失われた約束の地   作:米山ともき

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 戦場の霧の中で Gor for Broke.

 

 

 

 

 

 第5軍の先陣を切り、シーザーラインとアルバーノ高地を激戦の末突破して道を開いた第100歩兵大隊を含む「シングルス機動部隊」は、6月5日の早朝、ついにイタリー首都ロームまで10kmの地点まで進出。

 ロームはすでに枢軸軍の影はなく、無防備都市を宣言している。

 そして、僕たちは本当に一番乗りを果たせる。そう思った時だった。

「シングルス機動部隊は現地点で街道を離れて待機し、後続に道を譲ったのち、再度第34師団と合流してローム南方を北部イタリーに向かって進撃せよ」という命令が来たのは。

 

 皆、思うことは同じだった。

 陸軍は日系部隊にローム一番乗りをさせたくないのだ。

 この期におよんで、まだ僕たちを認めようとしないのだ。

 悔しさをこらえて親部隊の第34師団を待つ第100のそばを、第1機甲師団とトラックに乗った第3師団がとおりすぎていく。

 

「しかたがない……」

 

 やがて、皆の口からもれた言葉は日本語の「仕方がない」だった。

 僕たちのかたわらを過ぎていく部隊は機械化された部隊全てのようだった。

 やがて、アメリカ軍のものではないトラックの一団がやってきた。

 そのトラックのドアには、二本脚で歩き、「両腕」に砲弾をかかえて運ぶクマのエンブレムが描かれている。カッシーノにいたものならそれが何を意味するのかすぐにわかる。

 

「あれが、第22輸送中隊の新しい部隊章なんだな」

 

 自由ポーランド陸軍、第22輸送中隊。

 カッシーノ山の激戦のさなかにあって、すべての連合軍に物資を届け続けた部隊。

 そして、そのエンブレムのモデルが、1台のトラックに乗って現れた。

 

「ヴォイテク伍長だ」

 

 ヴォイテク伍長は、まるで人間のようにトラックの助手席に座り、開けた窓から僕たちを眺めている。

 誰かが「彼」に敬礼を送る。その場にいた皆が、同じように敬礼した。

 ヴォイテク伍長は、窓の外に出していた「右腕」を上げると、きちんと敬礼を返してきた。

 

「伍長殿も、ロームに入城するんだな」

「ロームに残ったイタリー人も、驚くだろうな」

 

 僕たちは、何も変わらないヴォイテク伍長にわずかななぐさめをもらった気がした。

 彼はロームで部隊とともに休暇を与えられ、その期間をロームの動物園内で部隊の他のペットたちとともに休息にあてることになっていた。

 

 しかし、彼らも実は一番乗りではなかった。

 前日の6月4日の午前中に、第2軍団の第85、第88歩兵師団がクラーク第5軍司令とともに、すでにローム入りを果たしていたのだった。

 クラーク中将はオープントップのジープに乗ってローム中をパレードし、盛大な記者会見を行った。6月5日の朝刊のトップ記事は「第5軍、ローム入城」一色になった。

 

 

 

 やがて第34師団のトラックが、僕らを迎えにやってきた。

 シングルス機動部隊はここで解散。あばずれ隊と自走砲兵隊は、それぞれ原隊に帰った。

 

 

 

 その日の夜、イギリスBBCの短波放送が、「Les sanglots longs Des violons De l'automne

Blessent mon cœur D'une langueur Monotone(秋の日のヰ゛オロンのためいきの 身にしみてひたぶるにうら悲し)」というフランス語の詩の一節をくりかえし流していた。

 翌日、僕たちはなぜクラーク中将がローム入城を急いだのか、その理由を知った。

 

 1944年6月6日、欧州大反攻「オーバーロード」作戦発動。

 第一陣はドイツ軍の裏をかいて、手薄と思われた小ブリテン、ノルマンディー地方に強襲上陸を敢行する。

 当時ドイツ軍は、カレー、ダンケルクといった要地に「大西洋の壁」と呼ばれる海岸要塞を築き上げていた。イギリスは周到にも連合軍が大西洋の壁の突破を狙っていると思わせるために、パンジャンドラムとかいうねずみ花火のお化けを衆人環視の観光地の海岸でくりかえし試験して盛大に失敗を続けるという茶番まで演じて見せていた。

 地味なところでは、割り出したドイツ側の諜報員にリクルートをかけて、いつのまにか寝返らせていたなんてこともあった。だからドイツは最後まで、上陸作戦の目標を知らなかった。

 大損害を出しながらも連合軍はこの日1日でフランス側に橋頭堡を築いた。

 例のヴォルテールの詩の一節は、フランスのレジスタンスに「大反攻開始」を伝える符丁だったという。

 そしてノルマンディー上陸を予想していたドイツの将軍は、たった一人だったという。

 

 もし、ローム入城が少しでも遅れたら、第5軍の殊勲もノルマンディー上陸のニュースの前にあっさり吹き飛ばされていただろう。クラーク中将はそのためにドイツ第10軍撃滅よりもローム入城を優先したのだ。

 

 

 

 枢軸軍は、あっさりとロームを手放して北へと逃亡した。

 どうやら総統閣下お得意の「死守命令」というやつは出ていないようだ。

 つまり、イタリーではまだまだケッセルリンク元帥の自由裁量による抵抗が続くということになってしまった。今の後退も戦略的撤退、守るべき土地を狭めて部隊の密度を上げるのだ。

 彼らは今後、ムッソリーニの支持基盤である北部イタリーの工業地帯と、アルプスに続く山岳地帯に立てこもり、ドイツを目指す連合軍を食い止め続けることになる。

 そして、ドイツ第10軍を逃がしてしまったことが、最後まで祟ることになる。

 

 

 

 ロームの南を素通りして、チヴィタヴェッキアの街に向かう途中、第34師団はトラックから降りて昼の大休止をとっている。

 僕たちが今の連合軍でもっとも前にいる部隊のはずなのに、ここにはすでに大隊くらいの先客部隊がいた。みんな武装を解いて、それぞれ車座を組んでランチを食べている。

 それを見たヤングは何かに気がついたらしく、すたすたとその連中に向かって歩き出した。

 探るような目をしていないと言うことは、本当に友軍部隊なんだろう。

 ヤングは別についてこいと言ったわけじゃないけど、僕はじめ好奇心の強いのが何人かついていった。たぶん何かあるに違いない。

 僕はその途中で、ずっと気になっていることを聞いた。

 

「ねえヤング、僕たちがローム入城を許されなかったってのは、やっぱり日系部隊に殊勲を与えないようにするためたと思う?」

「どうかなあ。初めからあそこで交替する予定だったんじゃないのかなあ。

 いきなり第34師団が停止命令を受けたのなら、ライダー少将が黙ってないよ」

 

 差別と偏見を人一倍嫌っているヤングだが、この停止命令は日系部隊がどうこうという理由ではないと思っているようだ。

 

「スパッド、たぶんこれから行く先に、その答えがあるよ」

 

 ヤングはそれだけ言うと例の部隊の中に分け入り、今度は人でも探すように周りを見ている。

 

「あっ、いたいた」

 

 ヤングが誰かを見つけ、すたすたと急ぎ足で歩き始めた。

 僕たちも兵士たちをかき分けながらあとに続く。

 ヤングは、部下数人とレーションじゃなくちゃんとしたランチを食べている将校らしい人物の前で立ち止まった。将校がけげんそうな顔でニット帽のヤングを見上げている。

 

「また、お会いしましたね」

 

 どういうことだろう? 彼はヤングの知り合いなのだろうか。

 将校はしばらく腕組みをして視線だけ横に向けていたが、またヤングに視線を向けた。

 

「ヤング・オーク・キム中尉。なぜ私だとわかったんだ」

「いえ、お顔を覚えていましたから」

「私が君に出会ったときは、顔中に靴墨を塗っていたんだぞ」

「ええ、今でも写真のように思い出せます」

 

 将校は「ふーっ」と息を吐いた。

 

「君の隣のじゃがいも上等兵は、すっかり私のことを忘れているようだが。

 アンジオで私の声を聞いただろ?」

 

 え? じゃあこの人たちって。

 

「スパッド。ここにいるのが『悪魔の旅団』の、たぶん全員だ」

「でも、これじゃせいぜい1個大隊じゃ……」

「ドイツ軍が旅団規模だと過大評価してくれたんだ。

 訂正する必要もないから、俺たちも旅団と名乗っている」

 

 この人たちのくつろぎっぷりからすれば、僕らよりずっと前にここに来ている。

 いったい、なぜ僕らより先に行軍していたんだろう。

 国道6号線に向かって東に行ったんだから、第5軍のしんがりにいたはずなのに。

 

「実は、ローム一番乗りは、あなた方なんじゃないですか?」

 

 ヤングがまた唐突に変なことを聞く。

 ローム一番乗りは、公式には第88師団と第5軍司令部だ。

 

「クラーク司令の到着前にあなたたちがロームに潜入して、怪しい場所を掃除して工作員を排除し、要所を全て制圧して枢軸側の残留者がいないことを確認して、安全を確保した。

 そういうことなのでは?」

 

 あっ、そういうことなんだ。

 でもそれじゃ、この人たちは……

 将校は肩をすくめ、首をたてに振る。

 

「ご名答だ。だが我々は公式には存在しない部隊だ。

 存在しない部隊が、武勲を立てるわけないだろう? なあ」

 

 空挺やレンジャーから選抜されたエリート中のエリート。

 その人たちがいままで殊勲を挙げ続けてきたのに、どこまでも「影の部隊」として誰にも知られることも、名誉や賞賛も与えられることもないなんて。

 そういえばカッシーノまでわずか数日で突破した「タスクフォースB」も、先鋒は第100ということになっていた。第1特殊任務部隊の名前は出てこない。

 戦死者は、嘘の経歴をあたえられ、一般兵として葬られているんじゃないだろうか。

 それじゃ、僕らのくやしさだって及ばない。

 しかし、将校はさらっとこう言っただけだ。

 

「まあ、誰にも言わないでくれないかな」

「もちろんです。ここで忘れましょう」

 

 ヤングはおそらく自分の疑念の答えを得るためだけに、ここに来たのだろう。

 目的は果たした。ならもう忘れてしまう方がいいことぐらい、僕にもわかる。

 

「キム中尉。

 君が日系二世でなければ我が部隊にリクルートしたいぐらいなんだがな」

 

 このひとことでヤング以外の僕たち全員が凍り付いた。

 この人も韓国系のヤングと日系の区別が付かない。

 いや、むしろあたりまえか。まさか日系部隊に韓国系の将校がいるなんて誰も思わない。

 しかし、ヤングはそのことよりジョークにどう返すかが大事だったようで、

 

「魅力的なお誘いですが、私はこの『日系部隊』が大好きなのです。残念ですね」

 

と、こともなげに答えた。

 

 そして部隊に帰ろうとする僕らに、将校は思い出したように付け加える。

 

「ああそうだ。知らないかもしれないから言っておくが、今日あたり第442連隊戦闘団がアンジオに上陸するぞ。じゃあな」

 

 ふりかえるともう彼は、僕らのことは忘れたといわんばかりに、次の皿にとりかかっていた。

 

 とうとうシェルビーでの訓練を終え、第442が欧州戦線に参戦する。

 それはこれからはシェルビー基地が補充兵の育成を任務とすることになったということだ。

 第100と第442が二世部隊のすべてで新規部隊は編成されず、今後すべての二世兵士はこれらの部隊の補充兵とされることが決まっている。

 おそらく僕らと同じように、第442も常に最前線で戦うことになるだろう。

 ハワイ出身者がメインの第100と違い、第442の本土出身者は家族を収容所においたままだ。

 第442は、どこに配属されるのだろうか。アンジオに来たということは第5軍だろうけど。

 

 僕の前を、ヤングにくっついてきたアカホシが歩いている。

 彼は例の人さらい作戦の翌日、ヤングが止めるのも聞かず、一人で偵察に出て負傷した。

 味方の地雷原を通っていったのだけど、戦車のわだちの上なら大丈夫だろうと思って歩いていたら、戦車に反応しなかった対人地雷を踏んで吹っ飛んだ。

 地雷では奇跡的に無傷だったアカホシだけど、爆発に気がついたドイツ軍の迫撃砲にまた吹っ飛ばされて、今度こそ負傷した。そしてようやく帰ってきたのだ。

 僕は、前から気になっていることを聞いてみる。

 

「ねえアカホシ。Go for brokeって何の呪文?」

 

 アカホシは「はあ?」という顔をして、別な呪文を唱えた。

 

「アータハドコカルキナハッタツナ?」

「え?」

「あんた、どこのもんだよって聞いたんだよ」

「あ、ああ。ロスだけど」

「ロスか。じゃあ知らなくてもしかたないな」

 

 知ってる知らないの問題なのか。

 慣用句でも聞いたことないし、文法が変だ。

 

「ハワイもんがチンチロリンやるときのかけ声だよ。

 有り金全部つぎ込んで、一か八かの勝負に出るという意味だ」

 

 そういう意味か。だからエイキやダンがグレネード投げるときに唱えたのか。

 だけど……

 

「普通それって、All or nothingっていわない?」

「そうなんだろうな。都会もんは」

 

 都会とか田舎とかって話じゃないし、ホノルルは田舎じゃない。と僕は思った。

 でもそういう意味なら、日本人のブロークンイングリッシュだね。

『破滅に向かって突き進め』とでもいうのだろうか。

 だとしたら……

 

「じゃあ、さっきの呪文もハワイの?」

「……はぁ? ちがう、熊本弁だよ」

「そうなの」

「日本語でどう書くかは知らないが、アカホシってのも熊本だけにあるファミリーネームだ」

 

 ダンが「クマモト」もキュウシュウ地方だって言ってたっけ。

 ダンのファミリーもキュウシュウ出身。

 ……あっ!

 

「もしかして、ダンには『クマモトベン』だけで話さなかった?」

「あやつ、福岡のくせに巻き舌だから、おちょくってやっただけばいね」

「おちょくる?」

「からかう!」

 

 ダンは中学生のころから悪所に出入りしてバクチばかりやっていたから、鉄火場口調になってしまったという。

 それがアカホシには気にくわなかったから、そういうマネをしたってことか。

 

 

 

 6月11日、第100は海岸沿いのチヴィタベッキアという小さな街で、第34師団ともども増援が来るのを待っていた。

 師団幹部たちの会議が終わり、師団長ライダー少将はシングルス大隊長に第100全員を招集させる。

 

「皆、集まったな。

 これから俺が話すのは、例の第442連隊戦闘団のことだ」

 

 ライダー少将が直々にあらたな日系部隊である第442について説明を始める。

 くだんの将校がいったとおり、第442は6月7日にアンジオに着いたが、さっそくドイツ空軍から手荒い歓迎を受けたらしい。

 2個歩兵大隊、第522砲兵大隊、第232工兵中隊、衛生収容中隊が数隻の輸送船に分乗し、ネイプルスとアンジオに別れて上陸し、いまは第34師団のいるこの街を目指している。

 第442の所属は、第34師団となった。むろんライダー少将が熱望したのだ。

 ただ、第100の補充として引き抜かれた第1大隊は結局再建できず、第1大隊司令部はシェルビーに残留し、徴募された二世兵の訓練を行うことになった。

 では欠けてしまった第1大隊の穴埋めは、どうするのだろうか。

 

「俺の一存で決めてしまったが、第1大隊のポジションには、この第100を充てる。

 なお名誉ある『第100歩兵大隊』の称号は変えない。これも俺の考えだ」

 

 第100をそのまま第442に編入する。

 つまりこれからの第100は「第34師団第442連隊戦闘団第100歩兵大隊」ということになって、書類の上でも「私生児」「里子」でなくなるというわけだ。

 第100の意味も今では「いらん子」から「4番でエース」に変わっている。「第5軍で最強」との呼び声も高い。ライダー少将もそう思っている。だから変えないという。

 しかし、それをすんなりと第442の将兵が受け入れるだろうか。

 自分たちはこれから評価を受ける身なのに、鳴り物入りで第100が加わるのだ。

 その上、第100は徴兵された兵士が主。それに対して第442は選抜された志願兵ばかり。

 第100に対して激しい対抗心をもっているかもしれない。

 第442のモットーは例の「GO FOR BROKE!」だ。

 

「当たって砕けろ。か……」

 

 だが、それはまさに今日までの第100の戦い……。

 第100のモットーは「Remember Pearl Harbor」、これも変わらない。

 あの日、僕たちは祖国からも父祖の国からも「敵」にされてしまった。

 しかし、僕らは自分たちの「居場所」を守ると決めた。自分の意志で。

 

 第442には『レッド・ブル』とは違う、新たな部隊章を制定する権利が与えられた。

 白いフチの付いた青い六角形に、たいまつを掲げる自由の女神の右腕を白く染めたもの。

 その『リバティー・トーチ』が第442の部隊章となり、軍服のそでにつけられる。

 ど派手なサムおじさんと並んで、合衆国の擬人化と言われるリバティー。

 それが、日系二世部隊のシンボルとなる。

 

 

 

 数日後、第100は第442と合流し、第442の指揮下に入った。

 ダンは第100を離れ、古巣の第2大隊に帰って行く。

 しかし、そのダンも第442はまだまだギクシャクしてると言う。

 もはや砲煙弾雨など何とも思わず、言葉がなくともたがいに何を成すべきかわかるほどのチームになった第100からみれば、第442はまだまだもたもたしている。

 新規編成部隊中最高とのお墨付きをもらっているが、僕らにはそう見えてしまうのだ。

 

「大丈夫かねえ。俺は心配だ」

 

 そりゃダンから見れば、悪魔の旅団以外のどんな兵隊でも不安だろうが、この場合は違う。

 第100がたどって来た多くの犠牲を払う道。それを第442も繰り返すのではないかという不安。

 それはダンだけではなく、第100の皆が感じていた。

 だから第100ではこれまでの経験をレクチャーするセミナーを、第442の他の部隊相手に開こうとした。

 しかし、連隊長ペンス大佐は「その必要はない」と一言で却下した。

 これは彼だけではなく、第100以外の第442の総意だという。

 ペンス大佐はさらに意地になったのか、第100との接触そのものまで禁止した。

 

「実際にドイツ軍に撃たれてみないとわからんかもね」

 

 ヤングとダンは、同じことを言う。

 実際そのとおりかも知れない。

 

 

 

 6月22日。

 第36師団と交代して先鋒に出た第34師団の最前線に第442がいた。

 攻撃目標はベルベデーレ。

 ペンス大佐は「お前らは引っこんでろ」とばかりに第100に後方待機を命じ、残余の部隊で進撃を開始した。

 

 

 

 そして、2日が過ぎてもなおじっと待つことを強いられた第100のシングルス大隊長らの前に、ボロボロになった軍服をまとい、ヘルメットをなくしたらしいすすだらけの軍人が、たったひとりで現れた。

 

「シングルスー、テメーここで何してやがる!!」

 

 ボロボロの格好のまま怒鳴ったその人物は、第442から占領したと報告のあった最前線の街に司令部ごと乗りこんだはずの第34師団長、ライダー少将だった。

 

 

 

 

 

 

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