれが好みの温度に調整できるようになっている。さらに一誠たちが見渡せば、
教室は一般の体育館並みの広さでキッチンまで存在し、壁には格調高い絵画や観葉植物が
さりげなく置かれていた。ここはまるで高級ホテルのようだった。
だが、そんな光景に一誠たちは何とも言えない気分に浸っている時間は無かった。
「(・・・・・うわ、凄い敵意と警戒・・・・・)」
「(殆どの方が一誠さまを見てそうですね)」
「(しかも、女の子しかいないのね)」
「(イッセーを守る)」
四人がFクラスに配属。そこは何故か一人も男がいない教室で全員が女子生徒。
さらに一誠を睨むことを止めない。警戒心と敵意を隠そうとはしない。
「あー、今日からこのクラスに編入した十六夜咲夜、ヴァレリー・ツェペシュ、
『
教師は一誠を見て溜息を吐いた。
「・・・・・兵藤一誠くんだ」
『・・・・・』
次の瞬間、ブーイングの嵐が生じた。
「ちょっとっ!どうしてこのクラスに男、しかも兵藤が入ってくるんですか!」
「学校側は一体何を考えているんですか!」
「男はいらない!女だけ置いて出て行け!」
「「(・・・・・学級が一瞬で崩壊した)」」
しかも一誠に筆記用具、魔法使いや悪魔、堕天使もいるのか魔力弾や光の槍まで飛来する。
それには目を丸くして、防御魔方陣で咲夜たちも守った。
「・・・・・どうやら一誠さまというより、兵藤家の男性に関係しているようですね」
「まさかと思うが・・・・・先生、この学校に兵藤家の誰かがいるんですか?」
魔方陣で守られている教師に問うと、深い溜息を吐いて頷いた。
「この学校は完成してからまだ日が浅い。
だから知名度を上げる為にも上層部は悪魔や天使、堕天使だけではなく、
兵藤家や式森家の子供たちも通わせることに決まったんだけどね・・・・・兵藤家、
特に男子が傍若無人、理不尽な言動、自己中心、この学校のルールを
『俺たちは天皇兵藤家だからなにをしても許される。邪魔をした奴らは兵藤家の威厳と
絶対的な権利で一家路頭に迷わせる。兵藤家に逆らうな痛い目に遭いたくなければな』と
平然と破り、授業中に抜け出したり、同じクラスメートや他のクラスの女子にセクハラ
どころか世間に言えようのない事件が度々起きているというより起こしているんだ」
「「「・・・・・」」」
「このクラスにいる女子たちもその被害者かその関係者、また自ら望んできた女子たちだ。
このクラスには男子もいたんだけど、あまりにも女子が同じクラスメートの兵藤家の男子たちと
いるのを拒んだから理事長は苦渋の選択をし、任意を含め男子と女子とクラスを分けた。
F~Dが女子のクラス、C~Sまでが男子のクラスとしてね。
キミが、新しく入ってきた兵藤がこの教室に配属されることを
懸念していたんだんだが・・・・・ほぼ、予想通りの反応をしてくれたけどね」
いや、その反応は最悪でしょう。
「・・・・・俺も他の兵藤と同じ扱いをされているということか」
突然、防御魔方陣を消したことで魔力弾や光の槍が一誠に直撃した。
『・・・・・』
女子たちはいきなり無防備になって自分たちの攻撃を受けた一誠に思わず攻撃の手を止めた。
「―――お前たちが兵藤家に酷い目に遭っていることを、俺は知らない。
深く心身ともに傷付いていることも俺は今日まで知らない。だけどな」
身体に突き刺さっている光の槍を抜き放って握り潰した。血が噴き出しているにも拘らず一誠は真っ直ぐ女子たちに向かって言いきった。
「信用してくれとは言わない。だけど、俺は他の兵藤家の奴らとは違う。
一緒にしないでくれ。それと俺は兵藤家の人間じゃないんでそことんとこよろしく」
「・・・・・そんなこと、信用できるわけがない」
一人の女子生徒が漏らしたのを聞き苦笑を浮かべた一誠が言った。
「信用できないならそれでいいって。逆に少しずつ信頼をしてもらうから」
その時、この教室に数人の男子が入ってきた。教師はすかさず反応して叱咤した。
「キミたち!いまはHR中だから自分の教室に戻りなさい!」
「先公の言うことを俺たち兵藤家が聞くと思ってんの?」
「うはっ!なんかメイドがいるぜ!ご奉仕してもらおうっかなー!」
「あ?なんで男がここにいるんだよ。ここって女の溜まり場のはずだろう」
三人の男子が一誠たちに気付く。兵藤家の男だと分かった女子たちが悲鳴を上げたり
敵意を籠めて睨んだり、警戒態勢で席から立ち上がっている。
「おいお前、そこのメイドをこっちに渡せ」
「なんでだ?」
「俺たち兵藤家に逆らうのか?逆らったらお前は―――」
「ああ、酷い目に遭うんだって?―――上等だよ」
そう言った一誠に顔が狂喜の笑みを浮かべ出した。
「お前らの言うことなんて俺が聞くと思っているのか?」
「はっ!身の程知らずが、俺たちに敵うと思うなよ?」
「今日から俺はこのクラスの一員だ。だからクラスメートが酷い目に遭うのを俺は
黙っているつもりは無い」
自然体で守ると言い放った一誠。対して相手は一誠に敵意を抱いた。
「こいつ、邪魔だよな?」
「ああ、俺たちを邪魔するし、どうやら俺たちの怖さを知らないらしいしな」
「んじゃ、決定だな。俺たちの強さを思い知らせて一家諸共路頭に迷わせようぜ」
三人の男子が一誠に飛び掛かった。女子生徒たちはただ一誠が殴られると思い見守っていると―――。
「先生」
「え?」
「すいません、窓ガラスを壊しますので」
一誠が教師に一人の男子の腕を掴みながら言った。
言葉通り、その男子を思いっきり投げ放ち窓ガラスを壊して外に。
「てめぇっ!」
「この野郎ぉっ!」
「お前らも同じ運命を辿れ」
残りの二人の男子から突き出される拳をかわし、首を掴めば最初の一人の男子のように
外へ向かって投げ放った。
「天気は変わりやすいから気をつけろよ・・・・・って言っても聞こえないか」
次の瞬間、雷が落ちてまだ宙にいた三人組に直撃した。その光景を唖然と女子たちが
見詰めていれば雷は止み、全身黒コゲの兵藤家の三人が地面に倒れていた。
その後、一誠は何事もなかったように窓ガラスを金色の杖を具現化してその杖の能力で治した。
「えっと、改めて俺は兵藤一誠だ。見ての通り、俺は他の兵藤家とは違うんで
一緒にだけはしないでくれ」
この日から一誠は波乱万丈な学校生活を送ることとなった。