<<Chrono Drive Online>>(仮)   作:Wisadm

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2.『G』の恐怖

王都西街道 草原

 

スキップで来たおかげか、ジャンプのスキルレベルがひとつ上がった。ちょっと嬉しい。

ついでにジャンプの効果はやはりというか、ジャンプ力の補正だった。

あれからこっち、ジャンプのレベル上げをしながら来たけど、キャラクターのスタミナがもたないことが分かった為、休憩を挿みながら来たので10分もかかってしまった。

 

時間もあまりないので、獲物を探そうとすると、ちょうど目の前を通るゴブリンLv.3(しかも一匹)を発見した。ラッキー。

 

「休憩も終わったし、いっちょやりますか!」

 

休憩時間中に魔法の構成も覚えたし、かたならし、かたならし。

 

杖を構えて詠唱を開始する。本来なら詠唱破棄のスキルを使うのだが、付けてないものはしょうがない。

ばっちり詠唱する。唱えた魔法は、『バインド』。エンチャンターの初期魔術で一定時間相手の動きを止めるというもの。

 

詠唱を終えると何かが体から抜ける感じがして、魔法が完成しターゲットした敵を狙い発動する。

いまだ気づきもしないゴブリンが、こちらに気づいたのは発動する寸前だった。

こちらを振り返り飛びかかろうとした瞬間に硬直したようだった。宙に浮いて固まっている。

これ… 面白いな!!

 

「ま、気は抜かないけどね」

 

もう一度バインドを唱えてゴブリンの後ろに距離をおいて待つ。理由は簡単、硬直時間を調べるためだ。

それに殴ってる最中に『バインド』が切れて、不意打ちされるとかはごめんだ。

 

6秒程して再び動き出したゴブリンに留めておいたバインドを放ち動きを止める。やっぱりこれ、面白いな…。

 

効果は今のところ6秒程で固定のようだが、レベルが上がれば硬直時間は増える可能性もある。 

 

とどめに攻撃魔法と思ったが、よく考えると現状『バインド』以外の魔法がないので、杖で殴る。

杖のレベルが200もあるので、杖で1回叩けばヒットポイントが無くなり、キラキラしたブロックになって、霧散した。

 

前より綺麗に散るんだな…

俺は、『この世界』の変更点を、後どれだけ見つけられるんだろうか?

忘れてしまったこともあるだろうし…

 

これは…予想以上にクサイ台詞だな。声に出さないでほんとよかった。

 

考え込む時間も無限ではないので感傷に浸るのはまた後にします。

 

 

  ◆

 

 

一匹でいたゴブリンを封殺した30分後...

 

俺は今、ゴブリンの大群から逃れるため、全力で走っていた。え?なぜかって?

答えよう。実はあの後すぐ、宝箱が置いてあるのに気がついたんだ。

そしたら…

 

  ◇◇◇

 

初めてゴブリンを倒してすぐ、俺は林の少し奥に宝箱を見つけた。

 

「お、ラッキー。宝箱じゃん。今日はついてるな…恐くなるくらいに」

 

俺は基本、運が悪いんだ。だからかな、すごく不安になった。

宝箱に罠とかあったりするんじゃないか…

暗がりなこともあいまって、恐い想像をしてしまった。

思い過ごしであってほしい…

 

「………」

 

「ステータス、見てから開けるか…ま、ゴブリン一匹倒した程度じゃレベルは上がらねーんだけどな」

 

気丈を装おうとした声は、若干上ずっている気がした。

 

案の定レベルにもステータスにも変化はなかった。しかし、スキルには小さな変化があった。

幸運のスキルレベルがひとつ上がっていたのだ。調べてよかったかも。そんなことを思っているとなぜかまた、幸運のレベルが上がった。

 

とりあえず、幸運のスキルは戦って上げるタイプではないようだ。これが分かっただけでもステータスを見ておいてよかったと言えるんじゃないだろうか。

 

スキルスロットから幸運を取り外して、罠解除のスキルをつけた。もちろん、安心のLv.200である。よし、これで箱にトラップがあっても大丈夫、そう思った。しかし、この予想は大きく外れることになる…

 

なぜならそのとき、いつの間にか居たどう見ても初心者な奴が、その問題の宝箱に手をかけていたからだ。 

 

「ちょっと待て、早まるなっ!!」

 

俺の必死の制止を聞いた初心者野郎は、何を思ったのか、してやったりとヤラシイ笑みをこちらに向けて箱を開けちまいやがった。

 

そうして、この箱の罠が発動したのである。挙句、この箱の罠はなぜか、普通こんなレベルの低い場所にはあるはずのないアラームだった。

アラーム…数あるトラップの中でも最も厄介な種類のひとつ。

このアラームと言うトラップ、実際に開けたとたんになにかあるわけではないのだが、鳴っている間中モンスターを呼び出し続けるという迷惑極まりないものなのだ。

 

「ありえねぇ…」

 

この状態になって俺の口から漏れた呟きだ。まったく、幸運をはずしたとたんこれだよ。ありえねぇ…と言いたくなるのも分かってほしい。

しかも、あの初心者野郎何が起こったかわかりませんって顔してやがる。

あれじゃ助からないな、まったく何しに出てきたんだよ、オマエは。

こいつ、大量にタゲられればいいのに…

 

ま、今はどうでもいい。俺は、いまやれることをしよう。 

こうゆうときは、やれることが決まっているのだから。

単純な二つの選択肢、逃げるか、戦うかだ。

 

逃げるのなら、宝箱を壊してここから一目散に離れる。それもできるだけ早くするべきだ。

逃げ遅れると、大量にポップしたモンスターに飲み込まれて目も当てられない惨状になる。

 

戦うのなら、自分の強さに応じて方法を変えるといい。自分達ではつらいと感じているなら、早々に宝箱を壊してアラームを止めて殲滅。

余裕があるなら、宝箱をしばらく放置して敵の増援を待つと効率よく経験値が稼げる。

 

俺はと言うと、思いっきり逃げるつもりでいた。でもさ、遅かったみたい。だってね?目の前に、ゴブリンの大群が見えてるもの。

 

  ◇◇◇

  

そして今に至る訳です、ハイ。

 

まぁ、俺は『バインド』で迎撃しながら逃げてるだけなんですが、面白いくらいトレイン(大量のモンスターを引き連れて逃げる迷惑行為)してしまって、

何人かMPK.(モンスターにプレイヤーを襲わせ殺す行為)してそうで恐い。

 

え?戦えよ? フザッケンナ!!!!んなことできるか!!ゴブリンなめんな!!

想像してみろよ。茶色の肌した、角のついた3歳くらいの背格好のおっさんが涎たらして、群れなして襲ってくんだぞ!?

これに向かって行けってか?トラウマになるわ!!

 

とりあえず、エリアをまたげば追ってこないだろう…

 

ここからしばらくは、語ることがない。強いて言うなら、この後10分間カッコ悪く逃げ回った、とだけ言っておきます。

 

 

 

「ぜぇ…はぁ…、やっと始まりの場所まで戻ってこれた…」

 

あの二人との約束もあったので、こっちに逃げてきました。

途中擦れ違った人たちゴメン。

 

とりあえず、二人らしき人影を探してみたが見当たらない。どうやら、まだ来ていないようだった。そういえば、重要なことを忘れていた。実はこのゲームは現実より時間が早く流れているのだ。

正確には、このゲーム内で3時間遊んだとしても、現実では1時間しか経っていないということである。

何でこんなことができているのかは、このゲームを作った会社が技術を秘密にしているらしく、様々な仮説が渦巻いている。

なんだか怖い気もするが、国が直々に安全保障しているし、大丈夫なんだろう。たぶん。

 

それはさておき、「あいつら、どんなアバター組んで来るんだろうな…」

 

走り回って少し疲れた俺は物思いにふけりつつ、この神秘的な木…多くの人が世界樹と呼ぶ木を背にして座り込み、急いで罠解除と幸運のスキルを付け替えた。

正直、これ以上の不幸は下手をすればトラウマになること請け合いである。

何処かの誰かのように「不幸だぁー!」とか叫びたくない。

 

俺はそのまま目を閉じ、しばらく体に風を感じて休むことにした。火照った体に吹き付ける風が気持ちいい。 

面白いことにこのゲームの中でも走り回ると体が火照ったりする。

あまりにも風が心地よく、下手するとこのまま寝てしまいそうになる。

 

それにしてもいい気持ちだ…やばい…うとうとしてき…た… まず…ねむ…

 

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