ここまで結構長かった
結論から言えば、ライダーの目的は聖杯問答とかいうものだった。
どんな願いを持つか聞き出し、一番聖杯にふさわしい願いを持つものが持てばいいのではないかというものだ。
バーサーカーは呼び出しようがない気もするが、ライダーの中ではバーサーカーに聖杯を渡すという選択肢はないようなのでこれはまあいい。
「では、余は酒を確保してくるとするか」
「んじゃつまみ作ってくるわ。・・・醤油でいいものがあったからにものでも作ろう。ライダー、酒は日本酒か焼酎を買って来い」
と、いうことでついでにいろいろ呼びかけることになり、俺はランサーを連れていくことになる。
「・・・ケイネス、お前は残れ。ライダーが出てくることを考えると絶対にややこしくなる」
「ふむ、では間桐の魔術秘奥でも調べてくるとしようか。・・・その前に今日の新刊を呼んでおかねば」
着々とオタク化が進行してるんだが、俺はしてはいけないことをしてしまったのだろうか。
「久遠は桜ちゃんたちの護衛頼む。魔術師殺しとかいう外道手段を使うことで有名な奴がかかわっている可能性があるし、アサシンとかいるからさすがにノーガードにはできない」
「いいよー。じゃ、ソラウさん、桜ちゃんとお風呂入ってガールズトークしようかー」
「じゃあビニールにゲームでも入れて今日の「きらめきメモリアルBoys」でもしましょうか。ほら、あなたもやってみなさい」
「はい、ソラウさん」
・・・ほおっておくと男性陣にとって大きなダメージが入りそうな気がするのはなぜだろうか?
「一応俺は言ったほうがいいんじゃないか? 場所が場所だからアインツベルンのマスターはいるだろうし、ライダーのマスターも来るだろ」
「お前酒飲めるほど体調回復してないだろ。アーチャーは来るから時臣の参加の可能性もあるし、冷静に対応できそうにないから休んでろ」
俺とランサーが参加すれば問題あるまい。つまみもそこそこ作ったし十分だろう。
「あ、ボクいってもいい?」
と、ナツミがいきなり手を挙げた。
「なんだよナツミ、どうした一体?」
「だって暇なんだもん。王様三人の話って、なかなか聞けそうにないし面白いかなーって!」
・・・ふむ、まあ子供が一人いたほうが、清涼剤になって話が円滑に進むかもしれん。
戦力としては何一つ問題はないし、連れていってもいいか?
「わかった。ただし、ちゃんということは聞けよ?」
「やたっ! じゃ、着替えてくるね! ドレスって一度来てみたかったんだぁ」
「・・・では俺は霊体化してついていくとしよう。サイドカーにはナツミが乗るといい」
着々と進行するが、さて、問題が起きないというけど。
やっぱり問題がおきました。
とりあえず酒を買わずに盗んできたこそ泥(本人は征服王の略奪であると主張しているが、堂々とやっていればいいものではない)アホはとりあえずしばき倒し、住所と電話番号を調べて後で損失補てんと追加の賠償金を払っておくことにして、酒談義スタート。
アーチャーは全ての宝は自分の物なのだから、バカに使わせるのも癪だと言い切った。
「盗人には相応の制裁を加えるのが王の仕事というものだよ。そこそこ魅せてくれる道化になら渡してもいいけど、それだって試練の一つぐらいは貸さないと癪じゃないか」
うわぁ、すっごい上から目線。
一方ランサーは生前果たせなかった忠義を貫くことを目的としており、主か主が認めた相手以外に聖杯を渡すわけにはいかないと断言。
「今生の主である主以外に忠義を向けるつもりはない。主に刃を向けるというのならば容赦はしない」
ふむ、結構まっすぐだが、少し思うところがあるので後で聞いておくことにしよう。
で、ライダーの目的は結構以外。
普通に世界征服かと思ったら、世界征服するための受肉を求めてきた。
なんでも、依代がなければ自分で存在を維持することができない状態で世界征服するのはアレだとか。
意外とまじめだった。うん、少し見直した。
で、セイバーは結構ありそうだった。
故国ブリテンの救済。シンプルな願いだろう。
自分が努力して、それでも滅んでしまった国を救いたい。
で、それを基本暴君のアーチャーやライダーは否定して、口論が勃発したわけだ。
「殉教などといういばらの道に、一体誰が憧れる? 焦がれるほどの夢を見る?」
「いや、十字軍遠征とか、殉教って意外と麻薬的側面あるぞ? 天皇陛下のためのカミカゼ特攻隊で有名な日本だぜ、ここ」
時代的にまだ有名ではないが、イスラム系の自爆テロなんて殉教精神の極みだろ。
「・・・聖者はな、たとえ民草を慰撫できたとしても、決して導くことなどできぬ。確たる欲望のカタチを示してこそ、極限の栄華を謳ってこそ、民を、国を導けるのだ!」
「いや、それ世界最大宗教に真正面からケンカ売ってるぞ? イエス・キリストが欲望に忠実だったなんて言ったら敬虔な信者がキレるからな? 王より宗教が上なんて、一時期当然の常識だったんだぞ? ・・・まあ、この国はそれを否定した結果鎖国したが」
アレは欲望を抑制することですくわれるというのが基本パターンだと思うんだが。美徳に節制があって悪徳に強欲があるんですけど。
「・・・・・・王とはな、誰よりも強欲に、誰よりも豪笑し、誰よりも激怒する。清濁含めてヒトの臨界を極めたるもの。そう在るからこそ臣下は王を羨望し、王に魅せられる。一人一人の民草の心に、“我もまた王たらん”と憧憬の火が灯る!」
「いや、自分も王になりたいじゃなくて王のような人に仕えたいというのも立派な臣下のあり方だと思うぞ? 終生仕えた支える騎士のような立場からしてみれば鼻で笑うぞ? もちろんこの国の武家社会思想も反感買うな。・・・まあ、下剋上とかよくあることもあったが」
久遠と会長に喧嘩売ってんのか。いや、あの二人は悪魔だからもっと欲望があってもいいとは思うけどね?
あと木場にも悪いな。仲間の不当な扱いには断固抗議しなくては。
「・・・・・・・・・キャスター。さっきから余の言葉に異ばかり唱えておるな」
「いや、お前って強引な理屈を勢いで押し切るところあるから、制止できるところはしておかないと。・・・余計な出費をさせた検事に反論する、場所を無理やり提供された容疑者からの報酬分の仕事をする弁護人と思ってくれ」
悪いが方向性が違うものとして言われっぱなしにするわけにはいかないからな。
適度にブレーキかけないとあれだ。うん。
というより、こいつを優勝させると現状の世界では地味に人類滅亡の危機がある。
世界征服を狙うというだけでなく、ライダーの価値観では間違いなく正面からの激突になるだろう。一歩間違えれば大国が核ミサイルをぶっ放して核戦争勃発の可能性がある。
と、言うわけで万が一を考慮して、ライダーにはもう少し生き方を是正してもらわないと困る。
こいつが優勝されてそんなことになれば、桜ちゃんあたりが被害を受ける。それはできれば避けたい。
「・・・話の腰を折ると思って黙っていたがなライダー。そもそもお前の王の格を問うという発想そのものが根本的にずれている」
「面白いですね。英雄の王である俺が発言を許可します。酒の肴の報償として、教鞭をとってかまわない」
「ありがたい。・・・ではまずこの英雄王ギルガメッシュのパターンを言うが、こいつの場合はある意味で全知全能の神一歩手前の存在だ。こいつがすべてにおいて一番上だったから王になった。もうトップとしては王というより一種の神だ、神」
「俺を神として扱うのはいささか不満だが、雑種では仕方がないことですね。許すからどうぞ続けて」
アーチャーは少し不満げに鼻を鳴らしたが、つまみを口に運びながら先を促す。
「・・・で、ライダーはその一段階したといったところか。トップとしての方向性としては海賊王とか暴走族のヘッドとか、荒くれ物をまとめる方向が近いだろう」
性質としては豪快なタイプだから、まさにそんな感じだと思う。
「この場合はリーダーシップが何より重要。兄貴ぃ! とか親父ぃ! とか慕わせるものを持って、その欲望が活力を生んで加速度的に発展していく。それこそがマケドニアの征服だ。つまり、羨望の象徴って感じだな」
「ああ、確かに伝承とか見るとそんな感じだよな」
ライダーのマスターがそういうことを言う。・・・イギリス人だしまあいいかと思って酒飲ませたが、ちょっとふらついてるけど大丈夫か?
「だが、アーサー王の政治においてはそれに当てはまらない」
そう、そこはしっかりと断言しておかないといけない。
「ブリテンはそもそも独裁政治ではない。ブリテンは象徴君主制議院内閣制。王は確かに最高の政治的権力を持つが、その下にいる部下たちが発言権を持ち、必要な時は王の意見と反する決定が下されることもありうる」
「え? 王様ってなんでも勝手に決めれるんじゃないの?」
ナツミが首をかしげるが、まあそういうイメージは結構強いよな。
「ところがどっこいそうじゃない。ライダーのマスターならピンとくるかもしれないが、イギリスは女王がいるけど政治権力は持ってない。日本も天皇を君主に据えている立憲君主制だけど、あくまで象徴であって政治を動かしているのは総理含めた内閣による民主政治だ。もっともアーサー王の場合は剣が選んだわけだ。ある程度の権力もあるわけだから、部下の反対と賛成の差が少なければゴリ押しできる程度の権力は持っているだろうが」
「ゴメン難しい」
「つまり、アーサー王はイスカンダル王やギルガメッシュ王と違って、自分の意見だけで国を動かせないってことだ。独裁政治とさっき言ったが、厳密にいえば絶対君主制。そもそも政治体制が全く違う」
俺はナツミにわかりやすく説明しなおす。
そういうわけだから、この場合は間違っているわけだ。
「歴史的な意見からすれば、絶対君主制は今の世界ではほとんど廃れている。支配される人民が民に尽くさせる王から民に尽くす王を求めたからだが、結局王の大半はんなことせずに好き勝手するから、民に叩きのめされて王という概念がなくなっていったのさ」
ちょっと皮肉なことを言ったが、幸い全員俺の話に耳を傾けるだけのようで今は何も言ってこない。
怒られないうちに軌道修正軌道修正。
「話を戻すが、ブリテンの政治体制に必要なのは、騎士道を持つものたちの王として、民の規範となる存在。イスカンダルがこうなりたい欲望の結晶なら、アーサー王は理想の結晶。こうあるべきという形を体現する必要がある」
「えっと、・・・どういうこと?」
考えてみたがよくわからないようだ。さて、どう説明したらいいものか。
と思ったらライダーのマスターがナツミに声をかける。
「つまり、自分がなりたい王様の類がライダーで、人になってほしい王様の類がセイバーってことだよ。・・・ほら、大臣しっかりしろとかいう奴いるけど、じゃあお前がやれといわれたら尻込みする奴多いじゃないか、そういう感じだ。アーチャーの場合はそもそもそういう存在の王様って感じかな」
「お、いいこと言ったなライダーのマスター。おまえ教師とか向いてるんじゃないか?」
いい感じに説明してくれたおかげで手間が省けた。よし、この勢いで行こう。
「一人の者がすべてを決める独裁政治は優秀な存在がうまく回せば行けるが、たいていは欲望のままに民を振り回すから民が否定した。だが、民に権利を渡し可能な限り平等を実現したからといって、その民がどいつもこいつもアホしかないのなら、結局衆愚政治になって絶対なリーダーが統治したほうがいいということになる。まあ、何事も絶対はないってやつだな」
と、ライダーに釘を刺してから、より話を進めていく。
「海の王様といわれるシャチは陸ではライオンになすすべもなく食い殺されるが、ライオンだって水中ではシャチに蹂躙される。世の中にはその時に合った方法ってのがあるわけだ。・・・バーサーカーの工房を、ライダーのマスターが基礎の基礎を使って一流よりも先に発見したようにな」
そう、ここも重要だろう。
と、言うわけで少しはライダーに攻撃するか。
「話は変わるが、マケドニアという国は栄えていた」
そう、それは事実だ。
「国力も軍事力も超強く、国は力が有り余っていた。そして、腕っぷしの強い腕白坊主がガキ対象になるように、力を振るいたがっていた」
ライダーの表情がピクリと動く。
「マケドニアは要約すれば、力を判断基準とする。そのようなあり方でははけ口を求め動き回る。正義という基準で動いていないのだから治安維持は難しいだろうし、そういう意味ではカリスマ性と牽引力でそのエネルギーを引っ張っていく導き手が確かに必要だっただろう。俺も不良を従えるときは方向をコントロールして放出先を限定させるが、放出を全くさせないでいると暴発するからそれはできない。・・・そう、王でもだ」
そこまで言ってから、俺はセイバーの方を向く。
「だがセイバー。お前の国はどうだった?」
「・・・否、そのような国では断じてなかった」
セイバーは、表情を真剣にしてそう告げる。
「ブリテンという国は、戦乱に次ぐ戦乱で疲弊していた。民は力に振り回され、救いを求めていた。・・・私も剣を抜くまでは一回の小娘だったからよくわかる。力はこうありたいのではなく、こうあるべきという形で振るわれるべきなのだ」
そこにいたのは、まさに騎士王と名乗るにふさわしい存在だ。
正しくあろうとし、しかし正しくできないことも理解し、そんな中で舵取りを行ってきた救い手。
「力を求めるものたちの行いで弱者が苦しめられてきたのがブリテンだ。・・・ライダー、お前の治世に正義はあるか?」
「ないな。余の王道に正義は不要。ゆえに悔恨もないが、確かに余の覇道は必ず征服され蹂躙され、そして顧みられないものがいる」
ライダーも、セイバーの言いたいことを理解した。
そう、相いれないことをよく理解した。
「ブリテンが目指した統治とは、弱者が蹂躙されることのない国だ。当然それはない大抵のことではなく、私の統治でも至らぬところは多かった。だがそれでも、『弱者であることが悪にならない』ことを目指し、騎士たちはその理想を歩むべき歩いてきた」
そう、騎士道とは弱者を守る概念だ。
ライダーの覇道は強者が歩く概念であり、存在として対極に位置する。
「そしてその騎士たちは、己の道をちゃんと持ち行動していた。それにより分裂が生まれはしたが、円卓の場において欲を持って導こうとしても騎士たちはうなづかなかっただろう。なぜなら彼らは己自身を己の道へ導けるのだから」
騎士道というのはそういうものだろう。
あれは戦いという残虐な場でも清廉さを作ろうとする、人々の努力の結晶だ。そしてそれゆえに騎士という道を見つけることができる。
騎士たらんとするものたちが安易な欲望に流されるようでは話にならない。そういう意味では戦士たちの長であるライダーとは相性が悪いだろう。
「我がブリテンの民が求めていたのは平穏だ。当たり前の日常こそを夢み、騎士はそれを守ることを誇りとしていた。おのれの確固たる夢をもつ我が国にとって、必要なのは夢を魅せる欲望ではなく、夢を守る正義が必要だった。彼らは必要以上の干渉を望んでおらず、ゆえに導きではなく守護こそが彼らの願うものだった」
そこで言葉を切り、セイバーは名目する。
「そのために私は、守られる立場であった小娘の身で王となった。・・・その歪みゆえに多くの負担を与えたものがいて、それでも歩み、それでも進み、罪を罰し、騎士道をそむくことすら悔恨とともに受け入れ、そして時にあえて見逃し・・・その結果が歴史にしるされし結果だ」
まあ、アーサー王が女ならギネヴィアとランスロットの不倫もまた別の側面が見えてくる。
なんというか、困窮しすぎだろブリテン。聖杯余ったらブリテンにジャガイモでも送ってやろうか。だいぶ変わるだろう、だいぶ。
「・・・だが、私にとってブリテンは今も困窮の危機のただなかだ」
その言葉に、嘘はないのが見て取れた。
それは彼女の王道に賭けて、何一つ偽りのない真実だ。
「カムランの丘の戦いで、確定した迫りくる滅びを回避するため、私は世界と契約し、それを打破することができる聖杯を得る機会を得てここにいる。私はいまだかろうじて生者であり、王としての責務を果たさなければならない」
そして、セイバーは手に持っていた酒を一気にあおる。
ライダーがちょっともったいなさそうな顔をするが、まあこれ高いし気持ちはわかる。
そして勢いよく飲み干して音をたてて杯を置き、セイバーはライダーを真正面から見据える。
「今更貴様に何を言われようと、この願いだけは必ず通す。ライダーよ、我らがブリテンは貴様たちに征服されし無辜の民の国、黙って隙にされるいわれはないと知れ!」
「・・・ふむ、なるほど。確かに言われてみれば、余の王道とブリテンのあり方はかみ合わず、から回っていたかもしれん。同時にアーサー王のあり方ではマケドニアは回らなかった。策とはその時々に応じて適切なものが変わることは確かにあるし、そこを突かれると反論できんな」
だが、それでもライダーは渋い顔をした。
「だが、その重荷は小娘が背負うにはいささか重すぎる」
その責任を背負い、最後まで背負わんとするセイバーの姿に輝きをみ、しかしそれを重荷と言い放つ。
まあ、それについては俺にも思うところはある。
・・・許容範囲外の重荷を背負うと人は倒れたり迷走したりする。
まあ、俺はそのあたりを正確に把握してできそうにないことは他人に頼んだりするから大丈夫だが。・・・イッセーはいろいろと心配だが、なんというか乳触らせとけば勝手に回復しそうだ。
「まあそこは同意するな。アーサー王伝説ってアクの濃い騎士が多いし、しかも政治的な能力が低いし、そもそも国が詰んでるレベルだし。よくぞ持ちこたえたとほめてやりたい」
正直俺だったら絶望するレベルの窮地だ。
・・・なんだろう、目から涙が。
「あの、さすがにそこまで同情されると対応に困るのですが」
「いやいや俺が統率するとなったら匙投げるどころかもう自決したくなるレベルだし。正直ブリテンって優秀な政治家を何人も追加すれば何とかなったんじゃないだろうかって思うんだけど。武官だらけで文官が足りなすぎる」
「ああ、知恵袋というのは必要だな、キャスター。よも優れた教師たちがいてくれたおかげでだいぶ助かった」
「ライダーの言う通り、頭の回る雑種は意外と便利ですからね。いっそキャスターを配下にしたら持ちこたえられるんじゃありません」
「いや、こいつ意外と金にもの言わせてるところあるからブリテンだときついんじゃないか? なあ、そこの・・・なんだっけ?」
「ナツミだよ! あ、でも兵夜って意外と何とかなるかも。中学生のころから社長のお父さんの力を借りないでヤクザの組長は警察署長とコネ結んだんだって」
「それって、コネを結んでいいほどの大物がいないと無理なんじゃないかしら」
「兵士の身分から出世していくことにはうまくいきそうだが、最初から高い地位で動くには不向きだな。フィオナ騎士団にも欲しい逸材だが、やはりうまくはいかぬか」
と、なんかいきなり方向性が変わってきたが、もう酒がまずくなりそうだしアルコール回ったらヒートアップしそうだし、このまま方向ずらしていこうか。
「ああ、俺のコネは幸運と財力を持って形成したものだ。特に重要なのは魔術を使って顎でこき使っても気にならない連中の弱みを握ることと、そいつ等が活躍した時の報酬を準備することでな」
「典型的な鞭と飴だなおい! どっちかというとライダーに近くないかお前」
「一徳が大変だぞライダーのマスター。舎弟の1人1人の諸問題を解決するにはどの弁護士が有効か考えたり、誕生日に食わすケーキの好みを把握したり、舎弟の目標をかなえるには誰を紹介したらいいか考えたり、正直女だきまくって酒飲みまくってじゃなければやってられん。ああ、酒代稼げてよかった!」
「・・・僕だって稼ぎたいよ」
ライダーのマスターが財布を眺めながら、遠い目をする。
金欠は厳しいものだ。俺も集めても飛んでいくからなかなか豪勢な生活ができなかった。
「それはとても理解できます。ああ、財力がないから食料も買えず、時には村ひとつ干上がらせなければいけないし、食べる食事はこのような繊細なものではなく非常に雑だった」
「うぅむ。聞けば聞くほど余の王道ではうまくいきそうにないの。王が旨いものも食えんのか」
「王が贅沢できないようでは立ちいかないですね。セイバーはよく統治できたものだ。感心しました」
「まさに騎士による規範があってこその道。それでなお非道に手を染めねばならぬときがあるとは、同情するぞセイバー」
サーヴァントたちがうんうんとうなづいていく。
「・・・じゃ、今日は美味しいものいっぱい食べよう! 実はお菓子もいっぱい買ってきたんだよ!」
「あら、これが日本の駄菓子なのね? 切嗣はそういうのに疎いから食べたことがなくって」
「・・・美味いなこれ。日本の食文化ってすごいな」
ナツミとマスターたちはなんか食文化がスタートしてる。
「・・・へえ? 安物にしてはなかなかの味ですね。雑種の技術も日進月歩ということですか」
「キャスター、煎餅はないのか? アレはうまかったのだが」
「おかきでいいならあるが」
なんだかどんどん戦争とは思えない展開になってきた!
兵夜は善政さえ強いてくれれば政治形態に興味はあまりないタイプ。もともとイリーガル気質なのでその辺はあまり気にしなかったり。
反面善政を敷くことを前提としているため、Fate王様タイプでは間違いなくアルトリア派。彼がブリテンにいれば相性が良くうまく回ったでしょう。
zeroのセイバーいじめ筆頭である聖杯問答。対等とか言う割にはセイバーがひどい扱いだった気がしたので、書く機会があるならフォローをしてみたかった。
この作品を書くにあたって一番書きたいところだったので、たぶん一番熱がこもっている展開だと思います。こういう方面での兵夜の描写はケイオスワールド本編では出しづらいと思うのでここまでかけてよかったです。