HIGH SCHOOL D×D ―――(再)―――   作:ダーク・シリウス

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エピソード46

2-Sとの戦いから数日が経ち、学園は変わった。登校すれば2-Sの兵藤たちが頭を垂らして挨拶をする。2-Sと2-Fとの間に決められた契約内容を知ってから今までの憎しみと恨み、鬱憤を晴らす生徒たちも数多く現れ言葉の暴力や肉体による暴力が嵐のように激しく兵藤たちにぶつける。

蓋を開ければ怒りや私怨、憎悪の炎は火が点いたように燃えあがった。主生徒たちの怒りと憎しみに満ちた歪んだ顔に醸し出すプレッシャー、自分たちが兵藤家であることをもう気にすることは無いと言う躊躇の無い行動と言葉が2-Sの兵藤たちに委縮させるのに十分だった。―――自業自得、因果応報。今までの行いの報いが一誠たちの活躍によって兵藤家たちの被害者たちによる復讐と逆襲の切っ掛けとなった。

 

「まさか、暴動が起こるとは俺も予想外だった」

 

冒険部の部室で嘆息を吐く一誠は額に手を当てていた。他の生徒たちに対する抑止力だったつもりが、

まさか暴動を起こす切っ掛けになるとは露にも思わなかった。

 

「俺、間違っていたのかな・・・・・」

 

今でも聞こえる廊下からの怒声と悲鳴。契約内容では兵藤家に関することで、二年だけでなく一年と三年もその対象とされている。後輩も先輩も、下級生も上級生も兵藤家はいる。―――学園は荒れていた。

 

「間違ってなどおりません」

 

「・・・・・」

 

背後に立つ咲夜が一誠の言葉を否定した。

 

「例え、あの契約書が無くとも何かの切っ掛けで兵藤家の被害者たちは暴動を起こしていたでしょう。それがただ早まっただけです」

 

咲夜の言い分に何も言わない。言われて納得し、同感した一誠はもう一度嘆息する。

 

「自業自得、因果応報・・・・・か」

 

「ええ、そうでしょう。一誠さまが気に掛ける必要はありません。同じ兵藤家の被害者なのですから」

 

そう言われては今度こそ何も言えなくなった。同情することはないと咲夜も思っているのだろう。

今度は兵藤家の生徒たちがどんな酷い目に遭ってもそれは自業自得なのだから。

 

 

一人の兵藤は周りから脳暴力の嵐に襲われていた。抵抗しようにも

 

「俺たちに暴力を振るったら退学だってことは知ってるぜ」

 

契約書の内容を言われて手も足も出せず、殴られ、蹴られ続ける。どうしてこんな目に遭うんだと自問自答し、理不尽な状況に―――。

 

「おい、堂々と廊下で寄って集ってするんじゃねぇよ」

 

自分に暴力を振るうのが止んだ。何事だと視線を上に向ければ身体に鎖を巻きつかれて宙にぶら下げられた生徒たちがいて、この場に一誠と咲夜がいた。

 

「何をするんだ!」

 

「揃いも揃って同じことをするなってことだ」

 

「何が同じだ!俺はこいつに彼女を奪われたんだぞ!その後俺の彼女は―――!」

 

「ああ、だいたい予想はできる。が、お前らがしていることは兵藤家と変わらないぞ」

 

「それがどうかしたか!俺たちは、俺たちは兵藤に恨みがあるんだ!」

 

唾を飛ばす程一人の生徒の叫びで皮きりに他の生徒たちも口々に言いだす。その中には―――。

 

「お前だってどうせそこにいる兵藤と同じだろう!」

 

と、一誠にとって嫌いな言葉が飛んだ。

 

「―――俺がコイツと同じだと?」

 

次の瞬間。一誠は兵藤を蹴り飛ばした。

 

「ふざけるな。だったら何であの契約書をこっちが提出したと思っている」

 

「「「「「・・・・・」」」」」

 

「お前らが兵藤に対しての感情や気持ちだって俺自身も心から理解できる。俺だって兵藤の被害者だ。だけどな」

 

一つの小型の魔方陣を展開して、叫びだした。

 

「言っておくが俺、兵藤一誠は別に兵藤や兵藤の被害者のお前らの味方じゃない!兵藤に復讐や逆襲をする事に関してはお前らの自由だが、そんなことしているお前らも兵藤と同じことをしていると思え。お前らも兵藤と同じ言動をしていると認識、実感しろ」

 

一誠の声を聞いた全校生徒の心に様々な思いを抱かせた。ある生徒はこいつらと一緒になりたくないと暴力を止め、ある生徒は怒りを抑えきれず、兵藤に罵声と暴力を振るい続けた。

 

「なぜあのような事を・・・・・?」

 

「理由は無い。俺はどっちの味方じゃないからな」

 

「兵藤の被害者、金剛さまたちも味方ではないと道理の発言です」

 

「金剛たちは俺の家族だ。家族は味方だろう?」

 

「・・・・・失礼いたしました」

 

一誠の考えにリーラほどのメイドになるのはまだまだだと思わされた。きっとリーラは一誠の発言の意図を察していたはず。

 

―――放課後―――

 

アーシア・アルジェントはオカルト研究部の部員となった。堕天使側のシスターのままリアスたちに受け入れられて日々充実な生活を送っていた。

 

「アーシア。この学校には馴染めたかしら」

 

「はい。皆さん気を良くしてくれてお友達もできました」

 

「そう、それはよかったわね」

 

妹のように接するリアス。グレモリー眷属の朱乃たちもアーシアと親しくなって毎日聖母の微笑みのような笑みが絶えなかった。そんなシスターは最近、困っていることがあった。部室の扉がノック音を発し、朱乃が対応しに行った。ガチャと扉を開け放たれた矢先、虫をも殺せなさそうな優しげな青年が入ってきた。

 

「やぁ、アーシア・アルジェント」

 

「あぅ・・・・・ディオドラさん」

 

「今日こそ僕の愛を応じて欲しい」

 

3年生で悪魔のディオドラ・アスタロト。来訪者を見た途端に困り顔となるアーシアにリアスが応対する。

 

「あなた、アーシアが困ってるじゃない。私の部員を困らせないで」

 

「僕はアーシアが好きなだけだよリアス・グレモリー」

 

「好きになるのは構わないけど節度を持ちなさい。ここ最近、いえ毎日アーシアの教室だけじゃなくこの部室にまで来ていい迷惑だわ」

 

豊満な胸を下から支えるように腕を組むリアスは億劫そうに言う。

 

「それにアーシアは私の家族。私が認めない男に誰一人として付き合わせやしないわ」

 

「なら、キミを納得させ、僕を認めてくれれば正式にアーシアとの交際を認めてくれるんだね?」

 

「アーシアがあなたと付き合う意志が、気持ちがあればの話よ。それに彼女は堕天使側のシスター。堕天使の総督アザゼルから直々頼まれていて悪魔と堕天使の関係だって良好にしたい」

 

「だったら話が早い。僕とアーシアが結ばれれば悪魔と堕天使の勢力の関係は良好になる」

 

「別にあなたがそうしなくても他の悪魔と堕天使が結ばれているのだからそんなことしなくていいわ」

 

アーシアを求めアーシアを守るという平行線な会話のやり取りが繰り広げられている。

まだ誰かと付き合う気は無いアーシアにとって困っていたことだ。

 

「それにあなたのその愛は一方的過ぎるわ。相手の話を聞かず自分の思い通りにさせるそんな感じが醸し出してどうしようもないわ」

 

「それは心外だ。僕は女性に対してちゃんと優しく接するのに」

 

「どうかしらね。でも、何度アーシアに近づいても結果は同じよ。彼女は私の妹のようなもの。アーシアが自分の意思で誰かと付き合うまでは私が守る」

 

「僕とアーシアは運命の出会いを果たしている。だったら結ばれ―――」

 

「なんだぁ?なんか、修羅場みたいになってるじゃねぇか」

 

ディオドラの話を遮るようにして現れたアザゼルに続いて一誠も登場。

 

「一誠?どうしてここに?」

 

「ん、アーシアの様子を見に来たんだ。最近接してなかったからどうしてっかなって」

 

「リアスとディオドラか。丁度良い、次の若手悪魔同士のゲームの対戦相手はお前らだって伝えるのは手間が省けた」

 

あっさりとしたアザゼルの発言にリアスは目を丸くした。ディオドラは意味深な笑みを浮かべ、告げた。

 

「こうしよう。次のゲームで僕が勝てたらアーシアは僕が引き受ける。いいね?」

 

ディオドラに無言のプレッシャーを放つリアス。そんな手でしか女を手に入れられないような男に負けるわけにはいかないとヒシヒシ伝わる。

 

「一人の女を賭けた勝負・・・・・なんか、デジャブ」

 

ライザー・フェニックスとリアスの婚約騒動を思い出して、今度はアーシアがヒロインかーとどこか他人事のように胸の内に漏らす。

 

「そんなの却下よ。それにそんな決めごとをするぐらいなら―――」

 

リアスは一誠に目を向けた。

 

「あなたも男なら、男らしくイッセーからアーシアを奪うと良いわ」

 

「はい?」

 

なんか、またデジャブを感じ始めた一誠に

 

「彼とアーシアが一体どんな関係だと言うんだい?」

 

ディオドラの言葉を聞いてリアスはトドメの一言を。

 

「彼は密かにアーシアと付き合っているもの」

 

「・・・・・」

 

・・・・・この女、また俺に厄介事をっ。頬をピクピクと引き攣らせ、ディオドラの反応を窺うと。

 

「兵藤一誠・・・・・リアス・グレモリーの言っていることは本当かな?」

 

「ノーコメントだ」

 

バカでなければリアスの含みのある笑みを見て察するはずだ。しかし、どう受け取ったのか分からないが―――。

 

「いいだろう。兵藤一誠ごとリアス・グレモリーを倒してアーシア・アルジェントを僕のものにする」

 

ディオドラはグレモリー眷属+兵藤一誠との勝負を吹っかけていなくなった後。

 

「ふざけたことを言う口はコレかな~?」

 

ぎゅううううっ!と思いっきりリアスの頬を摘まんで、余計な事を!と念を込めて引っ張った。

その引っ張られる痛みにリアスは涙目になってじたばたする。

 

「お前、女に絡んだ事で巻き込まれる体質だな」

 

ニヤニヤと意味深な笑みを隠すことなくアザゼルは言うに対して嘆息する一誠はリアスの頬を放して言った。

 

「アーシアがはっきりと言わないからこんなことになったんだろう?」

 

「あぅ、申し訳ございません」

 

正論な指摘にしゅんと委縮するアーシアも迷惑を掛けて申し訳なさそうな顔をする。

 

「で、ディオドラとは一度どこかで会っているのか?運命の出会いを果たした―――って辺りからアザゼルのおじさんと一緒に入ったから」

 

「はい、私がまだ教会から追放される前に一度だけ」

 

同時にそれは教会から追放された理由でもあった。怪我をしたディオドラを見つけたアーシアが治癒を施しているところを他のシスターたちに見つかってしまって教会から追放されたと言う。

 

「・・・・・?」

 

一誠は徐に首を傾げたのでリアスは疑問をぶつけた。

 

「どうしたの?」

 

「アーシアってヨーロッパにいたんだよな?」

 

「ええ、そうですけど」

 

「ヨーロッパに悪魔が出没するのは珍しいかどうか分からないけどそれって最近のことだろう?」

 

コクリと肯定と頷くアーシアに眉根を寄せ出す。

 

「|なんでわざわざ傷付いたディオドラがお前がいる教会に現れたんだ《・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・》?

 

「え?」

 

なんでと言われて疑問を漏らした。

 

「今は異種族同士が共存できる環境だからこそ悪魔も堕天使も天使も人間界に闊歩できる。だけど、教会は良い悪魔もいることを分かっていても中にはまだ悪魔を敵視しているはずだ。傷付いた悪魔が教会の前に現れたら教会からすればトドメを差すことができる格好の相手。教会と悪魔は交流できようが教会は悪魔に手厚く介護するほどお人好しじゃない。そんなことすれば神に信仰を捧げている者に対しての冒涜だ」

 

「まぁ、確かにそうだな」

 

アザゼルも肯定した。

 

「三大勢力の関係は良好しているが、敵対していた相手がどうなろうと知ったことではないと言う考えはあるはず。だからこそ悪魔を治癒したアーシアは神に対する冒涜と犯したからと教会に追放されたんだ。神聖な光が穢れた光と混じると嫌な気分になる」

 

アーシアは一誠の口から出る言葉に段々と顔が暗くなる。だけど後悔はしていない。助けれる命があれば助けたい。苦しんでいる人を助けたいと言う純粋な思いがアーシア・アルジェントを動かす。

 

「だからこそ俺はディオドラが教会の前に傷付いていたのか疑問が尽きない。それ以前にその傷は誰によって、何によって負ったんだ?どうしてアーシアがいる教会に負傷してアーシアによって治癒されることができた?悪魔がわざわざ教会の前に現れるなんておかしすぎやしないか?」

 

それがディオドラに対する疑問だと一誠は告げた。聞いていたリアスたちも胸の内では疑問を漏らしていた。

イザイヤがリアスたちを代表に訊ねた。

 

「まさかだと思うのだけれど、ディオドラは何か仕組んでいたと?」

 

「さーな。ただ、あの執着心は異常だとは思わなかったか?初めて顔を合わせた俺でも感じたぞ。ある意味ライザーのようだった」

 

「ライザーって・・・・・」

 

その例えはどうかと何とも言い難い気分になる。頭を掻くアザゼルは言ってみた。

 

「お前の考え過ぎ何かじゃねぇーか?」

 

「俺、不思議な事とかおかしな事とか聞くと次から次へと疑問が浮かぶんだ。それにさ」

 

「うん?」

 

「俺に勝ってやると言ってる時点でおかしいと思うけど?」

 

公式のレーティングゲームにも出場しているライザーに打ち勝ち、悪神ロキを打倒、数人の仲間と共に兵藤家を打ち破った。一誠の活躍を知らないはずがない。傲慢と言われようが一誠の実力は世界にも通用しているとアザゼルも認めている。

 

「普通、関係のない俺をリアスたちと一緒に戦わせるあいつの思考だっておかしい」

 

若手悪魔同士のゲームに関係のない一誠を巻き込んで勝つとディオドラは言った。アザゼルは同意見だが一誠に言ってやった。

 

「それ以上言っても、考えてもしょうがないだろう一誠。そろそろお前は帰った方が良いんじゃないか?目的も果たしたことなんだしよ」

 

「むぅ・・・・・」

 

話を強引に帰られて不服そうに漏らす。だが、待たせている家族にこれ以上ここに留まるわけにはいかないと心情で一誠は「ナヴィに調べてもらお」と言い残してリアスの部室を後にした。

 

「アザゼル」

 

「なんだ」

 

「前のシーグヴァイラ・アガレスとディオドラ・アスタロトのゲームに疑念を抱いたのは確かなの」

 

だからと疑問をアザゼルにぶつける。

 

「私もイッセーに同意見よ。ディオドラは何か企んでいる、もしくは何か隠している。わざわざイッセーも一緒だなんておかしいもの」

 

「・・・・・」

 

こいつもか・・・・・とアザゼルは口から出さず胸の内に溜息を盛大に吐いた。

 

「アザゼル、私たちに何か隠してなんかないわよね?」

 

しかも今度は自分にまで疑惑を。アザゼルは一誠に対して恨むぞと愚痴る。

 

「教え子のお前らに隠し事なんてあるか。もしもあったら」

 

「あったら・・・・・?」

 

「一誠の寝顔をリーラに頼んで焼き回ししてお前らに渡す」

 

「隠し事があってほしいわね!」

 

「「・・・・・(コクコク)」」

 

目を輝かせだすリアスに同意見だと朱乃と白音が同じタイミングで頷きだす。

アザゼルはやはりと思った。一誠を餌にすればこいつらは御しやすいと。

 

―――○●○―――

 

ロスヴァイセ、セルベリア、咲夜と一緒に夕食の準備を進めているリーラ。

そこへ自分は悩んでいると顔に出すティファニアが近づいてきた。

飲み物を欲しいのかとリーラはハーフエルフの彼女に尋ねの言葉を言おうとする前にティファニアが口を開いた。

 

「リーラさん、お聞きしたいのですが」

 

「なんでしょうか」

 

「その・・・・・」

 

言い辛そうに一度は顔を下に、視線を床に落として黙ってしまうがティファニアは意を決したように顔をリーラに向けて恥ずかしげに訊ねた。

 

「私の胸は本物のでしょうか」

 

「・・・・・」

 

予想を遥か斜め上な質問をぶつけられた。作業をしていた咲夜たち三人も手を停めてティファニアに視線を向けていたほどだった。リーラは数秒ほど固まり、気を取り直して訊ねた。

 

「どうしてそのような質問を?」

 

「えっと、クラスの娘たちにお母さんと一緒に胸のことで指摘されたり、触られたり、男の子たちからは私たちの胸ばかりを見てくるの。『デケェ、あの胸って本物か?』、『何時も見てもすげぇ』、『本当に胸なのかよ』とか聞こえて・・・・・」

 

そういうことでしたか・・・・・・。リーラはティファニアと言う繊細で少し気が弱い、それでいて優しくて純粋な少女の心情を察して安心させる笑みを浮かべた。

 

「女性の胸はそれぞれです。他の皆さんはティファニアさまの胸に興味を抱いているだけです」

 

「興味を抱いている?」

 

「はい、あなたさまの立派な胸を見たことが無いので皆さまは好奇、奇異な視線を向けてしまいます」

 

自分ほどの胸を見たことがない・・・・・。不思議とそんな思いをティファニアは抱き、両腕で胸を下から持ち上げてぷるんと動かしてみた。

 

「私の胸、おかしくないんですか?自分では分からなくて・・・・・」

 

「他の皆さまは圧倒されているかと思います。それと同時に好奇心、興味も抱いておりましょう」

 

「・・・・・じゃあ」

 

ティファニアは言った。

 

「イッセーも私の胸に興味を抱いちゃってるの?」

 

 

 

「・・・・・リーラとその話をしていたと言うのは分かった」

 

「うん・・・・・」

 

場所は一誠の寝室。天蓋+カーテン付きのベッドに胡坐を掻く一誠と正座のティファニアは対面していた。

時刻は夜なのだが、ティファニアがベッドのカーテン(防音製)まで閉めてしまったのでさらに互いの姿が肉眼では見れなくなったが、一誠の手の甲に柔らかく小さな手が置かれていることで互いの位置を把握することでささやかな安心をティファニアに与えている。

 

「で、何でそこで俺の名前が出てくるんだ?」

 

「周りの男の子が私の胸を見てくるのって興味と好奇心を抱いているからってリーラさんが」

 

「うん」

 

「じゃあ、男の子なら同じ男の子のイッセーはどうなのって思って言ったら直接聞けば分かると言われて」

 

―――リーラ、お前はなんてことを・・・・・・。長年自分に付き添ってくれている恋人に呆れてしまった。

 

「イッセー・・・・・」

 

暗闇でティファニアは一誠の顔を見れないが逆に一誠はハッキリと目に映っていた。

エルフの象徴である尖った耳まで真っ赤に染まり切った顔は恥ずかしさと悩ましげな表情を浮かべ、

四つ這いで迫ってくる。手の甲に置いていた手は一誠の腕から肩、首へと移動し、居場所とその位置を確認すると

 

「イッセーは私の胸を見てどう思っているのか知りたい」

 

両肩に手を置かれ、緑色のシルクのパジャマの内側から盛り上げる自分の胸を見せ付けるティファニアに息を呑んだ。リーラより段違いの大きさ、朱乃や百代より大きい規格外の胸の感想を言えといわれても直ぐには答えられない。

対して何も答えない一誠にやっぱりそこでティファニアは気付いた。一誠が答えれないのはきっとこの暗さのせいだと。暗くて何も見えないのだと

察して一度ベッドのカーテンを開けようと立ち上がった途端に、

 

「いでっ、ちょ、テファ―――」

 

「あっ、ごめ―――きゃっ」

 

間違って一誠の太股に踏んでしまったのだろう。一誠が痛がる声を聞いて謝った矢先に暗くて何も見えない場所で立ち上がった為、さらにバランス感覚がままならない。その結果、ティファニアはベッドに倒れ込むようにこけた。ドサッと倒れてしまったティファニアは一誠の名前を呼んだ。

 

「大丈夫か?」

 

「う、うん・・・・・」

 

ベッドは柔らかったので大した衝撃と体に掛かる負担もない。今度は立ち上がらず四つ這いでベッドのカーテンを開けようとする。

 

「ごめんね、こんなに暗かったら何も見えないわよね」

 

「いや、ハッキリとテファの姿は見えているよ。ドラゴンの眼は割と良い方なんだ」

 

「そうなの?」

 

「ああ」と肯定の声が聞こえた。なら、と改めてティファニアは訊ねた。

 

「イッセー、私の胸、おかしくない?」

 

「どこもおかしくなんてないぞ。テファのはただ他の女より大きいだけだ」

 

「リーラさんも似たようなことを言ったわ。でも、それっていいことなの?」

 

「どうだろうな。俺は男だから分からないけど、テファは不便な事を感じてないのか?」

 

「・・・・・少し、肩が」

 

典型的な返事だった。そして同時に貧乳の女性に敵を回す発言でもあった。

苦笑を浮かべ、ティファニアに告げた。

 

「その重みがテファの胸の証だ。自信を持て」

 

「でも、皆からすれば私の胸はおかしいほど大きいのよね?」

 

「それは否定しない。テファとシャジャルは家族の中で一、二位を誇る大きさの胸の持ち主だからな」

 

「・・・・・イッセーは私の胸を見てどう思ってるの?」

 

また聞かられた質問。下手な返事はしないと「うーん」とティファニアに自分は悩んで、考えて答えようとしている意思表示をあからさまに漏らした後に答えた。

 

「小さい頃から一緒に育ってきた家族の胸は家族の一部だと思って生きていたから対して気にもしていない方が大きい、かな」

 

「興味なんてなかったってこと?」

 

「それ以前の話、家族にあからさまな卑猥の視線を向けれると思うか?」

 

変態にだけはなりたくないとティファニアに断言した。ティファニアもそれはちょっと、と内心困った心情であった。

 

「その胸はティファニアの魅力の一つだと思っている」

 

「これが、私の魅力・・・・・?」

 

始めて言われた言葉だった。リーラの言われて気付いた色んな視線と言葉の意味、クラスメートや他の男子たちの心情を知ったばかりにそれだけでなく、一誠に魅力的だと言われた。視線を谷間を作っている胸に落としながら言う。

 

「こんな大きな胸が魅力的なの・・・・・?」

 

「嫌だったか?」

 

「ううん、ちょっと驚いただけ」

 

そっか、イッセーにとってこの胸が私の魅力の一つなんだ・・・・・。それを知ってティファニアの心は穏やかになった。自分の胸は変だという認識が和らぎ、ちょっとだけ自信がついた。

 

「ありがとう、なんだかホッとしたわ」

 

「どういたしまして。さて、そろそろカーテンを開けようか」

 

そう言って立ち上がる一誠の腕をティファニアは縋るように掴んだ。

 

「テファ?」

 

「あの、お礼がしたいの・・・・・」

 

お礼?首を傾げる一誠を余所に、服を徐に脱ぎ始め異性の前で下着姿となった。

 

「私の胸が魅力的と言ってくれたイッセーなら、その・・・・・」

 

「・・・・・」

 

二人がいる空間は暗い。しかし、一誠の視界から見れば、暗さに負けないほどの綺麗な金の髪。そして華奢で健康的な色白の身体に相応しい高級そうな白い下着がティファニアを悩ました歳不相応過ぎる豊満な胸を包んでいる。

きめ細かな肌、キュッと引き締まってくびれた腰の下はブラと同じ色の下着と肉付きのいい太股から下がっていくとほっそりと綺麗な足が窺わせてくれる。下着姿のティファニアは言った。

 

「私の胸・・・・・・リーラさんのように触って・・・・・?」

 

「・・・・・リーラのように?」

 

どうしてリーラと同じように触れて欲しいのかと、目の前の一誠を魅了させてしまいそうになる少女よりも疑問が上回った。

 

「テファ、リーラのように触れてってどういうこと?」

 

「え?」

 

「・・・・・まさか、覗いていた?」

 

恐る恐ると聞いた一誠の言葉は、自分の失言に気付き、恥ずかしげに耳まで真っ赤に染まった顔を俯かせた。

それが肯定だと認知し、一誠までも髪の色と同じぐらい顔に朱を散らした。

 

「ナ、ナヴィ・・・・・っ。なんてことを・・・・・」

 

「ち、違うのっ。ナヴィさんのせいじゃないの。皆が―――」

 

「皆!?皆って誰のことだ!?」

 

信じ難い言葉がティファニアの口から出て縋るように問いだしたところ。

 

「え、えっと・・・・・・ロスヴァイセさん、セルベリアさん、アレインさん、ユーミルとエイリン、エルザとフレイヤさま以外の女の子」

 

ぬぉおおおおっ・・・・・・!と羞恥のあまりにベッドに沈んだ。人の情事を女性たちが覗き見していた事実に発覚し、恥ずかしいと呻いた。

 

「ご、ごめんね?お母さまもノリノリで・・・・・」

 

「・・・・・まさかだが、今でも覗かれている?」

 

「う、ううんっ。大丈夫、覗かないでってお願いしてあるから」

 

なんか不公平だと思わずにはいられなかった一誠。溜息を一つ零し、後でリーラに教えようと心に決めた。

 

「どうして触って欲しいとか言うんだ?」

 

「イッセーなら私の身体を触ってもイイと思ったから。私の胸は変じゃないって教えてくれたから。だから・・・・・」

 

イッセーだから触って欲しいの・・・・・言葉だけじゃなくて今度は触って私の胸は変じゃないって確かめて?

 

「・・・・・」

 

潤った瞳が懇願の色を浮かべる。自分の胸を差し出すように持ち上げるティファニアに手を上げて伸ばした。

その手は豊満な胸で無くティファニアのしっとりとした弾力がある頬に伸びて触れた。

 

「テファ、聞いて良いか?」

 

「なに?」

 

「俺のこと、家族としてでなく一人の異性として好きか?」

 

その問いはティファニアの未来の分岐点でもあった。ここまで自分に求める少女の身体を触れる前に確認を取らなければ色々と抑えられなくなる。家族としてならこれ以上はダメだと言葉を選んで説得する。異性として好きならば目の前のハーフエルフの全てを自分のものにする欲望をぶつけ、彼女にも分からさせる。お前は俺のものだと。

一誠の問いにティファニアは―――――。

 

「・・・・・イッセーは大切な家族と思っているよ。それと同じぐらいイッセーのこと大好き」

 

「・・・・・分かった」

 

頬に触れていた手はティファニアの顎を摘まんで

 

「俺もテファのことが好きだ」

 

「イッセー・・・・・」

 

「だから、お前を愛したい、いいな?」

 

返事を待たず一誠はティファニアの唇を奪った。ビクリと身体を強張らせ、突然のキスに目を丸くしたものの

次第に蕩けた目を瞑って両腕を自分の唇を奪った男の子の首に回して受け入れる仕草をした。

 

 

 

 

「なっ、ななななななんですかこれはっ!?」

 

「お、おおお・・・・・っ」

 

「「「・・・・・」」」

 

「イッセーとテファが・・・・・」

 

「す、凄いのじゃ・・・・・」

 

一誠たちの家に住みついてまだ日が浅いロスヴァイセたちは一誠とティファニアの情事を見させられていた。

顔を真っ赤にして動揺、羞恥で顔を真っ赤にするが視線は真っ直ぐ映像に向けられている、無言で見詰めていたり、真っ赤な顔のまま興味深く映像を観覧。

 

「良かったわねテファ・・・・・」

 

「ついに二人目かぁー。意外と遅かったわね」

 

「あの子は女にだらしなくないのだ。もっと節度を持って接してから徐々に愛し合う」

 

「アラクネーさんの言う通りよ?」

 

「何時見てもあんなに可愛かったのに、あんなに逞しくなって・・・・・」

 

「これはイリナさまたちには見せられない光景ですね」

 

「今夜はどんな愛し合いをするのか興味がある」

 

「我も」

 

リーラを除いた女性陣がナヴィの部屋で情事の観覧に没頭していた。一誠と付き合いの長い女性陣たちからしてみればもう見慣れた光景で恥も動揺もしない。

 

「ダ、ダメです!これは二人に対していけないことです!」

 

「メイドになったんだからあなたもいつかイッセーにあんなふうな感じで愛されちゃうわよ?知っておいて損は無いわよ」

 

「あっ、愛されっ・・・・・!?」

 

頭から煙が吹き出しそうなほど一気に真っ赤な顔となる周りに抗議をしたロスヴァイセ。

 

「あら、いよいよ」

 

すっかりこの状況に馴染んでしまったナヴィが待ってましたとばかり声を発した。

一誠とティファニアがついに本番をしようとしていた光景が映像に映って、期待と興奮、羞恥と好奇心が

ナヴィの部屋に集まった女性たちの心を―――。

 

「なにをなさっているのですか―――?」

 

ビクゥッッッ!

 

この場にいないはずのどこまでも低くて冷たい女性の声が女性たちの心を震わせた。

全員がゆっくりと声がした方へ、背後へ顔を向けるとそこには銀髪のメイドが仁王立ちしていた。

 

「咲夜だけじゃなく、ロスヴァイセやセルベリアも見掛けなくなって探してみれば・・・・・」

 

「ひっ!」

 

誰の悲鳴だか分からないが、その悲鳴は全員の気持ちを代弁にしたはず。

銀髪のメイドは激しく愛を貪っている一誠とティファニアの映像を見て、その映像の前にいる女性たちを見て―――。

 

「そういうことですか」

 

ガチャリと扉の鍵を掛けた。これで逃がさない。逃がしたとしても逃げ場は無い。

顔を青ざめ、身体を震わす女性もいれば、冷や汗を流し、この場からどう逃げようかと脳裏で考えている女性もいたら、もう弁解も言い訳もできないと諦める女性もいた。

 

「ナヴィさま」

 

「うっ・・・・・」

 

「あなたさまの悪魔としてのお仕事は盗撮でしたか。相手の弱みを握って自分の立場を有利にさせようとしている考えは悪魔そのものですね。このリーラ、感服いたしました」

 

絶対に感服してない!冷や汗どころか風呂で綺麗にしたはずの身体がダラダラと全身に流れる脂汗で汚れるがリーラから感じるプレッシャーに押しつぶされそうになる。

 

「オーフィスさま」

 

「・・・・・」

 

「数日間、一誠さまに近づかないでください」

 

無表情のオーフィスが目を丸くした。一誠に近づくなと言う罰にショックがハッキリと浮かんだのはきっと今回が初めてだろう。

 

「クロウ・クルワッハさま」

 

「む・・・・・」

 

「トレーニングルームの使用は禁止、では冥界で修行をするあなたには何の意味もありませんので、あなたは時と場合に寄るまで戦闘と修行は禁止。あなたさまにはメイドとしてこれから過ごしてもらいます」

 

冷たさを孕んだ琥珀の双眸が他の女性たちにも向けられる。

 

「この場にいる全員にお説教と罰をします。今夜は寝かしませんのでご了承を」

 

この日、女性陣たちは知った。龍神や最強の邪龍よりもリーラの方が迫力と怖さがあったと。

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