失われた約束の地   作:米山ともき

21 / 80
 Johnny,What Do You Do for Joy ?

 

 

 

「アキラくん。だいぶ髪の毛がのびちゃったね」

 

 うーん。どーゆー髪型にしようか迷ってるうちに、べらぼーに伸びちゃった。

 いまでは、髪の毛ざぶとんにできるレベル。もちろんしないけど。

 前ももう、伸びすぎてうっとうしい。

 

 いまは、ウサギのみなさんと楽しくアイスクリームを食べてます。「74」で。

 ウサギというのは、リー組のチーム名「ウサギさんチーム」

 

 いつまでも、アルファ、ブラヴォー、チャーリー、デルタ、エコーというのも味気ないと

思ったらしい西住先輩が、「かわいらしい名前をつけよう」と思ったらしいね……。

 

 しかしなぜエイブルが「あんこう」、ベーカーが「アヒルさん」、チャーリーが「カバさん」

ドッグが「ウサギさん」、イージーが「カメさん」なのかしら。

 いや、ウサギはまだわかるわね。

 ウサギ小屋で発見されたからだし、僕らも不満はないです。

 カメさんも、理由がある。

 生徒会執行部の伝統的エンブレムが「直立して疾走する亀」だから。

 しかし、Ⅲ突の「カバさん」は、全く理由がわからない。

 エンブレムが、おしりを向けたカバなのは、さらにわからない。

 八九式の「アヒル」は、たぶん横から見た目だろうね。

 尾体が、ダックテールに見えなくもない。

 しかし、隊長騎が、「あんこう」。

 わざわざ、トラウマを掘り起こすようなまね。ではなく、戒めにするつもりなんだろう。

 

 そして、僕らのエンブレムは、あやちゃんのカバンについていたストラップ。

 出刃包丁2丁をかまえ、つりあがった目を血走らせて笑う、キラーラビットのマーク。

 

 

 

 髪の毛について……。

 そういえば、うちの家系ってヒゲだらけだけど、禿頭はいない。

 ひいじいさんについては写真でしか見たことないけど、総白髪なのに毛髪量は豊か。

(比島で「全滅」したけど戦死したわけじゃない。部下の人がブログで勝手に殺してるけど)

 じっちゃんは、いまでも多毛のため、床屋ではスキバサミいれてもらってから散髪。 

 一番毛が少ないのは父で、歴代初のオープントップになるかもしれない。父だけ頭皮が脂性。

 そして僕は、やっぱり隔世遺伝で毛が多すぎる。

 というか、入学してからのふた月ばかりで、地味に増えているー。

 放置してれば、ウエスト止まりだった髪も、それなりに伸びるわけで……。

 

「でもねー。さらさらしていて、すっごくうらやましい」

 

 あ、あややちゃん。それって、生物学的には野郎の……なんか、なでられてると……。

 ……とりあえずシャンプーは、石油系はやめましょう。合成洗剤ですから。

 思い切って石けん系に変えてみるのもいいかも。

 

「うん。すごくつやつやしてるよね」

 

 それはですね、優希ちゃん、いそがしくても毎日ブラッシングしてるからです。

 お風呂に入る前に、セシオンという新素材ののブラシで。

 毛先から順繰りですからね。最後は頭皮にも。静電気はNGです。

 

「わたしなんか、すぐバサバサになるし。伸ばすとグダグダぁ~」

 

 な、なんか皆さんで僕のロン毛を6等分して、ひたすらさわさわされていい気持ち。ちがう。

 桂利奈ちゃん、説明させてください。

 

「私も伸ばしてるけど、くせが強いし」

 

 あゆみちゃん。ウルフぽくてワイルドでいいと思います。……なんか、ぼーっとしてきた。

 

「いっそ、リボンでしばっちゃおうか」

「あー、あたし長いの持ってるよー」

「ポニテにならない程度に、ゆるくしばろーか」

「ちょっと前髪は、カールさせて」

 

 ――ひええええぇぇぇ……。

 

「うん、だいぶイメージかわったかな。かわいくなったよ」

「まあ、そういってもらえるのはうれしいけど。ホント? 梓ちゃん」

「はいな」

 

 僕は、お店のステンレス張りの、壁のところまで連れてこられる。

 

 ……微妙すぎるよお。

 へたな男性コスプレイヤーが、むりやり女の子キャラのコスプレしたみたいな

違和感バリバリー。

 いや、普段から客観的には女子高生のコスプレなんだけど、今日はそれを

あらためて思い知らされたっぽい感じ。

 こればかりは、ネイティブ女の子には、絶対およばないよね。

 

 

 

 そのあと、みんなのいきつけのヘアーサロンに連れてってもらい、先っぽを微調整。

 なんか、ヘアメイクのお兄さんが、ニラニラしてるような気がする。

 仕事柄、多いんだろなあ。僕みたいな客。

 

 シャンプー、リンス、トリートメントまでしてもらい。ドライヤーをあててもらう。

 やっぱりプロだから、乾燥のさせ方がうまいよね。

 そして、ふたたびリボンを装着して、完成。

 いいのか悪いのかわかんないけど、マイナーチェンジしたのは確かだね。

 

 

【挿絵表示】

 

 

 耳がまた出るようになったから、ヘッドセットがつけやすくなった。

 ん?

 

 パシャッ。パシャッ。パシャッ……。

 

「みんななに撮ってんの~?」

「うん。記念さつえー」

「アップローダーにあげるのー」

 

 ぎゃあ。いくら僕が日常コスプレ生活だからって。

 ちょっと待って……。

 

「梓ちゃん。なにスマホで動画撮ってるの?」

「きまってるじゃん。あとで編集して動画サイトに……」

「やーめーてー」

「アクセス稼げるから。やめない」

 

 ああ、誰が得するんでしょうか? 僕の画像なんかで……。

 

「冗談は抜きにして、各チームのブログ作れって。だから素材集めもあるの」

 

 ブログ? そのこと自体はいいかもね。みんなのモチベもあがるし。

 

「どこから出た話なの?」

「会長よ。会長は戦車隊全体のブログと公開SNSも作るって。

 あと、ローカル新聞や、地方テレビ局にも電話してた」

 

 大統領が? 変だわね。

 

「河嶋さんじゃなく。会長がなの?」

「……いわれてみたらそうね。どうしたのかしら」

「そーだね。あんこう侍じゃなく、人任せのあんこう会長って言われてたらしいよね。

 今年になってから、動き回っていることが多いねって先輩たちが」

 

 あの昼行灯ぶりで、動き回っている方なんですか。

 ……でも、西住先輩が転校してきたらすぐに、みずから教室まで会いに行ったっていうし。

 戦車道授業の説明会でも、自分が表に立ってた。

 あと、僕のためにも、労を惜しんでいない面があるけど、それは責任感からだろうね。

 

 ……そういうひとが、要所要所で動いてるってことは、なにかが起きてるってことだよね。

 リーダー自らが、人任せにできないようなこと……。

 

 

 

 

 

 

 ブログの方は、メンバー紹介、戦車の紹介。メンバー表から自分のコメントにリンク

という、ごくごく普通のブログで良かった。

 イベントは、まあ食べ歩きメインかな。女子高生の日記、というだけでアクセスはつくから。

 

 全体ブログの方は、なんかすごく力が入っている。

「マイナスからの船出。大洗女子プロジェクトPZ」というフロントページの特設サイト。

 大洗女子全体サイトにでかいバナーが張ってある。

 写真は、いつ撮ったんだろう、Ⅳ号とハッチから乗り出している「あんこう」のメンバー。

 パステルカラー基調の背景に、ティーンの女の子たちと1名の人外の写真が並んでいる。

 カバさんたちも、普通の制服姿。

 でもよく、人外に文句が出ないよね。

 大統領は、「生徒会長」という肩書き付きの顔写真だけ。ある意味、らしくない。

 でも、コンセプト文なんかは抑えめなんで、逆に大統領の作文だとわかる。

 もちろん、これはブログなんていう生やさしいものじゃない。

 たぶん、情報科がデザインしている。HTMLから書いているんだろう。

 ……でも、この体裁は見たことがある。

 そのサイトは、個人所有のドメインサーバーの中なので、今でも見ることができる。

 戦車道サイトのアドレスを見ると、……やっぱり高橋先生のドメインだわ。

 でも、こっちの戦力、こんなにおおっぴらにしていいのかしら。

 しかも、4月に立ち上げたばかりのぴかぴか新品初心者チームで、まだたった2試合やっただけ

経験者はひとりだけ、戦績は1勝1敗。とか。

 その1敗は順当なものであり、勝ちの方も、相手が内部的混乱を抱えている時期に、

それにつけこんで勝ったと正直に白状している。

 つまり、自分たちは弱いのだ。とアピールしているようにも思える。

 これは「ダイヤモンド計画」の真逆を行くやりかただね。

 あのときは「われこそはと思う奴は誰でもいいからかかってこい。たたきのめしてやる」って

ノリで、負けた相手もこきおろし、ヒールな印象を演出していた。ドライバーは覆面匿名。

 こんどは、「私たち素人戦車道です。その悪戦苦闘の日々をお送りします」みたいな感じ。

 ……たぶん、大統領と高橋先生の深慮遠謀なんだろうけど、イケイケなふたりが、

いかにもかわいらしいサイトを作っている絵面って楽しそうだわ。

 でも、けっこうアクセスあるわねえ。大洗女子公式サイト内でのアクセスの4割がこれ。

 人外あしゅら男爵と大統領除けば、素材はいいからね。

 僕の写真がおじゃま虫だから、消した方がいいと思うんだけど。なぜか目立っている。

 

 

 

「おーい、アキラ。ちょっと手伝って」

 

 授業後の空き時間に、会長たち三人から呼び止められ、僕も学園玄関前のトラックに急ぐ。

 

 先日、僕以外のみんなが採寸していたパンツァージャケットが納品されたんだ。

 上着は灰がかった濃紺色、よくいうジャーマングレイに白い襟。

 スカートは真っ白。だけど「絶対に絶対に透けて見えないよう」薄目のゴアテックス製。

 それに編み上げのレザーブーツ。色気がないことに、安全鉄入り。当然だけど。

 あと、戦車道の人気に関わるから内緒だけど、女子フィギュアスケーターの衣装と同じ、

「素肌に見せる」肌色タイツがセット。実はこれって、どこの学校もいっしょだって。

 万一スカートが少しめくれても、放送事故にはならないし、脚が傷だらけになるのも防ぐ。

 

 僕に関して言えば、最初に「カモでも着てたら動きやすくていいでしょ」って会長に

言われていたし、みんなにはなぜか僕の迷彩服は「僕らしい」と思われていたフシがある。

 あと、リーは始業点検が大変だし、僕以上に手早くできるのはいないから、

「全員整列の時も、車内で不測自体にそなえ、ついでに休憩してよし」ってことでいいらしい。

 おかげで、ミニスカはけない僕がひとり悪目立ちしなくてすむ。

 ……あとで、断じてミニスカはかないひとがあらわれたけど。

 

 結果から言えば、僕が一番多く運ぶことになった。

 そのこと自体全くOKだし、河嶋さんや小山さんがいる前で、会長が肉体労働しないのも

「お約束」だから、どうでもいい。プレジデントって、そういう立場だ。

 そもそも自ら戦車に乗ることだけで、十分異例なのね。

 隊長が西住先輩以外の人だったら「私がいたら煙たいだろう」といって、現場に出ない。

 見た感じ、人見知りの激しい西住先輩が、海千山千の大統領を頼ってるみたいにみえる。

 となりにいてくれるだけで、安心感が違うようだ。

 

 でも、そんな西住先輩でも、いざ戦車戦の指揮を執るとなると、きびきびと動く。

 父もよく言うことだけど、これは「星の数より飯の数」だよね。

 入隊した当時はぜんぜん頼りない新兵だって、軍隊に居続ければいつか鬼軍曹になっちゃう。

 戦車道の飯の数から言えば、西住先輩に及ぶ人はまずいないよね。

 その辺わきまえてる大統領は、38(t)の通信手席で、何もしないで干し芋食べてる。

 逆に言えば、何があっても西住先輩を信頼しているとしめすことを、常に自分に

課しているということ。のほほーんとしてみせることが、まさに会長の役目なのね。

 

 ジャケットのデザインも、みんなで集まってあーでないこーでないとブレーンストーミング

した結果、シンプル・イズ・ベスト的なもので、セーラーの延長みたいになった。

 四強はいずれも将校の制服ベースで武張っていて、他校も軍服的なので、西住先輩は

あえて違う方向性、女子高生だと遠目にもわかるようなものをと考えていた。

 みんなも、他校と違っていいと喜んでいた。

 僕は上下カモフラでいいの? と聞いてみたら、ファッショナブルでいいとかいわれた。

 よくわからない。

 僕自身は、フィールドでは見つかりにくい方が安心できる。長年の習い性で。

 

 

 

 その日のお昼。

 僕はウサギのみんなと、日替わり定食を食べながらだべっていた。

 この日の日替わりは、ペンネのアラビアータとミネストローネ、ロールキャベツ付き。

 

 食べ終わった頃に、ダイレクトメッセージが着信した。

 やはりというべきか、毎度おなじみ、Elle çaさんだった。

 

『そっちの隊長と生徒会長に伝えて欲しいことがあるの』

「どうしたんですか?」(やぶから棒に)

『ちょっとややこしい。連盟の関東支部から大洗女子あてにメールが行くとだけ伝えて。

 要は、ある戦車が、君たちと合同練習がしたいってことだけどね。

 実は、それが特殊な連中なのよ。

 事前に誰かに伝えておかないと、間違いと思われるかも知れないから、君に先に教えるの』

 

「ねえ、アキラ君。その人があのElle çaさん?」

 

 聞いたのは梓ちゃんだったが、みんなが僕の方を見てる。

 いや、丸山ちゃんだけはあさってむいてるけど。

 

 

 

「えーと。『いつもお世話になっています。M3リーの車長の澤です』、それから……」

 

 僕のスマホは、いつのまにか取り上げられ、みんな思い思いにElle çaさんとチャットしてる。

 きっと面食らっているんじゃないかなあ。

 みんなにとっては恩人なんだけど。

 

「みんなぁ。その人いそがしい人なんだから、そのくらいにしようよ」

 

 たぶんいきなり話を聞いて、大至急教えてくれようとしてくれたんだろうから

みんなとチャットしてる余裕なんかないはず。

 

 

 

『いやー、Akira。かわいいJKに囲まれて、青春エンジョイしてるみたいだねえ。

 じゃあまたそのうち。今度は困る前に連絡してきてね』

 

 何とかスマホをみんなからとりかえすと、Elle çaさんはそのレス残してログアウトしていた。

 謝ることもできなかった……。

 というか、おっさんな文面だなー。

 

 

 

 

 

 

「評価試験隊、デスバード。何これ?」

 

 僕が会長室に駆け込んだとき、大統領はすでにくだんのメールを開封していた。

 

「なんかめちゃくちゃ趣味悪いメールだねえ。

 サイトでブリッコしすぎたから、嫌がらせか?

 スパムメールはゴミ箱に……」

「ちょーっと待ってください。それ本当に連盟関東支部からのメールです。

 僕のフレンドから連絡がありました!」

「にしてはおかしすぎるよ。見てよ、HTMLメールで、まっ黒な地に白文字で4444とか」

 

 たしかにElle çaさんが大至急で僕に連絡入れてくるわけだ。

 どう見てもあやしい。

 でも「評価試験隊」ってのは何なの? 連盟内部の特務機関なのかしら。

 

 

 

 Elle çaさんが伝えてきたことを会長に言うと、やはりというか、西住先輩もこれを読んだ方が

いいということになった。

 しかし、西住先輩も、その「デスバード」という連中は知らないとか。

 

「つまり、その人たちが戦車1両持って大洗にきますから、いっしょに戦車道しましょう。

 ……ということですね」

 

「……西住ちゃん。何をしたいんだろうね、その人ら」

「うーん。わかりませんね」

 

 もしかしたら、と思うところは僕にはある。

 口にしてよいものかどうかはわかんないけど。でもいいや、言っちゃお。

 

「もしかしたら、新参のウチが全国高校生大会にでるというので、事前審査かたがた

 みてやろうと。ざっくりいえば、威力偵察なんじゃないかと。連盟側の」

「なんだって?」

「アキラくん。もしそうだとしても、それなら授業風景を参観に来ればいいことだと思う」

 

 いわれてみればそうだ。こういうことではやっぱり西住先輩は正鵠を射る。

 

「どうかねえ。単純に私らに興味を持っただけかもしれないねえ。その変な連中が。

 じゃんけんで6人抜きした怪しすぎる生徒会長。

 西住家の家元息女が率いる、ハイハイが終わったばかりの集団。

 サイトを見るとこれがもう、おとめちっくをはき違えている戦車隊だよ。

 普通に面白すぎる。

 いっちょ稽古つけてやろうか。と思ってくださったのかもしれないな」

 

 

 

『私たちといっしょに遊んでくれない?』

 

 本文には、そうとしか書いてなかった。

 

 

 

 

 

 

 そして、その翌々日。天気は晴れで、風はない。

 この日の午前中3コマが戦車道授業だったんだけど、この日に限って、

午後の授業は出席扱いのまま、戦車道授業を続ける許可を会長が学園長からもらってきた。

 

 そいつらは、空からやって来た。

 でも、蝶野一尉が出現した時みたいに、試作大型輸送機が甲板すれすれに

飛んできたわけじゃない。普通にヘリコプターが現れた。

 

「ヘリだな。ヘリがすごく小さい戦車を吊っている」

「みたいですね。会長」

 

 双眼鏡を構えた大統領と西住先輩はそんなことを言ってる。

 それににしては、爆音がすごく小さいような気がする。

 といっても、こっちに飛んでくるヘリコプターは、よくある普通のヘリだ。

 まっ黒だけど。

 

「ん、大型のヘリが、八九式ぐらいの戦車を吊ってるんだろうか」

 

 なんかもうだいぶ近くまで来たような気がするけど。なんか距離感に違和感が。

 黒い機体に「4444」という数字が書いてあるから、間違いなさそうだ。

 でも、音はまだ遠いような気が……。

 

「なんだありゃ! めちゃでかいヘリが大きい戦車を吊ってるんじゃんか!」

 

 本当に目の前までやって来て、実は超でっかい世界最大量産ヘリ、Mi-26だったとわかった。

 姿形はブラックホークををサイズだけでっかくしたような何の変哲もないヘリ。

 空を背景に飛んでる姿の写真だけ見たら、軽自動車が積めるくらいの輸送ヘリに見える。

 でも、本当はでかい……。ダンプが中に入れる、人なら80人が乗れるヘリ。

 操縦席の窓がすごく大きいので、実際よりずっと小さいように錯覚するんだ。

 

「アキラくん。あのヘリって何トンぐらいのものを吊れるの?」

 

 西住先輩が顔に微笑を「貼りつかせて」僕に聞いてきた。

 

「えーと。たしか20トンって公表されてますが、旅客機吊ってる写真があるくらいですから、

 重戦車だって吊って来れるかもしれません……」

 

 その「化け物ヘリ」は、みたことのない戦車を吊っていた。

 大きさからするとあのチャーチルとかいうブルドッグを寸詰まりにしてデブにした感じ。

 つや消しブラックに塗られていて、車体に一連番号の「4444」が書かれている。

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 乗ってきた連中も奇妙だった。

 戦車用メットを目深にかぶり、目にはゴーグルをかけ、布製のマスク(小さな吸排気弁が

ついた、NOXやPM2.5などから身を守るバイク乗り用)で顔をおおっている。

 よく見ると、ヘッドセットにはコードがついていない代わりに、たぶん骨振動型のイヤホン

らしいものを、耳の裏にあてている。ヘッドホンに見えるのは、完全防音のイヤーマフだ。

 

「フン。けげんな顔をしていやがるじゃねえか」

 

 出た、フーテンタイガーだ。ゴーグルの代わりに渦巻きメガネ。鉄鞭は持ってない。

 まさか本当に実在したとは。

 格好は他の連中同様、ベトナム頃のアメリカ戦車兵の出で立ち。メットはかぶっているけど

イヤーマフは外している。マスクはしているので、人相はわからない。

 例の映画ではショートヘアに造形されていたけど、本物はボサボサ髪がセミロングだ。

 

 ただ、メガネなんだけど、どうも防弾樹脂製に見える。

 

「あっし、いや私は車長の大河 真琴だ。隊長と会長に会わせてくれ」

 

 彼女は、そう名乗った。

 そういえば「マコト」もアキラ同様、ユニセックスな名前だ。

 

 

 

「この骨振動か。大音量にしなくていいんだ。やっぱり昔からの難聴問題は今でもあってな。

 戦車乗りの持病はやっぱり難聴だ。結局あいかわらず身振りや蹴りで指図してるのもいる。

 だから鼓膜は車内騒音から完全保護して、音声だけを骨振動で伝える試験もしている。

 まあ、こういうことも含めて評価試験という仕事をしているんだ。

 ふーん。君らもスロートマイクはツーリング用のチョーカータイプか」

 

 大河さんの案内は、僕と梓ちゃんでやることにした。

 

「ほう。アルテックランシングか。ロゴが同じだな。この会社まだあったのか」

 

 大河さんが言っているのは、ウサギチームのヘッドホンのこと。

 通販でまとめ買いしたやつ。この会社の製品はすぐ売り切れてなくなってしまう。

 

「ええ、僕の祖父が、戦時中のソナーマンや対空監視員用のヘッドホンやスピーカーを

 一手に作ってた会社だと言ってました。僕はPC用のパワードスピーカーも使ってます」

「ほう。あのアルテックが、今ではパソコン用スピーカーなんぞ作っているとはねえ……」

 

 実を言うと、現役のソナーマンも、民生品音楽用ヘッドホンを支給されてる。

 性能的に情報量や分解能のレベル高いし、わざわざ少数のミルスペックを作る意味もない。

 

 しかし、一緒に来た乗員の人たちは、僕らばかりか互いにさえ、何も話さない。

 

「あっしらはな、ある日突然いきなり招集される。期限もあるし、拒否もできるけどさ。

 それなりの連中らしいが、互いの顔も知らねえんだ。今回も奴らがどこの誰かは知らねえ。

 口をきくのもあっしだけ。返事はねえ。そういう状態で戦車を動かしてる」

 

 だったら、全部この人が指図するんだろうか。それは大変だ。

 

「いやな、車長と言ってもあっしは目でしかねえ。何時何分何メートル先に何がいる。

 としか言わなくていい。奴らはたいてい無言でアイコンタクトも無しで最適行動をとれる」

 

 それって相当な強者ばかりだってことじゃん。

 そんなのがここにどんな仕事をしに来たんだろう。

 

 

 

 僕たちの連れてきた人らを見て、大統領も西住先輩もぎょっとした。

 でも、その半分はフーテンタイガーさんの実物を見たからだった。

 大河さんの方では、別に驚いた様子はないが、きょろきょろと何かを探している。

 ……ですから、アルゲマイネな変則ぱっつんの危ない奴はいませんって。

 

「まあ、簡単に言えばうちのお仕事に協力してもらえねえか。ってことなんすがね」

 

 内容としては、いま向こうからやってくる変な戦車と、かくれんぼしませんか。

ってことみたい。

 向こうは大河さん入れて6人で動かす戦車だから、かなり大きいね。

 で、鬼になるのはこっちの5両。あっちがかくれる方。

 見つけただけじゃだめで、つかまえる。つまり撃破しなくてはだめ。

 あれとくらべると、よく、リーの車体に7人も乗れるなあと感心する。

 

 つまり、パワーバランス的には大洗ぐらいでないと、このかくれんぼが成立しないって

ことみたいだ。

 

 今日はいい天気だから、このでかい奴を見逃すってことはないだろう。

 しかし、よく見たら変な戦車だ。

 砲塔が1つなのはいいとして、連装砲塔なのね。

 と、いってもカニのシオマネキみたいにバランスが悪い。片方が大きい。

 ちょっと西住先輩に聞いてみよう。

 

「戦車で2門の砲が生えてる砲塔なんて、初めて見ました。先輩はどう思います?」

「うーん。私は戦車の諸元なんて、試験の時に一夜漬けするだけだから、くわしくないの。

 でもあれは、75mmか76.2mmの長砲身と、37mmの組み合わせね。たぶん。

 ……そうだ。優花里さーん」

「西住どのー。今参ります」

 

 秋山先輩は、西住先輩のコーチで僕と一緒に装てん練習しているひとだが、僕は直接話した

ことはない。

 西住先輩以上の人見知りで、安心できない相手とは、目を合わせることもできない。

 あんこうのメンバーやカバさんとは、話が合うので会話する。

 とくに西住先輩には、自分から実に楽しそうに話しかける。

 戦車、というか軍用車両全般が大好きで、西住宗家の娘である西住先輩は雲の上のあこがれの

人だったようで、その西住先輩から声をかけられていらい、ほとんど親衛隊だ。

 一方で、西住先輩がいなくなって、僕と二人きりになったりすると、隔意があるというのとは

違うけど、おどおどしたり落ち着かなくなり、僕と目があったりすると、あわてて後ろを向く。

 かわいそうなので、僕から声をかけたりはしない。人それぞれに苦手なことはあるから。

 それに僕は本来普通科、というか身体で戦うレンジャーもどきなので、なおさら接点がない。

 

「これはたぶん、試作に終わった戦車だと思います。足回りもスカートで見えませんし、

 ドイツ以外のどこかとしか」

「ふーん。優花里さんでもわからないのがあるんだ」

「いや、もしかしたらどこかで見ているかも知れませんが、

 キットになっていない車両には強くないもので……」

 

 つまり、秋山先輩は戦車博士と言うよりモデラー気質。ってことらしい。

 それも今まで聞いた話からすると、実際に量産配備された車両なら、菱形からヒトマルまで。

 いや、装輪装甲車はもとより軍用トラックやオープントップ自走砲、四輪駆動車、軍用バイク、

はては工兵車両やブルドーザーまで知ってるけど、試作のみとか、とくに計画倒れとかだと

「本当にそういう形になったかわからないものは、根拠のない想像図と同じ」という理由で

興味を失うらしい。型違いの細部とか備品類にもこだわるらしいので、なおさらみたい。

 そりゃ図面だけの戦車のどこにスコップやツルハシやジャッキを積むかなんてわからない。

 図面ができても、量産化の過程で改良や仕様変更なんて普通に起こる。

 カメさんの38(t)が、車台と上部で違っているニコイチだと気がついたのも、秋山先輩。

 逆に言うと「ちゃんとしたスケールモデルになれないものは、仮想戦記と同じ」ということ

みたいだ。僕は逆に、飛行機なら計画倒れの方が興味あるけど。F-103、F-108、フッケバイン。

 さすがに富嶽は仕様すらさだまらない計画以前だから、どうでもいいけど。

 

 ……ただ、日本戦車にも夢を見たい。と言う理由で四式、五式、オイは別らしい。

 

「でも、連装砲塔戦車自体はあることはあります。同軸機銃も連装と考えたらみんなそうですし、

 防循から突き出しているものに絞っても、Ⅰ号、西住殿の好きなⅡ号もそうです。

 対空ですけどクーゲルブリッツ。クルセイダーIIIAA Mk.Ⅱ。戦後のZSU57やM42。

 あとはセンチュリオンMkⅠとⅡ。17ポンドと20mmの連装です。

 Ⅷ号戦車も128mmと75mmの連装です」

 

 Ⅷ号戦車は3両作られたから、試作を脱したとみているようだ。

 

 でもこの戦車はどこのなんなんだろう。

 

 秋山先輩は戦車のことで西住先輩と話ができてうれしそうだ。

 僕が聞き耳を立てているのは目に入らないけど。

 

 ……と、思ってた時期が、僕にもありました。

 

 

 

 大洗艦のアイランドの後ろは、船尾まで自然地形の演習場。

 以前は曜日を問わず一般開放してたらしいけど。

 いまは、戦車道授業があるときは、朝から閉鎖。

 戦車道授業の15分前から、関係者以外は交通壕から中甲板に出てくれって放送がかかる。

 

 まっ黒なデカい正体不明の戦車が、まあまあ普通の速度で、戦車倉庫前から出発した。

 前席に2人、砲塔内に4人という配置みたいだ。

 あの動きだと、図体はでかいけど、重さはそうでもなさそう。

 つまり、中の居住空間がそれなりにあるってことね。

 

 じゃあ、、ロープロファイルとコンパクトさを追求して、人間の缶詰になるソ連はなし。

 モデラー秋山先輩とちがって、戦車に均等な愛情を注がない西住先輩が唯一こだわるのが

人間工学的設計なの。

 だから防御で不利でも、ハッチの多い戦車がいいとか。

 傾斜装甲の戦車は、最新の以外は嫌いだとかおっしゃる。

「むだに大きい車体」とこきおろされるシャーマンだって、いい戦車だという。

 で、できるだけ乗員は5人がのぞましい。と。

 でも趣味的には、軽戦車でぱたぱた走りまわるのが好きみたい。

 

 僕は、件の戦車が暖機中に携帯に排気音をとってある。

 これを、添付にして高橋先生にメールした。

 たぶんこれで、直列か、Vか、星形か、水平対向かわかる……。

 

 ……わからなかった。

 ガソリンエンジンだと言うことだけしか。

 等間隔爆発なのか、不等間隔なのか、クランクシャフトが何本なのか、そもそも何気筒なのか

それさえわからないという。なんなんだろう。

 

 

 

 大洗の鬼さんたちが、10分たってから戦車倉庫を出発した。

 

 僕らの乗ったM3リーが、一番先行して捜索を開始する。

 もちろん、「アイボールセンサー」を一番多く積んでいるから。

 

 左右両翼は、カメさんとアヒルさんが間隔を開けてついてくる。

 そして、その3両と菱形を組む形で、カバさんがついてくる。

 あんこうは、最後尾だ。

 

 あと、Elle çaさんからはメッセージで『今日は助けてやんない』と送信されている。

 

 

 

 異変が起きたのは、始まってから15分後。

 僕は、例によって、リーの右側ドアを開け放ち、右手180度を監視していた。

 僕たちが真横を通ったときには、そこには何もなかった。

 しかし、僕らが前進して通過したあと、同じところをカバさんが通りかかったとき

連中は動いた。

 

 ブッシュから砲塔だけがのぞいている。動いたんだ。

 

「優希ちゃん。ターリホー。ウサギの右135度600mにバンディット!」

「わかった。カバさん真右、400mに敵発見!」

『なんだと!』

『ウサギさん。詳細を送れ』

 

 しかし、これは彼らが巧妙だった。

 あの背の高い戦車を、高木が数本生えていて、茂みの多い地形に隠し、こっちの捜索ルートを

読んで、即応できないカバさんがくるまで息を潜めていたんだ。

 

 敵の37mmが火を噴いた。

 右後部のジャッキに命中。

 間髪入れず、デカい方が火を噴く。

 

 砲弾は、側面車台の転輪の上に命中。有効弾だった。

 

『ちっ! やられた!』

『カメ。ウサギと合流する』

『アヒル。敵側面にでます』

「澤です。120度回頭して、75mmを敵に指向します」

『ウサギさんとカメさんで敵を引きつけてください。あんこうはアヒルさんの反対側から

 敵の側面をとります!』

 

 とはいうものの、リーの主砲ではかりにも重戦車のお相手はこころもとない。

 最大火力のカバさんを、一番先に食われたのはいたい。

 でも、向こうは全くコミュニケーションなしで戦っているなんて。

 

「アキラくん。敵はなぜ37mmを先に撃ったの?」

 

 あゆみちゃんが、照準眼鏡で敵をさがしながら聞いてきた。

 これは説明の必要がある。

 

「つまり、照準砲としてつかったんだわ。

 同軸にできるのを利用したのね。

 1,000m以内なら、37mmの方で狙いをつけて、当たったらそのまま大きい方を撃つ。

 あの配置なら数十cm右にずれて当たる。

 レーザー照準器ができる前の無反動砲では、ライフルをくくりつけて

 同じように狙いをつけたの」

 

 75mm砲は、射手の椅子まで砲にくっついて動くから、あゆみちゃんは自分の体重まで

ハンドルで動かさないといけない。

 だから僕も、排莢カバーをもって手伝ってる。

 

 リーは、敵前300mで、敵から見て11時を向いて、75mmだけを指向する。

 気休めだけど、いちおう昼飯。

 そのまま砲塔の下、車体とおぼしきところを狙って撃った。

 

 ……何の音もしない。

 あさってに飛んでいったのか? ブッシュを吹き飛ばさなきゃ。

 

「アキラくん。触発で榴弾装填。あゆみはブッシュを撃って」

 

 梓ちゃんが同じ判断をした。

 僕はもう用意してる。

 敵情が見えないのが不安だ。

 

 75mmが発砲。爆発音。

 

「え? 何あれ」

 

 誰かが言うのを聞いた僕は、ドアを開け放って前方を見た……。

 

 ……なにあれ。

 敵は車体前半部を、そこにあった岩の集団で隠していた。

 

 そして、敵もこっちに本格的に気がついた。

 岩の上から砲塔だけ指向してくる。

 37mmが火を噴いた。

 

「左前方30度に向け、回避!」

 

 梓ちゃんの指示で、桂利奈ちゃんがダッシュをかける。

 

 37mmが後逸する。

 しかし、敵はすぐに主砲を撃った。

 

 初速の早い弾だったらしい。

 敵弾はエンジンルームに命中。僕たちは撃破されてしまった。

 被弾ショックと発射音が同時じゃなかった。

 あれ、『ラッチェ・バム』とかいうやつじゃない? あいつってなにーい。

 

 今度は後ろから現れたカメさんが、こっちのエンジンルームに半分隠れてバンバン撃ってる。

 でも撃っている人が河嶋さんだからなー。こっちに当てないでね……。

 

 いや、あいつの砲塔が、まっすぐこっち向いてる。

 砲口が、丸にしか見えないっす。

 そして、37mmが火を噴く。

 

『きゃん!』

 

 なんか小山さんのかわいらしい悲鳴が聞こえたような気が……。

 

 ……37mm弾は、みごとに38(t)の操縦席クラッペに刺さってました。

 当然撃破。

 

 

 

 残るは、敵右側から接近するアヒルさんと、それで挟撃に持って行こうとするあんこう。

 アヒルさんは、パイロンスラロームのように木々や岩に回り込み、止まらないで撃つ。

 カーン。と乾いた音がして弾かれる。

 

 しかーし、デスバードはアヒルさんを完全にシカト。

 例によってジムカーナみたいな動きでせまりくるあんこうに、照準を合わせる。

 だけどフェイントだらけの冷泉さんの動きにあわせて見越し射撃なんてむり……。

 

 だけど奴らは撃ちはじめた。

 概略方位に向かって、37mmは3秒に1発。主砲は5秒に1発のレートで。

「左舷。何やってるの? 弾幕濃いよ」状態。

 しかも主砲は、徹甲弾と榴弾をちゃんぽんにして撃ってる。

 たまらず、濃いブッシュに逃げ込むあんこう。しかし……。

 

 ……ブッシュごと榴弾に飛ばされ、37mmを5,6発くらい。撃破されてしまった。

 なんつー発射速度なの。

 

 その間も、無視され放置されていたアヒルさんは行進間で7発は当てている。

 でも、100mで20mmしか抜けない、対戦車戦闘のできない徹甲弾では何にもならない。

 

 そのとき、デスバードの砲塔のハッチが開いて、フーテンタイガー、大河さんが顔を出した。

 

 アヒルさんに手招きする。ついてこいというように。

 そして、2両は、開けた野原に出て行った。

 

 

 

 たがいに正面を向けあい、対峙する2両。

 先に動いたのは、デスバードの方だった。

 なめらかな動きでコーナリングする。

 速度は遅いけど、リーと同じクレトラックだ。

 まるで自動車のようなコーナリングができ、扱いやすい。

 

 主砲の発射音は聞いたことのないものだったけど。

 37mmの方はおなじみだ。

 僕らのリーの旋回砲、M6戦車砲だ。37mm砲の中では最優秀のものだ。

 それを速射砲じゃなく、機関砲のように撃つ。

 どんな手練れが乗ってるんだ。

 

 しかし、磯部さんは、せまりくる37mmの弾幕を寸前でかわしてダッシュ。

 また、複雑なRを描く複合コーナリングの連続で、相手を翻弄する。

 今度はデスバードも止まっていない。

 なのに、今度も行進間で当てた!

 1発。2発! 3発!!

 

 まるで、戦車じゃなく、戦闘機のドッグファイトみたいな戦いがしばらく続く。

 

 大河さんは、もうここまででいいだろうというかのように両手を挙げる。

 

「全弾たたき込め!」

 

 そう言ったのが聞こえた。

 そしてデスバードは、再び静止して、ホースで水をまくような弾幕射撃を始めた。

 

 八九式がもっと速かったら逃げ切れたかもしれない。

 しかし、敵の射撃速度と密度がすごかった。

 勝負は、決した……。

 

 

 

「今日はありがとな。おかげでいろいろ仕事がはかどった。

 あんたらが弱えわけじゃねえ。今日のチームが異常なんだ。

 あっしもこんな連中と組んだのは初めてだ。中身は全国ランカーかもしれねえ。

 ところで……」

 

 そこまで言って、大河さんはアヒルさんたちに向き直った。

 

「てえした腕だが、戦車がもうダメだ。

 その戦車じゃ、どこにも通用しねえ。

 悪りぃことはいわねえ。乗り換え考えた方がいいぜ。

 あんたらの腕が泣いてらあ……。

 よかったら、あさってにでも、適当なもんみつくろってもってくんけどよ」

 

 

 

 それだけいうと、彼女らはまた、ヘリに戦車をぶら下げて帰って行った。

 

 

 

 

 




スターシップ


【挿絵表示】




  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。