HIGH SCHOOL D×D ―――(再)―――   作:ダーク・シリウス

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エピソード8

「それじゃプリムラ、一緒に行くか」

 

「・・・・・うん」

 

「話はつけてあるから一時的にも預けてもらいなさい。私といてもその子は

退屈な思いをさせるだけだけよ」

 

高層高級マンションから出発し、昨日出会った少女プリムラも率いて学園に向かう。

晴天で穏やかな気温と空気。一行の活動しやすい環境の中を闊歩し、

和気藹々と雑談しながら三十分で目的地である学園に辿り着く。

 

「では、プリムラさま。私たちと一緒にお会いになって貰う方のもとへ行きましょう」

 

「・・・・・」

 

「一誠さまとはまた夜にでもお会いすることができます。それまではしばらくあなたさまの姉とお過ごしになられてください」

 

リーラの説得でプリムラをどこかへ連れて行った。一誠たちはそれぞれの持ち場に移動する。

 

「・・・・・ところで兵藤一誠」

 

「ん?」

 

「―――本当にそんな姿になる必要はあるのか?」

 

隣のクラスに所属しているクロウ・クルワッハからの疑問。一誠は渋った顔でこう言った。

 

「毎回毎回睨まれるとこっちも気が削がれる。ならどうすればいい?と

父さんや母さんに訊いたらこうした方がいいとアドバイスを受けたんだから間違いないんだ」

 

「・・・・・イッセー、第三者から見てると絶対に面白がって騙されているわよ絶対に」

 

「ははは、父さんと母さんが俺をからかうわけがないだろう?」

 

ルクシャナの言葉に笑みを浮かべて否定した。それを危惧したようにアラクネーが漏らす。

 

「・・・・・心を開いた相手にはどこまでも純粋で信用と信頼をするのは、

時に身を滅ぼすような結果になることを知らないのだな」

 

「でも、今の一誠を見るとこれはこれで・・・・・」

 

アルトルージュの目がキラキラと輝いている。

今の一誠の姿は教室にいる女子しかいないクラスメートたちの反応で明らかとなる。

 

ガラッ。

 

「おはよう、皆」

 

『・・・・・。・・・・・?』

 

同じクラスメートの男が来たと半数は無視し、もう半数は一誠の姿を見て目を白黒させた。

この数日間一誠を視界に入れてきた女子たちの記憶に残っている一誠の姿とは全く違っていた。

身長は短く、小さくなっていて、真紅の髪から可愛らしくピコピコと狐の耳が生えている。

腰辺りにふんわりと抱き心地が良さそうな九本の尾も生えていた。

 

『・・・・・誰?』

 

「兵藤一誠だけど?」

 

首を傾げながら名乗った途端。初めてこのクラスにはいった時の反応とは違う―――。

 

『えええええええええええええええええっ!?』

 

殆どの女子が反応を示した。

 

「この姿でいれば睨まれることは無いだろうからな。これからはこの姿で教室にいるからよろしく」

 

あくまで自分の保身の為だと言い張った一誠。

 

「OH!兵藤、PRETTYデース!」

 

金剛が顔を明るくさせて一誠を抱きしめた。

 

「どうしたのですか兵藤?こんなPRETTYになってしまっテ。

というかこのTAILは本物なのデスカー?」

 

「うん、本物だよ。俺は妖怪ってわけじゃないけどね」

 

「ウーン、なんだか複雑な事情があるようですネ。ですが私は気にしませーン。なんたってこんなにPRETTYなのですから!」

 

一誠を抱きしめ頬をすり寄せる金剛は気に入った様子で一誠は誠と一香に感謝の念を抱きつつ笑みを浮かべた。

 

 

『・・・・・なに、あの可愛らしい生き物は・・・・・っ』

 

『・・・・・あの姿でいれば安全だと思っていい気に

 なってんじゃないわよ・・・・・!(ダバダバ)』

 

『ちょっ、そんな事を言いながら鼻血、鼻血が出ているわよあなた!まさかショタコンだったの!?』

 

『違う!私は―――ショタ狐萌えなのよ!』

 

『・・・・・大して変わらないんじゃないのよ』

 

 

女子たちの反応も様々だった。怒りや敵意は無く、寧ろ困惑と―――萌えの反応が表れた。

 

「・・・・・我は大きいイッセーが良い」

 

「うふふ・・・・・このままお家までいてくれたら可愛らしいお洋服を着せかえできるかも」

 

「・・・・・一誠さまの思惑通り、いえ、私の予想を斜めになっていますねこれは」

 

「席に着けー。授業を・・・・・ってなんだこの雰囲気?しかも兵藤、その姿はなんだ!?」

 

「ん?可愛いくない?」

 

「・・・・・ノーコメントだ」

 

教師も現れたことで場は治まりつつ授業が始まった。

 

「さーて、今日は一週間に一度のイベントがある。お前ら気張れよ」

 

意味深なことを言いだす教師に挙手をするヴァレリー。

 

「あの、なにをするんですか?」

 

「ん?そう言えば最近来たばかりのお前たちは知らなかったな。では、改めて説明してやろう」

 

一誠たちに説明する教師。

 

「簡単に言えば一クラス丸ごと色々なことをするんだ。

よくあるボランティア活動のようなことだ。海辺のゴミを拾ったり、

困っている人の手伝いをしたりと本当に色々とな」

 

この学校にそんな趣向があるとは思いもしなかった一誠たち。

 

「それって全校で?」

 

「ああ、そうだな。だがボランティア活動は二学年のF~Dまでのクラスだ」

 

「・・・・・たったの三クラス?なぜに?」

 

「兵藤」

 

遠い目で諭すように教師は一誠に告げた。

 

「あの兵藤家がボランティア活動を真っ当に、真面目にすると思っているか?」

 

・・・・・。・・・・・。・・・・・。

 

・・・・・。・・・・・。

 

・・・・・。

 

「すいませんでした」

 

深々と頭を下げて謝った一誠だった。満足気に教師は頷き言い続ける。

 

「分かればいい。ま、そういうことはF~Dまでのクラスはするが、

他のクラスはこの国立バーベナ駒王学園に依頼してきた依頼者の任務を請け負う。

F~Sのランク付けの依頼をな」

 

「Sランクの依頼って?」

 

「主な内容は錬金術に使う必要な貴重な、重要な、高級な素材の収集、モンスターの討伐だな。

上級生になるとBかAの依頼を受ける機会が多くなるから三年生になるとSランクは

当たり前のように依頼が入ってくる」

 

「依頼を果たせば当然の報酬があるけどそれは?」

 

「それは戦果として成績に残る」

 

高ランクほど成績も評価が高くなる。だが、このクラスはSランクを依頼できるほどの

強さを持っている女子はあまりいない。

 

「一人だけSランクしても意味は無いんですよね?」

 

「良く分かったな。ああ、これはクラスが一致団結して行う。

絆を深めるための任務でもあるから単独行動は無意味だ。ゲームで言えばギルドってことになるな」

 

「ギルドか・・・・・」

 

「なんだ兵藤」

 

「んや、昔外国でとあるギルドに所属していたことがあったんで懐かしく思ったんですよ」

 

脳裏では幼い数人の男女と過ごした日々が過ぎる。

姉的な存在の赤髪の少女や毎日飽きず喧嘩をする桜髪と黒髪の少年たちと過ごした記憶が。

 

「そうか。お前がどんな所で過ごし生きていたのかは分からないが、

放課後このクラスと共に依頼をするからな」

 

「因みにどんなことを今回はするの?」

 

「ああ、前以て言っておくか」

 

教師は告げた。

 

「今回の依頼はSランク。依頼の内容は天界と冥界の姫の護衛だ。

当の本人たちは後日このクラスに編入されるから卒業まで仲良く接するように」

 

『・・・・・』

 

2-Fの教室に静寂が訪れた。教師から告げられた依頼のランクと内容に、

誰もが思考を停止し、次第に理解していくと殆どの者たちが絶叫を上げたのだった。

その後、HRは終わって次の授業の合間に一誠たちは話し合った。

 

「まさか、姫の護衛をすることになるなんてな」

 

「私でも役に立つのかしら」

 

不安げに漏らすヴァレリーは吸血鬼とはいえハーフなので純血の吸血鬼より力は劣る。

その気持ちを抱く家族の頭に手を置いて撫でる一誠は言う。

 

「皆でカバーしあってすれば問題は無いだろう。戦闘の面は俺に任せてくれ」

 

「お世話なら私にお任せください」

 

「我も頑張る」

 

最強の龍神もやる気を見せたところで一誠を呼ぶパチュリーが近づいてきた。

 

「あの魔法の本を読ませてくれないかしら?」

 

「ん?なら一緒に読むか」

 

鞄から古ぼけた厚い本を取り出してページを開いた。一誠の提案に異論は無いパチュリーは

ひょいと一誠を持ち上げて一誠の席を座り自分の膝に小さい一誠を乗せた形で

魔法の本を読むことに没頭する。

 

「パチュリー、ズルいデス!私も兵藤を抱きしめたいデス!」

 

「あら、彼も本を読みたいというのだからこうしないと一緒に読めないでしょ?」

 

涼しげな顔で発するパチュリーと可愛くなった一誠を自分も抱きしめたいという願望が

ある金剛が対立した瞬間だった。一誠は溜息を零す。

 

「俺は人形か何かか」

 

「人形さんならお洋服の着せ替えが自由にできていいのに」

 

「うふふ」と楽しげに笑みを零すヴァレリーの言葉は一誠を委縮させるのに十分だった。

 

「ねぇ、イッセー。毎日その身体で学校に行くなら可愛い恰好で、女の子の制服で行ってくれない?」

 

「絶対に嫌だ!」

 

断固拒否とばかり強く言った一誠。

 

 

 

 

「そう言えば、兵藤は部活なんてしたいかしら?」

 

「唐突な質問だな」

 

「だって、この学校は部活に入部するか自分で部活を創設するかしないと成績に関わるもの。

まぁ、別に無理しなくても部活をしなくてもいいけどね」

 

授業が終わるや否や、パチュリーがそう話しかけてきた。そんな規定があるとは

知らなかった一誠にとって首を傾げる思いだった。

 

「ここってあれか?実力主義とか格差社会とかなんかだったのか?」

 

「ええ、そうよ。クラスの順位は関係ないけれど個々の能力を見合った行動をしないと

社会に出る時、それが影響するらしいわよ」

 

「んで、俺にそういうパチュリーさんは何か部活をしているんだよな?」

 

「ええ、自分で創設したわ。図書館を管理する図書部を。私は部活の部長を務めているわ。

人員は中学生と小学生をも含めて二十人強」

 

「へぇ、小学生も含まれるんだ」

 

「初等と中等の後輩もそれぞれの部活をしていて高等部の部活の部長として

同じ部活をしている後輩たちの人数を把握するのは当然のことでもあるの」

 

奥が深そうだと一誠は感心し、パチュリーからあれこれと聞いた時。

 

「失礼。あ、いたいた。兵藤、あのゼルレッチの本を貸してくれない?」

 

休憩時間を利用して入ってきた2-Cの式森和樹。真っ直ぐ一誠に近づき本を要求した。

 

「丁度良い。お前、何の部活に入っている?」

 

「ん?部活?僕は魔法使いだから魔法に関する知識や研究を主な目的とする魔術部で、

創設して僕が部長なんだよ。因みに高等部だけでも二十人以上はいる」

 

和樹の部活を知り「魔術部か」と漏らし、和樹らしい部活に納得した。

 

「興味ある?兵藤家とは言え魔法を使えるなら一度体験入学をすることをお勧めするよ。

魔法を極めたいなら尚更ね」

 

軽く一誠を誘う和樹だった。

 

「魔術部と言うから魔法が付加されている道具もその対象に含まれている?」

 

「そうだね。壊れる前のエクスカリバーも魔法が付加されていると伝承で見聞するし

興味があるのは確かだね」

 

「なるほど、じゃあ、これらも興味があるんだよな?」

 

どういうことなのかと一誠を見詰めていると一誠は空間を歪ませ、

両手で何かを探るように空間の穴に手を突っ込ませた。そして穴から取り出したのは

様々な剣と鞘。和樹はその剣と鞘から感じる魔力に目を張った。

 

「これって・・・・・」

 

「ん、父さんと母さんが世界中に飛びまわった際に得た伝説の代物だって。

レプリカも含まれているみたいだけど本物と遜色がないらしい」

 

「・・・・・キミの親は一体何者なのさ」

 

信じがたいという気持ちが一杯の和樹の質問を一誠は答えた。

 

「自慢で俺の誇りだよ」

 

―――○●○―――

 

「部活か・・・・・」

 

昼休み、屋上で食事をしていた一誠がポツリと漏らした。

 

「部活がどうかしたの?」

 

ルクシャナが疑問をぶつけてくるので一誠は説明した。

 

「ああ、興味が湧いてな。この学校の部活は」

 

「そうですか。では、体験してみたらいかがですか?」

 

「そうするよ。もしも俺が部活を創設したらリーラが顧問の先生になってくれるか?」

 

「勿論です。私もそう望みます」

 

口元を小さく緩み微笑むリーラ。主の願いを叶えるのも従者の務めでもある。

それを抜きにしてもリーラは一誠の願いを叶えるだろう。

 

「それで、仮に部活を作るならどんな部活にするのだ?」

 

クロウ・クルワッハの質問に一誠を「うーん」と悩んだ。

 

「皆が楽しく自由にできるようなことをしたいな」

 

「例えばどんな?」

 

「探険とか?父さんと母さんみたく世界中に旅をして回って珍しいものを採取して部室に残したい」

 

「モンスターと出くわして倒した暁には記念にその証明となる物を残すことも必要だろうな」

 

着々と決まる部活の内容。するとその時、

 

「親も親なら子も子ってか」

 

どこからともなく聞こえてきた声と同時に一つの魔方陣が屋上に出現し、

魔方陣から一人の中年男性が現れた。その人物は一誠とリーラ、オーフィスがよく知る人物だった。

 

「あっ、アザゼルのおじさん!久し振り!」

 

「よー一誠。久し振りじゃねーか。随分と男らしく成長したもんだ」

 

久し振りに会ったアザゼルに一誠は抱きしめて抱擁を交わした。

アザゼルは一誠の家族の面々を見渡し溜息を零した。

 

「吸血鬼にエルフがお前の新たな家族か。そんで、お前は人間ではないな?」

 

「私は蜘蛛に転生したアラクネーと言う」

 

「アラクネー・・・・・・アテネの伝承に関わっている元人間だったな。

よく一誠と共に行動することになったもんだ。んで、お前もだクロウ・クルワッハ。

最強の邪龍のお前さんもまさか一誠と共にいるとはな」

 

「兵藤一誠と共にいれば面白そうだからな。事実、アルビオンと会えたわけだ」

 

不敵に口の端を吊り上げたクロウ・クルワッハ。

これからも一誠の傍にいて見守ることを心から抱き、楽しませてもらう様子だった。

 

「不安要素がまた一つ集まったか。目に届く場所にいてくれれば対処もできるわけだが―――」

 

アルトルージュとヴァレリーに目を向ける。

 

「どうして平然と太陽の下にいられる?」

 

吸血鬼は太陽の光に弱い種族でもあるとアザゼルは熟知している。存在しないものも存在して、

当然のように太陽の下にいる吸血鬼に疑問がつきない。だからこそ吸血鬼の二人に訊ねたのだ。

返ってきた答えはアザゼルの度肝を抜かす。

 

「ヴァレリーの神器(セイクリッド・ギア)で吸血鬼の弱点を無くすことができたのよ」

 

神器(セイクリッド・ギア)?お前さん、ハーフだったのか」

 

「はい。初めまして、私はヴァレリー・ツェペシュです」

 

「ツェペシュ・・・・・。男尊派のトップの吸血鬼がこんな場所にいるなんて驚いたな。

それで自分の神器(セイクリッド・ギア)のことはどこまで分かっているのか?」

 

その問いに装飾と意匠が凝った杯をヴァレリーは発現してアザゼルに見せつけた。

 

「マリウスお兄さまによれば吸血鬼の弱点を無くすことができるとかで。

実際にアルトルージュさまたちに水流や太陽の光、ニンニクなど吸血鬼の弱点を時間かけて

なくすことに成功しました。これのおかげでイッセーを止めることもできました」

 

ヴァレリーの話を耳に入れつつもアザゼルは目を大きく見張っていた。間違いなければ

これはとんでもない代物である神器(セイクリッド・ギア)

こんなものが一誠の傍に、所有者がいたとはアザゼルでさえ気付きもしなかった。

 

「・・・・・幽世の聖杯(セフィロト・グラール)か・・・・・!」

 

「それが、ヴァレリーの神器(セイクリッド・ギア)の名前?」

 

「ああ、神滅具(ロンギヌス)でもある。そのマリウスという吸血鬼も知っていたとなると

ここにこの聖杯があることはとても幸いだ。こいつを多用し乱用すると精神が汚染して

普通じゃいられなくなる。ヴァレリーとやら。もうその聖杯は滅多な出来事にしか使うなよ。

これはお前の為に思って言っているんだからな」

 

「そうですか?わかりました」

 

真剣な顔になるアザゼルがヴァレリーに警告するほどの代物。ヴァレリーもアザゼルからの

警告に素直に応じたがアザゼルはこれだけでは安心しきれないようで一誠に話しかけた。

 

「一誠、ヴァレリーをなにがなんでも守れ。ヴァレリーの聖杯を狙う輩はお前が友達だと

思っている連中でさえ傍に起きたい代物だ。

こいつは死んだものをも甦らす程の能力があるんだからな」

 

「・・・・・ヴァレリーの聖杯は父さんと母さんでさえ知らない。

知っている人はこの場にいる皆とアルトルージュの二人の騎士だけだ」

 

「誠と一香に関しては俺も信用しているから問題ないと思っている。

ヴァレリー、お前の聖杯を少しばかり調べさせて欲しい。時間が空いた時でもいいから

ユーストマかフォーベシイに言え」

 

「分かりました。ですが、これはそこまで凄いとは知りませんでした」

 

「知っていて損は無いからな。―――まったくどうして一誠の傍に有り得ないの一言で

語れる出来事が発生するんだよ」

 

足元に出現した魔方陣の光に包まれながら言うアザゼルはこの場から姿を消したのだった。

 

神滅具(ロンギヌス)・・・・・やっぱりそうだったんだな」

 

「なんであれ、その聖杯はとても重要なものらしいがな。

それを狙う輩が遅かれ早かれ現れてもおかしくは無い」

 

「では、何時も通り過ごしながら警戒をしましょうか」

 

場は一致して話を切り替えた。

 

「話を戻すけれど、そんな部活を作るなら私は賛成ね。また世界中にいる蛮人の文化や

風習を調べることができるし」

 

「誠さまと一香さまから様々な体験話をお聞き、その元で行うと効率が良いかと思います」

 

「なんだか、ピクニックな気分になりそうね」

 

場は賑やかとなり最終的には一誠が『冒険部』という部活を創設することを決意した。

 

 

 

―――放課後―――。一誠は生徒会室へと足を運んだ。部活の創設の申請をするには

生徒会室にいる生徒会会長の者に申し込まないといけないとパチュリーからの情報源で

向かっていた。生徒会室は一階の場所にあり、迷わず直ぐに辿りつけた。足を停め、

分厚そうな木製の扉に強めにノックをした。

一拍して扉が開くと一人の灰色の髪の男子が顔を出してきた。一誠の顔を見るなり、

 

「・・・・・子供?」

 

その男子は一誠が体育の授業で戦った中で知り合っていた人物だった。

一誠は覚えていても相手は今の一誠の姿で怪訝な眼つきで見下ろしていた。

そして自己完結したのか溜息を吐いた後に対応した。

 

「あー、小学校の子かな?ここは高校生しか入れない場所だから小学校に戻ろうか」

 

「―――おい、外見で判断するなと親に言われていないのかお前は」

 

指をパチンと鳴らして弾いた途端に一誠の身体がみるみる大きくなり、

元の姿に戻って男子生徒を驚かした。

 

「お、お前はぁっ!」

 

「ここ、生徒会室でいいんだよな?」

 

「な、何しに来やがった兵藤が!」

 

「・・・・・そこまで邪険にならなくてもいいじゃないか?

で、生徒会の会長と話をしたいんだが」

 

相手は凄く警戒して一誠を入らせないとばかり睨んでくる。

だが、扉の奥から一人の女子が顔を出した。

 

「サジ、一体何の騒ぎですか―――」

 

「ん?あ、久し振り」

 

「・・・・・兵藤」

 

眼鏡を掛けた女性すら若干鋭くなった目つきで一誠を見据える。

 

「何をしに来たのですか」

 

「会長はいるかなって。部活の創設の申請をしに来たからさ」

 

理由を告げる一誠。女子は無言で一誠を見続けると口を開いた。

 

「・・・・・どうぞ、お入りください」

 

「ふ、副会長!?」

 

男子が生徒会室に招き入れるとは思いもしなかったようで驚きの反応は大きかった。

 

「サジ、彼は部活の創設の話をしに来ただけです。それに彼と戦った私と会長は少なくとも

ほかの兵藤とは違うということぐらいは分かっているつもりです」

 

「本当・・・・・兵藤家のバカ共の所為で俺もほとほと困っている。

いっそのこと全員退学にできないのか?」

 

「それができたらこの学校は平和そのものです」

 

「やっぱりそうか。はぁ・・・・・」

 

唖然としている男子を余所に生徒会室に入る一誠。中に入ると書類整理やパソコンで

仕事していたり、紙に判子を押している姿の女子たちが目に入った。

 

「って、以前授業で戦ったメンバーじゃんか。まさか生徒会だったとはな」

 

一誠の声を聞こえた生徒会メンバーは手を停め、警戒を強めた。

その中で眼鏡を掛けた女子が口を開いた。

 

「・・・・・なにをしに来たのですか?」

 

「部活の創設の申請」

 

アッサリ答えた為、もう一人眼鏡を掛けた黒い短髪の女子が訊ねる。

 

「その内容は?」

 

「探険、冒険だ。世界中を空いた時間で行って珍しいものを採取して部室に展示する予定だ」

 

「・・・・・その為の費用は学園から出すとでも?」

 

「自腹で行くつもりだけど?冥界とかまだ行ったことがない天界も

理事長に頼んで行けるようにお願いするし」

 

と、朗らかに言った一誠。女子は怪訝な面持であることを問うた。

 

「部活を創設するからにはそれなりの実績が必要です。

それを私に認めさせなければ意味がありません」

 

「んー、例えばどうやってだ?」

 

「あなたなりに私を認めさせればいいだけです」

 

そう言われて一誠は頬をポリポリと掻いた。具体的にどうすればいいのか分からず、

 

「しょうがない。神王のおじさんと魔王のおじさんに訊くか」

 

そう言って踵返して生徒会室から去ろうとした一誠を女子は呼び止めた。

 

「今・・・・・誰のところに行こうとしましたか?」

 

「神王のおじさんと魔王のおじさん。ああ、この学校の二人の理事長だったっけ」

 

「・・・・・どうしておじさんと呼び方をするのですか?」

 

「だって、俺の父さんと母さんの友達だし、俺もあの二人とは何度も会っているから」

 

「それは本当なのですか?」

 

「本人に訊けば直ぐに分かることだ」

 

女子は顎に手をやって悩む仕草をする。仮に本当だとしてもこの目の前の兵藤を

そう簡単に部活の創成を認めるわけにはいかない理由がある。

 

「・・・・・では、他に交流している者がいればその名を挙げてもらいますか?」

 

「ん?それで認めてくれるのか?」

 

「それとは別の話です」

 

「何だよ」と肩を落とすものの、一誠は言った。

 

「冥界だとサーゼクスのお兄ちゃんとアジュカのお兄さん、魔王のおじさんを含んだ五大魔王。

あと堕天使の総督のアザゼルのおじさんかな。それと友達のヴァーリに朱乃、リアス、

白音と黒歌、ネリネとリコリス。ドラゴンだったらタンニーンとティアマット。

まだ行ったことがない天界側だと神王のおじさんとミカエルのお兄さんに

最近知り合ったヤハウェって女性。教会だとストラーダ猊下とクリスタルディ猊下。

友達はイリナとルーラー。神さまだったら北欧の主神のオー爺ちゃん、

海の神さまのおじさんと天空の神さまのおじさん、帝釈天っていうおじさんと孫悟空っていう

お猿のお爺ちゃん。冥界の冥府にいる骸骨のお爺ちゃん・・・・・他にもいるけど聞く?

疲れた表情をしているけど」

 

「・・・・・いえ、もう言わないでください。頭がパンクしそうですので」

 

眼鏡を掛けた女子が頭を抱えていたほどだった。嘘とは思えないほど純粋に、

楽しげに言うものだからまず間違いなく出会っているのだろう。

 

「分かりました。部活の創設を認めます。後は部員の確保と顧問の先生となる者を―――」

 

「ああ、それはもういるから問題ないな。

部員は五人以上だし顧問の先生はリーラ・シャルンホルスト」

 

「・・・・・では、この紙にその人たちの名前と部活の名前とその内容を書いて

後日提出してください」

 

「ん、分かった。えーと、名前は?」

 

「ソーナ・シトリーです。私もリアスの友達であり親友です」

 

「ははっ、そうか。あいつは元気にしている?」

 

紙を受け取りながら言うとソーナは頷いた。

 

「ええ、オカルト研究部と言う部活の部長をしています。会いに行けば喜ぶと思いますが?」

 

「そうだなー。でも今日は家族を待たせているからまた今度だな」

 

「認めてくれてありがとうな」と最後に言い残して

今度こそ生徒会室からいなくなった一誠を見送った後に。

 

『・・・・・はぁ』

 

と深い溜息が漏れ出した。

 

「会長・・・・・あいつ本当に兵藤家の奴なんですか?今まで見てきた

兵藤家の奴らとは根本的に違うんですけど」

 

「神話体系の神々や魔王と堕天使の総督。他にもリアス・グレモリーと友達だったとは」

 

「私は知っていましたよ。彼がリアスの友達だってことを。

ですが、まさかそのリアスの友達だったとは思いもしませんでしたが」

 

「会長。あの兵藤を本当に大丈夫なのですか?」

 

「最初は大人しく、周りの警戒心を解いて信用や信頼を得た後からやりたい放題にするんじゃ」

 

生徒会の部員たちからの危惧の声にソーナは首を横に振った。

 

「リアスの友達がそんな事をする男ではないと取り敢えず信用してみます。それに彼は

兵藤家を嫌っているという事実は既に明白ですので。特に最近の出来事を考慮すれば」

 

「ああ・・・・・何人もの兵藤家の奴らはやられていましたよね・・・・・ってまさか!?」

 

「ええ、そのまさかですよサジ。多分、彼の仕業で間違いないはずです」

 

一誠が閉めた扉にしばらく目を向けた後、仕事に集中するソーナ。

 

「(彼ならばもしかしたら・・・・・いえ、あまり期待せずに今まで通りにしましょう)」

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