HIGH SCHOOL D×D ―――(再)―――   作:ダーク・シリウス

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エピソード14

ドゴンッ!

 

「ぐっほ・・・・・!?」

 

互いの頬を殴り合った結果。ライザーが殴り飛ばされた。業火の炎を纏った拳は一誠の

頬を掠っていただけで当たることは無かった。

 

「こ、この俺の顔に殴るなど・・・・・っ」

 

「文句があるなら俺を倒せ不死鳥」

 

「おのれっ!」

 

炎の両翼を羽ばたかせ滑空してくるライザー。その姿は火の鳥のごとく。

 

「俺が知っている朱雀さんより大して迫力がないや」

 

嘆息し、真っ正面から迫り来るライザーからかわし、追尾性がある魔力弾を放ち続けた。

 

「この俺にその程度の攻撃を通じると思っているのか?」

 

「思っていたらそれは愚かだろう?」

 

体が貫かれ、弾けても炎がライザーの体を再生する。

 

「無駄だ。俺は何度でも再生する!お前は攻撃する度に魔力が無くなり、

疲れきってしまう未来なんだからな!」

 

「・・・・・俺の未来をお前が勝手に決めつけるなよ?

一つ聞くが。リアスのことどう思っている」

 

「リアスのことだと?」

 

「あいつはお前との婚約は嫌がっていた。それはお前が嫌い以前に自分の人生を勝手に

決めつけられたことのほうが大きい。だから、お前はリアスとの婚約を受け入れている

つもりだろうがお前の本音はどうなんだと聞いている」

 

唐突の訪ねに攻撃の手を緩めて一誠を見据え出すライザーはこう答えた。

 

「俺は貴族として生まれたフェニックス家の純血の上級悪魔だ。純血を、家を、誇りを

蔑ろにすることは断じてできない。リアスほどの良い女を手に入れられるのならば

悪くない話だがな」

 

「・・・・・」

 

リアスに向ける感情を理解した。ライザーはライザーなりの考えで婚約の件を

受け入れているつもりのようだが。―――リアスに向ける愛の感情が、気持ちが伝わってこなかった。

 

「・・・・・もしもだ」

 

「なんだ」

 

「お前の妹がリアスの立場だったらお前はどうする」

 

「レイヴェルがリアスの立場だと?」

 

「兄として勝手に決めつけられた結婚を心底嫌がり、妹がお前に助けを求めたらお前はどうする?」

 

例え話にライザーは沈黙した。

 

「本当ならこのゲームはお前とリアスの婚約を懸けた戦いになっていた。

もしもそうなったらお前の勝ちだろうな。その時、リアスは永遠に近い生の中で

理不尽な人生を強いられ心から喜ぶと思っているのか?―――違うだろうがッ!」

 

一誠を中心に膨大な深紅のオーラが膨れ上がった。

 

「例え、悪魔の未来が懸かっていたとしても俺は無理矢理ヒトの意思を蔑ろにする

奴等を許さない。俺たちは生きているんだ!誰かのために生きるのも、

己のために生きるのも、世界のために生きるのも、

それは―――自分の意思があるから誰かに指図されずに生きることができるということを

どうして解ろうとしない・・・・・!」

 

「・・・・・ッ」

 

「ライザー・フェニックス!俺はお前からリアスを、リアスたちを守る!」

 

オーラが次第に固形化していく。一誠の全身に深紅の鎧が包まれていく。鮮やかな赤、

その鎧は頭に鋭利な角を生やして金色の相貌、体の各部分に金色の宝玉が埋め込まれている。

腰に長い尾みたいなものもあり、その姿はまるで―――。

 

「赤龍帝・・・・・だと・・・・・!?」

 

赤いドラゴンであった。驚愕で目を見張ったライザーの前から一誠の姿が消えた。

焦心に駆られて辺りを見渡すが、真紅の軌道を残して真上から降りてきた

一誠に殴られて石の足場に叩きつけられた。

 

「あれが・・・・・『赤龍帝の鎧(ブーステッド・ギア・スケイルメイル)』ですか・・・・・」

 

「『赤い龍(ウェルシュ・ドラゴン)』ドライグを宿していただなんて・・・・・」

 

驚嘆の声を漏らす味方を余所に一誠はライザーを見下ろし続けた。

しばらくすれば一誠の前でフラフラと立ち上がるライザーが発した。

 

「お前が赤龍帝だとは予想外だった・・・・・。だがな!」

 

「・・・・・」

 

「この婚約は悪魔の未来のために必要で大事なものなんだぞ!

お前のような何も知らない小僧がどうこうするようなことじゃない!それをわかっているのか!」

 

強く非難するライザーだった。だが、一誠は鎧の中で目を細め、指をライザーに突き刺す。

 

「言ったはずだ。俺は理不尽な人生を強いられる友達を守ると。

お前がリアスを一人の女として心から愛していたら、リアスも違う反応をしていた

かもしれない。―――だがな!」

 

業火の炎を投げ放つライザー。その炎を真正面から突き抜け、

 

ドゴンッ!!!!!

 

「ごっ!?」

 

「お前は本当の人を愛する、愛される意味を全然知らない大バカ野郎だ!」

 

正確に捉えた正拳突きがライザーの腹部に抉り、

突き刺さって一拍遅れて凄まじい勢いで吹っ飛んで行く。

水面を何度もバウンドしながら留まる事を知らないその様子に一誠は顔だけ表に晒し

淡々と発した。

 

「もうケリをつけようライザー」

 

足元に魔方陣が出現し、そこから一つの鞘に収まっている剣が出てきてその剣を

抜き放ったら刀身は光る金色だった。剣を頭上に掲げた時、バトルフィールド中から

光の粒子が発生し、一誠の剣に集う。

 

「これは・・・・・この光は一体・・・・・」

 

「あの剣は・・・・・まさか・・・・・もしかして・・・・・」

 

光が剣に集い、刀身が巨大化していく。神々しい極光の剣。

バトルフィールド中に発生する光の粒子の中で

真っ直ぐライザーを見据える一誠。振るう態勢に足を構えた時、

金色の衝撃波が周りの水を迸らせ、

 

エクス(約束された)―――ッ!」

 

一誠は真っ直ぐ高らかに神々しく極光の剣を―――。

 

カリバ(勝利の剣)ァァァアアアアアアアアアアアッ!」

 

水面に叩きつけるように振り下ろした。膨大な光の斬撃波は水を掻き分けながら

ライザーに向かって進み、伸びていく。

 

「―――――っ!?」

 

目の前の迫る悪魔にとって脅威の光にライザーはとある言葉を漏らした。

 

「・・・・・綺麗だ」

 

聖なる光に魅了し、避けることすら忘れて一誠の攻撃に呑みこまれる。痛みは感じない。

それどころか、清々しい気分になるライザーは薄れる意識の中で穏やかな笑みを浮かべ、

バトルフィールドから光となって姿を消した。同時に直撃した光の斬撃波は奔流と化と

なりながらも天に伸び一誠たちを照らしたのであった―――。

 

―――○●○―――

 

(キング)であるライザーを打倒した一誠たちは勝利し現実世界に戻れば、

リアスたち抱きつかれながら労いの言葉を送られた。

 

「ありがとう、ありがとうイッセー・・・・・っ」

 

「一誠、私はますますあなたを惚れましたわ・・・・・!」

 

「お兄さま、凄く格好良かったです!」

 

「本当よ。もう私、あなたに夢中になっちゃったにゃん」

 

周りから称賛される最中、ユーストマが声を掛けてきた。

 

「坊主、強くなったじゃねぇか!だが、あの剣はなんなんだ?

―――エクスカリバーは戦争の際に折れたはずだ。どうしてもう一本ある?」

 

一誠はその疑問にこう答えた。

 

「湖の乙女って女性に会ってエクスカリバーの鞘を見せると剣を作ってくれたんだ。

それがこのエクスカリバーだ」

 

腰に差している剣の柄を触れながら発する一誠。

 

「・・・・・折れる前のオリジナルの聖剣をまた見れるとはな。

しかも以前よりパワーアップしているようだ。

前のエクスカリバーは坊主が持っているエクスカリバーの力ほど無かったからな」

 

「鞘だけじゃ格好付かないからね。父さんと母さんに頼んでもらった甲斐があったよ」

 

「あの幻の湖をよく探し当てたもんだぜお前の親はよ」

 

「それより驚いたのは一誠ちゃんが赤龍帝だってことだよ」

 

フォーベシイが朗らかにそう言うと一誠は首を傾げた。

 

「赤龍帝?いや、違うよ」

 

「なに?だがしかし、あの赤いドラゴンの鎧はまさしく赤龍帝の鎧ではないのかね?」

 

「あれは魔力で具現化した鎧だよ。オーフィスの魔力を持っている、グレートレッドの

肉体を持っている俺だからできる新たな力」

 

真紅の鎧を纏う一誠。その姿をマジマジとユーストマやフォーベシイ、

アザゼルが探るように見詰める。

 

「言われてみれば、確かに赤龍帝の鎧じゃないな。似ているが違う部分がある」

 

「宝玉と鎧の形状、そしてこの角がそうだな」

 

「グレートレッドを模しているんだね。なるほど、赤龍帝と勘違いしてしまうのも仕方がないね」

 

見間違いであると認められ、鎧を解く一誠に懇願の声が掛けられた。

 

「師匠!その新しいエクスカリバーで私に稽古してくれ!」

 

「あっ、それはずるいわよゼノヴィア!私だってお願いしたいもん!」

 

「私もです一誠くん」

 

「ボクもお願いしちゃっていいですかー?」

 

教会組の聖剣使いが挙手をする。

 

「・・・・・私も、お願いしようかな」

 

「うん?誰だっけ」

 

泣きぼくろがある金髪と青い瞳の少女の名を「イザイヤよ」とリアスが教えてくれた。

 

「・・・・・その聖剣を超えれば私の同志の無念が張らせれるからね」

 

「同志?無念・・・・・?」

 

「彼女は『聖剣計画』の生き残りなの。イッセーは知らないでしょうけどね」

 

リアスは若干声のトーンを落としたが、ここで爆弾発言が出た。

 

「いや、奇跡的に全員生きているぞ」

 

「・・・・・え?」

 

「神王のおじさん?」

 

「何時言おうか悩んでいたんだが今言うわ。嬢ちゃん、お前と同じく

あの計画の被験者としていたガキ共は教会の者として生きているぞ」

 

―――――っ。

 

イザイヤの表情が強張った。そんなことは有り得ないといった雰囲気を醸し出し、

ユーストマを見やる。

 

「嘘だ、だって私を逃がしてくれた皆は毒ガスで・・・・・!」

 

「―――奇跡の一日」

 

「っ!」

 

「その日、全世界で様々な奇跡が起きていたのを知っているな。

お前さんも奇跡的にグレモリーの嬢ちゃんと出会い、悪魔として生き長らえたと同じく

あの忌まわしき計画の被験者としていたガキ共も奇跡的に一人も死なないで

今もなお生きている。聞けば神の守護を受けたように光の膜に包まれ毒ガスから

守られた上に命からがら逃走し、奇跡に等しい確率でとあるエクソシストと出会って

保護された。これが全て事実であり現実だ穣ちゃん」

 

優しく諭すユーストマ。その話を、事実を告げられイザイヤは目を丸くしたまま静かに

涙で頬を濡らし、頭を垂らしだすと嗚咽を漏らした。

 

「そう、なんだ・・・・・よかった・・・・・本当に・・・・・よかった・・・・・!」

 

「イザイヤ・・・・・」

 

リアスが優しく胸に抱き寄せ頭を撫で始める。その様子を見ていると、

 

「奇跡の一日・・・・・か。ボクもその日、重い病が急に回復して元気になった日だったなぁー。

この世に神さまがいるんだと信じて教会に入った理由でもあるんだけどね」

 

「そうだったんだな。そうは見えなかったぞ」

 

「えへへ、ボクは元気が取り柄だからね」

 

あの奇跡の一日で救われた者は多いのだということであった。

その日の原因は一誠であるが気付いていない。一誠はイザイヤに話しかけた。

 

「イザイヤ、だったか?俺と勝負するか?この聖剣を超える為にさ」

 

「・・・・・いや、もういいよ・・・・・同士が生きていたなら私の復讐なんて

もう意味も無いに等しいんだからね」

 

「そっか」

 

「でも、手合わせは願うよ。一人の剣士としてキミと戦ってみたい」

 

真っ直ぐ視線を向けられ、一誠は口元を緩まして頷いた。

 

「いいぞ。リアスの眷属悪魔は―――って、そう言えば朱乃と白音は

リアスの眷属悪魔となっているのか?」

 

「今更そこなの?まぁ、頼みこんで眷属悪魔になってもらったのよ」

 

「私も成ってもよかったけど、リアスは既に僧侶(ビショップ)の駒の枠として眷属に

入れた子がいるみたいだからグレモリー眷属になれなかったにゃ」

 

「悪魔になる抵抗はありませんでしたよ?色々とお世話になって貰っていますし、

お兄さまの繋がりで部長と仲が良いですから」

 

「うふふっ。私もですわ♪」

 

話を聞き納得の面持ちで頷くと、一人の男子に目を向けた。

 

「今更だけど、あいつもリアスの?」

 

「ええ、成神一成。堕天使によって死に掛けていたところを兵士(ポーン)を全て使って蘇生、

悪魔に転生させたの」

 

「ふーん、潜在能力がある方なんだな。身体能力は一般人並みのようだけど」

 

視線を男子から逸らし、ユウキの腰に差している剣に意識を向けた。

 

「その剣、確か祝福の聖剣(エクスカリバー・ブレッシング)だったな。一度使ったことがある」

 

「え、そうなんだ?」

 

「ああ、ちょいっと貸してくれるか?」

 

ユウキから聖剣を受け取ったのを見てルーラーは口を開いた。

 

「あの時みたいにするのですか一誠くん?」

 

「初のレーティングゲームに勝ったからな。それにもう一度やってみたくもなった」

 

「あの・・・・・なにを?」

 

「うん、こうするんだよ」

 

金色の杖を具現化し、聖剣と交差させると神々しい光が迸り始めた。金色の杖の能力、

創造が一誠の思いを具現化にし、さらに聖剣の祝福の力が相乗効果を

発揮し―――『奇跡の一日』のようなことが再現された。

 

「こ、これって・・・・・!」

 

「『奇跡の一日』と同じだ。ということは・・・・・・」

 

「イッセーくんが原因だったって言うの!?」

 

ルーラーを除く教会組が未だに能力を発動している一誠に目を向けた。一誠は奇跡の力を

放っているわけではない。ただ皆が幸せであるようにと願いを籠めて能力を

発動しているに過ぎない。故に面々が光に包まれている。あの時のように―――。

 

「俺も聞いただけだったが実際に目にするとすげーな」

 

「悪魔である私たちが何の変化もない。一誠ちゃんの純粋な思いによって悪魔にダメージがないんだね」

 

「こいつは面白いものを見させてくれた。創造の力はこんな応用もできるんだな」

 

しばらくして一誠は能力を解いて聖剣をユウキに返した。

 

「ん、ありがとうな」

 

「・・・・・いえ、感謝するのはこっちですよ先輩」

 

「なんのことだ?」

 

「あの『奇跡の一日』は先輩が放った光で起きた。

ボクの病気も治してくれたあの日は―――先輩のおかげだったんです」

 

ユウキは熱い視線を一誠に向け始めた。その視線を向けられ一誠は頬をポリポリと掻く。

 

「俺が直接何もしていないんだけどな。ただ、皆が幸せになって欲しいという願いを

籠めてやったに過ぎない」

 

「うん、ボクはいま幸せだよ先輩」

 

―――尻尾があれば振っていたかもしれないと、ユウキの満面の笑みを見て一誠は思った。

 

「先輩、ボクのことユウキって呼んでくださいね」

 

「ん、分かったユウキ」

 

何気なく頭を触れて見た。サラサラとした艶のある黒い髪は撫で心地がよく、

撫でられる側も目を細めて手から伝わる体温に感じている。

 

「ん(ズイ)」

 

「・・・・・なにその頭は?」

 

「僕も撫でて欲しいなー」

 

羨ましがっていたようで自分もと小雪の乞いに断わる理由もなく雪のように白い髪を

撫でる一誠だった。後に一誠へ頭を突き出す面々が増えていくのは別の話だった。

 

 

ピピピッ、ピピピッ

 

 

「ン?」

 

金剛の携帯が鳴り始め、隅っこで応対すると―――目を大きく見張って、

別れの言葉を告げずにどこかへと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

ダダダダダッ!

 

―――廊下を走らないでくださいッ!

 

と、叱咤する声が金剛に掛けられるが金剛の耳に届かず、真っ直ぐ目的地に駆ける。

必死な顔ではやる気持ちが押さえつけれず、目的地に辿り着くと白い扉を勢いよく開け放った。

 

「先生ッ!」

 

「・・・・・金剛くん」

 

部屋の中に数人の看護師と医師がいて、三人の少女たちの容体を確認していた。

全身で息をし、中に入ると金堂の目に飛び込んできたのは―――。

 

「・・・・・金剛、姉さま」

 

「姉さま・・・・・」

 

「金剛姉さま・・・・・」

 

上半身を起こして目を開けていて自分の名前を久し振りに口にした三人の少女。

金剛は、込み上がる何かを抑えきれず、ダムが崩壊したように涙が溢れかえって頬を

汚すように濡らし、歓喜の涙を流して三人の妹たちに飛び付いたのだった。

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